新宿。聳え立つツインタワー。
　それを見上げているセーラ。ブレイザ。ジャンス。三人の戦乙女。
　セーラはキャロル・バイクもトーにまたがり、ブレイザも同様にドーベルサイドカーモードに。
　ジャンスはバイクではなくロケットパックだ。
「森本君は？」
「おいてきましたわ。あまりにも危険ですし」
「そうだね。それにこんな汚いやつらに彼のような純粋な人をかかわらせるのはよくないわ」
「そろそろ行きますか」
「そうですわね。お願いします」
　ブレイザを抱えたジャンスは一気に高空へと舞い上がった。
「あたしたちも行くわよ。キャロル」
「はい。セーラ様」
　キャロルは猫の姿へと戻る。セーラは逆にキャストオフから超返信。
　フェアリーフォームへと転じて舞い上がる。

　狙いは高所にある一室。
　そこには老人がたたずんでいた。
　セーラがバトンを先端として強化ガラスを突き破りつつ突入する。
　それに続くジャンスとブレイザ。
「なんだ！？　貴様ら。戦乙女か？」
「そうよ。正体をあらわしなさい。アマッドネス」
「なんのことだけ」
「とぼけないで。執拗なまでの表現規制。これに何の裏もないと思って」
　ブレイザが続く。
「うるさい。子供に有害なものを野放しにはできん」
「よく言うわ。自分だってそんなエッチな話を書いていたくせに」
「あれは芸術だ」
「それならマンガだって世界に誇れるコンテンツよ」
　論破されかかって老人はきれた。
「うるさい。うるさい。うるさい。コミケを潰そうとオリンピックで会場を使えないようにしようとしたのはしくじったが、こんどはそうはいかん」
　老人は異形へと転じた。
　蜘蛛？　否。近いが違う。
「さしづめチックアマッドネスかしら」
「ダニとはまたふさわしいものに」
「それじゃあ害虫退治よ」

　ところが意外にチックアマッドネスが強い。
　その強固な外殻が攻撃を受け付けない。
　しかも丸みを帯びているので正確にあてないと流れてしまう。
　ブレイザの剣もジャンスの弾丸もはじかれるほどだ。
「くくく。これまでのようだな。この規制によって日本は生まれ変わるのだ」
　どうやらその「規制」と言う部分でシンクロしたための合体らしい。
「くっ。こんな奴をのさばらしておいては」
「しかしもう力が…」
「まって。なんかみなぎってきません？」
　言われて見るとそうだ。確かに力が沸いてくる。
　そして声援が聞こえる。
　攻撃を避けつつ窓から下を見る。
　いつの間にか凄まじい人数が集まっていたのだ。
　それらが口々に戦乙女たちに声援を送っている。
　実は岡元や森本。友紀が扇動して二十万人以上が駆けつけていた。
「な、なんだ。このパワーは。ダメだ。こちらが押される」
　一気に劣勢に立たされるチックアマッドネス。
「あんたにはわからないでしょうね」
「押さえつけられるものの反発を」
「そして心から表現の自由を愛している彼らの怒りが」
「ぐ、ぐぐっ」
　完全に形勢逆転だ。ジャンスが二丁拳銃を乱射する。
「ダブルタイフーン」
　ブレイザがめった切りにする。
「スラッシュダンス」
　そしてセーラの十字の拳が炸裂する。
「クロスファイアー」
「ぐぎゃあああっ」
　必殺技を受けてダニは滅んだ。解放された物の元々が高齢。老婆へと変貌していた。
「そういやこの人。おばあさんも侮辱してたっけ。少しは気持ちがわかるかもね」

「これで少しはよくなると良いのですが」
「どうかしら。あいつみたいのがまだ出てきそうな気がするわ」
「戦うしかないんですね」
「ええ。でも今は帰って休みましょう」
「その前に彼らにお礼を言わないと」
　三人の戦乙女は魔窟を去った。



　作者より。
　まさかこれは規制されないよね（笑）
　エッチなシーンは出てないし。

まあ、確かに思う所は多いかもですね。
とは言えもしこのアマッドネスに眷族化された者は妙に健全で潔癖な「なんちゃって坂の上の雲女（笑）」にされるとか。
あるいは「自分が滅んでも“健全な青少年”を求める意思がある限り〜」とか言って倒れるとか…
置き換えると本当にテレ朝ライダーばりに「それぞれの思惑」が交差するドラマになりそうなテーマでもありますし。

で…クライマックスがＡtoZのゴールドエクストリームを思い出すのは気のせいでしょうか？（笑）

>
> まあ、確かに思う所は多いかもですね。

　あの規制に対する僕なりの怒りの表現です。
　ちなみにダニにしたのは「寄生虫」だから。

> あるいは「自分が滅んでも“健全な青少年”を求める意思がある限り〜」とか言って倒れるとか…

　あはは。それいい。

> 置き換えると本当にテレ朝ライダーばりに「それぞれの思惑」が交差するドラマになりそうなテーマでもありますし。

　ちゃんと書けばですね。
　今回は手直しなしの一発勝負で。

> で…クライマックスがＡtoZのゴールドエクストリームを思い出すのは気のせいでしょうか？（笑）

　ああっ。意識してなかったけど確かに。
　二十万の声援と言うのは署名運動でのそれを意識してで。

　こういう場所だからもうちょっと楽しい話題を振らないといけないですね。やはり。