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野球部 情報
管理人 / 2018-08-22 11:43:00 No.41222
投手は吉田、内野手は小園、外野手は意外なあの選手 

夏の甲子園大会は8月21日に決勝が行われ、大阪桐蔭が史上初の2度目の春夏連覇を果たし、幕を閉じた。惜しくも準優勝に終わったが、“ミラクル”金足農の躍進、エース吉田輝星の力投も見事だった。渡辺元智・横浜高校前監督とともに、今大会のベストプレーヤーの中から、ベストナインを選んだ。

渡辺前監督は「甲子園はプレッシャーとの戦い」と語る。力を出し切れるメンタルを持っているチームこそが上位に進出するという。

「心技体。技術がどれだけ素晴らしくても勝てないのが甲子園なんです。大阪桐蔭が甲子園でも安定した強さを見せたのは、春夏連覇をするんだという確固たる目標を持っていたからでしょう。『甲子園に出たい』だけでは、その先の戦いでは差が出ます。技術だけではなく、心を鍛えることで、その心がいいプレーを引き出してくれるんです」

対して、準優勝に終わったが、快進撃を見せ、球場のみならず日本全国を沸かせた金足農については、

「2016年の夏の大会で優勝した作新学院を思い出しました。甲子園という大舞台で1戦ずつ力をつけていきました」

昨今の高校野球の流行にあらがうかのような、徹底したプレースタイルにこそ、力をつけていった秘密があると、渡辺前監督は分析する。

「フルスイングに徹底するプレー、のびのび野球など、昨今は高校野球が時代の変化の中にいる感じがします。その中で金足農はバントを決め、センター前にしっかり打つ。これを徹底して、ぶれていない。伝統的な野球をしている。これこそが、1戦ずつ勝ち進めるチーム力を支えているように感じました」

1998年の80回大会で春夏連覇を果たし、甲子園を知り尽くす渡辺前監督。今大会に出場した選手をどう見たのか。ポジション別のベストプレーヤーを選出してもらった。

投手では真っ先に金足農の吉田輝星が挙がった。

「間違いなく今大会のナンバーワンでしょう。ストレートは速くて重いし、スライダーのキレもある。そして何より、ここぞの場面で三振が取れる」

吉田は準々決勝まで2桁奪三振を記録。ピンチになるとギアを上げ、伸びのあるストレートで三振の山を築いた。

「投球だけではなく、バント処理、牽制もうまい。あらゆる素質を備えている。特に準決勝の日大三戦で見せた、体勢を崩しながら二塁へ送球してアウトにしたバント処理。あれはプロのフィールディングです。足腰の強さを感じたし、相当練習をしてきているのでしょう」

渡辺前監督いわく、「投手は投げるだけではなく、投げた後は野手である」。吉田のバント処理に、かつての名選手を重ねる。

「バント処理でダブルプレーが取れたのは、桑田真澄であり、松坂大輔だった。吉田もそのセンスがある」

浦和学院の190センチ右腕・渡辺勇太朗も激賞する。投球フォームが大リーグエンゼルスの大谷翔平をほうふつとさせ、長身から投げ下ろすストレートが魅力だったが、準々決勝の大阪桐蔭戦で、渡辺の後を継いだ投手が打ち込まれ、敗れた。

「球のキレは抜群。それだけに準々決勝での継投は残念だった。彼と心中してもよかったと私は思いました」(渡辺前監督)

そして、下関国際を初のベスト8に導いた鶴田克樹も名前が挙がった。

「間の取り方がすばらしい。マウンドで長く持ったり、牽制を挟んだり、日ごろから考えながら投球しているのでしょう」

捕手では、その間の取り方も含め“賢い”選手が選ばれた。

渡辺前監督が推したのは大阪桐蔭の小泉航平。柿木蓮、根尾昂、横川凱といった多士済々の投手陣を支え、見事優勝へと導いた。

「投手がどれだけすごくても捕手が賢くなければ持ち味は引き出せない。そういう意味では、近江の有馬諒は特徴の異なる豊富な投手陣を巧みにリードした。その意味では日大三の佐藤英雄も共通している」

有馬と佐藤はまだ2年生。来年の活躍が待ち遠しい。

内野手で一番に挙がったのが、大阪桐蔭の遊撃手・根尾昂。

「根尾は投手で使っても、相手の送りバントでダブルプレーを狙えるほど守備が抜群。投手としてもトップクラスだけど、私は野手として推薦したい」

となると、二遊間でコンビを組むのが誰か気になる。

「報徳学園の小園海斗も名手。肩が強く守備範囲が広い。彼なら二塁手もできるんじゃないかな」

準々決勝の済美戦では、1点を争う5回に、センター方向に転がった打球に横っ飛び。惜しくもグラブの下をすり抜け、勝ち越し点を許した。9回にも失策し、追加点を許した。「彼ほどの名手が捕れなかった。そこで勝敗が分かれるほどに影響力がある選手だった」と渡辺前監督は振り返った。

今大会は守備が堅い二遊間が目立った。渡辺前監督も選出には頭を悩ませた。打球が飛んでからの一連の動作が速い野手はたくさんいる。しかし、球がグラブに入るまで目を離さずにこなせる選手は多くないという。

「下関国際の二遊間もよく鍛えられていた。浜松晴天と甲山達也。とにかく球を捕ってからが速い」

渡辺前監督がかつて監督を務めた横浜からは二塁手・斉藤大輝を選出。

打撃自慢が予想される三塁手には2本塁打を放った近江の北村恵吾、大阪桐蔭の中川卓也の名前が挙がった。

もっとも頭を悩ませたのが一塁手。エースナンバーを背負いながら、打力でも見せた2選手が選ばれた。

「花咲徳栄の野村佑希は打者として評価したい。パンチ力は目を見張るものがある。木更津総合の野尻幸輝も4番としてチームを引っ張った」

次は外野手部門。名前が挙がったのはやはりあの選手だった。

「大阪桐蔭の藤原恭大でしょう。打撃センス、打球の速さ、肩の強さ、足の速さと、すべてにおいて素晴らしい。準々決勝の浦和学院戦はインコースに来た球を本塁打にしましたが、見事なバッティングでした。スタンドに運んだあのフォームは高校生とは思えませんでした」

そのほか、走攻守そろった外野手に浦和学院の蛭間拓哉が挙がる。初戦の2回戦、仙台育英戦で本塁打を放つなど、主将としてチームを引っ張った。

「打撃もいいし、何より足が速くて守備がうまい。蛭間をセンターにして、藤原をライトに置いてもいいですね」(渡辺前監督)

このほか、初戦で4安打を放った愛工大名電のリードオフマン・柳本優飛、初戦で敗れたが、創志学園の好投手・西純矢から二塁打を放った創成館の峯圭汰の名前が挙がった。

【渡辺元智・横浜前監督の選考を元に編集部が決めた甲子園2018ベストナイン!】

投手:吉田輝星(金足農)
捕手:小泉航平(大阪桐蔭)
一塁手:野村佑希(花咲徳栄)
二塁手:小園海斗(報徳学園)
三塁手:中川卓也(大阪桐蔭)
遊撃手:根尾昂(大阪桐蔭)
左翼手:柳本優飛(愛工大名電)
中堅手:藤原恭大(大阪桐蔭)
右翼手:蛭間拓哉(浦和学院)
*大会中のポジションでない選手もいます

※週刊朝日オリジナル限定記事

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