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野球部 情報
管理人 / 2018-09-12 08:43:00 No.41567
U−18侍ジャパンスカウトが注目した「下位候補」たち

宮崎で開催されたU−18アジア選手権(9月3〜9日)に挑んだ高校日本代表にあって、注目度も活躍も抜きん出ていたのは、吉田輝星(金足農)、根尾昂と藤原恭大(大阪桐蔭)、小園海斗(報徳学園)という今秋のドラフト1位候補たちだった。

しかし、この舞台に悲壮な覚悟で臨んだ選手もいた。明徳義塾のエースにして、サイドハンドから鋭いスライダーやシンカーを多投する市川悠太だ。

「(高知大会で敗れて)この夏の甲子園に出られなかった自分にとっては、大事な最後のアピールの場。(今秋のドラフトでは)一つでも上の順位で指名されたいという気持ちはあります」

ドラ1ともなれば契約金1億円に出来高5000万の満額契約も夢ではない。一方で、市川のような下位指名の候補も、順位がひとつでも上がれば、手にする契約金や年俸が百万円単位で変動し、入団後の起用法も変わってくる。

昨年のU−18ワールドカップでは、秀岳館の田浦文丸(現ソフトバンク)が一気に株を上げた。ブレーキの利いたチェンジアップを武器に13回3分の2を投げ、投球回の倍以上となる計29三振を奪ってベストナインを獲得した。ある球団スカウトが語る。

「最下位あたりの順位での指名が予想されていた田浦は、W杯での活躍によって、指名順位が5位にまで上がった。当然、今年のアジア選手権でも、活躍によっては評価が一変する選手の登場を待っています」

そのスカウトが期待を寄せていたのが、浦和学院の190センチ右腕・渡辺勇太朗だ。1年秋からベンチ入りを果たすも、その後はケガに悩まされてきた。しかし、この夏は直球が149キロをマーク。スカウトが言う。

「我々が高校生で注目するのは、“のびしろ”。完成度は求めていない。即戦力が欲しければ社会人選手を指名します。渡辺は高校生活で投げられない時期が長かったにもかかわらず、あの角度のあるストレートと鋭く曲がるスライダーを投げられる。アジア選手権の活躍によっては、2位指名で消える可能性だってある」

渡辺は慎重に言葉を選びながら、淡々と自身のアピールポイントを口にした。

「まだ(プロ志望届を)出すかどうかわかりませんが、将来性があるな、と思っていただけるようなピッチングを心がけたい。まだまだ筋力のない弱い身体ですが、一応、140キロ後半を投げられますし、試合を作る投球術、フォームのバランスを見てもらいたい」

渡辺と同じ右の豪腕で、今夏の甲子園優勝投手となった柿木蓮こそ、最も評価を高めた選手だろう。参加選手最速の151キロを記録し、スライダーにフォークと変化球にも磨きをかけた。「外れ1位に入ってくるかもしれない」と話すスカウトもいるほどだ。

「良い意味で注目されていることを力に、甲子園の決勝戦を投げさせてもらったことを活かしていきたい」

アジア選手権期間中、柿木は吉田と同部屋で、決勝を投げ合ったふたりは互いに刺激し合っていた。

「自分の進路も大事にしたいし、投げる時は、アピールの場だとも思っている。チームが勝つ中で最高のアピールができたら……」

浦和学院の外野手・蛭間拓哉は、プロ志望届を提出して“プロ待ち”するとも、大阪桐蔭の中川卓也と同じ東京六大学野球の名門に進学するとも噂される。

予選ラウンドの韓国戦では、2度のチャンスにいずれも凡退。1対3と敗れた試合後は、いつも底抜けに明るい蛭間も、自責の念にかられていた。

「勝負強さをアピールしたいのに、逆に弱さが出てしまった。今後は一瞬一瞬を大切にしていきたい」

高校日本代表が臨んだアジア選手権は、列強との戦いの場であると同時に、野球人生を左右する決断の場であり、プロに向けた最後のアピールの場でもあった。

2018年9月12日 NEWSポストセブン掲載

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