ADVENBBSの過去ログを表示しています(閲覧専用)
竜人恒例・嘘予告だよ!
竜人 / 2009-10-12 02:27:00 No.1533
どしゃり、と湿った音を立てて、崩れ落ちた。
頬が地面に触れている。どくどくと流れていく赤黒い血を他人事のように眺めている。
感覚がなくなっていく。視界が暗転し、意識が次第に薄くなっていく。
「は、無様だな鉄の」
じゃり、じゃり、という足音。すぐ近く、見下ろすように立つ邪悪が、嘲笑う。
「我の誘いを拒むなど、たかが一介の守護天使ごときに許されるとでも思うたか。獅子は獅子王の下につけばよいのだ」
もう四肢の感覚がない。唯一残ったのは、聴覚とおぼろげな視覚のみ。
もう間もなく、死ぬのだろう。
負けたのだ。守れなかったのだ。
文字通り次元の違う存在。一撃も加えることなく、ここで消えてしまう―――。
「だが、我に臆さず向かってきたその度胸だけは褒めてつかわす。下らぬ矜持も記憶も消し去り、我が傀儡として新生させてやろう」
首をつかまれ、持ち上げられる。
もう、何も感じない。
視界の隅で、己が主を護るように立つ少女の姿が見えたが―――それも、すぐにぼやけていく。
「誰かを守る、など無意味な偽善を消し去り、我が右腕として新たな戦に生きるがいい・・・!」
「ぎ、っがあああぁぁぁぁぁ!?」
全ての感覚が失われた中で、カイルを苦痛が襲う。
これは肉体の痛みではない。魂魄の、存在自体の痛みだ。
激痛が走るごとに、己という存在が書き換えられていく。
消えていく。この存在が消えていく。
抗うこともできず、この魂が消されていく―――。

「どのみち、貴様の戦いに意味などない。貴様が何をしようと、救われぬモノは存在する。さらばだ、無意味と無価値の体現者よ。死して我が傀儡と成れ。この死は、意味と価値のあるものと誇るがいい」

そう、いつだって取りこぼしてきた。
どれだけ剣を、拳を振るっても、救いきれないモノは存在した。
踏みにじられ凌辱され蹂躙され、どうしようもない絶望に沈む者たちを幾百も目にしてきた。
どれだけ必死になっても、この掌から零れ墜ちてしまう。
・・・なら。どれだけ傷ついても、戦っても救えないなのなら。
この道(たたかい)に意味はあったのだろうか―――?
そうして、意識を閉じる、その瞬間に。

―――じゃあさ。アンタは、<何一つ拾うことができなかった>の?

懐かしい、女の声が聞こえた。

チャットしながら書きましたw
竜人 / 2009-10-12 02:28:00 No.1534
「え・・・・・・?」
ライオンのみさきは驚愕も歓喜もなく、ただ目の前の事実が信じられなかった。
カイルが、拘束を逃れている。獅子王の胸に前蹴りを叩き込み、大きく後方へ飛んだのだ。
不安定な姿勢から、満身創痍からの一撃。
着地もできず、無様に地を転がった。相手にダメージは一切ない。
それでも―――それでも、あの邪神を振り払ったのだ。
未だ勝機は一切ない。次元の違いは明白で、有効打も存在しない。
だが。決して屈しない、強靭な意志を宿した瞳が、邪神を睨んでいる。



「貴様・・・・・・?」
邪神に怒りはない。
驚愕も憤怒もなく、ただただ疑問だけを抱いている。
たしかに強い。守護天使にしては強い。
だが―――<たかが守護天使ごとき>が、何故我が手から逃れ得たのか―――?
答えが出ないまま、呆然と立ちあがったカイルを見続ける。



視界は明暗を繰り返し、自分が立っているのかも倒れているのかもわからない。
息をするたびにごぽごぽと口内の血が音を立てる。纏めて吐き捨てた。
「そうだ・・・貴様の言う通り、俺の戦いに意味はないのかもしれない」
多くのものを失った。何度も何度も取りこぼした。
傷だらけの旅路。間違いだらけの道は、きっとこの男の言う通りだろう。
「・・・俺が戦ったところで、何も変わらない。戦う価値なんてものはないのかもしれない」
ああ、だけど。
救われたと言ってくれた誰か。
選んだ道を認めてくれた誰か。
背中を預け、共に闘ってくれた誰か。
この拳に願いを託して逝った誰か。
自分を信じて、希望を託してくれた誰かが、いた。
ならば―――。

「知ったことか。貴様にとって無意味で無価値でも、残ったモノが在る以上、俺にとっては意味がある。価値が、ある」


―――よし、それでこそアタシの弟分よ。
懐かしい声が消えてゆく。かつて、共にあった義姉(あね)。守りたかった、護れなかった、大切な誰か。
最後の一言に苦笑した。あまりにも彼女らしい一言。
曰く。
―――あんなヤツ、ぶっ飛ばせ!

魂が、覚醒する。

執筆時間1時間34分・・・突貫だから、変なところも
竜人 / 2009-10-12 02:30:00 No.1535
その変化は唐突だった。
立ちあがったカイルの体から、金色の奔流が溢れ出す。
最初に起こったのは、<修復>だった。
ビデオテープの巻き戻しを見ているようだ。傷が瞬く間に修復され、消えていく。
次の変化は、右腕―――黒い義手だった。
手の甲、その中心部から変色が始まった。黒を駆逐するように、銀の輝きが右腕を塗りつぶしていく。
そして最後に、瞳が変色する。
茶色の瞳が一度目蓋に隠され―――次に開いた時には、金色の瞳に変わっていた。

「は―――ははははははははははははははははははははは!そうか、そういうことか!ク、くはははははははは!」

邪神の笑う声が木霊する。

「アクシオンが突然変異ならば、貴様は先祖返り!」
たまらない、と邪神の顔が愉悦に歪む。
成程、これならば疑念の答えとなる。
「守護天使でも呪詛悪魔でもない、その二つが分かたれる以前のモノ!星造の神、原始の神―――旧き神!」







戦力差は未だ無限。
勝機などない。されど、守るべき者がいるのならば。
絶望の中に、いまだ輝くモノがあるのならば。

「参れ、旧き者よ。そのすべてを打倒して、今度こそ我が下僕としてやろう―――!」
「神様ごときが、俺を飼いならせると思うな―――!」


Unsung Heroes parallel story

一縷の希望。それは、遠く旧きより来る、いのちのうた―――


と、いうことで
竜人 / 2009-10-12 02:33:00 No.1536
チャットで話してたG5さんのキャラとウチのカイルとの戦いです。
いやー、楽しかった!執筆中は脳汁が出るわ出るわw
こんな楽しかったのはいついらいだろーかw


この話が作られたときにチャットにいなかった人には何の話かわかんないだろーから・・・そのあたりの説明は任せましたッ!G5の兄貴ッ!!w

解説しよう
仮面ライダーG5‐R / 2009-10-12 02:41:00 No.1537
(=^ω^) 深く熱い嘘予告をありがたう。
さて、ここで登場する敵キャラについて俺から説明をば。
チャットで散々話してきた、大邪神事件の10年後の話であるクゥエル復活編に登場するラスボスが超邪神ネクロバイオス。
そして超邪神に仕える腹心の部下に獣王神(名前未定)って奴がおります。
獣王神は黒い獅子のような姿をしており、同族であるライオンのみさきに言い寄り、
更にカイル君を仲間にしようとスカウトしてきたという設定なのでありんす。
みさきちを守るカイル君、熱いねえ。かっこいいねえ(゚∀゚)

最終的には、再生クゥエルがバイオスとバトってる一方で、
獣王神とゼクシアも死闘を繰り広げる事になってまふ。

大雑把に言ってそんな感じです、ハイ。

Re: 竜人恒例・嘘予告だよ!
エマ / 2009-10-12 22:30:00 No.1539
なんと・・・G5さんの設定とのコラボ嘘予告とな?w

ネクロバイオスの腹心に戦いを挑むとは・・・いくらなんでも、ムボーにもほどがありますが、それをやっちゃうのがカイルっちなんですね。

古き神・・・守護天使と呪詛悪魔は元々一つの存在だった、というのはなかなかにおもしろいアイデアですね。陰と陽、双対する関係というイメージは確かにありますしね。

ただ、私の場合は守護天使と呪詛悪魔はなろうとする動機や対象となる人間のオリジナルの有無とか、いろいろ違いもあるので、そういう一つの祖から分岐した、というよりは、人間の姿になるためのメカニズムに共通する部分がある、という程度の解釈でいます。

ここらへんの解釈は、エマステのなかでもいくつかのパターンがあってよい気がします。

無価値、と言われ存在ごと消されそうになったカイルくんの心に響いた、「義姉」の存在が気になりますね。
そのうち、義姉さんとの思い出が語られる日も来るのでしょうか?

戦いも熱いし、嘘予告のままにしておくのがもったいないくらいですね(笑)

さぁ〜て、私も嘘予告、書こうかなぁ〜w

ADVENBBSの過去ログを表示しています。削除は管理者のみが可能です。