王様の権利をフルに行使し独断で決めた念願の今タイトル「ブルース」です。
The Blues Is Alright(byリトル・ミルトン)ってことで、基本的には全部オッケー、何でもあり、己がブルースだと感じたならそれがブルース、参加してくれた方は全員優勝! と、その前提で、はりきって選評とまいります。よろしく願います。
なんともいえないグルーヴ感。ギター一本でズンズン進み、早口で物語られるフォークに近いブルース。レッドベリーあるいはミシシッピ・ジョン・ハートのように。
「三匹」や「シェパード」など動物を用いた比喩の情感が良い。また割れればもう元には戻らない皿という道具によって、子どもにとってのブルースを巧みに表している。子どものブルースという意味では「Little Boy Blue」をあるいは意識されたのかもしれませんね。
最後の誤字はご愛嬌。それもまたブルース。
過去と現在と未来による三すくみ。過去ならピーティー・ウィートストロー「Long Time Ago Blues」あるいはジョージア・トム&タンパ・レッド「Long Ago Blues」、未来ならブルース・ロック・バンドのキャンド・ヒートによる「Future Blues」がありますね。それはさておき、飯時の急な来訪はたしかに困る。なすすべなく状況にただただ振り回されるブルース。読んでいるこっちも何がなんだかな気分にさせられます。食べるリズムにシャッフルを感じます。
まさか「Johnny B. Goode」が出てくるとはおもいませんでした。私が初めて歌詞をまるまる覚えた洋楽の曲で、今でもそらでうたえます Deep down in Louisiana close to New Orleans.
ブルースではなくロックンロールではないか、とは云いません。なにしろ1950年代当時の最先端のリズム&ブルースが、ロックンロールと名づけられたに過ぎないのですから。
ともあれこの馬鹿馬鹿しさはとても良い。うんざりするような現実をせめて笑い飛ばそうという意気もまたブルースであります。
ところで感染ソングには、ヒューイ・ピアノ・スミス「Rockin’ Pneumonia & The Boogie Woogie Flu」(ロッキン肺炎とブギウギ・インフル)があるので、そっちの選曲でも良かったかも。
ブルース9
> 「地球は青かった」と、先人の遺した同じ台詞をつぶやく。
「One Scotch, One Bourbon, One Beer」はエイモス・ミルバーンのジャンプ・ブルース。ジョン・リー・フッカーはそれを「One Bourbon, One Scotch, One Beer」と順番を入れ替えてのブギとしましたね。
なにしろ青い星に住む我々です、ブルースであることは宿命といえるのかもしれません。世界が滅びる日にも、ブルースは鳴り響くのだろう。
また色歌の要素もブルースには強くありますね。しかしマディ・ウォーターズ「I Just Want To Make Love To You」に「恋をしようよ」なんて秀逸な邦題を付けたのはいったい誰なのだろう。
ブルースも最初期の演奏家などは、木の板に棒をくっつけて作った自作のギターで最初は練習していたなんて話もあるほどで、上達には名器よりもとにかく練習あるのみが真理であるようです。
別れや喪失はブルースの定番ですが、それをさらっと軽いタッチで描いてるのが良いです。
亡くなった友人のことをうたったブルースとしては、ブラウニー・マギー「Death Of Blind Boy Fuller」などがありますね。