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高校野球News
管理人 / 2017-06-27 08:12:00 No.37769
松井の5打席敬遠あり? 埼玉の監督151人の答えは?
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1992年夏の甲子園、松井秀喜選手への5打席連続敬遠は、日本中で論争を呼んだ。

野球は勝負事。一方で日本学生野球憲章は学生野球を「教育の一環」と明記している。そのはざまで意見が分かれる選択を巡り、選手や指導者、ファンの間で議論が戦わされるのも、高校野球が長く愛され続け、それぞれの「高校野球観」があるからこそだろう。

朝日新聞さいたま総局は7月8日に開幕する第99回全国高校野球選手権埼玉大会(県高野連、朝日新聞社主催)の出場校の監督へのアンケートで、その5連続敬遠について「あり」か「なし」かを尋ねた。

有効回答151人のうち「あり」と答えたのは79人(52%)。あくまでも勝利を目指す「戦術」として肯定する意見が多数を占めた。「あそこまで徹底できた監督を尊敬する」「勇気がすごい」と明徳義塾・馬淵史郎監督の決断を称賛する声も多かった。

「なし」は51人(34%)。多かったのは「勝利が全てではない」「努力した成果を発揮させてあげたい」という答えだ。努力してきた投手のためにも、勝負させるのも重要という考えのようだ。

「どちらとも言えない」「その場に立たないとわからない」という意見も複数あった。いくら強打者相手でも、状況や選手の調子で判断は変わるという。

■「あり」の監督、勝敗にこだわる
「あの時の松井は別格。絶対に勝負はできない」と話すのは叡明(越谷市)の中村仁一(としかず)監督(52)だ。

自身も日頃の練習試合から、投手に敬遠を指示することは多くある。例えば2死二塁で4番打者を迎えたとき。一塁走者を出しても状況が大きく変わらない場面では歩かせる。試合の勝敗を考えれば、そこでためらうことはないという。同様の場面を想定し、普段の練習試合から「四球を出す練習をしている」。

浦和実(さいたま市)の田畑富弘監督(38)は、4番だった松井氏に一度でも打たれたら、試合の流れを持っていかれた可能性があると考える。「例えば3点勝っている場面で、満塁で松井を迎えたら、押し出しでもいい」。逆転満塁本塁打のリスクを考え「迷わず1点を捨てる」と話す。

■「なし」の監督、経験を重視
「全打席敬遠は100%しない」。春日部共栄(春日部市)の本多利治監督(59)は断言する。

作戦上、敬遠を指示することはあるが、全打席でしてまで勝負にこだわるのは「教育上考えられない」。超高校級の打者と対決できないのは、努力してきた投手のためにもならないと考える。「勝負できずにつらい思いをさせたくない」

山村学園(川越市)の岡野泰崇監督(41)は「素晴らしい打者と対戦させてあげたい」と話す。自身も立教大時代に川上憲伸(明治大、中日など)、高橋由伸(慶応大、現巨人監督)といった名手と対戦。「そういう経験は一生の宝になる」。自身が生徒に話しているのと同様、彼らが指導者や父親になった時に、子どもに伝えられる貴重な体験になると考える。

■その他の意見
【あり】
・ルール上問題はなく、勝つためなら仕方ない
・松井氏が日本を代表する打者になると感じた馬淵監督の眼力がすごい
・一つの戦術。「なし」とは言えない
・観客よりも、自分たちの勝利を考えることが優先
・勝利のための最善の策をとったはず。それをやりきれる監督だからこそ、常勝チームを作れると思う

【なし】
・「勝利至上主義」と教育は違う
・チーム、選手は何も得られない。高校野球にはあってはならない
・走者なしなら勝負するべきだ
・勝敗が全てではなく、互いに全力を出すのが高校野球
・甲子園という舞台だからこそ、勝負する気持ちを持ってほしい

2017年6月24日 朝日新聞埼玉版掲載

Re: 高校野球News
管理人 / 2017-06-27 08:24:00 No.37770
エースで勝負か、将来考慮か 斎藤佑の甲子園連投に賛否
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2006年の第88回全国選手権決勝は、延長15回引き分けの翌日、再試合を早稲田実(西東京)が制した。エースだった斎藤佑樹投手(現日本ハム)は1日目に15回178球を投げきり、翌日も完投した。

夏の甲子園決勝という、これ以上ない舞台ではある。ただ、選手生命を脅かしかねない負担も伴う。埼玉大会に参加する監督に聞いた。あなたが監督なら、斎藤投手の「再試合再先発」は「あり」?「なし」?

有効回答143人のうち「あり」は97人(68%)。「なし」の22人(15%)を大きく上回った。先発させる理由は「優勝がかかっているから、エースで勝負」「本人が『いける』と言えば投げさせる」との意見が目立った。

「なし」では「選手の健康を守るのも監督の仕事」「途中からなら投げさせるかもしれないが、先発はさせない」との意見が多かった。

■「あり」の監督、決勝なら起用
過去に延長15回引き分け再試合を3度経験したのが川越東(川越市)の野中祐之監督(53)。全て1年生が「第1戦」を投げ抜いたが、再試合では再先発させなかった。理由は「未来を潰したくなかった」から。

「ただ――」と野中監督は続ける。「甲子園の決勝なら、やはり投げさせるかな」。エースはチームの顔。優勝がかかった試合の意味、またエースの存在意義を考えるのも、監督の仕事と思う。

第80回記念大会で滑川(現滑川総合、滑川町)を甲子園に導き、現在は松山(東松山市)の滝島達也監督(50)は「納得感を得るため」に支持する。「『もう思い残すことはない』と全員が感じられることが勝利以上に大事では」。早稲田実の選択は「素晴らしい決断」と話す。

■甲子園出場の監督は「なし」
「将来を考えれば、無理をさせてはいけない」。東北(宮城)や九州国際大付(福岡)の監督として、幾度も甲子園を経験した埼玉栄(さいたま市)の若生(わこう)正広監督(66)はそう話す。

東北の教え子で、大リーグで活躍するダルビッシュ有投手は高校時代、成長痛や腰痛に苦しんだ。「夏の地方大会でも、少ししか投げさせなかったよ」。体作りも途上で、過度な負担は禁物だと感じていたという。もし無理をさせていたら――。「今のような活躍はなかっただろうね」

■その他の「あり」「なし」の意見
【あり】
・自分たちのエースなら、先発させない理由はない
・決勝まで投げて勝ってきた投手と「心中」する
・先発させることで選手が社会的にも成長できるのであれば良い
・やはりエースでないと不安だし、勝ちに行きたい
・力を抜いた投げ方を覚えることが大事。球数が全てではない

【なし】
・選手の未来を預かっていることを常に意識していたい
・世間は投手が1人で投げる姿を美化しすぎている。未来ある若者を大切にしたい
・選手はアクセル全開。ブレーキをかけるのも監督の仕事だと思う
・その後も野球を続けるのなら、高校野球はあくまでも通過点

2017年6月25日 朝日新聞埼玉版掲載

Re: 高校野球News
管理人 / 2017-06-27 08:29:00 No.37771
ベンチからの指示、破ってもいい? 監督や球児の考えは
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野球とサインは切っても切れない関係にある。アウト数やボールカウント、走者の有無、相手の力や調子――。監督は状況に応じて指示を送り、選手が実行する。ただ状況によっては、選手が自身の判断で指示に従わないこともある。

「教育の一環」とされる高校野球で、指示破りは「あり」か、「なし」か。埼玉大会に参加する監督や主将にアンケートしたところ、サインについて高校野球ならではの様々な考え方があることがわかった。

「指示破り」に「あり」と答えた監督は60人(41%)、「なし」は76人(52%)だった。一方、主将への同じ質問では「あり」40人(25%)、「なし」115人(73%)。選手たちの方が、監督の指示に忠実であろうとしていることがうかがえる。

浦和実(さいたま市)の倉山一樹主将(3年)もその一人。「監督の教えを実践することが大事」という。バントのサインで、甘い球が来たらどうする? そう聞くと「逆に『ラッキー』と思うくらいの気持ちでバントする」と笑った。

■「あり」と答えた監督は
6月中旬、さいたま市内での練習試合。蕨(蕨市)の選手は、打席に入ってもベンチを見てサインを確認することはなかった。

「私の指示をうのみにするようじゃ、試合には勝てない」。そう話す黒須清人監督(57)も、じっと選手を見つめるだけだ。

チームは選手がベンチに頼らない「自立した野球」を目指している。決まり事はあるが、実際にプレーするのは選手たち。「自分たちで考えてプレーする習慣を」と、日頃から練習メニューを考えさせるなど、自主性を重んじる。それが将来、社会人として生きていく上でも重要な能力になると信じているからだ。

自立を促す野球に、エースの小長由侑(ゆう)君(3年)も「攻め方から自分たちで考えられるので、野球が楽しい」と話す。

「人を育てることが勝利への近道」と黒須監督。自身の想像を超えたプレーを、選手に期待している。

■「なし」と答えた監督は
「(サインが出れば)まずはそれを完遂してこいということ」。聖望学園(飯能市)の岡本幹成(みきしげ)監督(56)は、指示が守られなければ独りよがりなプレーになり、チームとして機能しなくなると考える。

ただ、その上で「状況に合った個人の判断も必要」。例えば送りバントで、一塁手と三塁手が一気に前に出てきたら――。「バスターに切り替えて打つのはいい。ただ、フライは絶対にだめ」。バントの「延長」としてゴロを打つ自信があるのであれば「指示を破ったとはならない」。指示の狙いを理解しているなら、狙いを達するために別の判断を選ぶのは「あり」ということだ。

■その他の意見(いずれも監督)
【あり】
・選手が打席で感じ、判断したことであれば納得
・理由や根拠がしっかりしていれば、むしろ奨励している
・選手には思いっきり自分の思うとおりにプレーさせてあげたい
・自分たちで判断できるチームの方が成熟している

【なし】
・チームをまとめるのは監督。選手は監督を信じて行動する
・結果論では経験にならない
・監督、選手間の信頼関係を大事にしないのは、高校野球ではない
・勝利は選手のおかげ、負けは監督の責任。負けの原因が選手にいかないよう、指示には従ってほしい

2017年6月26日 朝日新聞埼玉版掲載

Re: 高校野球News
管理人 / 2017-06-27 10:43:00 No.37772
彩の高校野球観 あなたならどうする

◆現実的にコツコツと
県勢悲願の全国選手権制覇。甲子園経験校に限らず、そんな高い目標を掲げて練習に取り組むチームは少なくない。一方で「現実的」な目標を掲げ、日々コツコツと取り組むチームもある。どんな目標を設定し、それがチームのモチベーションにどんな影響をもたらすのか。埼玉大会出場校に聞いてみた。

◆チームの目標 成長へ高みを目指す
「全国制覇」を掲げるのは9チーム。花咲徳栄(加須市)や浦和学院(さいたま市)といった甲子園「常連」のほか、甲子園出場経験のないチームもある。

大宮西(同市)もその一つ。夏の最高成績は第52回大会(1970年)の埼玉大会8強だが、栄森匠主将(3年)は「高みを目指さないと成長はない。目標が低ければ、達成したらすぐに満足してしまう」。

2019年度から中高一貫の中等教育学校として生まれ変わる予定で、新入生は今春の入学者が最後。今年は3学年で臨む最後の「夏」だ。部員の減少で、来年、再来年は単独出場ができるかわからない。

だからこそ、全国制覇を成し遂げられれば「『大宮西』としても良い終わり方ができる」と思っている。「意地を見せたい」

◆「甲子園出場」
「甲子園出場」を目標に掲げるのは29チーム。聖望学園など出場経験のあるチームのほか、ふじみ野や武南といった未出場のチームも掲げている。

第71回大会(1989年)で甲子園の土を踏んだ市川越も「出場」を掲げる。中山陽雅(はるが)主将(3年)は「高い目標」として設定したという。

公立校でもあり、地域から「愛される野球部」を目指している。「いつも遅くまで練習して迷惑をかけているのに、応援してくれる」地域の人々に、甲子園出場で「恩返し」をと願う。簡単ではないが「難しい目標だからこそ努力し、少しずつ現実的なものにしていく」。それが「目標」だと考えている。

◆埼玉大会「○強」
「埼玉16強」など、埼玉大会の過程に具体的な目標を設定しているのは最多の44チーム。まずは過去の最高成績越えを目標とするチームが多いようだ。

過去最高成績が埼玉大会8強の本庄東の目標は「ベスト4」。田中和彦監督(49)はこれを「現実的」と捉える。達成のために採り入れているのが計画・実行・評価・改善を繰り返すPDCAサイクル。「1日500スイング」などの目標を決めて実行、毎月振り返り、目標が適切かを評価、改善していくという。

小野瀬英晴主将(3年)の目標は、誰よりも早く朝練を始め、夜は最後まで居残り練習をすること。「小さな積み重ねが、大きな目標達成につながる」と手応えを感じている。

2017年6月27日 朝日新聞埼玉版掲載

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