「少女、銀河を作る」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2021-09-09 21:26:06 No.50
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空虹作◆7a91dc / 2021-09-12 21:37:04 No.51
自分で出しといてなんですけど、
このタイトル超短編向きじゃないという自覚があります。
せめて100枚ぐらいないと雰囲気というか、
本文がタイトルに敵わない。
なので、このタイトルに一行作品持ってきた人は、
それだけでかなり尊敬の念を抱きます。
前書きは読む前に書いてます。
読んでから補記してますけども(それを言っちゃ)
つまり、短いからこそ長い作品に勝る大きさを描ける。
という意味においては、極めて超短編向きでもあるのかなぁと。

○<少女、銀河を作る4>
>教室はまだ熱気がた
この文脈で、「長靴」が適切なのか?
デスよりなロック少女であれば、
サイケは悪い意味で使わないんじゃなかろうか?
とか、気になるところはあるけれど、ラストセンテンスが抜群なので、正選です。
短編映画にしたい。金なら出すよ。

○<少女、銀河を作る8>
> 宇宙を抱えて生
アタシはとっくに言葉への信仰心を失って久しいので、
決定的には頷けないのだけど、ここで描かれていること自体は、
居心地が良いというか、信頼できるというか。
ある意味で、<少女、銀河を作る7>と呼応していて、並び順も良いなぁと。
<7>が過剰にエンパワーメント煽ろうとしているのに対して、
リアリティに留まろうとしているところが好感。
ただ、書きたいことが書き切れていない感が見受けられるので、
こういう話をどんどん書いて、武器にして欲しいところ。

△<少女、銀河を作る2>
> 教室の前方というわけでも、か
ああ、惜しい!
これだと、油断するとNetflixの宣伝みたいに見えてしまう。
アタシにはあのCM、脅迫CMに見えるのです。
Netflixに課金してないまでも好感を抱いてたので、
あのCM見て一気に絶望しました。
「ヒマの過ごし方」って、スチャダラパーの名曲があって、
アタシが生き延びる指針のひとつなんだけど、
思春期にスチャダラパーからユルさを教わったから、
毎日のように
「なんかいいこと無いかな」
呟きながらでも、アタシはまだ生きています。

空虹作◆7a91dc / 2021-09-12 21:37:19 No.52
△<少女、銀河を作る2>
> 教室の前方というわけでも、か
ああ、惜しい!
これだと、油断するとNetflixの宣伝みたいに見えてしまう。
アタシにはあのCM、脅迫CMに見えるのです。
Netflixに課金してないまでも好感を抱いてたので、
あのCM見て一気に絶望しました。
「ヒマの過ごし方」って、スチャダラパーの名曲があって、
アタシが生き延びる指針のひとつなんだけど、
思春期にスチャダラパーからユルさを教わったから、
毎日のように
「なんかいいこと無いかな」
呟きながらでも、アタシはまだ生きています。

△<少女、銀河を作る12>
> シュークリーム二つに割って、中
「ソーメニーキナコ!」だよ。「ソーメニーキナコ!」
もう、この日本語感吹っ飛ぶカタカナが最高です。
さり気に出てくるサダコにカヤコや、
何故かひらがなな「こんぺいとう」より「くるみ」のが
固いんでね?と一瞬思って、いや、殻だけか。
思ったのが全部ぶっ飛びました。
そのあともぶっ飛ぶぐらいの破壊力なのが罪。

×少女、銀河を作る14
>壊すために作ったから。そ
一行作品!
やったー!
いや、大真面目な話、「500文字の心臓」のシステム上、
正選票より逆選票のが貴重ですからね。

<少女、銀河を作る6>
> 自室の窓から、ポ
足穂?

<少女、銀河を作る13>
> 「何フテてんの?良
「うっせえわ」言いたいのはわかった。
でも、流行りとして言いたかったなら遅くね?

瀬川潮♭◆dbef0c / 2021-09-14 10:44:45 No.53
 様変わりしましたね、ここも。

〇5
>にぎやかな人形楽団が夜の空を
 成長期の物語としてとても良かったです♪

〇12
>シュークリーム二つに割って
 二つに割るのは必須ですよねー。少女らしくきらびやかで好感を持てました。ラスト分からず△かな、と思ったのですがレンジ当たりだと考えたらしっくりきました♭

△15
>「あー、お腹すいた。
 成長へのこだわりが詰まってて良かったです。空間を作ってそこを埋めていく演出の連続と最後の加速も良かったです♪

×14
>壊すために作ったから
 良かったのです。ただ最後はどうかな。万能な単語のチョイスで、これがベストでもあるし、少女らしくもある。でも、大から小へのスケール感は消えたようにも感じました。

 以上、よろしくお願いします。
 スマホで打ってると文頭スペースが面倒ですよね。ただ、あとから範囲選択で泣くことになりますが。

脳内亭◆97ae83 / 2021-09-16 22:27:38 No.54
 コンバンハ、脳内亭です。

 おそらく難しいタイトルで、作品数少ないかもなとおもってましたが、意外と集まってホッとしております。タイトルを比喩的に捉えたものが多く、直球は少なかったのかな。
 私事ですが、歯痛に耐えながらただ今治療中につき、頭があまり回っていないのですが、数日後にワクチン接種も控えているためこのタイミングでしか書けそうにないという割と最悪なコンディションでの選評となりますゆえ、ちゃんと読み込めてるかどうかはわからないことを先にお断りしておきます。ではよろしく願います。



○少女、銀河を作る6
> 自室の窓から、ポワンとともる眼下の街灯を何の気なしに眺めていたら、

 直球で銀河を作りながらもSFよりは現代詩的な響き方をしていて良い感触でした。


○少女、銀河を作る7
> もうとっくにオバサンだから、わたしは若さに嫉妬することすら諦めた。

 こっちは比喩的な捉え方をしていて、なるほどこのアプローチもあったかと。熱さを感じる話は基本的に嫌いじゃないです。


△少女、銀河を作る5
> にぎやかな人形楽団が夜の空をやってくる。

 とても丁寧に書かれているなと好感が持てました。もう一歩、銀河のイメージに独創的なものがあればなお良かったです。


×少女、銀河を作る2
> 教室の前方というわけでも、かといって後ろというわけでもなく、

 「生き写し」という語の使い方は果たしてそれで良いのだろうかというのが気になってしまいました。

 以上でっす。

 どうにか書きましたけどちゃんと日本語になってるかな、と改めて確認する気力もなくなってきましたのでこれにて失礼。では脳内亭でした。

遠音◆56c847 / 2021-09-18 22:53:22 No.55
普段は短歌、俳句を作っています、遠音(とおね)と申します。
500文字小説は俳句に似た短さ、苦しさがありますね。
小説なので散文が基本なのでしょうが、この短さではファンタジーやメタ的要素、言葉の詩的屈折等でまとめ上げるもやむなし、なのかなぁと。
全作品選評書きましたが自作品が特定されてしまうので、選外評は結果発表後に追加でまとめて投稿します。


◯5
> にぎやかな人形楽団が
光景が映画のように脳裏に再現されてゆく。「飴」が「雨」になるくだりも、読み終えて見直してから「あめ」繋がりだと気づいたぐらいに自然だった。
前半の華やかさ、軽やかさとラストの少女の闇夜、孤独との対比がとても印象的。ほんの一晩だけの病床なのか、それとも永の漂流なのか。個人的には後者を採りたい。
正選です。


◯12
> シュークリーム二つに割って
少女の身体的描写はないが、思考の展開から乙女だとわかるのはポイント高し。
「ソーメニーキナコ」がわからなくてググってこのサイトしかヒットしなかった後で、「so many」だと気づいた。
終始一貫した軽妙なノリ、私の内にも破壊神がいますよ。
正選です。


△9
> ラメ入りの財布。
少女の容姿の描写は欠片もないのに、アイテムの羅列で少女像を浮き彫りにする辺りはお見事。
「海牛のぬたくったような銀漢をぶさぶさとマチ針で突きながら」がかなりツボ。ロケットの発射の比喩なのかもしれないが、きらめく房でふくれているパーティーバッグが浮かんだ。
次点です。


△3
> 「神のお告げじゃ、
このお題をこう調理してくるとは! 「少女、銀河」が主語・目的語ではなく、並列の目的語なのが衝撃だった。自分の中の思い込みの枠を外された気分。
昔遊んだドラクエを思い出す、ほのぼのとした空気感も好み。
次点です。


×2
> 教室の前方というわけでも
反復の面白みと書き取り文字のモノ的比喩がキモだと思うが、「つまらないスピード」が個人的にちょっとアウトだった。「つまらない」のワードを盛り込みたかったのだと思うが、個人的には抽象的な比喩でまとめてしまうより、例えば「楚々と掃く箒の素早さで」などと手触りのある具体的な比喩がほしかった。
もう一つ、「少女」の要素が見当たらなかったのが残念。私が見落としているのかもしれないが、お題のキモだと思うので。
というわけで、逆選です。

磯村咲◆8fbabe / 2021-09-19 12:23:36 No.56
◎<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土に覆われていた。風が吹くと窓を閉
 描写が素晴らしいです。着想もすごいけれど、500字でこの光景が書けるのはすごい。すごいです。

△<少女、銀河を作る3>
>「神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎし『熟女、金海』に至らぬものを祀
 無理矢理の功名というか、“潟”によって、思いもよらぬ方向にイメージが展開させられました。

△<少女、銀河を作る13>
>「何フテてんの?良さげな賞取ったんだろ?イヤアタシノジツリョクハコン
 展開が上手くて、最後まで読んでド直球すぎて腰が抜けました。

×<少女、銀河を作る1>
>9月で朝だった。
 ミナコがなんらかの意図をもって川を水銀で充たしたと読んだのですが、合っているでしょうか?ものどもはかつてからいたもの?ミナコが生み出したもの?他の作品に比べて、行間を埋めるのに努力が必要でした。

 行間が埋まらないのがかえって好ましいと感じることもあったりするので、その差は何なんだろう。難しいですね。
以上です。

miyuu2◆13ca5b / 2021-09-19 23:50:17 No.57
【選評】<少女、銀河を作る>

管理人様、皆様、こんばんは。

食事の時に家族の前で声に出して読んでいましたので、会話が生まれ笑顔も見られました。
久しぶりに楽しい時間になりました。

○<少女、銀河を作る8>
>宇宙を抱えて生まれてきたから、

まさに、お題そのままの作品だと思います。
巧みな文章で、私は良かったなと思いました。

○<少女、銀河を作る12>
>シュークリーム二つに割って、

「銀河と和菓子」、意外な組み合わせで面白く、食べるまでのリズムを感じました。

△<少女、銀河を作る13>
>「何フテてんの?

きっと電車好きの方々には、たまらない作品だろうと思います。
私も以前は電車が大好きだったので、この作品に惹かれました。

×<少女、銀河を作る11>
>懐には金貨をしのばせ、

不死の体に銃弾で銀河を描くとは、私には怖すぎました。

*以下、一言です。

<少女、銀河を作る9>
>ラメ入りの財布。

発想が面白いです。家族が笑っていました。

<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、

ただ雨が降って来ただけなのに、文章を読むとその風景と二人の心までが見えるようでした。

以上です。

つとむュー / 2021-09-20 00:12:48 No.58
【選評】少女、銀河を作る

〇<少女、銀河を作る4>
>教室はまだ熱気がたゆたっていた。
少女の闇を描いた作品でした。
その闇はすごく深そうで、しかもエネルギーに溢れていて、
本当に銀河ができそうな感じが良かったです。

〇<少女、銀河を作る15>
>「あー、お腹すいた。いただきます。あ、そうだ」
そうか、フルダイブVRという手があったか! と非常に悔しい思いです。
VRとはいえ、正にお題にストレートな作品でした。
身長制限があるというのが、リアリティと少女感の両方を演出していて良かったです。

△<少女、銀河を作る5>
>にぎやかな人形楽団が夜の空をやってくる。
すごくメルヘンな作品でした。
こういう谷山浩子作品のような雰囲気、大好きなんです。

△<少女、銀河を作る11>
>懐には金貨をしのばせ、老婆は街へ出る。
意外と老婆が登場する作品が多くて驚きました。
犠牲となる少年の叫び声が聞こえてくるようでした。

×<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土に覆われていた。
さわやかな青春ですね。
気象現象と重なる一瞬のときめきは、正に銀河のようでした。
とても印象に残ったので、良い意味の逆選にさせていただきます。

以上、よろしくお願いします。

たなか◆535f38 / 2021-09-20 06:45:10 No.59
たなかです。
昨夜、掲示板に選評をコピペする直前に PC がフリーズしてしまい、脱力中です……
選評です。よろしくお願いします。


△少女、銀河を作る8
>  宇宙を抱えて生まれてきたから、そこで銀河が育つのは必然だった。ベビーベッド

1 文目の力がすごい。一瞬にして引き込まれました。銀河と言葉との対峙と、どちらかに
重点がおかれるとどちらかが拙くなるという世界観はわかりやすいうえに魅力的だったの
ですが、1 文目の力が強すぎて、他の表現が月並に見えてしまったのが残念。次点で。


○少女、銀河を作る9
> ラメ入りの財布。リサ・フランクのビニールかばん。山のように積み上げたチュロス。

並べられていく事物が、タイトルの銀河と相まって、きらきらと光る様を物語り、最終的
におばあさんの元までの道筋が見えてくるのが、タイトルの料理の仕方として、よいなと
思いました。綺麗でもお洒落でもないはずなのに眩しく見える海牛の件が素敵。正選で。


○少女、銀河を作る10
> 中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土に覆われていた。風が吹くと窓を閉めてい

眼前に見えてくるかのような丁寧な描写も、銀河をお題にもつ作品としてこの情景を描く
というアイデアも、どちらもすごい。銀河が見えてきてからラストまでの、動きに強弱の
ある時間の美しいこと。「少女が作る」感が弱いかとも思いましたが、もうこれは正選で。


△少女、銀河を作る11
>  懐には金貨をしのばせ、老婆は街へ出る。表通りは華やいでいるが、一歩裏へ入れ

老婆には行為に至るなんらかの屈折があるのではないかと予想していたこちらを叩き
のめしにくるかのように、少女だった魔女に宿った思いの、生々しい欲の視野の狭さよ。
対象が少年のみである点については、もう少し語りがないと安易に見えるかも。次点で。


×少女、銀河を作る15
> 「あー、お腹すいた。いただきます。あ、そうだ」

誠実にタイトルに向き合った物語だと感じます。描かれるエピソードはわくわくしました。
ただ、文章が順を追いすぎたのか、あれこれ触れられすぎていて、重点がどこにあるか、
迷いました。家族? 銀河の作り方? もっと文章を刈り込んでもよかったかも。逆選で。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2021-09-20 11:38:07 No.60
昨晩は考えている間に寝落ちしてしまいました。遅刻です。申し訳ありません。
今回のお題ですが「作る」筈なのに破壊のイメージしかわかなくて払拭するのが大変でした。「少女」だからですかね?いや少年でも同じか…。
◯少女、銀河を作る2
> 教室の前方というわけでも、
繰り返されるフレーズに鬱屈が込められて渦巻いている。放っておいても何いずれ何か生成されそうですね。でもあえて壊して新たに作る。破壊と想像。彼女は本当はノートは取らなくても聴くだけで理解できるタイプだけれど手慰みにあえて「生き写し」の様に書いている感じがしました。

◯ 少女、銀河を作る8

>宇宙を抱えて生まれてきたから、

「幼年期の終わり」が丁寧に描写されている感じがしました。きっと彼女は躊躇なく子供部屋を後にすることでしょう。

×少女、銀河を作る14

>壊すために作ったから。そう言って彼女は笑った。

自分にとってはもうどストレートです。しかも超短い。あえて逆選にさせていただきます。限りなく◎に近くの。

海音寺ジョー◆2819bb / 2021-09-20 20:00:51 No.61
○<少女、銀河を作る6>
> 自室の窓から、ポワンとともる眼下の街灯を何の気なしに眺めていたら、
稲垣足穂の掌編を彷彿とさせる、不思議で美しい夜の物語に惹かれました。最後、三日月がハレルヤ!と叫ぶ祝祭感も、とても良かったです。

○<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土に覆われていた。
放課後の、気象の描写がすごく臨場感があって良かったです。Mというイニシャルの選択も読者それぞれの想像の余地を入れられて巧みだと思いました。読後、自分はこのMはMOONなのかも、と想像しました。

△<少女、銀河を作る3>
>「神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎし『熟女、金海』に至らぬものを
この一部の隙もなさそうなタイトルをこう攻めたか、という驚きの作品でした。この発想力と構成力が羨ましいです!

△<少女、銀河を作る8>
> 宇宙を抱えて生まれてきたから
言葉の上に成立することと、しないこととの差について考えさせられました。そのことを上手く説明できないのですが、それでも「言葉に根を下ろした世界が鮮やかになるにつれ、星団は疎らになった。」という一文に、納得感がありました。ぼくらが存在する宇宙も、彼女の試作品のひとつなのだろうか。

×<少女、銀河を作る14>
>壊すために作ったから
タイトルに、すでに超短編作品のニュアンスが色濃くあって、そのことを重視すれば、もう何にも付け足すことが出来ない、という苦悩が今回自分にはありました。タイトルを存分に生かしたこの作品へ、一行で勝負をかけたこの度量に、敬意の逆選を捧げます。

遅くなってすみません。良い作品ぞろいで、選ぶのが難しかったのです。難しかったのです。
以上です。よろしくお願いします。

まつじ◆40f298 / 2021-09-23 11:13:59 No.62
すみません。まつじです。「少女」の持つイメージって、案外限定的なんだなあと、あらためて感じました。自分もそうだけど。すみません。遅刻でございます。


◯<少女、銀河を作る9>ラメ入りの財布。リサ・フランクのビニール
超短編ぽい、と言いたくはないところだけれど、そんな印象。イメージとイメージがつながって、おやっというという場所に連れていかれる。なんとなく目線を上に誘導して「シャトル派生型ロケット」飛ばされて、巧みだなと感じました。

◯<少女、銀河を作る10>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土
高低差や空間の広がりや色彩だったりが、とても映像的。選ばれたイメージが案外現実に即していたりする<9>とは対照的に、シーンを丁寧に描くことで生まれる余韻が感じられる。 虹でもかかりそうなきらめき。

△<少女、銀河を作る5>にぎやかな人形楽団が夜の空を
「救助を待つ船」で、ぐるりと宇宙へ放り出された私。幻想か、あるいは空想で終わるのかなと思わせる描写から不意に様子が変わる、情報量と情景のバランスがいいなと感じました。私も、流れていきましょう。

△<少女、銀河を作る6>自室の窓から、ポワンとともる眼下の街灯を何の気
テンポがよく読める軽やかさに憧れる。正直なにがなにやら理解が追いつかないし、かといって調べようという気概もないのだけど、天体の知識に疎くても、勢いで楽しめてしまう。
だって、「勢いさえつけば、あとは勝手に回りますもの」

×<少女、銀河を作る8>宇宙を抱えて生まれてきたから、そこで銀河が育つ
前半と後半でくっきり分かれていて、好みなのは前半なのだけれど、後半の語り口が変化してる感覚があって、どうにも意図して内容と重ね合わせているようにも読める。疎らになっていくような、単純化していくような。

ーーーーーーー以下、選外評です。

まつじ◆40f298 / 2021-09-23 11:15:20 No.63

<少女、銀河を作る1>9月で朝だった。川は水銀に充たされ川部
新しい世界でミナコは望みを叶えられるのか。不穏な様子が描かれておりますが、突然、『ターミネーター2』を思い出してしまいミナコがアメリカンな佇まいになってしまったのは私の不徳と致すところです。

<少女、銀河を作る2>教室の前方というわけでも、かといって
<1>と同じく「殺」が登場し、「現在」とは異なる銀河を作りたいという願いまで重複してくるのは、少女像のなせるワザでしょうか。

<少女、銀河を作る3>神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎ
タイトルと取っ組みあった感じがして、それだけで楽しい。いや、『ガールズ&ギャラクシー』じゃないんですか、ねえねえ。正解にたどり着いたときの二人の脱力感を想像すると、こちらもプスッと気が抜けてしまいます。

<少女、銀河を作る4>教室はまだ熱気がたゆたっていた。
ラスト2行の気配が、大変好みです。背が高いだけでも髪が短いだけでもそうはならないだろうけど、そこが見えないのが持てる者。彼には彼の悩みがあるとしても。そんな青春で、一瞬、何かを見つけたような。

<少女、銀河を作る7>もうとっくにオバサンだから、わたしは若さに
なんと真っ直ぐな言葉であろうか。語り手自身の道のりは真っ直ぐではなかったのかもしれないけれど、だからこそ言えることもあるのでしょう。ブラックホールが悪役っぽいのが少し不憫と、ひねくれる私にないエネルギーよ。

<少女、銀河を作る11>懐には金貨をしのばせ、老婆は街へ
千年前から少女のままの老婆の、千年に畏敬の念を。弾が貫通しないあたりを興味深く読ませていただきました。痛苦を与え続ける理由が理解できない部分はあったのですが、千年かけて渦巻きねじれたと解釈してみました。

まつじ◆40f298 / 2021-09-23 11:16:08 No.64
<少女、銀河を作る12>シュークリーム二つに割って、中のクリームかき出して
あっという間に破壊神召喚。楽しいテンポ。ノーモアコンペート、プリーズソーメニーキナコ。語り手の遊びゴコロと作者の遊びゴコロをうまいこと重ねていて、冒頭の暗黒とラストの破壊神のイメージが地味に繋がっているのも侮りがたい。

<少女、銀河を作る13>「何フテ
「うっせぇわ」の御方と重ねて描きたいものがある気配。風刺というか皮肉というか。取り上げるにはやや古いチョイスではありますが、持ち上げられて叩かれてという状況まで見せるなら、やはり必要なことなのだろうと感じました。

<少女、銀河を作る14>壊すために作っ
ならば逆もまた真かなとも思える。なぜ壊すのかは想像次第という、一行作品の潔さ。ただ、ここまで短いと「作」「彼女」はタイトルがすでに説明してくれていそうで、よりシンプルに見せられるのではとも思えました。

<少女、銀河を作る15>「あー、お腹すいた。いただきます。
ありがちにも見えるコンテスト名の、内容設定が面白かったです。ラストの「母が大好きな花」がやや唐突に感じられましたが、少女の名を「咲星」にして花と繋げるしかけもよかったです。

水池亘◆ffd4cf / 2021-09-23 13:22:47 No.65
遅くなり、申し訳ないです。

△<少女、銀河を作る2>
>教室の前方というわけでも、かといって
「教室の前方というわけでも、かといって後ろというわけでもなく、窓際でもない」この一文が絶妙。それが最初にあるので、読もうという意欲が湧く。全体的に挑戦心がありながらもあくまで学校の一幕に留めている点も共感を覚えた。

<少女、銀河を作る3>
>神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎ
一般向けゲームがこういうシーンで「熟女」とは言わないだろう。超短編は特に、言葉に敏感に書いた方が引き締まる。

<少女、銀河を作る5>
>にぎやかな人形楽団が夜の空を
「眩い色をした飴の欠片」が比喩なのか実際の飴なのか、初読時はわからないという(小さな)問題があり、少し戸惑った。

◎<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土
まず文章がわかりやすく、柔らかい。平易に綴られているので情景が浮かびやすい。なんてことないような放課後の情景が、最後に「渦状星雲」「銀河」という単語でちょっとだけ非日常になる、その様子がそのまま思春期を表しているように見えて、とても良かった。一人ではなく二人で見ている、というところにも青春感がある。

×<少女、銀河を作る11>
>懐には金貨をしのばせ、老婆は街へ
理由がなく、残酷すぎる。しかしそもそも理由が必要なのか? という話もある。適当にやっているわけではないことは構成の上手さでわかる。何とも言えず考え込んでしまった。

遠音◆56c847 / 2021-10-01 07:34:34 No.66
残りの選外票分です。


> 9月で朝だった。
「川部」は「川辺」? 「銀河」とは水銀にまみれた川と「ものども」、「銀河」の字面を分解再構築した点はひねりがあってよいと思った。
象徴的な「ミナコ」との対比で川の中の「ものども」に今少し具体が欲しかったと思う。「ものども」が具体的で俗っぽいほど、ミナコのメタ的要素が際立つと思うので。

6
> 自室の窓から、
オリジナル設定でガンガン話が進んでいくのだが、引っかかったりせずにするすると読めて、楽しかった。
三日月が、ブラックホールに吸い込まれる悲壮感があまりなくて「ハレルヤ!」と叫んでいる辺りも好み。

7
> もうとっくにオバサンだから
正攻法の語りがよい。照れたり斜に構えたりせずに、どかんとぶちまける心地よさ。
少し理屈っぽさはあるが、選択した未来もしなかった未来も同等に語っているところに惹かれた。

8
> 宇宙を抱えて生まれてきたから
後半の銀河を探る辺りは舌足らず感があるが、太いテーマを据えているところが好感度高し。
私自身、物心ついた頃から難聴で言葉が遅かったため、「宇宙」と「言葉」の対比はとても共感を覚えた。誰でも、この「宇宙」は身の内にある。きっと。

10
> 中学の周辺は火山灰地で
純文学的な描写が続いて、おおと思っていたら、少女の首回転からトンデモになってぎょっとしたが、すんなり入っていけて楽しかった。
このトンデモな展開を受け入れられたのは、着地が前半と同様な落ち着いた世界観、描写に引き戻されているためだと思う。トンデモなまま突っ走っていたら、うーんと首をひねったと思う。筆力を感じます。

11
> 懐には金貨をしのばせ
どうなるのかとなかなか面白く読んだが、後半の少年の扱いと理由の兼ね合いが微妙に入っていけず、ちょっと置いてけぼりだった。
「その星すべてこの手にしたい」のは同情や共感ゆえかと思ったが、嗜虐趣味? この腑に落ちなさが少し残念だった。

13
> 「何フテてんの?
小説の賞だと思い込んで読み進めていたので、「銀河」という雑誌ではなく「人形」という辺りであれれ?と軽く混乱。狙ってこうしていたのならすごいと思う。
銀河鉄道。ベタかもしれないが妹さんの実体験であり、真実なら、それは力を持った作品になる。頑張れ、妹さん。
残された三人の家族の温かな繋がりがうかがえる空気感もよい。

遠音◆56c847 / 2021-10-01 07:38:49 No.67
選外票分、続きです。文字制限がががー

14
> 壊すために作ったから。
うわぁ、こちとら必死で500文字に切り詰めたのに一行!
まずはその勇気に敬意を表します。
きれいにまとまってはいるが、悪く言えば無難であり、もう一歩、パンチが欲しい。たとえば「彼女」の容姿や、壊し方などに少し触れる等。
一行だけにするなら、鋭く切り込む一太刀のようなきらめきが欲しい。無茶ぶりは承知の上です。


15
> 「あー、お腹すいた。
ラストのヒマワリは、着地ではあるのだろうけれど、ここで終わり?という尻切れトンボ感が残ってしまった。コンテストに重心を置いて読んでいたせいだとは思うが。
仮想空間等のファンタジック要素はありつつも淡々と進む日常の描写はよかった。少女の名前も、ラストへの伏線になっているのも、さり気なくてよい。


遅くなり、すみませんでした。
ルールは読んだのですが、もし選外票分の後出しがまずいとかありましたら遠慮なくお願いします。
楽しかったです!

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半角英数字(8文字まで)を入れることで、書き込みの削除ができるほか、名前の後ろに任意のコードが付きなりすましを防止できます。省略可能。