ADVENBBSの過去ログを表示しています(閲覧専用)
白鷺、羽ばたく  第五回
原案:K−クリスタル 文:ライオンのみさき / 2005-05-22 13:48:00 No.559
 模擬戦の様相は、それからは一変した。闘技場の上の2人はお互いの位置、そして、攻守の立場をめまぐるしく入れ替えながら、闘技場いっぱいに動き回っていた。金属と金属のぶつかり合う、短いが鋭い高い音がその周囲で見守っている4人のところまで絶え間なく響く。
「……動きが軟らかくなったわね、彼女」
 攻め、躱し、防ぎ、また攻めるサキの様子を見つめながら、ノワールが言った。
「さっきまでは、攻める向きを変えたり、フェイントをかけたりはしていても、かんじんの本当の攻撃のときは、同じリズム、同じタイミングになってしまっていたわ。自分では、気がついていなかったでしょうけど――だから、それじゃ、とてもワイルドを動かすことはできなかったけど……でも今は、打ち込みの強弱も使い分けて、その分攻撃の幅が広がってる……」
「ええ、さっきのあれから、ようやく緊張がほぐれたみたい……わたくし達との訓練では、それももうある程度できていたのよ。でも、さすがに知らない相手、それもワイルドほどの人を前にしては、初めから普段の動きはむりだったようだけど」
 セリーナの説明に赤くルージュを引いた唇からふっと笑い声を洩らし、クリムが頷いた。
「レオンのおかげということね。それだけでも、あの子の監督官としての資格は充分だわ」
「そうよね――本当に、普段のあれはお芝居だったのね……。わたし、すっかりだまされてたわ」
 鳩のレオンの見せかけをそのまま受け取っていたことにややショックを受けたようなノワールに、クリムはやさしい口調になって、
「あなたは、男の人をあまり詳しく見ないから……」
「そうなのよね……。わかってはいるんだけど、どうしても……だめね、わたしって」
 ノワールにはもともと男性恐怖症の気があった。それは彼女の前世であるクロゴケグモの雌の持つ、交尾後、雄を食べてしまうという性質への反動から来ていた。前世での本能を守護天使として転生した後の理性・感性が激しい嫌悪をもって忌避したからだった。しかし、彼女の主人も男性で、その人物のおかげで、その後ほぼ克服することができた。だが、恐怖症というほどのものではなくなったにせよ、本能が原因なだけにまだ根深く男性というものへの苦手意識は残っている。特にそう親しくない相手にはなおさらのことで、そのため、他の対象にはかなり冷静なものの見方をするノワールが、こと男性に関する限り、その眼は欠けていた……と言うより、初めからそれほど意識を向けようとはしない。
 それを誰よりよく知るクリムの表情は、先ほどレオンに対しての鋭い洞察を示した時とはうってかわったやさしくいたわるような様子だった。ノワールの方も、普段、特に1人でいれば、クールな落ち着いた雰囲気を漂わせているこの女性がクリムの前だと、時折、今のような自然に頼るような、もっと言えば、甘えるかのような態度を見せることさえもある。絶大な信頼感の現れなのだろう。見た目と同様、性質も全く対照的なこの2人の女性がまるで姉妹のように仲がいいというのは評判だったが、こうして実際を目の当たりにすると、それも頷ける。そして、『プアゾン』というチームの連携の見事さも、どうやらそこにその一つの要因があるようでもあった。
 ――いいな……と、思っていた。疼きのようなものさえ伴う、そういう羨むような気持ちが自らの中で強く動いたことに気がつき、セリーナは戸惑い、自分で驚いた。そして、その時、初めて思い至った。
 ひょっとしたら、自分はこの2人のような関係のありようをサキとの間に求めているのではないか……。サキという少女を知った時、レオンが一目惚れと言っていいほど、その境遇・またその存在にすっかり魅せられてしまったように――レオン本人は、最初のうちはごまかそうとしていたが、あまりにも見え透いていた――セリーナ自身もまた、初めからあの少女に圧倒的に惹かれていたのだった。
 だからこそ、現在サキが自分へと向けてくる敵意に切なさを感じもするのだろう。憎まれ役など、もともと自分には向いていないと思っていたが、その苦痛はそういうことだけではなかったわけだった。……ロイ司令から受けた特命を果たすためであり、ずっとこのままというわけでもなく、何より、サキ自身のためでもあると考え、自分でそう仕向けたことではあったが、この頃セリーナにはそれがつらかった。そして、相手のサキがこれがまた素直と言おうか、こちらの狙い通り、いや、それ以上の反応を返してくることには、時としてやり切れない思いに駆られたりもする。
 しかし、今のところはそれが必要だった。
(サキ……)
 今はまだ分かってもらえないにしろ、いつかきっと……サキを見つめながら、そう思い、セリーナは改めて決意を固める。自分から選んだこととは言え、まったく損な役回りだとは思う。だが、それがサキのためになるのなら、仕方がないことだ。今の立場では、あそこにいるレオンのようには、表立って応援もできないが……。
 そのレオンは武闘場の上の光景にすっかり見入っていて、こちらに来ることも忘れたようだった。
「よし、そこだ……!」
「いけ、サキ!!」
 ……実際にそう声を上げているわけではないが、握りしめた拳と表情から、そうした叫びさえ伝わってくるような気がした。
(……いい気なものだわ)
 そういうふうに役割を振り分けたのは自分の方で、また先ほど、サキの心を落ち着かせるだけ、すでに彼がサキの信頼を勝ち得ていたことに感謝したのも間違いはない。――だが、そんなレオンを少し憎らしく思ってもしまうセリーナだった。

白鷺、羽ばたく  第五回
原案:K−クリスタル 文:ライオンのみさき / 2005-05-22 13:51:00 No.560
(やはり……まだか……) 
 いつの間にかセリーナから理不尽な不満の念を向けられているなどとは夢にも知らないレオンは、実際には、ただ応援などと暢気に構えていたわけでもない。やり合うサキとワイルドの様子に集中して、ずっと観察を続けていた。
 先ほどのサキの一撃から、それまでとは違い、サキとワイルドは互角の攻防を繰り広げているように見える……。
 だが、実はそうではない。確かに今ではワイルドは、サキの打ち込みを待ってそれを迎え撃つだけではなく、自分の方から攻撃を加えてもいる。しかし、それは決して本格的なものではないのがレオンには分かった。激しい攻撃のようでも、サキを叩きのめすような最後のところまでいきはしない。ようは、その攻撃とはサキの防御の様子を見るためのもので、それ以上のことはしていない。逆に言えば、今でもそうしていられるだけの余裕がワイルドにはある。
(すごいテクニックだ。こうやって見ているだけで、俺にだって参考になる……。残念だが、今のサキの腕じゃ、とても対抗のしようがないな)
 そう、技では到底対抗は不可能――しかし……。
(むしろ――サキなら、圧倒的なパワーで真っ向から押していくみたいなのの方が自分のペースに持ち込めるかもしれない……。ワイルドも力はありそうだが、それでも単純な力の勝負なら、サキの方に分があるはずだ。だいたい、片手1本ずつ使っている限り、力は分散するわけだし……)
 とは言え……さらに、思考を続けたレオンはかぶりを振った。
(しかし、そんな状況まで、ワイルドの方でもっていかせてはくれないだろうから、それも無理か……)
 現に、たとえば打ち込みの威力を出し切れるよう剣を大きく振りかぶるべく、サキが少し間合いを取ろうとする――そういう時には、サキの動きに合わせて、ワイルドの方はぐっと間近に迫ってきて、そうはさせない。
 かと言って、仕切り直しとして、一度大きく跳び退っていったん距離を空けてから攻撃にいくと、今度はその距離を利用して近づくまでにサキの動きは読み切られ、巧みにあしらわれてしまう……。
(サキは、せっかくのそのパワーを活かしきれない……いや、ワイルドに封じられてしまっている) 
 そして、そのための距離の取り方、またその切り替えのタイミング、それがレオンからしても、舌を巻くほどにうまい。
 一見自由に、いくらでもやりたいように攻撃を仕掛けられるようでありながら、その実、一度も自分の距離で、ベストの打ち込みをさせてもらってはいない。サキとしては、ひどくやりにくいはずだった。
(たった一発でもいい……渾身の一撃ってやつを、サキに打たせてやりたいが……)
 難しいと知りつつ、レオンは願った。
 ――だが、レオンの分析は半ば当たっていたが、それでもサキ自身の気力は充実していた。確かにまだこれという一撃を出せてはいないが、それでもこうしてお互い動き回り、攻め合っていることは、彼女の生来の活力に合っていた。何より、先ほどまでの、まるで壁を相手にしているかのようなむなしさからは解放されていたのだったから。
「はっ……!!」
 今もまた気迫のこもった横なぎの一閃を放つ。ワイルドにはわずかに後ろへ下がることのみで躱されてしまったが、その勢いは、空気を切り裂く音が闘技場の周囲にいる4人の耳にもはっきり届くほどだった。
「惜しいっ……!」
 ノワールが声を上げた。
「今の、ほんのあと数センチ、奥に伸びていれば……」
「そうね。それでも、もちろんワイルドには受けられていたでしょうけど……でも、今のぐらい強いのを受けさせられていれば、うまくいけば体勢を崩すか……そこまでいかないでも、彼の動きを少し止めることができたはずだわ」
 クリムも同意を示した。
「後に続けることができたわよね。でも――それにしても、さっきから思っていたんだけど……」
「なに?」
「あの剣だと、彼女には、短かすぎない?」
 答える前に、クリムはセリーナの方をうかがった。セリーナは、聞こえているはずだが、あえて黙っているようだった。
「……そうね――まあ背が低いぶん、標準より短かめの剣を使うのは……」
「えっ!?」
 何も言わないつもりだったが、耳にした言葉に、セリーナは思わず反応してしまう。
「え、“背が低い”って、その――サキが……?」
「? そうだけど……何か?」
「あ……いえ、別に……」
 あわててセリーナは、前へ向き直った。そして、口の中で、もごもご続ける。
(そりゃまあ、あなたに比べれば、ね……)
「……。こほん――だから……とにかく、男性の平均身長ほどはないわけだから、一般的な基準なら、あのぐらいの長さが彼女には合っていることになるわけだけど……」
「でも、長い剣を振り回すのにいる力も、あの子なら心配なさそうだし……身長や、特にリーチの割に長い剣を使うとき出やすい、取り回しのしにくさという弱点も、彼女のしなやかな動きや身体の柔軟性から言って、大丈夫みたいだから――それより、打ち込みのあの大きくて豪快なフォームを見ていると、もっとずっと長い剣の方が彼女の持ち味を引き出せると思うんだけど……どう?」
 ノワールがセリーナに向けても問いかけると、
「ええ。それは、その通りよ……」
 セリーナは今度は答えたが、やはりそれ以上は語らなかった。が、クリムは頷いていた。ノワールは小首を傾げたが、少しして思い当たったようで、
「ああ、そう……待ってるのね」
 もちろん、セリーナにはそのことはとうに分かっていたのだった。ただ、それを言葉でサキに教えることはしていなかった。訓練の中で、サキが自然に自分自身で気がつくことが――自分の戦いの資質を見きわめるのも、彼女の戦士としての成長に必要なことだと思ったからに違いなかった。クリムもそれが分かったのだろう。
「ごめんなさい。よけいな……出しゃばったことを……」
 謝るノワールに、セリーナは首を振った。
「いいえ、それどころか、会ったばかりのサキのこと、そんなに考えてくれるなんて、感謝してもしたりないくらいよ――もちろん……」
 セリーナは再び闘技場の上へと眼をやる。
「あそこまで相手してくれている、ワイルドにもね」
 すると、ノワールは少しおかしそうにクールな顔をほころばせた。
「ああ、どうも彼……彼女のことは気に入ったみたいだから」
「……そうなの? (わたくしには、全然分からないけど……)」
「ええ。見ていれば、分かるわ。――ねえ、クリム?」
「ああ……そうね。確かに……」
「レオンが来たのだって、さっき、さりげなく彼女に教えてあげたりもしていたし……」
「あ……! やっぱり、そうだったのね……。もしかしたら、とは思っていたけど」
 ノワールの言葉に眼を見開いたセリーナの横で、クリムはやや複雑な表情を浮かべていた。
(ワイルドのことなら、よく見えているのよね……)
 そして、ノワールの視線を辿るようにして、闘技場の上の男に眼を振り向けた。

白鷺、羽ばたく  第五回
原案:K−クリスタル 文:ライオンのみさき / 2005-05-22 13:51:00 No.561
 心惹かれるものがある……。まだまだあちこち未完成だが、それでも、随所にきらきらと凡庸な者には決してあり得ない光るものがいくつも見つかる……。
 ひととおり剣を交えて、ワイルドの得た感想はそういうものだった。
 たぐいまれな素質については、最初の一撃を受けた時、もう充分把握していた。だがしかし、本人がいかに秀れた天稟に恵まれていようと、それだけで達することのできるようなところには、白鷺のサキはいなかった。
 ――さすが、“雷光のセリーナ”が手塩にかけているだけのことはある……。
 雷光剣――それは、白鳥のセリーナの持つ特殊能力の一つの名称だったが、他のフェンリル隊員が彼女を指してそう呼ぶのは、彼女の剣捌きの並外れた速さと鋭さに敬意をもって、そう言うのだった。
 正当的な剣技において、セリーナの実力は全フェンリルメンバー中でも有数であり、特に女性に限って言えば、現在はっきり彼女を凌ぐと言いうる者は、おそらくはただの1人しかいない。
 しかるに、このサキは……訓練を始めてまだわずか3ヶ月にして、剣の速さはすでにそのセリーナに迫るほどであり、しかも同時に威力の点では、明らかに遙か凌駕している。
 セリーナの剣が重さより鋭さを優先し、速さと技術で力を打ち負かす技の剣だとすれば、サキのそれは、高いレベルで速さと威力が初めから融合した、剛柔併せもつ剣――セリーナに教えを受けていながら、形を成そうとしているその剣は、セリーナのものとはまた全く異なったものになりつつあった……。
 理由は知らないながら、ワイルドはサキが師たるセリーナに、どうやら内心反発心らしきものを持っていることを見て取っていたが、同時にだからと言って、反抗してその指導に従わなかったりはしないのがこのまっすぐな少女だろうということも、もう見抜いて分かっていた。
 従って、サキがセリーナ自身が行ってきたものとほぼ同じ訓練をこれまでやってきたのは間違いのないことのはずだった。それなのに、結果は全く違う。それはつまりは、この2人の持って生まれた資質の違いということになるのだろう。
 同じカットを施し、同じように磨いたとしても、サファイアは青く輝き、ルビーは紅い光を放つ……。
 だが、未だ荒削りであるために、そしてまた、ワイルドが今まではその力を100パーセント発揮はさせないようにしてきたため、サキの剣はまだその本来の威力を見せてはいない。
 もし……彼女が何の障害もなくその力を出し切ったなら、それはどのような、そして、どれほどのものなのか? 
(……確かめてみるか)
 構えてじりじりと迫ってきていたサキから、すと体を外すと、ワイルドはやや離れ、間合いを取った。様子を見てつかみ、そして、これまで決してその距離だけは取らせてこなかった、ちょうどサキが跳び込みざまにいちばん力を出しやすい、まさしくその距離だけを……そして、サキの正面に立ち、彼女の方へ向き直った。
 訝しむサキの緑の瞳に、ナイフを持った相手の右の手が内側へと軽く振られるのが映る。 
 そして、サキは初めてワイルドの声を聞いた。
「打ってこい――全力でな」

もうすぐ、夏ですね ・ ・ ・ ・
ライオンのみさき / 2005-05-22 14:12:00 No.562
 こんにちは。

 『白鷺、羽ばたく』の第5回です。……どうしても、だいぶ間が空いてしまいます。予定では、あと2回くらいで終わりのつもりなのですけど、それでも、このペースでは夏休みまでに完結しますかどうか ・ ・ ・ ・ (汗)。
 何とかがんばっていきたいと思います。――これも、毎回言っているようでもありますけれど……。

 それで、いつもより少し長かったので、本文でレス二つついてしまいました……。それだけの内容があって、お楽しみいただけますと、よろしいのですが。
 今回のポイントは、お話の中の人たちの内面――特に、微妙な心の揺らめきみたいなものになったかと思います。……その反面、こういうお話なのに、相変わらずアクションそのものは少ないようですけど ・ ・ ・ ・ 。

 皆さまは、いかがお思いになりますでしょうか……? ご感想等、どうぞ、よろしくお願いいたします。

Re: 白鷺、羽ばたく  第五回
ダイダロス / 2005-05-26 21:40:00 No.570
ども、「白鷺羽ばたく」の第五話、読ませてもらいました。
この話も、いや、今回に限らず、サキやセリーナ、「プアゾン」の面々の心理描写が非常に巧みで面白いです。

前回、ノワールさんがレオンの「演技」を見抜けていなかったのは、彼女の前世の本能から来る苦手意識が原因だったのですね。そして、それを優しくフォローするクリムさんとの間には、絶大な信頼関係があるのでしょう。
セリーナが、この二人のような関係を、サキとの間に求めた事も頷けます。確かに、セリーナは「鬼教官なんて柄じゃない」と、レオンも当人も認めていますからね。
しかし、サキの信頼を勝ち得たレオンに軽い嫉妬を覚えるセリーナ、こう言っては何ですが、ちょっと可愛いと思ってしまいましたね。(笑)

それにしても、サキの剣に関する設定を補完して下さって、とても驚いています。いや、悪い意味じゃ無いですよ。むしろ逆です。本当に、よくここまで矛盾無く補完してくれたものだと、感心しています。
このように、本編の設定を踏まえた伏線を張ってもらえると、非常に嬉しい物がありますね。
サキは、訓練〜初陣まで、常に通常サイズの剣を使っていました。ただ、その剣の威力不足を感じていても、「それはまだ自分(サキ)が未熟だからだ」と認識していたのです。初陣において、サキ自身が驚く程しっくり来る剣を手に入れて、ようやく「威力不足」の原因が「今までの剣が軽すぎた為」だと理解したのです。その剣を使う事に関しては、まあ、色々と葛藤もあった訳ですが。>仇敵の所有物だった為。

また、セリーナを特務機関でも有数の、剣の使い手と設定して下さって、ありがとうございます。しかも、彼女を凌ぐ剣の使い手は(女性では)一人しかいないという事まで……あ、念のためにお尋ねしますが、これは「レディ・サラ」の事ですよね? だとすれば正解ですが、もし違う場合、「正当的な剣技において(中略)おそらくは二人しかいない」という風に変更して下さい。勝手な事を言って申し訳ありませんが……

「打って来い――全力でな」
このワイルドさんの言葉に、サキがどれほどの力を見せる事になるのか、また、ワイルドさんが、(この時点での)サキの全力に対してどのような感想を持つのか、非常に気になります。次回が、今から楽しみです。

あと二回との事ですが、どのような形で終わるのか、(終わってしまうのは名残惜しいですが)楽しみにしていますので、焦らずに頑張って下さいね。
では〜〜。



追伸:書き込みの間隔、大幅に開いてしまってすみません。(汗)
ここ最近は体調を崩してしまい、何をするにも億劫になっていたもので……一応、毎日ROMってはいましたが。
今、幾つか温めているネタがあるので、できれば近日中(?)に発表したいと思っています。

Re: 白鷺、羽ばたく  第五回
エマ / 2005-06-10 01:51:00 No.585
こんばんは。
「白鷺、はばたく」も5話目、ストーリーも転換点に近づきつつあるのでしょうか。

 前回の終わり、一瞬の機転からサキさんが状況を打破したのをきっかけに、ワイルドさんも力量の制限を外して戦うようになってきたようですね。相手のペースから逃れて本来の動きを取り戻せたのが、他ならぬレオンさんの存在を得たから…。長年の読者の我々からすればとても分かりやすい事ですけど、それだけ、サキさんが感受性や意思が素直という事なのでしょうね。もっとも、ノワールさんにはそうさせたレオンさんの一面の方に、驚きを隠せなかったようですが。
 その事をきっかけに、ノワールさんのトラウマやクリムさんとの関係、そこからさらに、セリーナさんのサキさんへの密かな願望まで発展させていったのは面白かったです。個人的には、そこまでサキさんに対し歯がゆい思いをするのは、私の中の彼女のイメージに合わなかったのですが、確かに死の先で描かれている過去の話を読み返すと、そういう思いを持っていたとしても不思議はないのかもしれません。有能で責任ある立場ではあるが、下した決断の裏に、現実と理想との矛盾で密かに苦悩を抱えてしまう事が多い人なのかもしれません。その意味では、メティファさんなどと違い、精神的・性格的な側面で考えると、フェンリルのような組織の幹部に向いた人ではないのかもしれませんね。今回も、レオンさんに半端嫉妬のような気持ちを向けたりしてますし(笑)
 有能なだけでなく、そういう人間らしさを時折覗かせてしまう所が、私がセリーナさんを気に入っている理由の一つだったりします。もっとも、私の中では、鬼教官や鬼上司として振る舞うセリーナさんもとてもかっこいいと思っているのですけれど。

 後半では、レオンさんの視点からワイルドさんの戦闘スキルの分析がなされていますね
。彼の戦い方の特徴についての説明を見る限りでは、彼の強さは「相手の動きを読むセンス・経験」と「自分の武器と体の特性を熟知している」という、両方の側面から来ているように感じます。戦闘技術そのものも高いレベルなのでしょうが、その二つ、言わば敵と己の特性を見極めて、次にどう動けば良いのか、常に最適解を出せる所が、彼のオールラウンダーたらしめている要因なのではないかと、勝手に想像していました。クリスさんの設定とは、少し違うのかもしれませんけど……、試行錯誤で攻め手を考えているサキさんとは、そこが大きな差となっているのかもしれません。技術面だけでみれば、そこまで天と地ほどの大きな差はないように思いますからね。

 また、クリムさんがサキさんの剣の長さについて言及していますが、なるほど……当時はまだロスト・セラフィは持っていなくて、官給品で訓練していたんですね。本人自ら気づいた方が良い、というのがクリムさん、セリーナさんの見解については、上手いなと思いました。これって、別にダイダロスさんの既存設定にあった訳ではないですよね。

 みさきさんのお書きになる文章って、現実の具体的な描写が少ないので、ありありとその場を想像する事が多少難しい(大部分が読者の自由な想像に委ねられる)面はあるのですが、反面こういった、キャラクター個人個人の、あるいは互いの相関における新しい何かを発見できる所が上手だと思いますし、私は好きですね。私の場合、どうしてもそこらへんに偏りが出てしまいますから。

 最後、ワイルドさんが初めて口を開きましたね。もしかしたら、本邦初?でしょうか。
 かっこいいセリフというだけでなく、一見何にも興味を持たないドライな人かと思いきや、案外熱い物を秘めている、そういう印象を受けたセリフに思いました。

 次回、いよいよ2人の全力の戦いと、サキさんの飛躍的な成長が見れそうですね。次も楽しみにしています。

ADVENBBSの過去ログを表示しています。削除は管理者のみが可能です。