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野球部 情報
管理人 / 2018-08-18 22:05:00 No.41180
石巻に恩返しできた 浦和学院・阿部選手

18日の夏の甲子園準々決勝で、浦和学院(南埼玉)の阿部鳳稀(ふうき)選手(3年)は一塁コーチスボックスで腕を振り、指示を送った。宮城県石巻市出身。同校による東日本大震災の被災地支援が縁で進学を決めた。支えてくれたチームのメンバーとなり、「野球部と地元に恩返しができた」。前を向いて大舞台を去った。

2011年3月。被災時は小学4年だった。下校中に大きな揺れに見舞われた。家族は無事だったが、自宅は床下浸水。同級生の女児とその母が津波にのまれたと後で知った。

市内の親戚宅に約1カ月間、身を寄せた。所属していた野球チームが練習で使っていた市立鹿妻(かづま)小の校庭は水没し、練習用具の入った倉庫も流された。「もう野球はできないのかな」

震災から2カ月後、野球道具がチームに届いた。浦和学院が始めた、復興支援の一環だった。阿部少年は真新しいスパイクを履き、白球を握ってキャッチボールをした。この年の冬には埼玉のグラウンドに招かれ指導を受けた。お兄さんたちは大きくて格好良かった。石巻に戻り、手紙を書いた。「大好きな野球を続け、必ず野球部に入ります」。13年4月のセンバツ大会決勝で優勝した同校の試合もスタンドで見た。進学の決意は固まった。

昨年12月、今も続く同校の復興支援で石巻に戻り、少年らに野球を教え、仮設住宅を訪ねた。「悲しみから抜け出せない」。そう訴える被災者もいた。

今回、初めて甲子園の土を踏んだ。大阪桐蔭(北大阪)に敗れたが、グラウンドから見る景色は気持ちがよかった。自分と同じように、被災地で野球を教わった少年が続いてほしいと思う。「石巻出身の自分が出ることで、いまだにつらい思いをしている人を少しでも元気付けることができたら」。そう話す顔は、大人びていた。

2018年8月18日 毎日新聞 ネット配信

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