「誰かがタマネギを炒めている」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2022-04-24 00:35:55 No.119
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よもぎ◆e6e72f / 2022-04-24 19:43:23 No.120
よもぎと申します。
初めましての方、初めまして。
お久しぶりの方、お久しぶりです。
Twitterでお世話になってる方、いつもお世話になっております。
何年ぶりかで選評に参加させていただきます。
基本的には、やり方変わってないですよね?

×<誰かがタマネギの2>鍋の底に菜種油をのばし、ごく弱火にかけている。
タマネギを炒めることの直接の描写のようですが、「彼ら」をタマネギではない、「彼ら」と呼ぶべき何かだと思って読むと、まるでダブルミーニングのようで面白いのであります。合間合間に入ってくる本の描写の使い方が惜しいと思いましたので、正選候補でしたけどリスペクトを込めて逆選で。

○<誰かがタマネギの7>大変、よい休日の予感がする。
ハンバーグを作る時、タマネギは炒めて冷ましておかなければなりません。熱いまま肉と混ぜると肉の味が落ちるからです。「タマネギを炒めておく」という下ごしらえができる方との二人暮らしというのは、とても心地よいモノなのではないでしょうか。ほっこりとして初々しくて素敵です。

△<誰かがタマネギの8>地球は亀が支えている。
お題の『タマネギ』をメインに持ってくる作品が多いなか、『誰か』に焦点を当てたところがかっこいいなと思いました。宇宙の創世者はかくも壮大で気まぐれで残酷なのであります。

△<誰かがタマネギの10>個々の居住スペースから匂い物質が漏れ出すことはまずない。
『シチュエーションを想起させるデータ』が漏れるというのが、近未来でいいですね。お題が上手く使われていると思います。

○<誰かがタマネギの12>西の空が
とても良き。夕暮れ、どこかの家から漂うタマネギを炒める香り。その香りはやがてカレーの匂いになるであろうことまで、この1行だけで、想像させますね。二重丸でもよかったです。


最近、某芸術大学文芸コースのワークショップに参加させて頂いて、超短編的な文章に触れる機会があったので、『500文字の心臓』にも久しぶりに参加してみたくなったのです。やっぱり超短編は楽しいなぁ。

空虹桜◆7a91dc / 2022-04-27 23:31:38 No.121
タマネギなのは確定なのですよ。このタイトル。
もちろん、炒めてることも確定。
だけど、それ以外は未確定なのです。
シュレディンガーなのです。
そうすると、実はタマネギも炒めているのも確定だと思い込んでいるだけなのではないか?
などと考えてしまうのです。
枕書くにあたって、初めて気付きましたけど。
なんだ。そういう話書けば良かった!(今さら)

○<誰かがタマネギを炒めている7>
> 大変、よい休
シンプルな怪談の素養。
ちょっとサッパリしすぎる嫌いもあるけど、このサッパリさは好ましいです。
「老齢の女子たち」とか「少女の群れ」とか、休日の公園に女性しかいない感じが、
怪談みを増しているのだけど、日本社会が単なる怪談だからかしらん?

○<誰かがタマネギを炒めている12>
> 西の空が飴
「あ『かね』」を「あ『め』」にしただけで、見事な比喩。
どちらも同じよな色合いを表現してるわけですね。
なにより、久々にタイトルより本文が短い!
おそらく狙い澄ました短さなので、その点はより好評価です。

△<誰かがタマネギを炒めている10>
>個々の居住ス
「懐かしがるなんて昭和だね」
あるいは「令和だね」みたいな軽口が飛び交うわけですね。
よもぎさんも選評で触れてますが、
「シチュエーションを想起させるデータ」と書き表したのがお見事。
こういう、当たり前に見えそうなことを
適切によく知られた言葉に言い換えられる能力って、羨ましい。

×<誰かがタマネギを炒めている3>
> ついに携帯タマネギ炒
ツッコミどころが多くてどうしようかと思ったのだけど、
やっぱり「ケイタマネ」のポリネシア感でしょうか(えっ?)
この語に幸福感溢れているのだけれど、
如何せん、炒めてる時間が一番幸福なので、
ガジェットの存在自体は不幸。

脳内亭◆97ae83 / 2022-05-01 20:27:50 No.122
 コンバンハ、脳内亭です。

 第80回タイトル競作以来14年ぶりとなるタマネギ回となりましたね(タマネギ回とは)
 タマネギといえば、R&B史上最強のバック・バンドであるBooker T & The M.G.’sの代表曲に『Green Onions』というのが(前回を引きずるな)

 戯れ言はこれくらいにして、選評と参ります。「誰が」「何の理由で」にあまり執着すると失敗しそうな気がします。ではよろしく願います。



○誰かがタマネギを炒めている2
> 鍋の底に菜種油をのばし、ごく弱火にかけている。

 タマネギを炒めているのは語り手自身であり、「誰か」とはいえない。しかし語り手は、本を読んでいる何かの気配を感じ取っている。つまりタイトルが示すのは、この本を読む何かから見た語り手ということになる。この反転の構図が良い。不穏な存在は、はたしてどちらであるのか。


○誰かがタマネギを炒めている7
> 大変、よい休日の予感がする。

 ほがらかな春の休日と見せかけてのホラーなオチ。そこへと導くまでにわずかな違和をにおわせる文章も巧みです。


×誰かがタマネギを炒めている5
> このアパートに引っ越してきた日は覚えていない。

 剥いても剥いても皮ばかりのタマネギになぞらえてのループ感と閉塞感がよく表されています。正選にしようかとおもっていたのですけど、最後の一文で逆選になりました。なんで書いちゃったかなそれ。


 以上でっす。

 何でか、ホラーな話が多かったような。本当は怖いタマネギ童話。では、脳内亭でした。

磯村咲◆8fbabe / 2022-05-08 14:38:06 No.123
丁寧に書かれた作品ばかりで、読むのが楽しかったです。

〇<誰かがタマネギを炒めている4>
>結実、と呼んだ時つい台所に目を向けてしまった。遅かった。
よくわからなかったので、何度も読み返したのですが、リズムが心地よく、わからなさが苦痛ではない不思議な話でした。
作者が意図していたかは分からないのですが、最初に「結実」を「けつじつ」と読んでしまい、タンスの上の土人形らしきものの描写から腐った玉ねぎを連想したため、全作品の中で一番タマネギ臭が漂っていました。

〇<誰かがタマネギを炒めている12>
>西の空が飴色に染まる。
西の空が飴色に染まりました。見事です。

△<誰かがタマネギを炒めている2>
> 鍋の底に菜種油をのばし、ごく弱火にかけている。微塵に切られた彼らは、
丁寧な描写が心地よかったです。本が閉じられて、鍋の中は次の工程に進むのだろうけれど、“彼ら”の変化を見守って悼んでいた語り手の、さてと、の後が気になります。いい余韻です。

△<誰かがタマネギを炒めている11>
> 深夜のバルセロナ空港。エコノミー便はたいてい到着が遅くなる。日本人客
この場面設定はなんだろう、何故バルセロナで中華料理をと思いつつ、とても美味しそうな五目焼きそばに次点票です。

×<誰かがタマネギを炒めている3>
> ついに携帯タマネギ炒め機が発売された。コンパクトでバッグの中に入れて
それ、家に置いておいてはいかんのか、の素朴すぎる疑問を解消するアイデアさえあれば、商品化も夢ではない。

以上です。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2022-05-08 23:10:35 No.124
どもです。
胡乱舎猫支店です。
タマネギ高いですね。因みにカレー作る時は飴色にまで炒める気はさらさら無くて食感残した状態にします。

◯誰かがタマネギを炒めている2

>鍋の底に菜種油をのばし、

タマネギを炒めている誰か
本を読んでいる誰か
上記の二人(?)の動作(状況)をなんらかの形で認識している誰か
3者が織りなす螺旋の様です。
ラストでまた一行目に戻りそうでもあり、または違う誰かが加わって新たな螺旋が生まれそうでもあって終わりそうに無いですね。

×誰かがタマネギを炒めている6

>おそらく、騒々しい日々が終わった。

やっぱりちょっと一番遠いですかね。炒めるというか、火にかかっているものがタマネギ以外の気がしました。後、犬(ですよね?)はタマネギ食べちゃダメです。

△誰かがタマネギを炒めている10

>個々の居住スペースから匂い物質が漏れ出すことはまずない。
もう肉体なんて持って無いんでしょう?それをコンパートメントだと思っているだけなんでしょう?と勝手に妄想が膨らんでいきました。

◯誰かがタマネギを炒めている12

>西の空が飴色に染まる。
まさに超短編ですね。日曜日の夕暮れ、メニューは勿論…。

△誰かがタマネギを炒めている7

>大変、よい休日の予感がする。

陽射しは穏やかだけれど薄ら寒い不穏が漂っていていい感じです。二人の生活に入り込んでタマネギを炒めた誰なのか?いない筈のモノなのか?それともいてはいけない筈のどちらかの別のお相手なのか?日常が崩壊していく予兆を感じます。

遠音◆56c847 / 2022-05-09 00:27:55 No.125
こちらのお題は基本的にあまり具体的にし過ぎず、的を絞らないものが多い感じで、想像を広げやすかったのですが、前回の「ブルース」に続き今回もけっこう具体的で、考えるのに難儀しました(※お題へのクレームではなく、単なる所感です、念の為)
なので、他の方々の作品を読んで「こう来たかー!」と唸らされることも多かったです。むむむ。

<選評>
◯誰かがタマネギを炒めている1
> 「大丈夫?…爺ちゃん?」
短い中にも行間に情報が上手く詰まっている良作だと思う。
AIなどの非生命体ではなく異星人なのだろう。「停止」から「死亡」という訂正に、彼らなりの敬意を感じる。
個人的にぐっと来たのは、「爺ちゃん」が自分の涙の説明を「タマネギ」で済ませてきていたらしいこと。
どうせ理解してもらえないという諦観ゆえではなく、異星人なりに(あるいは孫に擬態?)自分の涙を理解しようとしてくれたことへの温かな返しに感じた。もしかしたら、「またタマネギ?」の問いかけに、今際の走馬灯の中に調理シーンが本当に浮かんできたのかもしれない。
作品とは関係ないのだが、最近読み始めたコミック『いぬやしき』の爺ちゃんとこの「爺ちゃん」がオーバーラップしてしまい、少しそちらに引っ張られてしまったかもしれない。
正選です。

◯誰かがタマネギを炒めている6
> おそらく、騒々しい日々が終わった。
最初「ママさん」の呼称に違和感があったが、「しつこくモシャモシャしてきたお嬢さん」、タマネギを拒絶する本能、おねだりしてももらえなかった「あの頃の匂い」に、「わたし」は犬なのだと思い至った。「泣いて」ではなく「啼いて」なのも伏線になっていると読み返して気づいた。
「わたし」にとって危険なタマネギの匂いが恋しい人たちの記憶を呼び覚まし、危険なタマネギを食べて「もう、生きるしかない」と決意しているのが切ない。ストレートな生存本能が沁みた。
正選です。

△誰かがタマネギを炒めている11
> 深夜のバルセロナ空港。
タイトル回収はいつかいつかと、いい意味で焦らされた。
バルセロナに中華料理屋?と思ったが、それほど引っかからずに読めてしまった。
ラストのカシューナッツ情報が蛇足のようでいて、テーマありきの感じをなくす働きをしていて、うまく作品を収めていると感じた。
次点です。

(続く)

遠音◆56c847 / 2022-05-09 00:29:47 No.126
(続き1)

✕誰かがタマネギを炒めている10
> 個々の居住スペースから匂い物質が
面白い言い回しなのだけど、データが漏れ出しているというのがイメージしづらかった。
10進法的な記号の羅列が見えない電波のような形態で漂っている感じ?
少し、言葉の雰囲気に寄りかかり過ぎている感があるので、逆選です。

<選外評>
誰かがタマネギを炒めている2
> 鍋の底に菜種油をのばし、
このお題に真正面から取り組んだ姿勢に好感を持った。
本を捲る音は、タマネギが壊れてゆく音、今際のあがきだろうか。
個人的にはもう少し起伏がほしいと感じてしまった。

誰かがタマネギを炒めている3
> ついに携帯タマネギ炒め機が発売された。
シュールさと間抜けさのミックス具合が絶妙。
一品の完成料理ではなく「タマネギ炒め」だけかよ?というツッコミどころはたちまち、大ヒットに呑み込まれていってしまう。
『ケイタマ』ではなく『ケイタマネ』の微妙な語呂の悪さも狙っているか。
法律整備から平和への強引さも面白い。
しかし、冗談抜きで一種の目くらまし的な犯罪・テロ道具に使えてしまうのでは…と不安もよぎった。

誰かがタマネギを炒めている5
> このアパートに引っ越してきた日は
最初、コロナで皆が引きこもり状態なのかと思ったが、「このアパートからどうやったら出られるのかは知らない。」という箇所でホラー風味へ一転してしまった。無限ループ系か。はた目には怖い状態なのに淡々と過ごしているのが余計に怖い。
重箱の隅つつきになり申しわけないが、以下の2点の矛盾に引っかかってしまった。
(1) 廊下には誰も出てこない。物干し台に通じる窓の外にも誰ひとり出てくることはない。
(2) このアパートからどうやったら出られるのかは知らない。
アパートから出られないというのは、敷地の外に出られないという意味ではなく入り口のドアから出られないという意味だとすると、(1)の他人の挙動はどうやって知り得たのか? もしドアも窓も開かない仕組みなら(1)は「出てこない」ではなく「出られない」になると思うのだが、ネタバレを防ぐために「出てこない」としたのか。

(続く)

遠音◆56c847 / 2022-05-09 00:31:23 No.127
(続き2)
誰かがタマネギを炒めている7
> 大変、よい休日の予感がする。
「老齢の女子たち」がツボだった。彼女らの明るい笑い声が聴こえてくる。
早春の期待感、明るさが全体に満ちていて心地よい。
ラスト一行が軽くホラー風味だが、もっと怖いのは、「身に覚えのない」ことがこのまま取り紛れ、忘れられてしまうかもしれないということ。
日常の中で立ち消えになってしまう怪異は意外にあるのかもしれない。

誰かがタマネギを炒めている8
> 地球は亀が支えている。
平家物語序文が交じってきた辺りでくすっとしてしまった。あの有名な序文を取り込むことで虚無的な雰囲気に陥らず、「そういうもんだよね〜」的な妙な安定感が生じている。
しかし「亀のスープ」なのに地球も巻き添えで調理されてしまうとは。いや、そもそも地球を支えている亀が消える時点で存在が危うくなっていたのか。
全然関係ないが、昔ネットで見たなぞなぞ「ウミガメのスープ」を思い出してしまい、そっちに引っ張られてしまいそうになった。

誰かがタマネギを炒めている9
> 「かっ火事だ!」
軽快な落語口調が楽しい。マニアックなネタも解説がさりげなく入っているのも個人的に好印象。
「不謹慎とは謹慎しないことナリ。」に違和感があったが、コロ助か何かだろうか。

誰かがタマネギを炒めている12
> 西の空が飴色に染まる。
タイトルよりも短い本文なのだが、タイトルと本文がシームレスに繋がっていく感じが絶妙。狙いすぎてない力加減がよい。

以上です。

つとむュー◆3d582f / 2022-05-09 00:34:33 No.128
すいません、逆選王の空虹桜さんから出していただいたお題案の中からこのお題を選んだ者です。
一見、簡単そうに見えるんですが、書いてみたらめちゃくちゃ難しかったです。
特に「炒める」という部分に難儀したので、皆さんのアイディアに脱帽しています。

〇<誰かがタマネギを炒めている5>
>このアパートに引っ越してきた日は覚えていない。
こういう作品、大好きなんです。
なんだかわからないけど、生活感だけあるところが。
タマネギを炒める匂いが漂ってくるような感じがしました。

〇<誰かがタマネギを炒めている9 >
>「かっ火事だ!」
まさかこのお題で東京ドームと武道館が登場するとは!
しかも火事で焼かれてしまうとは。
オチも面白かったです。

△<誰かがタマネギを炒めている2>
>鍋の底に菜種油をのばし、ごく弱火にかけている。
炒めることをじっくり描写した作品でした。
悩むことはなかった、こういう作品でよかったんだ。

△<誰かがタマネギを炒めている8>
>地球は亀が支えている。それは真実である。
地球がタマネギに転生するとは!? 発想がすごいです。
#9の武道館と迷って、すいませんが△にさせていただきました。

×<誰かがタマネギを炒めている1 >
>「大丈夫?…爺ちゃん?」
タマネギがお題だと、どうしても涙について書きたくなりますよね。
今回、それが罠だったことに気が付きました。
炒める感がもう少しあったら〇にしたいほど面白かったです。

以上、よろしくお願いします。

海音寺ジョー◆2819bb / 2022-05-10 06:35:13 No.129
〇<誰かがタマネギを炒めている3>
> ついに携帯タマネギ炒め機が発売された。
別に玉葱に限らず、人参でももやしでも豚小間肉でもいいようなものですが、タイトルに正面から向き合って、なおかつ強引に幸福なハッピーエンドでまとめ上げる力技に降参!ってなりました。もしケイタマネが発売されたら、即買いします。

〇<誰かがタマネギを炒めている4>
>結実、と呼んだ時つい台所に目を向けてしまった。
タマネギという言葉も炒めるという言葉も出てきませんが、タイトルに潜在的に含まれている不穏な空気が玄妙に描写なされていて、すごいと思いました。

△<誰かがタマネギを炒めている1>
>「大丈夫?…爺ちゃん?」
玉葱を炒める際、泣く前提があるの不思議といえば不思議です。担当者(語り手)が、この現象に関心を抱く理由、由来がさらに書かれていたら物語の奥行きがさらに広がったのではないかと思いました。

△<誰かがタマネギを炒めている9>
> 「かっ火事だ!」
電流爆破マッチという懐かしの話題から、玉葱の高騰という最新の時事ネタまで盛り込んだ、楽しい作品でした。

✕<誰かがタマネギの12>
>西の空が
意表を突かれました。この具体的かつ長いタイトルを、一行で炒め上げた膂力に惹かれました。三番目の正選というニュアンスで、逆選に選ばせていただきます。

遅くなってすみません、以上です。

まつじ◆fd9eca / 2022-05-12 14:29:10 No.130
こんにちは、オクレバセ・マツジです。しゅるっと選評を、失礼いたします。

○<誰かがタマネギを炒めている12>西の空が飴色に染まる。
とてもとても短い詩。タイトルがあることで感情が乗っかってくる感じが素晴らしいですね。

△<誰かがタマネギを炒めている9>「かっ火事だ!」
素材の高価さがメインであるかどうかを決めるのだったかしらなどと思いはしても会話が楽しい、はないちもんめ。関係ないですが。不謹慎とは謹慎しないことというのは好きな類のやつです。慌てているのは序盤だけなのもよいですね。

×<誰かがタマネギを炒めている11>深夜のバルセロナ空港。エコノミー便
中華料理も気になりつつ、前半のエピソードが読みやすく微笑ましくて好きなのです。後半の舞台がどこなのかなぜか混乱してしまったので、好意の逆選を。

以下選外評を。

<誰かがタマネギを炒めている1>「大丈夫?…爺ちゃん?」
「泣く」は分かるが「キル」「イタメル」がよく分からない、語り手たちの生態に興味がございます。彼らはは彼らの興味で観測している構図が面白いですね。

<誰かがタマネギを炒めている2>鍋の底に菜種油をのばし
誰という人が登場しないので「誰かが」が成り立つんですね。いっそ炒めている様子をじっくり書いてやろうという試みは、競作の場においては盲点でした。

<誰かがタマネギを炒めている3>ついに携帯タマネ
「誰か」が不特定多数の誰かというのも面白いが、ツッコまずにはいられない設定や状況に心が軽くなります。さすが軽犯罪。うちはそんなにタマネギ炒めないけどということなどどうでもよいのです。

<誰かがタマネギを炒めている4>結実、と呼んだ
「光の剣が飛んできた」でなぜか笑ってしまいました。いい匂いのする悪夢という、安堵と不穏の繰り返しは本当に悪夢だなと思います。

つづく

まつじ◆fd9eca / 2022-05-12 14:29:38 No.131
つづき

<誰かがタマネギを炒めている5>このアパートに引っ越してきた日は
どんな人が住んでいるか知らないのに、年齢も性別も民族も出身地もまちまちであることをなんとなく知っていて、なんとなく暮らしているのはきっと私たちなんだろうと思わされました。

<誰かがタマネギを炒めている6>おそらく、騒々しい日々が
ママさんパパさんは分かるけれど「お嬢さん」にちょっと引っかかりつつ、「遠吠えが必要だ!」の感情の高まる雰囲気が一番よかったです。

<誰かがタマネギを炒めている7>大変、よい休日の予感
公園の様子がややステレオタイプかななどと思いつつ、終始和やかな気配でよかったです。誰が炒めたか分からないものを食べるのは、状況によってはやや怖ですね。

<誰かがタマネギを炒めている8>地球は亀が支えている。それは真実
大きな大きな鍋のある地球もまたタマネギであるのかもしれないパターンですね。なんて儚いのでしょうか、玉ねぎの上の我々は。

<誰かがタマネギを炒めている10>個々の居住スペースから匂い
シチュエーションを想起させるデータ。データが居住スペースから漏れ出ているというのは一体どういうことか、想像するとちょっと楽しいですね。

たなか◆535f38 / 2022-05-16 06:38:12 No.132
たなかです。
遅くなりすぎてもうあかんと思ったのですが、まだ集票されていないようなので、滑り込みで! 間に合わなくてもそれはそれで! よろしくお願いします!
今回、正選と次点に差はないです。無理やり分けました。きつかった……


○誰かがタマネギを炒めている7
>  大変、よい休日の予感がする。天気も上々。

幸せ色が弾けるような空間。姿と言葉がひとつひとつ丁寧に選ばれ、色がくっきりと、
華やいだ世界が眼前に見える。それが最後の行ですとんと綺麗に落とされる。浮気落ちか、
ストーカー落ちか、ホラー落ちか、わからない「少し」が実に効いている。正選で。


△誰かがタマネギを炒めている8
>  地球は亀が支えている。それは真実である。ただし正確ではない。亀が支えている

描写がとても丁寧で、世界とタマネギが重なったオレンジ色の世界が美しく眼前に見える。
真ん中で綺麗に分かれ、前半で物語世界の説明、後半でそれが大きく動き、最後に、
綺麗にタイトル回収される。素晴らしい。ただストレートに進みすぎたかとも。次点で。


×誰かがタマネギを炒めている9
> 「かっ火事だ!」

伝統芸能的な会話劇で、軽い掛け合いが味だけど、自分は固有名詞ごとに躓いてしまった。
自分にとって日常的な言葉ではないので、これは何だっけ、誰だっけ、と考えるたびに、
進行とリズムが止まってしまった。会話劇と固有名詞は読者対象が難しいかも。逆選で。


△誰かがタマネギを炒めている10
> 個々の居住スペースから匂い物質が漏れ出すことはまずない。漏れ出しているのはシ

流れがよい。最終行が引き立っている、だからこそ、「シチュエーションを想起させる」
が、より抽象度の高い画一的な言葉であれば、「何故だか懐かしい。」という、
具体的描写の違和感がより大きく迫るのではと思った。でも、とてもよかった。次点で。


○誰かがタマネギを炒めている12
>  西の空が飴色に染まる。

いや、かっこいいですね! これを丁寧に書くと「誰かがタマネギを炒めている 8」
になり、極限まで削ぎ落とすと、本作になるのかなと思いました。しかも、この作品が、
今回のエンディングとか! ちょっとじーんときてしまいました。ずるいな! 正選で。

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