選抜甲子園、監督らも複雑「こんなときこそ希望を」

東日本大震災の被害が拡大する中、第８３回選抜高校野球大会（日本高校野球連盟、毎日新聞社主催）の組み合わせ抽選会を翌日に控えた１４日、出場校の代表者会議と、主将がチームを紹介するキャプテントークが大阪市内で開かれた。被災地の東北（宮城）、水城（茨城）はいずれの会合も欠席。代表者会議では「大会は開催準備を進めているが、１８日に決定する」と説明があったといい、集まった監督は様々な思いを口にした。

地元の高知県須崎市にも津波が押し寄せたという明徳義塾の馬淵監督は「ひとごとではないだけに複雑だ」。東海大相模（神奈川）は交通機関の混乱で休校になり、「練習試合なんてできない」と門馬監督。津波被害にあった福島県南相馬市には父親の実家があり、連絡がつかない親族も多いという。

かつて東北を指導していた九州国際大付（福岡）の若生監督は自宅が仙台市にある。「今日の午前１０時すぎ、やっと妻と連絡がとれた。家の中はバラバラらしいが、生きていてよかった」「映像で見るのは知っている土地ばかり……。でも、こんなときこそ希望を与えてほしいし、与えたい」と大会開催を望んだ。

キャプテントークは、開会前に被災者に対して黙祷。大館鳳鳴（秋田）の小貫が被災の模様を伝えた。ほぼ全員の自宅が２日ほど停電し、懐中電灯の明かりを頼りに夕食をとったという。「高校野球を楽しみにしてくれている被災者もいる。勇気づけられるようなプレーをしたい」

遠征先の沖縄で震災を知った光星学院（青森）の川上は「甲子園をやっている場合なのか」と思ったが、「せっかくつかんだチャンス。勝って東北の人たちにいい報告をしたい」と奮起した。

2011年3月14日 朝日新聞 ネット配信

選抜出場校の主将交流会　硬い表情で黙とう

第８３回選抜高校野球大会出場校の主将が集まって交流する「キャプテントーク」が１４日、毎日新聞大阪本社（大阪市北区）で開かれた。東日本大震災の影響で、東北高（宮城）と水城高（茨城）の両主将は欠席。冒頭では全員が起立し、黙とうをささげた。

和やかな雰囲気の例年とは異なり、今年は各校の主将とも一様に硬い表情。大震災の被害を受けた東北や関東の高校の主将が停電で練習ができなかったことや、交通網の乱れなどで大阪入りが遅れたことを報告した。

練習地の沖縄から直接大阪入りした光星学院高（青森）の川上竜平主将は「いつもランニングしていた道で車や建物が流されていた」と心配そうな表情。

仙台市に親戚が住んでいるという大館鳳鳴高（秋田）の小貫慧太主将は「詳しい情報が分からないままこっちに来た」と沈痛な面持ちながらも、「被災者を勇気づけられるプレーをしたい」と言葉に力を込めた。

2011年3月14日 スポニチ ネット配信