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高校野球News
管理人 /
2010-07-08 23:49:00
No.18187
夏の球音(上)
「2強」激突見据え火花
「やる気がないなら出て行け!」
6月下旬、さいたま市緑区の浦和学院グラウンド。投手、内野手の連係プレーの練習中、ナインの厳しい声が飛んだ。投手の南貴樹(3年)がマウンドを駆け降りてゴロをさばこうとしなかったからだ。気迫に欠けると映ったプレーには、チームメート同士でも容赦なく活を入れる。
素質のある選手をハードな練習で鍛え上げる浦和学院。監督の森士は今年、3年の4人に交代で主将を経験させ、全員をまとめて戦うことの大切さ、難しさをみっちり学ばせてきた。精神力強化の成果は、5月の関東大会準決勝で4点差をはね返し、大会2連覇につなげたことにも表れた。
選手層の厚みは県内屈指。野手は昨年の主力が4人残る。投手陣も安定感のある阿部良亮(同)を柱に、1メートル97の長身・南、左の横手投げ萩原大貴(同)と多彩だ。森は「うまくかみ合えば甲子園でも上に行ける」。選手も全員が右腕にペンで「全国制覇」と書き込み、汗で文字が薄れるたびに書き直している。
関東大会を制し、勢いに乗る森とナインの胸を、チクリと刺すのが花咲徳栄の存在。春の県大会決勝で花咲徳栄に0―2で敗れ、県、関東での全勝優勝を果たせなかったからだ。
春の選抜大会に出場した花咲徳栄にとって、浦和学院戦の勝利は初めて。その時、マウンドに立ったのは、甲子園で投げた五明大輔(3年)ではなく、2番手の左腕・橋本祐樹(同)だった。
選抜大会後、チーム内に異変があった。「きれいに打とう、華麗にさばこうとするあまり、プレーの基本がおろそかになった」。監督の岩井隆の目には、大舞台を経験したナインが舞い上がっているように映った。
関東大会終了後、不振の4番の戸塚瞬(同)を下位に下げ、長打力のある金久保俊(同)を控えから主砲に据えた。岩井は五明でさえ、「状態が良くない。うちにエースなどいない」とし、春の県大会、関東大会で一度も使わなかった。
この荒療治は吉と出た。五明の陰に隠れていた橋本が本領を発揮し、県大会で浦和学院を零封。関東大会では、負け試合ながら3番手の松本晃岳(2年)が1失点で完投し、実戦で使えるメドが立った。
エース五明の闘志にも火がついた。「絶対にまた甲子園で投げる」と、ひたすら投げ込む。「浦学には負けられない。必ず倒す」
多くの大会関係者が「2強」と評する両チーム。この1年の対戦成績は1勝1敗の五分だ。共に勝ち進めば決勝で雌雄を決する。
2010年7月7日 読売新聞 埼玉版掲載
※この記事は昨日別スレで掲示板に載せましたが、連載のためスレッドを別に作り直しました
ご了承ください
Re: 高校野球News
管理人 /
2010-07-08 23:54:00
No.18188
夏の球音(中)
「打倒私学」 自信深める
このバッターは浦和学院の久保、ならば次の1球は…。
今月初め、坂戸西の左腕エース長島僚大(3年)は群馬の高校との練習試合で、相手打者を強豪・浦和学院の中軸に見立てて投球の組み立てを考えた。
一種のイメージトレーニング。チームの大黒柱・長島はこうした工夫で投球術に磨きをかけ、飛躍的に力をつけてきた。
「県立の雄」と評される坂戸西は、昨秋と今春の県大会で浦和学院に決勝進出を阻まれた。今春は延長13回の死闘の末、4―5でサヨナラ負け。しかし、伸びのある直球と、鋭く曲がるスライダーを武器に1人で投げ抜いた長島は、敵将の浦和学院監督・森士をして、「素晴らしい投手だ」とうならせた。
長島の成長の原点には、昨夏の苦い経験がある。先発した2回戦で制球に苦しみ、苦し紛れに投げた真ん中の球を痛打された。チームは敗れ、「先輩に申し訳ない」と涙した。
以来、「力まず、冷静に」と自分に言い聞かせ、三振を狙いに行くことも封印した。力任せの投球をやめ、相手や状況に応じたクレバーな投球術を習得したことで、「勝てる投手」(野中祐之監督)に変身した。
打線は黒沢智大(3年)、黒沢俊太(同)のいとこコンビが引っ張る。俊足の1番・智大が塁に出てかき回し、4番・俊太がかえすのが得点パターンだ。
今大会、坂戸西、浦和学院がともに勝ち進めば、準決勝で激突する。「浦学を倒す力はあるはず」。野中は「三度目の正直」に手応えを感じている。
「打倒、私学」の闘志を燃やすのは、県立の朝霞も同じだ。春の県大会準々決勝では、選抜大会に出場した花咲徳栄に0―1で惜敗した。
「私学と戦うにはまず体作り」(宮川浩之監督)と、「ミール(食事)トレーニング」を始めて5年になる。練習1時間前に、白米がたっぷり詰まったドカ弁を平らげるのが日課だ。
ナインは体の軸が安定し、5人がホームランを狙える長打力をつけた。右腕エース尾崎亮(3年)は入学時に60キロだった体重が70キロに増え、球速は最速142キロと10キロ速くなった。制球力もつき、かつて練習試合で3連続死球を与えた姿はもうない。
尾崎は春の大会で花咲徳栄打線を1失点に抑え、全国レベルの私学と互角に渡り合う自信をつけた。「新球もある。今度は必ずゼロに抑える」。決勝での再戦を熱望している。
私学の壁を超えられるか。両校の戦いから目が離せない。
2010年7月8日 読売新聞 埼玉版掲載
Re: 高校野球News
管理人 /
2010-07-09 14:38:00
No.18191
夏の球音(下)
ノーシードから頂点へ
ビュッと音を立てる鋭いスイングで、ネットに白球が次々突き刺さる。聖望学園打線の中軸を担う片岡建人(3年)に、本来の振りが戻ってきた。
昨夏の県大会覇者・聖望学園は新チーム結成後、度重なるアクシデントに苦しんだ。エースにと期待された永田智大(同)は秋口に右ひじを故障し、内野手に転向。もう1人の甲子園メンバー片岡も、春の県大会を前に右手を骨折して戦列を離れた。投打の柱を欠いたチームは、春の大会の初戦で姿を消した。
この夏はノーシード。前評判は高くないが、ナインは悲観していない。永田は「プレッシャーがなくて逆にやりやすい」、片岡は「シード校より1試合多いだけ」と意気込む。
聖望学園はしばしば、周囲の評価とは逆の結果を出してきた。一昨年夏は、春の甲子園で準優勝した勢いで大本命と目されたが、まさかの初戦敗退。対照的に、監督の岡本幹成が「全く期待していなかった」と振り返る昨夏は、頂点に立った。
「朝練は体に悪い」「坊主頭の何がええねん」と公言する岡本のユニークな指導で、「のびのび野球」がチームの持ち味だ。プレッシャーを感じず、普段通りの野球ができた時、どんでん返しが起こるかもしれない。
昨夏準優勝の埼玉栄も主力選手に故障が続き、ノーシードで大会を迎える。監督就任2年目の細淵守男は「うちが勝つなんてどこも思っていない。昨年もそうだった」。さも当然といった風を装うが、淡々とした口調には自信もうかがえる。
細淵の視線の先では、真新しいユニホームを着た1年生右腕・佐藤大志がブルペンに入っていた。佐藤はいわゆる無印。入学を誘われたわけではなく、「昨年のチームを見て甲子園に行けると思って入学した」。細淵は「コントロールが良く、最も安定感がある」と、早速、使うつもりでいる。
これに上級生が触発された。昨夏の準優勝メンバーで遊撃の田中一真(3年)は、春の大会は故障で満足に働けなかったが、今では練習で鋭い当たりを連発。宮内謙主将(同)も「今年は自分たちが甲子園に行く」と、黙々とバットを振る。
「打力、走力は今年の方がある。このチームは昨年より上に行くでしょう」。細淵から、ふとこんな言葉が漏れた。胸の内では12年ぶり2度目の夏の甲子園に照準を合わせているようだ。
ノーシードから頂点へ。両校の挑戦は大会2日目の10日に始まる。
2010年7月9日 読売新聞 埼玉版掲載
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「2強」激突見据え火花
「やる気がないなら出て行け!」
6月下旬、さいたま市緑区の浦和学院グラウンド。投手、内野手の連係プレーの練習中、ナインの厳しい声が飛んだ。投手の南貴樹(3年)がマウンドを駆け降りてゴロをさばこうとしなかったからだ。気迫に欠けると映ったプレーには、チームメート同士でも容赦なく活を入れる。
素質のある選手をハードな練習で鍛え上げる浦和学院。監督の森士は今年、3年の4人に交代で主将を経験させ、全員をまとめて戦うことの大切さ、難しさをみっちり学ばせてきた。精神力強化の成果は、5月の関東大会準決勝で4点差をはね返し、大会2連覇につなげたことにも表れた。
選手層の厚みは県内屈指。野手は昨年の主力が4人残る。投手陣も安定感のある阿部良亮(同)を柱に、1メートル97の長身・南、左の横手投げ萩原大貴(同)と多彩だ。森は「うまくかみ合えば甲子園でも上に行ける」。選手も全員が右腕にペンで「全国制覇」と書き込み、汗で文字が薄れるたびに書き直している。
関東大会を制し、勢いに乗る森とナインの胸を、チクリと刺すのが花咲徳栄の存在。春の県大会決勝で花咲徳栄に0―2で敗れ、県、関東での全勝優勝を果たせなかったからだ。
春の選抜大会に出場した花咲徳栄にとって、浦和学院戦の勝利は初めて。その時、マウンドに立ったのは、甲子園で投げた五明大輔(3年)ではなく、2番手の左腕・橋本祐樹(同)だった。
選抜大会後、チーム内に異変があった。「きれいに打とう、華麗にさばこうとするあまり、プレーの基本がおろそかになった」。監督の岩井隆の目には、大舞台を経験したナインが舞い上がっているように映った。
関東大会終了後、不振の4番の戸塚瞬(同)を下位に下げ、長打力のある金久保俊(同)を控えから主砲に据えた。岩井は五明でさえ、「状態が良くない。うちにエースなどいない」とし、春の県大会、関東大会で一度も使わなかった。
この荒療治は吉と出た。五明の陰に隠れていた橋本が本領を発揮し、県大会で浦和学院を零封。関東大会では、負け試合ながら3番手の松本晃岳(2年)が1失点で完投し、実戦で使えるメドが立った。
エース五明の闘志にも火がついた。「絶対にまた甲子園で投げる」と、ひたすら投げ込む。「浦学には負けられない。必ず倒す」
多くの大会関係者が「2強」と評する両チーム。この1年の対戦成績は1勝1敗の五分だ。共に勝ち進めば決勝で雌雄を決する。
2010年7月7日 読売新聞 埼玉版掲載
※この記事は昨日別スレで掲示板に載せましたが、連載のためスレッドを別に作り直しました
ご了承ください