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榎本達也 情報
管理人 / 2017-11-21 10:32:00 No.39047
榎本達也 18期 現:FC東京コーチ
元JリーガーGK榎本、ブラインドサッカー代表に初選出…「手応えありません」試行錯誤中

2020年の東京パラリンピックで悲願の金メダル目指す日本ブラインドサッカー(視覚障害者による5人制)協会は元JリーガーのGK榎本達也(38)=F東京普及部コーチ=をアジア選手権(12月9〜18日、マレーシア・クアラルンプール)日本代表に初選出した。元Jリーガーが選出されるのは初めてで、同選手は今月上旬に千葉市で行われた強化合宿に参加。190センチの長身を生かしたプレーで存在感を見せたが、意外にも「手応えはありません」と試行錯誤の船出となった。

榎本は今年4月にブラインドサッカー日本代表の強化指定選手に選出、イングランド遠征などを経て、アジア選手権の代表の座を射止めた。直後の3日間の強化合宿では紅白戦でゴールマウスを守り、的確なコーチングを見せた。

「代表に選ばれたことは光栄ですが、自信とか手応えという感触はないです。公式戦は今回が初めてですし、実際どれだけできるか分からない。でも、手探りの状況の中でもしっかりと結果を残さないといけない。アジアの頂点を目指し、世界選手権の切符を取って、さらにその先に東京オリンピック・パラリンピックがある。時間がない中でも結果を残さないと」

Jリーグ時代はGKでも大きなスペースの中で動くことができた。しかし、ブラインドサッカーは狭いエリアでの動きが要求される。榎本の戸惑いはそこにある。15年9月に就任した高田敏志監督(40)はルール改正により、ゴールがボール1個分大きくなった状況で大型GKを探していた。F東京にルートがあり、予備動作が少なく至近距離や予測がつきにくいシュートに対して無駄なく対応できる榎本に白羽の矢を立てた。

「一度、花を咲かせて枯れて引退しているが、新しい花を咲かせるための球根をいただいた。自分の花をどう咲かすかは自分次第。自分で決めた以上はネガティブに考えない。チャレンジしても損はないですし、失敗だと言う人がいたとしても、人間の成長には必ず生きると信じています」

日本代表には佐藤大介(33)という世界でもトップ5に入る正GKが存在する。その図式は変わらない。高田監督は「榎本が加入して佐藤がよりレベルアップしてきました。いい相乗効果になっています。何度も彼(榎本)と話し合って彼を呼んだ。人間的にも素晴らしいし、他の選手からも頼れる存在になっている。(抜てきは)狙い通り」と証言していた。

現在はアカデミーで年中から小6までの選手を指導。合間にブラインドサッカーの練習に時間を費やしている。「ジムに行ったり自宅や近所の公園などでステップの練習や目のトレーニングをしています。ビジョントレや眼球運動ですね。10分もやれば頭は痛くなってしまう。以前に比べたら質という部分では変わりました」と話した。高田監督は経験を積ませれば大きな戦力になると見込んでいる。Jリーグから始めてブラインドサッカーに飛び込んだ榎本が新しい道を作る。

◆榎本 達也(えのもと・たつや)
1979年3月16日、東京都練馬区出身。38歳。6歳でサッカーを始め、浦和学院高から97年に横浜Mに入団。98年にはU―19日本代表としてAFCユース選手権の準優勝に貢献した。01年には退団した川口能活に代わってレギュラーを獲得。ナビスコ杯決勝ではPK戦で3本止めて大会MVPに輝いた。07年にヴィッセル神戸、11年に徳島ヴォルティス、15年にF東京に移籍、16年限りで引退して現在はF東京普及部コーチ。

◆ピッチとボールはフットサルサイズ

全盲から光覚(光の強弱を認識する感覚)までの選手が対象。ピッチサイズはフットサルを基本にルールが考案され40メートル×20メートルで4人のFP(フィールドプレーヤー)と晴眼者または弱視者が務めるGKの5人(交代人数は前後半各6人まで)がプレー。試合時間は前後半とも20分で敵陣のゴール裏にガイド(または『コーラー』と呼ばれる)が立ち、ゴールの位置、距離、角度、シュートのタイミングなどを伝える。その他はGKと監督だけが声を出すことができる。

ボールはフットサルと同じ大きさで転がると音が出る特別仕様。FP(フィールドプレーヤー)はボールを持った相手に向かっていく時は「ボイ」(スペイン語で『行く』の意味)と声を出さなくてはならない。選手の存在を知らせ、危険な衝突を避けるルール。発しない場合はノースピーキングという反則となる。

◆高田監督、アジア1位→世界選手権が金への「絶対条件」

高田監督は2020年の本番まで確かな青写真を描いている。アジア選手権で上位3チームに与えられる世界選手権(来年6月、スペイン・マドリード)の切符を取り、世界の強豪を倒すこと。それが東京パラで悲願の金メダルにつながると確信している。

「アジアではイランはリオの銀、中国が4位でした。アジアを勝ち抜かないとその先はありません。アジアで1位になって世界選手権に行くことが絶対条件だと思っています」と高田監督。イランとは過去、4敗4分けと一度も勝っていない。中国とは1勝8敗3分けと分が悪い。それでもイランのパワープレーに対抗するための体感トレ4人のFPで守って攻める全員サッカーを強化。差は縮まっていると高田監督も実感している。

「1位でアジアを勝ち抜くという意識はかなり浸透しています。世界選手権で世界1位のブラジル以外と対等な勝負をすれば、その後はブラジルだけを見ることができる」が確かな青写真でもある。

◆ゴールエリアとゴールサイズ
GKは縦2メートル×横5.82メートル(従来は縦2メートル×横5メートル)のエリアの中から外に出てはいけない。また、エリア内からエリア外のボールに触ることもできない。ゴールの大きさは縦2.14メートル×横3.66メートル(従来は縦2メートル×横3メートル)。いずれも今年の国際公式試合から変更となった。

2017年11月21日 スポーツ報知 掲載

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