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[AS]第7話 感想
ライオンのみさき / 2011-10-09 20:01:00 No.2059
 たいへん遅くなりまして、まことに申し訳ないのですが、P.E.T.S.[AS]第7話の感想を申し上げます。すごく長いお話で筋立ても複雑で、考えがなかなかまとまりませず、いえ、今でもわたしの中でちゃんとしたものになっているとは言えませんし、何より濃い内容のすべてをとても語り尽くすことはできそうにないのですけど、それでも、とにかく思ったことを書いてみます。

 これから後はもちろんお話の内容に関わることになりますので、まだ未読の方はどうか[AS]第7話をお読みになってから、ご覧になって下さいませ。

 今回のお話では、今までのお話でのさまざまな謎や伏線が次々に明らかになっていて、驚いたり、納得したりの連続で、お話のスピーディな展開と相まって、息つく暇もありませんでした。

 最初の導入部そして、現代編へ行く前のお二人の会話の前でお話をしていたのは羽崎家の天使像に封じ込められた人間の魂で、それは祐一さんの恋人絵理さんのものだったわけですね。かつて交通事故(?)によって亡くなった……ところが、実はその時、祐一さん本人も彼女と一緒に亡くなっていて、昔の美月さんが出会い、お慕いしていたのは、その身体に乗り移って蘇生したように見せかけたラエルさんだったというのは、本当に意外でした。でも、天使像の絵理さんもそんなことを知らずにそのラエルさんを本当の祐一さんだと思って、そして、彼と仲良くなった幼い美月さんに嫉妬心を覚えるようになっている(それも、おそらく自然なものでなく、ペンダントの力によって)ようですから、その辺り、これから後の過去編の展開に不安なものを感じさせます。
 そして、ラエルさん。AS外伝でも登場されていて、お名前は存じ上げていましたが、こうした存在・立場の方だったとは……。でも、こういうことだったとすると、つまり、名前こそ出てはいなかったものの、このラエルさんという方は、すでにずっと前からASの過去編で活躍してこられていたわけで……わたし達読者もラエルさんということを知らないで、でも、もう何年も拝見して親しんできたということになりますね。あれはもちろん羽崎祐一さんご本人だと思っていたので、ティコさんのいささか唐突な説明にはかなりショックを受けました――たぶん、美月さんと同じくらい(笑)。“ラエル”というお名前にはまだ祐一さんほど親しみがないのと、ASでは子どものお姿だったので、いまだに妙な違和感を覚えます。(違和感と言えば、真相を知った美月さんがすぐ“ラエル”というお名前を呼んでいることにも、不自然さを感じました。あれだけ深い思いを向けていた方に、すぐ別のお名前を抵抗なく使えるものではないでしょう。――もっとも、それは美月さんがティコさんのお気持ちを慮った結果、そうなったのかもしれませが……)
 確かに祐一さんはただの高校生とは到底思えないような方ではありましたけれど、それでも、健介さんとの美月さんを間にはさんでのやり取りですとか、ああした常人離れした方でもやはり、普通の若者らしいところもおありになると安心するように思っていましたので、まさか、人間ではなかったとは……。
 でも、過去編での“祐一”さんとしてだけではなくて、今回またさらに明らかになったことからすると、これまで伏せられていたけれど、どこか別次元で物語を観察しながら語り合っていた存在のお一人は、ラエルさんだったのですね。こちらでも、ずい分前からずっと登場していたということで……本当にいろいろとだまされたような気分です ・ ・ ・ ・ (苦笑)。でも、もうひとりの方は、どなたなのでしょう……? それと、あの恐ろしげな真純先生のお父さまと過去編で一歩も引くことなく対峙されていたのは、さすが祐一さんならではのことと初め思っていましたが、祐一さんが守護天使ラエルだったとすると、それに対抗しうる真純先生のお父さまの方がただ者ではないということに逆転してしまうのですが、ここの会話ですでに普通の人間ではなかったということは示されていたのですね ・ ・ ・ ・ 。
 しかし、一方で、人間だった本物の祐一さんの方も魂だけの存在となって、物語の語り部として関わられているという……もう本当に複雑です。いえ、もちろん、おもしろいのですが。お話の中でも重要な役割を務めそうですし、絵理さんとのことといい、この先、新たに注目すべき方かと思われます。
 そしてまたラエルさんは、正体が判明する前のティコさんの戦闘シーンから、サポートとして声(思念?)だけですが、現代編でも登場なさっていますね。これからも、もっと活躍されるのでしょう。それも楽しみです。
 それにしても、ティコさんとラエルさんのご関係も独特のものですね。もし、ラエルさんが人間だったなら、ティコさんのご主人様となられていた立場ですし、そうではない現在の状況でも、守護天使となるべく育てられ、使命と力を与えられ、そして、美月さんというご主人さまに引き合わせるということまですべて――ティコさんの今のありようは、ラエルさんが一から十まで作ったようなものということになって、ティコさんにとっては誰よりも関係の深い、言わば、親以上の存在ということになるはずでしょう。でも、その割にはティコさんの側は美月さんのことに関する複雑な思いを別にしても、ラエルさんに対して反発のような距離を置くようなところがあって、優等生のティコさんにしてかなり珍しく、興味をそそられます。ちょっと連想しましたのは、サラさんとセリーナさんのご関係でした。
 また、そのことで、以前から時折語られていたことではありましたが、ティコさんが守護天使としては、ごく特殊な存在だということもはっきりしました。過去編での前世のシャム猫だったときの描写にしましても、人の言葉が分かるようだったり、折に触れ、普通の猫とは違うようなことが仄めかされていましたが、その理由も判然となって、それはやはり意表を突かれるものでした。言うなれば、ティコさんという守護天使は、ご主人さまとペットとの絆から自然発生で生まれた守護天使ではなく、人工的に作り出された守護天使だったというわけですね。周りから特別扱いを受けたり、ご自分でも強い自負を持たれていたわけも分かりましたが、同時に少しお気の毒にも思います。生まれる(転生する)前から、自分のことなのに他人にすべて決められてしまっていて……。ティコさん自身、意識しなくとも、そうしたことがラエルさんに対してのお気持ちや態度に繋がっているのかもしれませんね。

ライオンのみさき / 2011-10-09 20:01:00 No.2060
 そしてまた、今回、敵方のこともいろいろ出てきました。まず、AS外伝でのサキさんとレオンさんの最大の敵で、本編においても以前から登場されていた、ルガールさん達呪詛悪魔の三人組(外伝では、グレイさんはいらっしゃいませんでしたが)とその組織「シャドウ」。でも、それとは別に、こちらもAS外伝の最後でも登場されていたゼフィルスさんという方、そして、この方が属しているらしい“神の精鋭シザーズ”という守護天使とは違う天使(?)達の組織が陰謀の背後にいるようで、どうやらこちらの方がこのお話の敵側としては本命のようですね。でも、呪詛悪魔の組織である「シャドウ」も当然大きな脅威でしょうし、また、敵勢力が複数ということで、敵側同士の争いもあるかもしれませんし、この先のお話の展開はまた複雑になっていきそうで、まったく予測がつきません。
 それにしても、権威のある立派なお姿をなさっていたとは言え、また、もっともらしいことを言われたからといって、初対面でよく知りもしない方のご指示に従って、美月さん達の記憶を封じるなどという重大なことを、それもどなたにも相談もすることなく簡単にしてしまったというのは、これはティコさんらしくもなく、ずい分迂闊なことでした……いえ、それとも、これにも何か他に原因があったのでしょうか?(笑)
 でも、今になって怪しいと認識はされても、そちらとはまだ本格的な戦いにはなっていませんし、今回のお話ではやはり何と言っても呪詛悪魔の人達との戦いが見せ場でありました。いよいよASが本当に本格的な戦いもののお話になってきたような気がします。
 それも、ティコさんVSジードさん、ロックさんVSルガールさん&グレイさんの豪華二本立て!!(笑) 最初に思ったことは、まさかお二人とも、こんなに強いなんて……! ティコさんにはそれは、フェルジーンの力という切り札もありましたが、それがなくても、その前の操られている人達を相手にしたときの戦いぶりはとても普段戦いに携わったりすることのない普通の守護天使とは思えないものでした。それに加えて、フェルジーンの力――これはもう、反則ですね(笑)。ただ、ティコさんには完全には使いこなせないようで、そこにいろいろな制限はあるようですが……。
 そして、ロックさん。最後には負けてしまいましたけど、それでも、その強さは十二分に見せてくれました。何しろ、相手はあのサキさんさえ苦しめたルガールさんに加え、グレイさんのサポートもあってのことですし、それに、ティコさんのような特別な力の助けもなく、あくまで独力で戦った上でのことなのですから。それに、自分の力とは言っても、重力を操るその力は、充分奥の手と言っていいもので、インパクトはフェルジーンの力なみにありました。普通の守護天使としては、ちょっと強すぎる印象すらありますね(笑)。でも、負けてしまった直接の原因となったのが火に対するトラウマというのは、戦闘員ではない守護天使らしいところかもしれません。ところで、このロックさんのトラウマもお話の伏線になっていそうですよね。
 最後にティコさんとロックさん、美月さんのご関係について。ティコさんがマインドコントロールされていた美月さんにキスされている現場を目撃してしまって、ショックを受け、二人から離れようとするロックさん……哀しいですね。よくありがちな展開ではあるのですけど。ロックさんには、美月さんの異常に気づいてほしかったところですが……でも、ロックさんの衝撃は、前話で一度不信感を抱いたものの、ティコさんとのお互い本音をぶつけ合った話し合いで信頼を取り戻すことができた――そういうことが一度あって、そのうえでのことだったので、それでさらに深刻なものになってしまったのでしょう。あとで落ち着いて考え直す機会があれば、おかしいことに思い至るかもしれませんけど、この時点では仕方ないことかとも思います。
 でも、この先たとえそのことは事情が分かって誤解が解けたとしても、ティコさんは今回、異性として美月さんを意識しているご自分の本心を自覚してしまいました。そして、美月さんも今はラエルさんのことや次から次へと立て続けに起こる事態に混乱してしまっているだけで、ティコさんもロックさんも同じ家族とは言ってはいましたが、おそらくこれから後ルガールさん達に敗れたロックさんがすぐに戻ってこられることはないでしょうし、その間は二人きりで、ティコさんとの間の距離はますます縮んでいきそうですし……ここまできてしまうと、三人の間柄はもう元のような形には戻れないのではと、心配になります。

 本当にいろいろなことがあって、今回いろいろな疑問が解消したりもしましたけれど、一方でこのお話はこの先どういうふうに展開していくのか、美月さんやティコさん、それに真純先生もどうなってしまうのか、本当に眼が離せません。

 エマさま、まことにお疲れさまでした。次の第8話も心から楽しみにしております。どうか、頑張って下さいませ。

Re: [AS]第7話 感想
エマ / 2011-10-13 21:44:00 No.2061
感想、ありがとうございます。
いや、まさかここまで沢山の感想を書いていただけるとは思いませんでした。
エマさんお腹いっぱいです。がんばって書いて良かった(笑)

■天使像について
そうです。天使像の意識の正体は祐一くんのガールフレンド、絵理さんです。ちょっとヒントを出しすぎましたね。まだ7話では悟られないようにしたかったんですが^^;
彼女の魂も、もちろんラエルのことは一切知らないので、当然、ラエルを祐一だと思っています。この先、自分の意志で動くことも出来ない石の身体の中で、彼女の葛藤が続いていきます。この先の絵理の動きは、この先の重要なキーになっていきます。

■ラエルについて
意外だったでしょう? 美月と同じくらいショックだったとのことで、こちらとしてはしてやったり、みたいな(笑)
そうです。ラエルは祐一として、AS第3話から今まで活躍してたことになります。色んなところで、高校生らしからぬ不思議な言動をさせていたので、今ようやく、ああ、なるほど。そうだったんだ。と思えるんじゃないでしょうか。3話当たりからASを読み返すと、新たな発見があるかもしれませんね。
真相を知った美月さんがすぐ“ラエル”というお名前を呼んでいることについては、そうです。ティコの気持ちに合わせたからです。ただ、たしかに不自然と思われるのももっともなので、そこは少し配慮した方が良かったかも知れませんね。みさきさんの感覚の方が正しいと思います。
過去編と現代への間の謎の二人の会話。そうです。一人はラエルです。もう一人は誰なのか……これは多分、8話あたりで明らかにされるんじゃないかなーと思います。

■真純の父親について
真純の父親も、色々と怖い感じがしたり、夜、真純に対する謎の行動(虐待)は一体何なのか、といった謎の多い人物ですよね。もちろん、普通の人間の状態ではありません。
その正体は……8話か9話で明らかにされる予定です。そのときは、真純の父親だけでなく、真純自身についても、意外な事実が明らかになります。お楽しみに。

■祐一の魂について
よく気がついてくれました。そうです。AS6話で明らかになったように、ASの6話以降は物語の語り部として、神の視点に近い感じで活躍してもらっています。ただ、いずれ語り部として以上の役割を担う可能性があります。彼は自分と絵理の死因について真相を知って、怒りを感じており、彼自身の目的を持っているからです。

■ティコとラエルの関係について
サラさんとセリーナさんの関係に似ている、というのは良い指摘ですね。私も似ていると思います。確かに、ラエルがティコの現在の有り様のかなりの部分を作っていますから、たしかに親以上の存在です。ただ、ティコがラエルに対して複雑な気持ちを持っている理由というのは、自分の行く道を決められたから、ではありません。ティコも当時の美月のことをとても気に入っていたので、美月の守護天使になることはティコにとっても抵抗のない道だったのです。
ティコがラエルに対して感じているのは、主に能力的なコンプレックスです。ティコも普通の守護天使に比べると、守護天使としてのスキルや戦闘力、どれをとってもかなり優秀なのですが、ラエルの能力はそのティコが逆立ちしても決して勝てないくらいべらぼうに高いのです。
ティコが、いわば人工的に作られた守護天使だ、という指摘はうまい表現だなーと思いました。そうですね。自然発生的に生まれた守護天使ではないので、そこは普通の守護天使、例えば犬のロックとの最大の違いですね。

■ゼフィルス、シザーズについて
シザーズという組織の正体については、9話か10話位で明らかになると思います。実は、まったく皆さんが知らない組織、というわけではないのです。明らかになったときには、「ああー、アレだったのねw」という印象を持つと思います。お楽しみにw
あと、ティコが記憶封印というゼフィルスの頼みを簡単に引き受けてしまった理由は、それが正確には「頼み」ではなく、「実質的な命令」だったからです。ゼフィルスにつけられていた天界の管理者である紋章、あれはそう簡単に偽造することができない、かなり高位の大天使の印です。その上役が決めたことは、原則的に従わなければならない、という決まりがあった、ということです。ただ、実のところを言うと、ゼフィルスは守護天使界の存在ではないので、天界の管理者というのは嘘です。紋章は偽造ではなく(偽造は困難なので)、あるコネを使って本物を手に入れて、立場の詐称に使っていた、という裏設定です。
こういう事情があってのことだったのですが、たしかにあの文章だと、ティコがかなり迂闊だった、という印象を持たれてもしかたないですね。これは、書き手としての私の至らなさだと思います^^;

■ティコとロックの強さについて
ふっふっふ、強かったでしょう?(笑)
強さでいうと、二人とも普通の一級守護天使を超えて、最低でも魔王レベル位になると思います。フェルジーンの力については、確かに反則に近いものです。何しろ拳銃の弾を止めちゃうくらいですからw
フェルジーンの力がない場合は、ティコよりロックの方が強いです。いや、ティコも相当強いんですが。ロックの場合、見習い守護天使時代に天界で武者修行の旅に出たことがありまして、重力の力はその際に身につけた、という裏設定があったりします。
実は、ティコとロックは昔はもっともっと強い設定でした。ただ、イタチのカムドというこれまたメチャ強いキャラを作ったあたりから、「ここまで強いのはもうカムドだけでいいや」ということになり、ティコとロックの強さは今のレベルに落ち着いた、ということになります。いや、今のレベルでも相当強いんですけどねw

■ティコ、ロック、美月の関係について
たしかに、ティコと美月の関係はより近くなっていきそうな気もしますね。ただ、これ以上二人の距離が短くなる……時間すらないかもしれません。8話以降はさらに話が急展開しますので。
ロックはこの先どうなってしまうのか……。3人は元の関係に戻れるのか……。秘密ですw

こんなにボリュームたっぷりの感想を書いてくださいまして、本当にありがとうございました。次へのモチベーションに繋がります。
8話も今年中に出せればいいなーと思ってますので、気長にお待ちいただけますと幸いです^^;

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