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VSS「チェンジ!」
ダイダロス /
2005-06-16 21:56:00
No.596
Ririririririririririri!!
目覚ましの音に、レオンは目を覚ます。
彼は、本日は久々のオフであり、のんびり過ごす予定いた。
ゆっくりと、ベッドから体を起こしたレオンは、ふと違和感を感じる。気配がするのだ。何故かベッドの上、毛布の中から。レオンの腰の辺りの隣から。
気配のする場所に目を遣ると、毛布がこんもりと盛り上がり、それがごそごそと動いているのだ。
「うーん」
などという、女の声と共に!
(……ええと……落ち着け落ち着け……昨日の夜、何をした……そう……セリーナとバーで酒を飲んで……相変わらずセリーナは酒豪……ってそんな事は置いといて、セリーナとはバーを出た所で別れたんんだったよな。そして、そのまま官舎に帰ってきて寝たはずだ。そうだ、昨日は珍しく早めに……夜中の12時頃にベッドに入ったんだ……もちろん一人でだ。間違い無い)
そんな取り留めの無い事を考えながら、混乱した様子でベッドの上にできた盛り上がりを見据える。
昨日の記憶を総動員しても、このような状況を解決する手立てにはならなかった。
こうしていても埒が明かない……そう判断したレオンは、意を決して毛布を勢い良く捲る。すると……
「#&$%※φ>¢£Σ@!!!!」
声にならない声を上げたレオンは、一瞬で石化したように凍りついた。
何故なら、レオンの足に小さな女の子がしがみ付いていたのだから。
「ん……」
その女の子は、レオンの声に驚いたのかゆっくりと目を開ける。
そして気だるそうに目を擦りながら、緩慢な動作で体を起こす。
「あ……」
起き上がってきた少女は、驚いたようにその瞳を見開き、数回目を瞬かせる。
そして、満面の笑みを浮かべながら、抱きついてきたのだ。フリーズしたままのレオンに。
そのショックからか、レオンは我に返る。
余りにもショックな事が連続した為、パニックに陥りつつも、その女の子に声をかける。
「き、君……名前は?」
「ん〜〜〜? 名前〜〜?」
「そ、そう、君のお名前は何かな?」
「私の名前は〜〜サキだよ」
その返答に、レオンはぎょっとなって、その女の子の顔をまじまじと見つめる。確かに、自分のよく知る……愛すべきパートナーの面影がはっきりと認識できる。
パニックに陥ってはいたが、この状況を何とかしようと、なるべく詰問調にならないように、その幼児に訊ねた。
「で、なんで俺に抱きついてきたんだい?」
「え? なんでだろ……わかんないや。ん〜とねえ」
「?」
「……おじちゃん、だれ?」
その何気ない、(多分)悪気の無い一言は、再びレオンをフリーズさせる。
ショックのあまりに固まってしまったレオンを、サキと名乗った幼女は不思議そうな瞳で眺めていた。
「あれ? おじちゃん? へんじがない、ただのしかばねのようだ」
「『おじちゃん』じゃねぇぇぇぇぇ! 俺はまだ27だぁぁぁぁぁ!! あと、勝手に殺すなぁぁぁぁぁぁ!!」
「きゃはははははっ!! おもしろ〜〜い!」
「俺の名前は『レオン』だ。だから、俺を呼ぶ時は『レオン』と呼んでくれ、な」
「うん、わかった!! レオンのおじちゃん」
「わかってねぇじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「きゃははははは! こわ〜〜い!!」
と、そこへノックの音がする。
「レオン、一体何事? 朝から何を騒いで……」
レオンの部屋の寝室の扉を開けたセリーナが見た物は、部下兼友人が幼女と戯れている(?)姿だった。その有様を見たセリーナは、ご多分に漏れずフリーズする。
「ん〜? だれ〜〜?」
セリーナのフリーズを解凍したのは、舌足らずな幼女の声だった。
その声で我に返ったセリーナは、何を勘違いしたのか、うんうんとしきりに頷く。
「レオンってば、奥手だ奥手だと思ってばかりいたけど、しっかりと手を出していたのね。寂しいけど、これは祝福すべき事よね。って事は、あのサキも、そこまで関係が進んでいるんだったら、男性に対する恐怖心も克服できたと見るべきよね。でもわたくしの目を掠めてここまで子供を育てていたなんで、あとで詳細をしっかりと聞いてやらないと。あ、そうだわ、極秘に産んでいたって事は、結婚式はまだだろうから、結婚式を盛大に挙げて」≪どがす!!≫(←レオンの手刀がセリーナの額を直撃した音)
「……落ち着け、セリーナ」
「い、痛いじゃない。何するの! そんな事より、何時の間にサキとの隠し子を……」
「をい、何時まで錯乱してるんだ。隠し子なんかいる訳ねえだろ……こいつ、多分、サキ本人だ」
その疲れたようなレオンの言葉に、改めて問題の幼女を眺めて見ると、なるほど、確かにサキとそっくりだ。あのサキの子供時代はこうだったのだろうという想像そのままだ。
その幼女の服装は、小鳥の模様がプリントされた幼児用パジャマという物だった為、今までは気が付かなかったのだが、レオンの部屋の寝室の床にジャケットと白のスラックスが脱ぎ散らかしてあったのだ。
どうやら、小さくなった(?)際に、自前のシャツや下着等は、自力で幼児サイズのパジャマ・下着に変えたようだが、自力で作り出した訳ではない、官給品のジャケットとスラックスは、そのままだったのからだろう。
気を取り直したセリーナは、床に落ちていたジャケットの内ポケットを探る。そこから見つけ出した手帳は、間違いなくサキの物だった。その手帳をレオンに託す。
「レオン、この手帳に何か手掛かりらしき物がないか、調べてみて」
「え? だ、だが、サキのプライバシーって物が……」
「わたくしは、この子を着替えさせるから、その間に調べておきなさい、って事よ。ほら、さっさと出て行く!」
そうこうする内に、レオンは寝室から追い出されてしまった。
仕方なく、サキに内心で侘びを入れつつ、スケジュール帳の部分のみ、関係ない個所を極力見ないよう読み進めていく。すると、問題の個所は呆気なく見つかった。
サキの手帳の、昨日のスケジュールの個所に、こう記してあったのだ。
[23:30 Dr.イリノア研究室 新型封冠実験]
レオンは手帳を閉じて呟く。
「原因は、あいつか……」
その呟きとほぼ同時に寝室の扉が開く。
そこには、活動的な服装に身を包んだショートカットの美少女佇んでいた。その少女は、これまでと違う服装の自分に戸惑うように、おずおずと進み出る。
「あの、レオン、この服、どう?」
「あ、ああ、よく似合っている、可愛いよ」
レオンに褒められたサキは、ぱっと顔を輝かせる。
「ありがとう、うれしい」
「その服をコーディネイトしたのはセリーナだろ? だったら、セリーナにもお礼を言っときな」
「うん! ありがとう、おばちゃん!!(←悪気無し)」
「お!!!!」
「げげ!!」
レオンは、完全に凍り付いてるセリーナを尻目に、サキを小脇に抱えると、脱兎の如く部屋を飛び出して階段を駆け下り、特務機関官舎の外に出る。
途中、言葉にならない悲鳴らしき物が聞こえたような気がしたが、そんな事には構っていられなかった。
「なになに? どうしたの? 今のおもしろかった〜〜。またやって〜〜〜」
「……頼むから、ちょっと大人しくしててくれないか?」
「なんで〜〜? もうやってくれないの〜〜? むう〜〜、つまんな〜い〜」
VSS「チェンジ!」
ダイダロス /
2005-06-16 21:58:00
No.597
そうこうする内に、大病院に到着する。
受付でイリノアにアポを取ろうとすると、朝一で訪ねて来る事を予想していたらしく、そのまま研究室に案内される。
そして、案内されたレオンに抱き抱えられていたサキを見て、イリノアは腑に落ちた表情で微笑む。
「やあ、待ってたよ。やっぱり彼女は君の所に行ってしまっていたようだね。おっと、最初に言っておくと、その子は間違いなく、君のよく知る『白鷺のサキ』当人だよ」
当のサキは、自分の名前が呼ばれた事に頓着せず、レオンの腕からすり抜けると、興味津々な表情で研究室内を見渡していた。
「……やっぱり当人だったか。しかし、何だってこんな事になったんだ? 『待って』たって事は、心当たりがあるって事だろ」
「いや、大した事じゃない。ちょっとした計算違いでね」
何食わぬ顔で語るイリノアだったが、レオンはその顔に一瞬冷や汗が浮き出ていたのを見逃さなかった。
「やっぱり元凶はお前かぁぁぁぁぁぁ!!」
凄まじい剣幕のレオンに、イリノアは思わず後ずさりながら、言い訳じみた謝罪を口にする。
「す、すまなかった……」
「すまんで済むかぁぁぁぁぁ!!」
「だからこうして、元に戻す為の準備を整えて待っていたんじゃないか……それに、君の部屋に彼女が現れた事だって、彼女が君を深く信頼している証だと思うけどね」
「? 信頼? それとこれとどんな関係があるんだ?」
『元に戻す』という言葉に、レオンの怒りも冷めたのか、サキがレオンの部屋に出現した理由に興味を示したのかは定かではないが、詳細な説明を求める。
「まず、今の彼女は、石柱の中に居た頃の彼女と、心も体も入れ替わった状態になっているんだ。というのも、昨日の実験は、精神を一時的に若返らせて、彼女のトラウマを軽減させるのが目的だったんだ。まあ……それが失敗して、このような……身も心も幼児返りしてしまった訳だけど……。その時に彼女は本能的にテレポートを発動させたみたいなんだ。そして、そういった状況で……自分が危機に陥った際のテレポート先として真っ先にイメージしたのは、自分が信頼できる・安心できる人の近くだったみたいなんだよね」
イリノアの指摘に、照れたように赤面させた顔を背けてしまったレオンを微笑ましげな表情で眺めながら、イリノアは机の上に置いてあった封冠を指し示す。
「そこで、僕が彼女を元に戻す為に製作した封冠がこれだ。昨日の試験用封冠の機能のみを無効化する機能がある。これを彼女に被せれば、元に戻るはずだ。但し、これはまだ未完成なんだ」
「な! それじゃあ、何時完成するんだ?!」
「あと、2時間だね」
「は?」
「いや、実はこれ、既にほとんど完成しているんだ。後は、魔力を定着させるだけなんだよ。2時間というのは、魔力を定着させる為の時間なんだ。そういう訳だから、2時間程、どこかで時間を潰してきてくれないかな?」
レオンは溜め息をつくと、サキを呼ぶ。
様々な薬瓶や器具を夢中で眺めていたサキは、少し不満そうな表情見せたものの、レオンに歩み寄る。
「邪魔したな。2時間後にまた来る」
「あ、言い忘れていたけど……」
退出しようとするレオンとサキに向け、イリノアの声が追いかける。
「彼女のこの状態は、安定しているように見えて、非常に不安定な状況なんだ。だから、もしも彼女が意識を失う事があったら、急いで戻ってきてくれ。彼女の心身に、かなりの負担が掛かっている可能性が高いからね。まあ……取り越し苦労だとは思うけど、念の為に、ね」
大病院から退出したレオンとサキは、役所の世界の外れにある岩場に来ていた。
本来なら、誰も訪れないはずのこの場にレオンが来たのは、訳がある。
レオンは、病院内でサキを預かってもらおうかと考えたのだが、サキがレオンと一時的ではあっても別れるのを嫌がった為、一緒にいる事にしたのだった。
訓練施設からも大きく外れたこの場までやってきていたのは、やはり知り合いに会いたくなかったから、というのが大きい。実際、レオンの友人知人達にどんな解釈をされるか、どんな事を言われるか、それを考えるだけでもうんざりだった。
だが、最大の理由は、未だに怒り狂っているであろうセリーナから逃げ切る為でもあった。あの状態のセリーナの傍にいたら、どんなとばっちりが来るか分かった物ではなかったのだから。
もっとも、当のサキは、そんなレオンの想いなど想像すべくも無く、岩場に登ったり降りたり探検ごっこをしたりと無邪気に遊んでいた。
そんなサキを見て、レオンの顔も自然と綻ぶ。
思えばサキは、どんなに時であっても、張り詰めたような弓のような緊張感を心の何処かに抱いていたように思う。だから、これほど心穏やかな時間を過ごせたのは、少なくとも特務機関に入隊してからは、初めてかもしれない。サキの事を考えれば、このまま、幼児からやり直したほうが彼女の為にも良いのかもしれないな……だが、イリノアの警告を思い出して、その考えを振り払う。この状況は、あくまでも不自然な状況なのだから。
そんな物思いに耽っていたレオンに、岩場の上のサキから声が掛けられる。
「ねえ、レオンってば〜〜、一緒にあそぼうよ〜〜〜」
と、突然、サキの背後から男が現われ、サキを抱き上げて羽交い絞めにし、ナイフを突き付ける。
「な?! 呪詛悪魔?! 一体どうやってここに……」
「へっへっへっ、おい、この子供を殺されたくなけば、オレの言う事を聞くんだな!!」
レオンは、役所の世界に呪詛悪魔が侵入した事に、DF警備部の役立たずどもを内心で罵りながら、油断無く身構え、サキ奪還の隙を窺う。
ところが、当のサキはというと……
「あれ〜〜どしたの〜〜? なになに? 新しい遊びなの〜〜?」
全く状況を理解していなかった。
余りの緊張感の無さに、レオンは思わず脱力しそうになるが、サキの手前、何とか踏み止まる。
一方の男はというと、サキの言葉を完全に無視してがなり声を上げる。
「いいか! このガキの命が惜しかったら『白鷺のサキ』を『紅の凶天使』をここに連れてくるんだな!」
その台詞に、レオンは呆けたような・言葉に詰まったような顔になり、サキは自分を指差してしきりに自己主張する。が、男は全く気が付いていなかった。
「……あ〜〜、連れてくるのはいいが……一体何をするつもりなんだ?」
「へっへっへっ、オレは知ってるんだぜ。『紅の凶天使』の弱点は『小さな子供』だって事はよ。だから、このガキを楯に脅せば(エマ倫規定により削除が適当な性的表現が数行)って訳だ! ひゃっひゃっひゃっ!!」
人質を取った事により、精神的優位に立ったと勘違いした男は、聞かれもしない事を得意気に披露する。その不快な雑言の羅列に、サキの顔が次第に不機嫌になっていき、レオンの表情が冷徹な工作員の物へと変貌していった事に気付きもせず。
三者の均衡を崩したのは、苛立ちの頂点に達していたサキだった。
「むう……よくわからないけど〜なんかむかつくぅ〜〜〜、ねえレオ〜ン、このおじさん、ぶっとばしちゃってもいい〜〜?」
「お! おじさんだとぉ〜! こ、このクソガキャ、ぶっ殺されてえのか!!」
「おじさん、お口臭い。はなれて」
「こ……殺す!!」
VSS「チェンジ!」
ダイダロス /
2005-06-16 21:58:00
No.598
拙い……そう感じたレオンは、サキに向かって叫ぶ。
「サキ! そいつ、好きなだけぶっ飛ばして良いぞ!!」
「りょ〜〜〜かい♪」
レオンとしては、サキが抵抗する事によって、自分がサキを救出して男を始末する為の隙を作らせるのが目的だった。
だが、サキは、幼女であってもサキだった……というべきだろうか?
サキは、せ〜の〜、と掛け声を掛けると、ぶら下がっていた足で弾みを付け、思い切り後ろを蹴る。果たして、図ったかどうか定かでは無いが、サキが蹴った場所には、呪詛悪魔の男の金的が存在していた。
サキに思い切り急所を蹴られた男は、サキとナイフを落とし、余りの痛みに耐えかねてうずくまる。人質のはずの幼女から、これほど的確な逆襲が来るとは想像の埒外だったのだから、無理も無い。
一方、男の腕の中から逃れたサキは、体に付いた埃を叩いて払うと、未だうずくまっている男の脳天にかかと落としを見舞う。更に、うつ伏せの状態で悶絶する男をひっくり返すと胸部に馬乗りになり、マウントポジションを取って、その顔面目掛けて凄まじい速さで拳を叩き込む。
あまりの惨状に唖然としていたレオンだったが、男の手足がぴくりとも動かなくなったのを見て、慌てて止めに入る。
「お、おい、サキ! もういから止めろって!! お前が手を汚す必要は無いだろ!!」
そのレオンの言葉に、サキの手がピタッと止まる。緊張が解けたのか、その手がだらりと力無く落ちる。そして、男の上から退くと、急いで駈け寄って来たレオンに倒れこむように抱き締められた。
「……レオン……なんだか眠たくなってきちゃった……」
レオンの脳裏に、先刻のイリノアの言葉が浮かんだ。『意識を失う事があったら、急いで戻ってくれくれ』という警告が。嫌な予感を振り払うように、レオンは極力優しい声で囁く。
「ああ、後は俺に任せて、お前は眠ってて良いぞ」
その直後だった。意識を失っていたはずの男が、幽鬼のように立ち上がって迫ってきたのは。だが、相手が悪すぎた。レオンは顔色一つ変えずに投げナイフを投擲する。ナイフは、狙い過たず男の眉間を貫き、男はもんどりうって倒れる。天界に侵入できた実力者としては、あまりに呆気ない最期であった。
「……あれ……レオン? 何かしたの……?」
「いや、何もしちゃいないさ。いいから、お休み」
「うん……おやすみ……」
寝息を立て始めたサキを背負い、レオンは病院へ向かう。そろそろ、約束の時間だったのだから。
*おまけ・人間界、とある呪詛悪魔二人組のアジトにて*
「……という訳で、対象となる仲間の思念波をキャッチ、それを文字に変換してディスプレイに映し出す仕組みになっているんだ」
「へえ……大した物だな」
「弱点としては、有る程度強力な思念波でなければキャッチできない事だけど、改良して感度が上昇すれば……おや? 僕達の支援で天界に潜入した奴の思念波だ……もう何かあったのかな……えっと何々……」
装置の製作者らしき者がキーボードを操作し、ディスプレイに解読済みの思念波を映し出す。そこに、思念波を変換した文字が映し出されていたのだが、それを見た呪詛悪魔二人は、驚愕のあまりに凍り付く。その文字を見た二人の感想は、完全に一致していた。
『天界は恐ろしい所だ』と。
何故ならば、その思念波は、こう変換されてディスプレイに映し出されていたのだから。
『ぅゎ ょぅι゛ょ っょぃ』
〜〜〜FIN〜〜〜
*おまけ・その2・翌日の特務機関オフィスにて*
「……おはよう……レオン……今日は……楽しい夢を見ていたような……そんな気がするの……夢の内容は覚えてないのだけど……でも……久しぶり……こんな楽しい気分で目が覚める事ができたのは……悪夢に苛まれて目が覚める事は……数知れなかったのに……でも……一つ聞いて良いかしら……? ……どうして……そんなに疲れたような顔をしているの……? ……それに……セリーナもどこか余所余所しかったし……」
今度こそ〜〜〜FIN〜〜〜
あとがき
ども、という訳で、VSS「チェンジ!」を公開します。
下でちょっと書いてますが、エマさん、ビンゴです!(笑)
ちなみに、これを書き始めたのは、かなり(半年近く)前でした。が、ネタが浮かばず、気力も減退してしまい、数週間前まで放置状態になっていました。納得の行くオチが思いつかなかったというのも大きいですが。
下の「VSS進捗状況」をカキコした数日後、会社への通勤途中に何の脈絡も無く『ぅゎ ょぅι゛ょ っょぃ』という、某所で知った言葉がオチとして思い浮かび、そこから一気にストーリーが膨らんでいきました。(笑)
一応、ここで設定のフォローを……
イリノアが、サキを元に戻す為の封冠を製作する為とはいえ、患者を放り出してしまうなんて……と思った方がいるかもしれませんね。でもこれは、サキが消えた際にテレポートで特務機関官舎に飛んだ事を確認した為です。その為、「恐らく、レオンかセリーナの元に飛んだのだろうから、捜索は必要ない」と判断したのです。勿論、レオンとセリーナには、メールにて一報を入れておいたのですが、両者がそれを見る前に大騒ぎになってしまったのです。
特務機関官舎は、本部よりは多少弱いとはいえ、テレポート封じの結界が張られていて、容易に官舎内部にテレポートする事はできません。
ですが、部屋の一室に特殊な魔法陣を展開する事によって、許可された者だけが通る事のできる『ゲート』を設置する事ができます。(RPGなんかに出てくるワープゾーンのような物と思って下さい。)
まとめると……↓
・外→内の場合、出現するのは『ゲート』の上
・内→内の場合、テレポートは『ゲート』の上でのみ実行可、出現するのは『ゲート』の上
・内→外の場合、テレポートは『ゲート』の上でのみ実行可、出現する場所は(結界が無い限り)制約無し
勿論、レオン・サキ・セリーナは、互いに許可済みです。但し、機能を一時的に無効化する事は容易ですから、プライバシーは保たれているかと思われます。
天界に潜入した男ですが、これは「サキは子供に手を出せない」という情報から「子供を人質に取って脅せば、こちらの言いなりになる。後は(以下、鬼畜系エロゲテイスト全開な妄想)」と曲解した結果です。実際、サキに人質を取って相対した場合でも、犯人に待っているのは
『100%の死』
なのですけどね。(苦笑)
この男の協力者となっている呪詛悪魔二人組は、勿論『あの』二人です(笑)。ノエルさんのキャラをお借り致しました。ありがとうございます。
翌日、何故レオンが疲れたような顔をしていたのか、官舎に戻ったレオンとセリーナとの間に、どんな悶着があったのかは、想像にお任せします。(笑)
その他レスは、また後日……
6/17 本文の一部訂正(5時間→2時間)・脱字修正・設定フォロー追加
Re: VSS「チェンジ!」
なたでゆる /
2005-06-17 03:24:00
No.599
幼女サキたんハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
(*´/ /д`)!?
私はこっちの小さな女の子の方に(以下削除されました)な事を
呪詛悪魔と同じ運命を辿りましたw
幼女だからと甘く見ずに、まずちゅーから入って次にゆっくりとから(゚/ /д/ /゚)!!?
せっかくですからちょっとつなげさせてもらいますよ…
寝息を立て始めたサキを背負い、レオンは病院へ向かう。そろそろ、約束の時間だったのだから。
――その後ろを見つめる、一人の巫女の姿があった…。
すぐさまもう一人の少女が駆けよってきた。
?漑:メ…むにぅお姉様?
巫女:ん…、せかちー。どうしたの?
?漑:気になって追いかけてきたのですけど…
巫女:ああ…いきなり飛び出してごめんなさい。
ちょっと、面白いものが見れたから…
?漑:それと、その姿…。今日からずっとですよね?
巫女:……まぁ、たまにはこっちも出してないと…ね。
ああ、でもしんどい…(--;
?漑:少し、顔色が…
巫女:ええ、もう帰りましょう。粽さんも心配しますし…。
てゅきは?
?漑:もう自宅に戻っています。
巫女:ん。あたし達も帰りましょう。
そう言いながら、無二右と?漑はその場を後にした―
※後で突っ込み追記します
「へんしん!」
K−クリスタル /
2005-06-23 00:39:00
No.604
オモロイ!!
ダイダロスさん、グッジョブ!!
d (^_^ o)
いや〜〜ほんと、いーシゴトしてますなぁw
タイトルからいって、
僕もモンダイの幼女がサキさんだろーということまでは、
予想はしてましたが・・・
しかし、ヨソーガイのことが一つ・・・
サキさん・・・
すっごい、ヤンチャな悪ガキやん
とても、ご活発なお子様ですね
いや、やっぱ単なる?活発?でいー尽くせる範囲を明らかに超えてるだろ、コレ
常のサキさんだったら、ゼッタイ言わないに違いないセリフがまーポンポンと・・・
曰く「へんじがない、ただのしかばねのようだ」
「なんかむかつくぅ〜〜〜」
「おじさん、お口臭い」 etc.
?きゃははははは?ワラうし、メッチャあかるいやないの・・・
これがサキさんの本質なのか・・・?
いや、サキさんが暗くなったのは、
転生してからの不幸な出来事にげーいんがあるってのは知ってるけどさ・・・
にしても、変わり過ぎ!!
そのサキさんに、も、いーよーに振りまーされる、
レオンさんやセリーナさん、ラヴりぃ♪
特に、見せ場もオイシーとこもあった、レオンさんと違って、
今回タダひたすらボケ・損な役まわりのセリーナさんには・・・合掌!!w
オチの言葉にも、おーワラい☆
あと、そーいや、ダイダロスさんみずからイリノアさん書くのって、
これがハジメてじゃないの
――ふう〜む・・・そーか、こんなヤツだったのか
けっこー、カルめのカンジすね
ハナシがぎゃぐテイストだからかしれんが・・・
参考、になったかもな・・・?
>なたでさんつけたし
ほうほう、むにメガミ様そのモードのときは、
?むにぅお姉様?言うよーに、いわれてんだな、ふむふむ・・・
――クロウたえないなー、せかちー・・・w
Re: VSS「チェンジ!」
エマ /
2005-07-13 03:05:00
No.610
どもです。
なんとあの「チェンジ」がすぐに読めるとは思いもしませんでした(じゃあ感想もすぐやれよってな話なんですが、すみませんorz)。
小さな女の子、やっぱりサキさんだったんですね。どこぞの知らない女の子よりも、やはりここは最愛の人の幼女版の方がいろいろと面白い訳で(笑)
毛布がこんもりと盛り上がって、「うう〜ん」と女の声、そして「マテ、もちつくんだ、オレ昨日何したっけ…」と男が悩むといういかにもお約束なシチュエーションをレオンさんがやっているというのが……レオンファンにとってはこれは一種のファンサービスと受け取ってよろしいですか?(笑)
酒豪のセリーナさんも、オフではなかなかナイスなボケジョークを飛ばしてくれます。どー考えてもその推測には無理がありますから、おそらくわざとですな。いや、万一本気だったならまたしても私のセリーナさんお気に入り度が沸騰しかねないだけの話でまったく無問題な訳でありますがw
幼女サキたん、この子もこの子でやってくれます。しょっぱなから禁句の「おじちゃん」コール、さらに間髪入れずに「ただのしかばね」ネタを見舞い、挙句の果てにはセリーナさんにさらに禁句の「おばちゃん」斬りをやってしまうとは……!!(笑)
おそらく、ロイ司令がこの様子を見たら、彼の「一目置くキャラリスト」に必ずや、酔いどれサキさんに続いてこの「幼女サキたん」が名を連ねる事になりましょーw
Dr.イリノアも今回に至ってはおちゃめさんなのがまた良いカンジ。彼らしくなく実験失敗(しかもその内容が幼女化って…)、そして言い訳の影にありありと見れ取れる冷や汗……(笑)
なんか、今回は出演者みんなが軽快にキャラが愉快です。 後半の呪詛悪魔とのやりとりの前に、もうここまでで十分お腹満足になってしまいました(笑)
呪詛悪魔の侵入の手助けをしたのが某ハエの人とその友達というコラボ展開だったのもニクいです。幼女サキたんを抱えて言い放った問題発言の嗜好性からして、彼、やっぱりハエの人たちとはそーいう趣味で繋がったお友達だったんでしょーか。ハエの人たちはこれで大きな戦力ダウンなわけで、良いことですね♪ スクリーン一面に『ぅゎ ょぅι゛ょ っょぃ』というのが、なんかシュールな笑いが……。でも、2chネタを知らない人にとってはやはりちょいとこのおかしみが理解しずらいでしょうね。残念……。
しかし、このお話、ただおかしいだけでなくて、子供になったサキたんが現在の男性恐怖症とも過去の辛い記憶とも無縁に、素直にレオンさんに抱きついてきたり、無邪気に遊んだり、それを感慨深く見守るレオンさんが居たりと、笑い以外の味わいもあるんですよね。そこが非常に良かったです。
非常に大満足なSSでした、ダイダロスさんありがとうございます。そのうちぜひ、リストにあった他のSSもここはひとつ……(笑)
>ゲートについて
テレポートを許可、というのもいいですが、サキさんやレオンさんのようにみんな自力でテレポートできる訳ではないでしょうから、ゲート自体にテレポート(というより転送だからトランスポートかな)機能が備わっている、という方が良いような気もします。
ウチのカムドとかアズマ、できないんですよ。自力テレポート。アイテムを使えば話は別なんですが……。
ADVENBBSの過去ログを表示しています。削除は管理者のみが可能です。
Ririririririririririri!!
目覚ましの音に、レオンは目を覚ます。
彼は、本日は久々のオフであり、のんびり過ごす予定いた。
ゆっくりと、ベッドから体を起こしたレオンは、ふと違和感を感じる。気配がするのだ。何故かベッドの上、毛布の中から。レオンの腰の辺りの隣から。
気配のする場所に目を遣ると、毛布がこんもりと盛り上がり、それがごそごそと動いているのだ。
「うーん」
などという、女の声と共に!
(……ええと……落ち着け落ち着け……昨日の夜、何をした……そう……セリーナとバーで酒を飲んで……相変わらずセリーナは酒豪……ってそんな事は置いといて、セリーナとはバーを出た所で別れたんんだったよな。そして、そのまま官舎に帰ってきて寝たはずだ。そうだ、昨日は珍しく早めに……夜中の12時頃にベッドに入ったんだ……もちろん一人でだ。間違い無い)
そんな取り留めの無い事を考えながら、混乱した様子でベッドの上にできた盛り上がりを見据える。
昨日の記憶を総動員しても、このような状況を解決する手立てにはならなかった。
こうしていても埒が明かない……そう判断したレオンは、意を決して毛布を勢い良く捲る。すると……
「#&$%※φ>¢£Σ@!!!!」
声にならない声を上げたレオンは、一瞬で石化したように凍りついた。
何故なら、レオンの足に小さな女の子がしがみ付いていたのだから。
「ん……」
その女の子は、レオンの声に驚いたのかゆっくりと目を開ける。
そして気だるそうに目を擦りながら、緩慢な動作で体を起こす。
「あ……」
起き上がってきた少女は、驚いたようにその瞳を見開き、数回目を瞬かせる。
そして、満面の笑みを浮かべながら、抱きついてきたのだ。フリーズしたままのレオンに。
そのショックからか、レオンは我に返る。
余りにもショックな事が連続した為、パニックに陥りつつも、その女の子に声をかける。
「き、君……名前は?」
「ん〜〜〜? 名前〜〜?」
「そ、そう、君のお名前は何かな?」
「私の名前は〜〜サキだよ」
その返答に、レオンはぎょっとなって、その女の子の顔をまじまじと見つめる。確かに、自分のよく知る……愛すべきパートナーの面影がはっきりと認識できる。
パニックに陥ってはいたが、この状況を何とかしようと、なるべく詰問調にならないように、その幼児に訊ねた。
「で、なんで俺に抱きついてきたんだい?」
「え? なんでだろ……わかんないや。ん〜とねえ」
「?」
「……おじちゃん、だれ?」
その何気ない、(多分)悪気の無い一言は、再びレオンをフリーズさせる。
ショックのあまりに固まってしまったレオンを、サキと名乗った幼女は不思議そうな瞳で眺めていた。
「あれ? おじちゃん? へんじがない、ただのしかばねのようだ」
「『おじちゃん』じゃねぇぇぇぇぇ! 俺はまだ27だぁぁぁぁぁ!! あと、勝手に殺すなぁぁぁぁぁぁ!!」
「きゃはははははっ!! おもしろ〜〜い!」
「俺の名前は『レオン』だ。だから、俺を呼ぶ時は『レオン』と呼んでくれ、な」
「うん、わかった!! レオンのおじちゃん」
「わかってねぇじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「きゃははははは! こわ〜〜い!!」
と、そこへノックの音がする。
「レオン、一体何事? 朝から何を騒いで……」
レオンの部屋の寝室の扉を開けたセリーナが見た物は、部下兼友人が幼女と戯れている(?)姿だった。その有様を見たセリーナは、ご多分に漏れずフリーズする。
「ん〜? だれ〜〜?」
セリーナのフリーズを解凍したのは、舌足らずな幼女の声だった。
その声で我に返ったセリーナは、何を勘違いしたのか、うんうんとしきりに頷く。
「レオンってば、奥手だ奥手だと思ってばかりいたけど、しっかりと手を出していたのね。寂しいけど、これは祝福すべき事よね。って事は、あのサキも、そこまで関係が進んでいるんだったら、男性に対する恐怖心も克服できたと見るべきよね。でもわたくしの目を掠めてここまで子供を育てていたなんで、あとで詳細をしっかりと聞いてやらないと。あ、そうだわ、極秘に産んでいたって事は、結婚式はまだだろうから、結婚式を盛大に挙げて」≪どがす!!≫(←レオンの手刀がセリーナの額を直撃した音)
「……落ち着け、セリーナ」
「い、痛いじゃない。何するの! そんな事より、何時の間にサキとの隠し子を……」
「をい、何時まで錯乱してるんだ。隠し子なんかいる訳ねえだろ……こいつ、多分、サキ本人だ」
その疲れたようなレオンの言葉に、改めて問題の幼女を眺めて見ると、なるほど、確かにサキとそっくりだ。あのサキの子供時代はこうだったのだろうという想像そのままだ。
その幼女の服装は、小鳥の模様がプリントされた幼児用パジャマという物だった為、今までは気が付かなかったのだが、レオンの部屋の寝室の床にジャケットと白のスラックスが脱ぎ散らかしてあったのだ。
どうやら、小さくなった(?)際に、自前のシャツや下着等は、自力で幼児サイズのパジャマ・下着に変えたようだが、自力で作り出した訳ではない、官給品のジャケットとスラックスは、そのままだったのからだろう。
気を取り直したセリーナは、床に落ちていたジャケットの内ポケットを探る。そこから見つけ出した手帳は、間違いなくサキの物だった。その手帳をレオンに託す。
「レオン、この手帳に何か手掛かりらしき物がないか、調べてみて」
「え? だ、だが、サキのプライバシーって物が……」
「わたくしは、この子を着替えさせるから、その間に調べておきなさい、って事よ。ほら、さっさと出て行く!」
そうこうする内に、レオンは寝室から追い出されてしまった。
仕方なく、サキに内心で侘びを入れつつ、スケジュール帳の部分のみ、関係ない個所を極力見ないよう読み進めていく。すると、問題の個所は呆気なく見つかった。
サキの手帳の、昨日のスケジュールの個所に、こう記してあったのだ。
[23:30 Dr.イリノア研究室 新型封冠実験]
レオンは手帳を閉じて呟く。
「原因は、あいつか……」
その呟きとほぼ同時に寝室の扉が開く。
そこには、活動的な服装に身を包んだショートカットの美少女佇んでいた。その少女は、これまでと違う服装の自分に戸惑うように、おずおずと進み出る。
「あの、レオン、この服、どう?」
「あ、ああ、よく似合っている、可愛いよ」
レオンに褒められたサキは、ぱっと顔を輝かせる。
「ありがとう、うれしい」
「その服をコーディネイトしたのはセリーナだろ? だったら、セリーナにもお礼を言っときな」
「うん! ありがとう、おばちゃん!!(←悪気無し)」
「お!!!!」
「げげ!!」
レオンは、完全に凍り付いてるセリーナを尻目に、サキを小脇に抱えると、脱兎の如く部屋を飛び出して階段を駆け下り、特務機関官舎の外に出る。
途中、言葉にならない悲鳴らしき物が聞こえたような気がしたが、そんな事には構っていられなかった。
「なになに? どうしたの? 今のおもしろかった〜〜。またやって〜〜〜」
「……頼むから、ちょっと大人しくしててくれないか?」
「なんで〜〜? もうやってくれないの〜〜? むう〜〜、つまんな〜い〜」