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高校野球News
管理人 /
2015-02-13 09:59:00
No.30876
進む「タイブレーク制」導入 高校野球現場に賛否
高校野球界でも今春から、延長戦で人為的に走者を置いて早期決着を図るタイブレーク制の導入が進められている。硬式では関東など全国9地区の春季地区大会で採用されることが決まっているが、戦術面にも影響するだけに現場からは歓迎論も慎重論も聞かれる。
日本高野連が現在、示している案は二つのパターンだ。延長十回、または同十三回からの二つで、各地区が任意で選ぶことになっている。いずれも無死一、二塁からスタートし、打者は選択制だ。
今回の導入について、横浜隼人の水谷哲也監督(50)は「世界的に認められるスポーツになるためには取り入れなければいけない」と賛意を示す。投手の障害予防を目的としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などでも採用されるなど、タイブレークの導入はすでに世界の潮流とみている。
さらに同監督は「強者しか勝てない環境になっているのが現状。(タイブレークで)弱いチームが勝つチャンスが生まれる」と指摘する。選手層の薄い公立校が接戦に持ち込んでも、最後は層で勝っている私学の強豪校の前に力尽きるというケースは多い。その点で公立校にもチャンスが広がるとの見方だ。
しかし、昨夏の全国選手権神奈川大会で創部初のベスト16に導いた横浜清陵総合の佐藤雄彦監督(59)は、必ずしも公立校に優位になる制度ではないと言う。「堅実に守って1点を争う展開に持ち込み、強豪校に重圧をかけながら勝機を見いだすのが多くの公立校の戦い方。タイブレークだと失点のダメージの方が不安」と話す。
すでに関東では神奈川開催だった昨春の関東大会で導入されたが、それまでの試合の流れを断たれるケースもあった。佐野日大(栃木)−桐生第一(群馬)戦は九回まで1点を争う好ゲームが展開されたが、タイブレークにより1死満塁から始まった延長十回表に大量9点を奪った佐野日大が圧勝した。中学校でも指導し、タイブレークでの戦い方を知っている県相模原の佐相眞澄監督(56)は「流れが大きく変わるのがタイブレーク。単純な実力差だけで決着がつかない」と言う。
大きく高校野球のあり方を変えてしまうかもしれないタイブレーク。精神面を含めて実戦の場でいかに鍛えていけるか。タイブレークに得手、不得手のチームも出てきそうだ。
◆タイブレーク制をめぐる これまでの高校野球界の流れ
▽2011年11月 明治神宮大会で初めて導入
▽2013年10月 国民体育大会東京大会でも採用する
▽2014年5月 導入が春季関東大会にも広がる
同年7月 日本高野連が本格導入に向けて全加盟校対象のアンケートを実施
同年8月 軟式の全国選手権準決勝が延長五十回の激戦になる
同年9月 日本高野連がアンケート結果を公表。硬式では49.7%の加盟校が「タイブレークを導入すべき」と回答
同年11月 硬式は15年の春季地区大会で全国的に一律で導入することが決まる
▽2015年1月 軟式は今夏の全国選手権大会からの導入でまとまる。硬式はタイブレークに入るイニングを延長十回、十三回の二つから各地区で選ぶことが決定
2015年2月13日 神奈川新聞掲載
Re: 高校野球News
管理人 /
2015-02-13 21:29:00
No.30878
「障害予防」「ゲームの流れ寸断」…高校野球の“タイブレーク制”導入案で
日本高野連が延長戦で人為的に走者を置いて早期決着を図る特別ルール「タイブレーク制」の導入にかじを切った。硬式は春夏の甲子園大会につながらない春季地区大会から全国一律でスタートすることを決め、軟式は今夏の全国選手権で始める案をまとめている。選手の健康管理を目的に、甲子園大会での採用も日本高野連は視野に入れているが、全面的な導入への道のりは依然不透明だ。
タイブレーク制の導入の背景には投手の負担軽減の目的がある。
2014年秋のプロ野球ドラフト会議で楽天から1位指名を受けた済美(愛媛)の安楽智大投手は、13年春の選抜大会で3日連続を含む5試合に登板。合計で772球を投げさせたことに対して、一部で「酷使させ過ぎ」などと批判の声が上がった。
また14年8月には軟式の全国選手権準決勝、中京(岐阜)−崇徳(広島)が延長五十回まで続き、両校のエースがともに4日間で合計約700球を投げ、選手の健康管理が大きくクローズアップされた。ただ多くの大会は順延できる日数に限りがあり、これまで選手、とりわけ投手の負担を減らす抜本的な対策は取られていなかった。
そこで持ち上がったのがタイブレーク制だ。例えば延長戦で1死満塁から始めれば、得点が入りやすく決着がつきやすい。現在は国民体育大会などですでに採用されている。
しかし、ゲームの流れを寸断するタイブレーク制には賛否がある。昨年7月に日本高野連が加盟校に対してアンケートを実施したところ、硬式野球での導入について49・7%の1964校が支持したが、条件付きの賛成が少なくない。
「数々の名勝負を生んだ一つの要因は延長戦」という反対意見もある。古くは延長十八回の末、再試合にもつれた1969年夏の全国選手権大会決勝の松山商(愛媛)−三沢(青森)。最近では同じく夏の決勝で再試合に及んだ2006年の駒大苫小牧(北海道)−早実(東京)があった。タイブレーク制でこうした試合を見られなくなる懸念もある。
「障害予防の観点や、いい選手を育てるという意味から言えば賛成」。延長十七回に及んだ1998年夏の準々決勝のPL学園(大阪)戦など多くのドラマを演じてきた横浜の渡辺元智監督(70)は導入に理解を示しつつ、こうも付け加える。「(試合の中で)限界までトライし、頑張った経験が社会に出てから生きてくる。もう少し研究の余地があると思う」
「体が未成熟な中高生で肩肘を痛めてしまうというケースがあまりに多い」。横浜南共済病院(横浜市金沢区)のスポーツ整形外科部長で、プロ野球の横浜DeNAベイスターズのチームドクターも務める山崎哲也医師(53)はこう指摘する。
投球障害の患者を診察するのは、年間500〜千件。その多くが中高生だ。最近では、高校の強豪校に進学を目指すあまり小中学生のうちから肩肘を酷使、故障するケースもある。山崎医師は「ピッチャーの球数は医学的には制限した方がいい」と踏み込み、「思い切り投げたときに靱帯にかかるストレスは死体の靱帯を切るのと同程度。トレーナーなどがしっかりモニタリングできるシステムが必要」と断言する。
日本臨床スポーツ医学会は中学生で1日70球、週350球、高校生で1日100球、週500球などとする全力投球の目安を提言。米大リーグ機構(MLB)も昨年11月、球数制限、登板間隔の日数などを定めたアマチュア選手向けのガイドラインを作成している。
ただ、山崎医師は投手が一人しかいない公立校などを例に挙げて「高校野球が現行の大会運営を続ける限り、難しいだろう」と言及する。「高校野球は学校教育。そこで壊してしまうのは疑問を感じる。米国では細かく球数が規定されているが、日本で導入は難しい。独自のものをつくっていかなければいけない」と話している。
【記者の視点】限界挑む舞台とは=運動部・須藤望夢
炎天下、極限の緊張感。「早く開放されたい」。昨夏の高校野球の全国選手権神奈川大会で5試合、計752球を投げ抜いた、ある公立校の元エースはしかし、「野球を本格的にやるのは高校まで。壊れてもいいから最後まで投げ抜くつもりだった」という。
限界への挑戦こそスポーツの神髄だろう。戦い抜いた彼には賛辞の言葉しか浮かばないが、だからこそ今一度考えたい。その舞台が学生スポーツの場にあっていいのか、と。
一野球ファンとして延長戦の激闘には醍醐味を覚えるが、その裏で、未成熟な体を限界まで酷使し、将来を潰した選手がいることも事実だ。高校卒業後に戦いの場を求めないとしても、ぼろぼろになって戦う若者の姿は痛ましいし、彼らの戦いに過度に娯楽性を求めるのもどうかと思う。
「高校野球の投手起用には無理があると考える。とことん投げたいのは分かる。僕が投手でも甲子園のためなら壊れてもいいと思ったはずだ。だからこそ指導者の判断、管理が必要だと思う」。日米の野球を知る元大リーガーの松井秀喜氏はこんな言葉を記している。タイブレーク制を導入したから、それで終わりではない。選手の努力と覚悟を最大限尊重しながら、メディアを含めた大人たちが未来を守ってあげなければならない。
もう一度、あの夏に戻りたいか。そう問うと、元エースは苦笑し、言った。「今は嫌だけど、もう少ししたらやりたいなって思うかも」。野球はいつになっても魅力的なものだ。その思いを志半ばでついえさせてほしくない。
◆タイブレーク
野球やソフトボールで、早期決着を目的に延長戦で人為的に走者を置く特別ルール。高校野球では明治神宮大会、国体などで導入されており、延長十回以降の攻撃を1死満塁の状態から開始する。社会人の都市対抗大会では2003年から実施。国際大会では08年北京五輪のほか、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも09年の第2回大会から採用された。
2015年2月13日 神奈川新聞掲載
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高校野球界でも今春から、延長戦で人為的に走者を置いて早期決着を図るタイブレーク制の導入が進められている。硬式では関東など全国9地区の春季地区大会で採用されることが決まっているが、戦術面にも影響するだけに現場からは歓迎論も慎重論も聞かれる。
日本高野連が現在、示している案は二つのパターンだ。延長十回、または同十三回からの二つで、各地区が任意で選ぶことになっている。いずれも無死一、二塁からスタートし、打者は選択制だ。
今回の導入について、横浜隼人の水谷哲也監督(50)は「世界的に認められるスポーツになるためには取り入れなければいけない」と賛意を示す。投手の障害予防を目的としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などでも採用されるなど、タイブレークの導入はすでに世界の潮流とみている。
さらに同監督は「強者しか勝てない環境になっているのが現状。(タイブレークで)弱いチームが勝つチャンスが生まれる」と指摘する。選手層の薄い公立校が接戦に持ち込んでも、最後は層で勝っている私学の強豪校の前に力尽きるというケースは多い。その点で公立校にもチャンスが広がるとの見方だ。
しかし、昨夏の全国選手権神奈川大会で創部初のベスト16に導いた横浜清陵総合の佐藤雄彦監督(59)は、必ずしも公立校に優位になる制度ではないと言う。「堅実に守って1点を争う展開に持ち込み、強豪校に重圧をかけながら勝機を見いだすのが多くの公立校の戦い方。タイブレークだと失点のダメージの方が不安」と話す。
すでに関東では神奈川開催だった昨春の関東大会で導入されたが、それまでの試合の流れを断たれるケースもあった。佐野日大(栃木)−桐生第一(群馬)戦は九回まで1点を争う好ゲームが展開されたが、タイブレークにより1死満塁から始まった延長十回表に大量9点を奪った佐野日大が圧勝した。中学校でも指導し、タイブレークでの戦い方を知っている県相模原の佐相眞澄監督(56)は「流れが大きく変わるのがタイブレーク。単純な実力差だけで決着がつかない」と言う。
大きく高校野球のあり方を変えてしまうかもしれないタイブレーク。精神面を含めて実戦の場でいかに鍛えていけるか。タイブレークに得手、不得手のチームも出てきそうだ。
◆タイブレーク制をめぐる これまでの高校野球界の流れ
▽2011年11月 明治神宮大会で初めて導入
▽2013年10月 国民体育大会東京大会でも採用する
▽2014年5月 導入が春季関東大会にも広がる
同年7月 日本高野連が本格導入に向けて全加盟校対象のアンケートを実施
同年8月 軟式の全国選手権準決勝が延長五十回の激戦になる
同年9月 日本高野連がアンケート結果を公表。硬式では49.7%の加盟校が「タイブレークを導入すべき」と回答
同年11月 硬式は15年の春季地区大会で全国的に一律で導入することが決まる
▽2015年1月 軟式は今夏の全国選手権大会からの導入でまとまる。硬式はタイブレークに入るイニングを延長十回、十三回の二つから各地区で選ぶことが決定
2015年2月13日 神奈川新聞掲載