「三階建て」選評用スレッド
峯岸◆b9f21c / 2021-03-30 23:21:18 No.25
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空虹桜◆7a91dc / 2021-04-04 16:22:10 No.26
イメージが限定的で、やりにくいなぁ。
がお題のファーストインプレッション。
なればこそ、想定の範囲外のハードルは低いので、
アタシ程度の人想定を超えてくれない超短編に、なんの価値が?

○三階建て7
> 三階建て世界、というとまた何かの亜
非ユークリッド空間かと思ったら、
「階段を上るとそこは異世界でした」が、
淡々と綴られるのはギャップ萌え感もあってわりと好み。
けど、冷静に考えるとタイトルとあってないよね。
> 夜はまだ遠い。
で終わるのは良いのだけど、その前の
> 数字と数式で記述
の「馬に騎乗する」感。

○<三階建て12>
> 老いた住宅は薄れゆく記
作品としては微妙だけど、最大のポイントは「住宅崖」
この一語のために現代社会風刺はあります!
と、迷わず断言できる表現。
このテーマであれば、エモーションを煽ることも可能だけど、
あくまで夢であると自覚的であるところも含めて、嫌いではないです。

△<三階建て5>
>「ちょっと狭いんスけどね。一
カタカナ諺の意味わからなかったので、調べました。無学なもので。
最後「ヘ」じゃなくて「え」なのでは?
と思うも、「宮塚」みたいな地名と解釈すれば、
ここも掛けてるってことで納得。
勉強になったので次点を。

△三階建て6
>       空
タイポグラフィと短歌・俳句を持ってきたとこは好評価。
歌を評価する価値観は持ち合わせてないので、その点は辞します。

×<三階建て2>
> 私は『アスリートのお
500文字しか書けないのに、冒頭から説明文で仰け反りました。
トレーニングルームの器材で競技わかるか?
あと、リアルにスポーツクライミングの代表が野口さんなので、
作中人物の名前がノイズ。
最後に三人称代名詞が出てきたのも唐突だけど、趣味の問題かな?
性別を明記する必要性は感じなかった。

<三階建て14>
>今が、われわ
アタシは、これの選評日和ります。

<三階建て15>
>「まずは挨
エ音で踏み続けるのは評価するけど、
このご時世、書き物で踏むなら、フリースタイルラッパーより、
固さや新規性がないと評価できない。
いい加減、この10年で小中学生でも安い韻踏む時代なんだから、
物書きだからこその韻を!

永子◆46f5c4 / 2021-04-08 17:41:49 No.27
投稿は今回も遅刻でしたが、選評は早めに。
(週末はお出かけの予定がある)

◎<三階建て12>
<老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たりしている。

古びた「ニュータウン」のお話。そういうのはよくあるけれど、主体が住宅であるのが切なさを醸し出している。
住んでいた人間を家族のようにして思い出を語り、いまわの際に、心の底でずっとなりたいと思っていたもの、核家族ではなく代々の人が住み続けていく家になる夢を見る。
単なる擬人化や暗喩ではない手触りがあります。

次の2つはどちらかを選べなかったので、12を◎3と7を次点にしました。

△<三階建て3>
>坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、

大阪の日本橋(ニホンバシではなくニッポンバシ)に「五階百貨店」という商店街があって、これ。展望台だった五階は、太平洋戦争時の金属供出でなくなったというから木造ではなかったでしょうが。
無いものを想う、そのうちにどこかへ迷い込んでしまうような気分になる。そんなお話が好みですが、それには最後の文節が余計。

△<三階建て7>
>三階建て世界、というとまた何かの亜流ですかと

こちらは反対に、(わたしの好みとしては)最初がもどかしい。
「あなた」が出てくる前と後で文章のリズムが違う。わたしは後のリズムの方が好きなので、「この世界がきわめて特徴的なのは」以降のみならば○をつけました。

×<三階建て14>
>今が、われわれの存在に気付いたとき、

えーっと。形而下、形而上、の上にそれがあって三階建てなんですよね(そうですか?)。パタフィジック? よくわかりません。手も足も出ないくらい全くわからないように、思い切りペダンティックに書かれていた方がよかったかなあ。

永子◆46f5c4 / 2021-04-08 17:42:31 No.28
<三階建て6>
>空想す

点を入れるかどうか、迷ったんですが。
形は間違いなく美しい。ただ、一階二階三階がそれぞれ、土、人、空(気)なのかなあ?そのへん、もう少し詰めていただけると。

<三階建て10>
>人に言われるまで、気にしたことがなかった。

さりげなく緻密な描写がとても巧い。お題との距離がよくわからない。

<三階建て4>
>何度も上っている階段が何段あるかを

10mの彼と、同じ高さの三階建ての建物の屋上に立って向かい合う風景。大橋泰彦の『ゴジラ』の冒頭を思い出しました(あれは名作)。
書き方が雑だと感じます。
「玄関をつなぐ外廊下」って、各戸の玄関扉が並んだ廊下、のことですよね? 「階段は廊下の端々に」というのは、各階交互で両端にはない、ということですよね? (その場合、廊下の入り口の位置によっては、「1F廊下→階段→2F廊下」で廊下を二回通ります。二階建ての可能性も)
何より、屋上への梯子に飛びつかなくてはならないなら屋上へは上がれません。一番下の段にぶら下がりながら次の段に手を掛けることは、よほど腕力のある人以外はできません。
そういうことに足を取られて、物語まで行き着かない感じです。

<三階建て15>
>「まずは挨拶がわりに乾杯かね」

すみません、なぜ三階建てなんでしょう(脚韻はわかります)。後で解説していただけると…

磯村咲◆8fbabe / 2021-04-11 15:17:37 No.29
どのようにタイトルを生かすかがとても難しかったです。

〇<三階建て6>
>       空想す
階層や歌の並びにも意味があるのだろうけれど、構造としてそのまま受け取った時、屋根がとても良かったです。

〇<三階建て14>
>今が、われわれの存在に気付いたとき、それは遠くから遣わされてきた。見渡
三階建てというタイトルが相応しいような相応しくないような、迷ったので選びました。
「完成した差異の体系であり、構造化された緊密な記号の群れ」は三階と呼んでしっくりでも、「既知の世界より遙かに広大な未踏の領域」は三階建ての構造に収まらないイメージで、別のタイトルが相応しい気がします。

△<三階建て8>
> 「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。よろしければ印鑑かサイン
よくある話の中にきっちり設定が生かされていて、小気味よさがありました。

×<三階建て15>
>「まずは挨拶がわりに乾杯かね」
三階建てで落とすのだろう、さてどうやってという期待が途方に暮れました。逆選で

脳内亭◆97ae83 / 2021-04-11 23:45:43 No.30
 コンバンハ、脳内亭です。

 今回みたいなタイトルとしての据わりが悪い語句はなかなか難しいというか、タイトル然としたタイトルがやっぱり好きなんですが、いうても仕方ないのでがんばります。
 では選評です。よろしく願います。



○三階建て6
>       空想す

 これは下から上に読むのが正しいのかなとおもいました。形がすばらしいとおもいます。


○三階建て8
> 「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。

 シンプルながらも超短編として秀逸だとおもいました。超短編の基本に立ち返ったような作品。



×三階建て2
> 私は『アスリートのお宅拝見』という番組のキャスター。

 一行目で激しくつまずいてしまいました。話のアイデアは良かったとおもうものの、それだけにもっと書き出しを工夫というか意識してほしかったです。


 選外評


三階建て11
>「えっ?ここ二階席なの?」

 矢沢なら「永吉」ではないのかなァとおもったのですが、何か意図があってあえてこうしているのかどうなのか、いまいち掴めなかったです。



 以上でっす。
 三階建ての家屋って実際に住んでみるとけっこう足腰にきますよね。では、脳内亭でした。

つとむュー◆3d582f / 2021-04-12 00:03:32 No.31
【選評】三階建て

〇<三階建て7>
>三階建て世界、というとまた何かの亜流ですかと
とても素敵で、自分好みの作品でした。
こういう発想ができるようになりたいです。
指であけた穴からの光が星になるというところが大好きです。

〇<三階建て13>
>二階建てだと、ずっと思ってた。
いろいろと笑わせていただきました。
三階があることを知らなかったり、謎仕掛けがあるのがロマンチックでした。
そこに家出したはずの兄が、とか、最後のすき焼きとか、とても楽しかったです。

△<三階建て3>
>坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、
三階建てを地名と結びつけるアイディアが良かったです。
地元の方々にとっては、よほど衝撃的だったんでしょうね。

△<三階建て9 >
>新種の貝が発見されたという報はまたたく間にヤドカリ界を駆け巡った。
三階建てはヤドカリの貝というのが面白かったです。
しかもそれがヤドカリ政府を動かす事態になるなんて、驚きでした。

×<三階建て6 >
>空想す
作品全体の形で三階建てを表現するアイディアが面白かったです。
一番下の階に「土」が多用されていたので、個人的には地下室に見えてしまいました。
そうなると二行目の「三階建ての物語」の部分が妙に説明臭く感じてしまったので、
申し訳ありませんが×にさせていただきました。

以上、よろしくお願いします。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2021-04-12 07:26:11 No.32
遅刻です。申し訳ありません。全てDMMブックスのせいです。いえなんでもありません。

◯三階建て12
> 老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たりしている。
「老いた住宅は三階建ての夢を見るか」
とかどこかで聞いたようなキャッチコピーが浮かんできました。「ニュータウン」がやがて取り残された建物だけの「ゴーストタウン」になって行く寂寥感と諦めきれない主人公(住宅)の心情が伝わってきます。


◯三階建て3
> 坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、この町の年老いた人たちはサンガイと呼ぶ。

これもある意味「ゴーストタウン」の物語ですね。帰ってきた人々があの日を思う。余韻がいいですね。ちょっと12の後日談の様な気もします。

△三階建て13
> 二階建てだと、ずっと思ってた。まさかうちに三階があったなんて
いや、外から見て高さで分からんのか〜い…あ、ステップフロアか?とかお兄ちゃん、真の引きこもりか?どうやって妹に気づかれずに…とか色々楽しませていただきました。最後のすき焼きもいいですね、大団円ぽくって。

△ 三階建て6
>空想す
タイプグラフィックス好きとしては見逃せないですね。物語が三階建て。

×三階建て9
> 新種の貝が発見されたという報はまたたく間にヤドカリ界を駆け巡った。
確かに三階建てなら最上階(奥)まで逃げ込めば安全だし単に豪華(?)云々では無くてヤドカリの皆さまが躍起になるのもわかる気がします。そしてロマンスの香りまで漂わせている。ちょっとラストが弱い気もしますが面白かったので嫉妬…いえ愛をこめて逆選を(申し訳ありません)。







はやかつ / 2021-04-12 21:54:21 No.33
遅刻すみません。お題提案者です。
思いのほか書きづらいというお声をいただきましたが、どうしてどうして、見事に書かれた作品を多数拝読できて、提案者冥利です。
このタイトルを提出したのは、最近読んだ小田雅久仁さんの「十一階」の強烈な印象も一因かもしれません。ではなぜ三階建てかといえば、平屋とも二階建てとも違うその特殊性、一般的な戸建住宅としては珍しく、低層集合住宅としてはやや中途半端なところに、イメージを押し広げる余地を感じたからです。そうしたニュアンスを拾ってくださった作品も多くあり、読み応えがありました。

○三階建て13
> 二階建てだと、ずっと思ってた。まさかうちに三階があったなんて。
三階に何があったか、まではある意味予定調和的な安定感なのですが、そこへ最後の一行がいい味を出しています。技ありです。

○三階建て14
> 今が、われわれの存在に気付いたとき、それは遠くから遣わされてきた。
まさかこのタイトルでこれが読めるとは。いえ、正直タイトル競作としてはタイトルの処理に失敗しているかもしれません。でもここは内容を採ります。
私ごとですが、以前書いた「墨流し」という作品(加楽幽明さん編「水彩ノスタルジア」の巻頭に掲載)で奇しくも、混沌のなかから意識が分節化する最初に「色彩」があったことを表現していたのにどこか通じるものを感じて、そわそわしてしまいました。

△三階建て3
> 坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、
忽然と姿を消し、人々の記憶のなかにだけ存在する、当時珍しかった三階建てのお屋敷。そそられます。ただ結びの文に物足りなさを感じます。

△三階建て12
> 老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たりしている。
住宅の視点で語られる物語。最後で住宅が見る夢が泣かせます。ただ、三階建てをせがまれて父親が返す科白に、もう一捻りほしい気がしました。今の家のローンがあることが、三階建てに引っ越せない理由になるかというと、そうでもないように思えるので。

はやかつ / 2021-04-12 21:58:56 No.36
×三階建て4
> 何度も上っている階段が何段あるかをわたしは知らない。数えない。
抗いがたい、エモーションの引力みたいなものを感じるのですが、表現につまづいてしまってそこから先へ行けない感じです。「彼の身長で全長で形容」…全長? ここが解決するだけで、実は景色ががらっと変わるのかもしれません。その景色に思いを巡らしつつ逆選に。

三階建て2
> 私は『アスリートのお宅拝見』という番組のキャスター。
いきなりのト書きには若干面食らいます。あえてト書きの文体で通すなら別ですが、ここはむしろキャスターのレポート文体で通すなどの手があると思います。アイディアは面白いだけに惜しい気がします。

三階建て6
>       空想す
なるほどこういうアプローチもあったか、と面白く読ませていただきました。ただ、3階相当部分(おそらく、天・人・地の「天」に相当するのでしょう)の表現に緩みがあり、読んでいてつまづいてしまいました。

三階建て8
> 「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。
一読、面白いのですが、よく考えると説明がついてしまいそうなのが惜しいです。

三階建て10
> 人に言われるまで、気にしたことがなかった。
頭の中でこの家の間取りが描けないので迷子になりましたが、狙ったとおりなのでしょうか。あまりそういうふうには思えませんでした。

たなか◆535f38 / 2021-04-13 02:21:24 No.37
たなかです。
まず、投稿時の文字化けで管理人の峯岸さんにはたいへんお世話になり、ありがとうございました。
作品公開が遅れたのは、それが理由です。
待っておられた皆さまにはご迷惑をおかけしました。
そのうえ、諸事で選評も遅れてしまいました…… すみません!
どうもうちの環境とこことの相性が最近悪い……

気を取り直して、選評です。よろしくお願いします。


△三階建て5
> 「ちょっと狭いんスけどね。一応ベランダもあって」

「サンガイニイエナシ」と「三階建て」とのかけ方がとても上手い。それだけで評価です。
ただ、結びにあたる「スマジキモノハミヤヅカヘ」と、背景設定の「テンセイシャ」が、
話の流れのなかで、うまく効いていないように思いました。次点でお願いします。


△三階建て6
>        空想す

文字どおり形として巧みにできあがっていると思いました。3 つの節の位置取りが、
なるほど「三階建て」だ、と。ただ、屋根にあたる部分が説明だけになっていて、
物語としての他の 3 節との絡みが薄いように感じました。次点でお願いします。


○三階建て7
>  三階建て世界、というとまた何かの亜流ですかと問われ兼ねないし確かに一面その

冒頭のあたりは確かに、どこかで読んだことのあるような話かもという印象でしたが、
空虚の説明から、手が届いてしまった時点で笑ってしまい、そこから星の光が射し込み、
階下は数字と数式の世界、そして、最後の文への流れがとても気持ちよかった。正選で。


○三階建て12
>  老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たりしている。あの子が三階建てに住みた

語り手が「住宅」なのですね。「三階建て」に憧れを抱いている古い住宅。そして、
出て行ってしまい帰ってこない家族を惜しく思っている。その物語の流れが、
手の届かないものを希求する最後の「夢」の切なさに力を与えていたと思います。正選で。


×三階建て15
> 「まずは挨拶がわりに乾杯かね」

言葉遊びとしては力作だと思います。ただ、「三階建て」というタイトルを、
この話がもつ必然性がわからない。言葉遊び以上の物語も見えてこない。
会話の流れ自体の面白みも、自分にはわかりませんでした。逆選でお願いします。

海音寺ジョー◆2819bb / 2021-04-13 13:24:28 No.38
○<三階建て6>
>       空
作りが精巧で、とても惹かれました。三階建ては、一階が地、二階が人、三階が天という構造ですが韻律が「家」のブロックの役割を果たしてて、タイトルの人工物感が確保されている高い技巧を感じました。屋根がプロローグ的な短歌一首で拵えられてるのも素敵です。

○<三階建て15>
>「まずは挨拶がわりに乾杯かね」
力強いリズムに酔いました。後半の、「まだやるんかいハゲ」に魂を持って行かれました。

△<三階建て2>
> 私は『アスリートのお宅拝見』という番組のキャスター。
じわじわと、ありえないシチュエーションの中、まさかここを登るんかいというラストまでぐいぐい引っ張られました。面白かったです。このような力技には心奪われがちです。

△<三階建て8>
> 「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。
404と、タイトル「三階建て」との軋み。切れの鋭さが良かったです。彼は荷物を何処に届けたのだろう。

×<三階建て3>
>坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、
三階がサンガイと化す飛躍に、ハッとさせられました。後半に行くにつれて説明的叙述が増えていき、サンガイの異化効果が削がれていく減速感を覚えたのですが、それも作者の罠であり、作者の計算通り落とし穴に落とされてるのだろうか。気になる作品だったので逆選に推します。

<三階建て14>
> 今が、われわれの存在に気付いたとき、
SFの手法で物語の生成を物語化してるというか、そのようなメタ的な物語と受け取りました。先鋭的で掘りの深い企み。キルケゴールが「死に至る病」で自分たち人間の認識域を家の一階に喩え、だから二階、神の領域は伺うことが出来ないと書いてましたが、そのような飛躍を連想しました。というものの、タイトルとの連関がそれでも離れ過ぎてるという気がし、選外にいたしました。連関について読み解けてなかったら申し訳ないです。

毎回遅くなってすみません。以上です。よろしくお願いします。

まつじ◆fd9eca / 2021-04-14 22:41:11 No.39
遅刻だ遅刻だ失礼いたしました。まつじです。

⚪︎<三階建て14>今が、われわれの存在に気付いたとき、それは遠くから
正しくはそうではないのだろうけど、なんだろう、SFを感じました。宇宙っぽさがあるからかしら。「それには省略がある」が好きです。

⚪︎<三階建て3>坂を登り切った、樹々がまだら
三階建ての、中途半端感というか曖昧感を掌編にしたらこうなった、という雰囲気。「大論争が勃発する」あたりがコミカルで好きです。

△<三階建て8>「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。よろしければ
「三階」という言葉ではなく、「404号室」を使ってうまくタイトルを処理した印象です。驚きという点では弱いものの、この短さ潔さは好きです。

△<三階建て12>老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たり
夢に見るほどでもないと思える「三階建て」の呪いにかかっている「老いた住宅」が悲哀。「しっかりした地盤」がキーフレーズでしょうか。夢現感が好きです。

×<三階建て9>新種の貝が発見されたという報
ドラマチックヤドカリ。物語の主人公がヤドカリになるだけで、なんだか滑稽味を感じてしまう身勝手な人間という自分に気付かせてもらったので好きです。

続きまして、選外評です。

<三階建て1>三階建ての私の城
三段落の詩のよう。三階建てを効果的に感じられる読み力が私にはなかったのですが、「痕もなく美しく残骸だけ」が寂しくも乾いた感じがして好きです。

<三階建て2>私は『アスリートのお宅拝見』という番組
災害を想定した非常口とかありそうなものですが、行きも怖いが帰りがめちゃくちゃ怖そう。玄関が上だから家の作りはまるで地下室という狂った設計は好きです。

<三階建て4>何度も上っている階段が何段あるか
湿度のある語り口と、そこはかとなく感じる攻撃性、「彼」の形状がいまいち不明であったり、不穏さが魅力。言葉はじめのフレーズがとても好みです。

<三階建て5>「ちょっと狭いんスけどね。一応ベランダも
「どうやら不動産屋さんではなく役所の人だったらしい」がどういう状況か思い付かないのは、私に理解する下地がない気配。節をつけてくちずさんでる所が好きです。

まつじ◆fd9eca / 2021-04-14 22:41:58 No.40

<三階建て6>空想す
はじめの二行が一文字分右にずれてたら、より美しかったかもと思います。上からでも下からでも読める感じなつくりは好きです。

<三階建て7>三階建て世界、というと
語り手は神か人か。人に空想された「世界」がまたひとつ生まれたということかもしれない。「実は三階がない」という発想が好きです。

<三階建て10>人に言われるまで、気にしたことがなかった。
結局二階建てだったというお話。と私は読んだのですが、どうなのでしょうか。不穏そうで不穏でないところは逆に好きです。

<三階建て11>「えっ?ここ二階席
セリフの掛け合い系は楽しいですね、ツッコミの短さ、テンポが気持ちよいです。三回つっこまれたから最後は自分でつっこんじゃうあたり好きです。

<三階建て13>二階建てだと、ずっと
いや、風呂トイレは。と野暮を承知で。分別のつく歳って、いくつかしら…。家族そろってすき焼きのベタ感もいいけど、「是非見たいよ」のとこが好きです。

<三階建て15>「まずは挨拶がわりに乾杯かね」
結構仲良くないとやらない遊びだろうと思うと微笑ましい。第一ラウンドの終わりがやや不明瞭?口直しにはんなりラテで乾杯してるっぽいところが好きです。

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