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てんゆび2章06・1
K'SARS / 2006-08-01 05:05:00 No.944
   天使とのゆびきり〜めいどの世界へようこそ その壱〜


 なでなで。
「えぅ〜♪」
 俺の膝の上で、サキミは大人しく撫でられていた。
 そりゃもう、極楽といった感じで。
「幸せそうな顔ですの」
「わかりますわ、その気持ち」
 その様子を見守っているチカとサツキ。
 なんというか、ものすごく居心地が悪い。
「サキミ、もういいか?」
「嫌ですぅ〜」
「……いい加減にしろよ」
「え、えぅ〜!」
 少しドスを効かせていったら、あっさりとサキミは飛び起きて、サツキの後ろに隠れてしまった。
 ふっ。所詮はえぅ〜だ。
 この程度であっさりと退散するとは、まだまだ修行が足りないな。
「浩人様。あまりそういうことのなさらないほうがいいですわ」
「サキミちゃん、震えていますの」
「調子に乗るからだ」
「でも、元は浩人様が悪いんですわ」
「まあ、その通りではある」
 どうも、身体が勝手に反応してしまうんだよな。
 恐らくサキミだから、ではなくて、前から駆け寄ってやってくるってことに関してである。
 俺の中では、駆け寄ってくる=襲ってくるって認識だから。
 世の中のほとんどが該当しないと思うが、本能にまで浸透してしまったことだから、今更変えるのは難しい。
 だが、野郎にならともかく、女の子にまで手を出してしまうのはまずいよな。
「そういえば、チカちゃんならともかく、どうしてヒロさんがここにいますの?」
 なんか最近、俺の呼び方が多様多種になってきているな。
 というか、どうして初対面のサツキにそんな風に言われなければいけないのだろうか?
「フィーネさんから連れてこられたんですわ。なんでも、浩人様に会わせたい娘がいるそうですわ。私は帰ってきたついでに、デパートに買い物ですわ」
「めいどの世界のデパート、ですの?」
「はいですわ」
「チカちゃん。ヒロさんと行くのであれば、せめて、娯楽の世界のデパートにしたほうがいいですの。きっとものすごく、ヒロさんが居心地が悪いですの」
「どうしてですか?」
「分かりませんの? ここはめいどの世界で、デパートには女性用のものしか置いていませんの」
「……なるほど」
 人間の世界と同じで、野郎がその場所に入ったら、滅殺されかねないものが大量に置いてあるというか。
 まあ、そんなのは一部の空間にしかないと思うのだが、いかんせん、俺はまだ、イカシた人になりたくない。
「でも、日用品を買いに行くだけですわ」
「それでも、ですの。なんでしたら、私がご一緒しますの。変わりに、サキミちゃんがヒロさんを案内してあげたらいいのですの」
「えぅ?」
「せっかく久しぶりに会えたんですの。積もる話もあると思いますので、ちょうどいいですの」
「まあ、それについてに関しては、俺は何も反論はない」
 今にして思ったのだが、女の子の買い物は、やたら時間も掛かるし、荷物も持たなければならないということを思い出した。
 チカの買い物から出た荷物を持つのが嫌なのではなくて、単純にだるい。
 それならば、先ほどの詫びも兼ねて、サキミと一緒に散歩するのもいい。
「はやや〜。では、浩人様。サキミちゃんと一緒に、めいどの世界を堪能してくださいですわ」
「ああ。わかった」
「サキミちゃん。ちゃんと案内してくださいですの」
「はいですぅ!」
 チカはしぶしぶサツキに連れられて去っていった。
 んで、残された俺はというと、とりあえず、サキミの頭を撫でた。
「えぅ」
「とりあえず、元気そうでなによりだよ」
「はいですぅ。サキミは、いつもご主人様のことを想いながら、元気で過ごしていましたよぉ」
「そっか。それは何よりだ。それより、いつまでもここにいるのなんだし、案内ついでに散歩でもするか」
「はいですぅ!」
「おーい、サキミ!」
「えぅ?」
 別の方向から、俺の知らない(めいどの世界にいる娘たちはほとんど知らんが)女の子がやってきた。
 だが、気配に関していえば知っている。
 俺は一度感じた気配に関しては、絶対に忘れない自信はある。
「どうしたの、こんなところで? 今、援護天使の詰め所にいるんじゃないの? それに…」
 視線と雰囲気から、サツキと同じような思念を感じる。
 まあ、それが普通の反応であるが。
「言いたいことがわかるので、言わなくていい。逆に聞いていいか?」
「はみゅー。言わせてよ〜」
 声はともかく、動作などが全く持って違っていたが、俺は思い切って聞いてみることにした。
「お前、そらなのか?」
「わわ。よくわかったね〜。ボク、地上ではあんな格好をしていたのに」
「……出来れば、わかりたくなかったがな」
 なんというか、種がわかる前のマジックを言い当てたような感じだな。
「えっと、改めまして。ボク、そらです。地上では訳あって、男の子の格好をしていましたけど、ご覧の通り、女の子さんですよ」
「そうなんですぅ」
「……まあ、そのことも含めて、歩きながら説明してもらおうかな」
「はいですぅ」
「そうだね」
 俺たちはとりあえず公園を離れて、散歩を兼ねて、めいどの世界を歩くのであった。


 んで、しばらく歩いた俺たちは、オープンカフェの喫茶店にやってきた。
 そこでサキミとそらは、新作のクレープなどを食べて、俺はコーヒーを飲んでいる。
 豆がいいのか、割と美味しい。
「ご主人様は食べないんですかぁ?」
「美味しいよー」
「俺はあまり甘いものは食べないの」
 というより、俺の身体が甘いものを拒否する。
 調味料とか、料理に少しぐらい入れるのだったら大丈夫だったが、ケーキとか、見た目からも味からも甘いと想像できる物は、本能が拒絶してしまうのだ。
 食べれなくもないんだが、なるべくだけ遠ざけるようにしている。
「残念ですぅ」
「俺のことよりも、そらのことを聞きたいんだ。まだ、よく理解出来ていないから」
「そうかな? 割と簡単だと思うんだけど」
 追加で頼んだアイスを食べながら、そらはさらと言う。
 ここに来るまでに、そらやサキミから受けた説明はこうだ。
 そらは、めいどの世界では割と男の子の役をすることが多かったそうだ。
 要するに、女子高の体育のときに、片方が違う役目をするのと同じだという。
 それで、サキミとも友好があって、上級援護天使になったときにつけるサポート役の話になったときに、本来であれば異性の子をつけるのだが、そらは男の姿をして立候補したそうだ。
 最初は反対する声もあったが、そらの必死の努力とサキミのへっぽこな説得…。
「えぅ〜。へっぽこじゃないですぅ」
「うっさい。人の回想に割り込んでくるな」
「えぅ!」
 サキミの脳天にチョップをして、しばらく黙らせる。
 えっと、話しが逸れたが、ともかく、無事にサキミのサポート役になったそらは、サキミがバカにされないように(本人がドジっ娘なのでどうしようもないが)するために、外では男装をするようになったそうだ。
「正直、少し安心したんだよ。これでもう浩人さんの前では男装することもないよ」
「というかよ、別に普通にしていてもいいと思うのだがな」
「えぅ。私も、そう思いますぅ。そらちゃん女の子なんだから、男の子の格好なんかしない方いいと思いますぅ」
「だってサキミはものすごく人見知りが激しいから、心を許した相手じゃないとストレスが溜まって、仕事が手につかないようじゃ大変だから、ボクが男の子になってがんばるしかないんだよ」
「えぅ〜」
 心当たりがあるのか、サキミはクレープを食べる手を止めて固まった。
 思いっきり図星を指されて固まるの図ってところであろう。
 わかりやすいやつめ。
「そういえば、サキミはもう戻ってこれるのか?」
「えっと、昇級試験は終わりましたぁ。でも、まだ援護天使のお仕事がまだ残っていますぅ」
「まあ、軽くリビングは埋まるぐらいの書類があるからね、そう簡単には終わらないよね」
「えぅ〜。そらちゃん、そういうことを言わないですぅ。せっかく、息抜きにサツキお姉ちゃんと遊びに来たのにぃ」
「ああ、そうだったのか。すまなかったな、邪魔したみたいで」
「えぅ。そんなことですよぉ。そりゃ、サツキお姉ちゃんとの息抜きは楽しみだったですけど、ご主人様とのひとときの方が、ずっと大切ですぅ!」
 顔を真っ赤にして、サキミはフォローをしてくれた。
 なんというか、そういう風に言ってくれるのは、やっぱり嬉しいもので。
 俺自身はもう、縁遠いものだと思っていたから。

てんゆび2章06・2
K'SARS / 2006-08-01 05:06:00 No.945
「はみゅー。少し、羨ましいかも」
「そらは、自分のご主人様とかそういうの、いないのか?」
「いることは、いるよ。でも、幸せに暮らしているから。ご主人様が幸せだと、ボクたちは必要ないから」
「そういうものか?」
「ボクたちの願いは、ご主人様の幸せ。平穏と安心で満たされていれば、それいいから」
 そらはうつむきながら、目に涙を溜めてそう言った。
 サキミと同じように、一度でいいから、自分のご主人様に仕えたかったんだろう。
 同時に俺は、今の状況を考えてみた。
 そらの言うことを前提として見ると、確かに俺は、平穏と安心はないかもしれない。
 フリーターで、特定の定職に着いていない以上、いつ収入がない日々が訪れるかも知れない。
 そして、人との関りを極力避けたいと思っている以上、精神的な不安も付きまとう。
 いくら自分で招いた状況とはいえ、世間的にはあまりよろしくない。
 平穏と安心とは正反対の状況にいるから、サキミとチカはやってきたということになるのか。
「えぅ? ご主人様、どうかなさいましたぁ?」
「難しい顔をしていたよ」
「……なんでもない。それより、これからどうするんだ? 俺はまったくと言っていいほど予定がないから、付き合うが」
 というか、こんなところに放置されても帰れる自信がないだけだが。
 例え帰れるとしても、1人でめいどの世界を歩くことはしたくない。
 何もしてなくても視線を釘付けにするのは、ごめん被る。
「だったらさ、ちょっと訓練所に行かない? サキミの訓練も兼ねてさ」
「えぅ〜。そらちゃ〜ん」
「いいじゃん。サキミは運動神経ないんだから、時間があるときにでも訓練しておいたほういいよ」
「えぅ〜。ご主人様ぁ」
「助けを求められても困るぞ。ここでの主導権は俺にはない」
「決定。それじゃ、行こう!」
「えぅ〜〜」
 そらは会計を済ませて、元気良く歩き出した。
 そして俺は、嫌がるサキミのご機嫌と手を取って、後ろを付いていった。


「えぅ〜♪」
「はみゅー。すっかりご機嫌だね、サキミ」
「えぅ!」
「……なるべく、こういう場所とかでは、ああいうことはやめよう」
 そらの言った訓練所に着いたとき、サキミは上機嫌になったのと対象的に、俺の精神は磨り減っていた。
 ただでさえ俺という存在がめいどの世界では浮いているというのに、サキミの機嫌と手を取って歩いている姿は、格好の注目の的だった。
 四方八方からひそひそ声が容赦なく降り注ぐ。
 それは俺の奥底に眠っていた、嫌な記憶を呼び起こすから、なるべくなら避けたかったのだが、状況が許してくれなかった。
 だから、めいどの世界にしても地上にしても、こういう行為をするのはやめようと、心に軽く誓った俺。
「ここはね、守護天使たちが利用する運動場みたいなところだよ。施設がいくつか分かれているんだけど、今回は、戦闘訓練を主に利用するよ」
「えぅ〜。やっぱり、やらないとダメなのぉ?」
「当然。サキミはあまり戦闘には関わらないけど、いざとなったときに、浩人さんを守れるぐらいの実力がないと困るでしょう?」
「それは、そうだけどぉ」
「ほら、さっさと入る」
「えぅ〜〜」
 訓練所に入り、『戦闘訓練所』と書かれた案内板に従って歩いていくと、広い会場に出た。
 ぴりぴりとした雰囲気が伝わってきて、自然と身が引き締まる。
「あっ、先客がいる」
 視線の先には、3人組の女の子たちがモンスターらしき立体映像と対峙していた。
 よく見れば、アズミとカズミとアラドだった。
「じゃあ、フォーメーションAJAで行くぞ」
「うん!」
「はい!」
 3人はアラドを先頭に一列に並んで、突進していった。
「「「エンジェルジェットストリームアタック!!」」」
 ……まさか、ここであの有名なフォーメーションが見られるとは思わなかった。
 アラドが先に攻撃をしかけ、その上からアズミ、横からはカズミと、三位一体の連携攻撃を繰り出す。
 だが、カズミは多少遅れて、若干攻撃がずれてしまう。
「カズミ、ちょっと遅いよ」
「は、はい」
「てい!」
 アズミがすぐにフォローし、モンスターの立体映像は全滅した。
「あ、ありがとう、アズミちゃん」
「大丈夫?」
「うん。私が少しタイミングがずれただけだから」
「けど、あとちょっとで完成だから、がんばろうな、カズミ」
「は、はい。アラドさん」
「ぷう〜。私は〜?」
「アズミも、がんばろうな」
「うん!」
 前のときはそれほどわからなかったが、あの3人は、かなり深い関係にあるようだ。
 状況的には、アラドが兄で、アズミとカズミが妹みたいな感じなのだが、女の子2人は恋する乙女状態。
 そして、アラドはそれに気づいていない。
 なんというか、お約束だな。
「すごいですぅ」
「さあ、サキミも感心していないで、やっちゃお」
「えう〜」
「あっ、チカさんのご主人だ」
「「ええ〜!?」」
 アラドが気づいたことにより、一気に注目の的になった俺。
 そして、アズミは驚くよりも先に、身体が先に動き、サキミと同じように向かってきた。
 だが、サキミとの決定的な違いがあった。
 それは、速さ。
 俺が身構えようとしたときには、もう目の前に迫っていたのだ。
 受け止めた俺は、加速度がついてしまったアズミの身体を支えきれずに、そのまま後ろへと倒れてしまった。
「え、えぅ?」
「浩人さん!?」
「ったた。こら、アズミ!」
「わ〜い。ご主人様だぁ〜〜」
「……聞いていないし」
 アズミは飛びついた俺の胸で、頬擦りに夢中になっていた。
 すぐに引き剥がしたかったが、一瞬、アズミたちのモデルの女の子たちが浮かんで、やめた。
 このぐらいは、させてあげないとな。
「ご主人様……」
 あとからやってきたカズミは、心配そうに俺を見ていた。
 大丈夫だということを示すために、そっと髪を撫でてやった。
「えへへ」
「ねえねえ、ご主人様。どうしてここにいるの〜?」
「フィーネから拉致られて放置されたので、散歩を兼ねてやってきたんだ。チカは用事があるっていうから、この2人に案内してもらったんだ。サキミ、そら、この2人は、俺の天使のアズミとカズミだ」
「えぅ。そうだったんですかぁ。よろしくですぅ」
「うん! サキミお姉ちゃん」
「はい。サキミお姉さん」
「……じーん、ですぅ」
 姉という言葉に感動したのか、全身で喜びを表していた。
 傍から見れば、ちょっと危ない娘だ。
「ボクはサキミのサポート役をしている、そらだよ。よろしく」
「うん!」
「はい!」
「事情はわかったけど、ただの散歩だと、ここに来ないっしょ?」
 アラドは少し離れたところから、少し不思議そうに質問をした。
 まあ、そりゃそうだな。
「この子の訓練をやりに来たの。いざとなったら、浩人さんを守れるように」
「そっか。ちょうど休憩をしようと思っていたんだ。だから、使っていいよ」
「ありがとうね。サキミ、行くよ」
「えう〜」
 そらは嫌がるサキミを連れて中央部へと進んでいき、近くにあったコンソールを使って何かを打っていた。
 状況から察するに、立体映像の設定だろうな。
 それから少ししてそらが離れると、サキミの前に4体のモンスターたちが現れた。
「じゃあ、訓練開始!」
「え、えぅ!」
 ……激しく心配だな、アレでは。
 俺は、アズミとカズミの頭を撫でながら、そんな不安を覚えるのだった。


<続>

Re: てんゆび2章06・1
エマ / 2006-09-09 00:41:00 No.972
感想、遅れましたーって、うわ、ほんと一ヶ月以上遅れてる(汗)

サキミちゃん、めいどの世界でもどもでも、人目を気にせず浩人さんに甘えてしまいますね。そこがすごく可愛いんですが、される身としては少し恥ずかしいというか、いや浩人さんの場合は別の意味で苦手意識があるみたいですね。なんだろう、「俺の背後に立つな」みたいな?w

天界の世界に関してはウチでは創作の余地を狭めないよう、あえて設定を細かく決めていなくて各自なんでもやっていいよ式なのですが、このSSではデパートというのもあるんですね。めいどの世界の方は、やっぱり服とか下着とか全部女性用のものなんですよね。それはそれでかなり壮観な気もしますけど(笑) 逆にしつじの世界だと、当然みんな男物ばっか……ううむw

そして、なんですか。そらくんがなんとぉ……女の子だった事件!
くぅ、なんてトリックだ……。
浩人さん、けっこうそらくんもいぢめていた気がしますが、女の子をいじめていた事になるんですね。さすが、罪な男ですねw

オープンカフェとかもあるんですか。なんだか、景色とかも天気とかも良さそうな雰囲気ありますよね。
浩人さん、私と同じで甘いもの苦手ですか。なんだか私の職場、男性でも甘党が多くて、普段から甘い物が冷蔵庫に大量に入っているのですが、そういうのを食べているうちにフルーツの味が入っているものは私も多少食べられるようになってきた気がしますけど。

しかし、そらちゃん、今までは男装してたという事なんですね。余程の美少年だったんだろうな。浩人さん、気づけw
サキミちゃん、人見知りが激しかったり、頼りなかったりと、色々ありますが、それでも「ご主人様とのひとときが一番大切」と言われた浩人さんがまんざらでもなかったりしているし、それなりにきちんとヒロインとしての役割はあるんでしょうかね。そういうまったりなシーンが結構もっと見てみたかったりしますが……。ラナちゃんは桃華ちゃんっ子だしw

一方のそらちゃんは、ご主人様が幸せ(すでに一緒になっている女性がいる?)ということで、会えないんですね。そういう場合は、何も思い出の女性とかの異性の姿でなくて、もっとそうした問題が起こらない姿体で転生するとか、そういう解決策もあるような気もするのですが、まぁそれだとドラマにならないという事でしょうか。大変ですねぇ……。

そういえば、浩人さんってぷーという設定でしたっけ。忘れてたw

アズミちゃんとカズミちゃんとアラドくんですが、エンジェルジェットストリームアタックとか、なんだか凄そうな技も良いのですが、なんというんですか。チームプアゾンちっくな人間関係じゃあーりません?(笑) これはこれで、一つくらいSSが書けそうな……。

アズミとカズミちゃんは、そうそう、浩人さんの守護天使でしたね。こんなに守護天使がいるなんて、浩人さん昔は結構モテてるんじゃんクソッ……!(←何をひがんでいる
あれ、サキミちゃんの方がお姉さんという新事実。もちろんお姉さんっぽい威厳無いけど「じーん」とか言ってる所がえぅかわいいw

戦闘開始のかけ声もやっぱり「え、えぅ!」とかもう、相変わらず個人的にサキミちゃんのポイント高いですよ次回も期待してますw

てんゆび2章06・2
K'SARS / 2006-09-15 16:00:00 No.977
   天使とのゆびきり〜めいどの世界へようこそ その参〜


「えぅ〜!」
「……何をしていると思う? あいつ」
「えっとね、お遊戯?」
「違うよ、アズミちゃん。多分、訓練をしているんだよ」
「まあ、実際に訓練をしているわけだしな」
 両膝にアズミとカズミを乗せて遊びながら、俺たちはサキミの訓練の様子を見ていた。
 始める前から思いっきり不安に駈られていたが、実際に始まったら、案の定だった。
 あいつが装備したツールは、見るからに中距離用のライフルと盾。
 セオリー通り、相手との距離を取って攻撃しているのだが、非力なサキミの力ではライフルを持つことさえ一苦労。
 それを見切られたのか、立体画像のモンスターたちに遊ばれて、くるくると回っていた。
 そらは唖然とし、アラドは信じられないような顔をしていた。
「なあ、そら。このモンスターたちのレベルってどのぐらいなんだ?」
「中級援護天使たちが最初に受ける、一番低いレベルなの。サキミは、初級援護天使の最高レベルをクリアしたばかりだから、行けると思ったんだけどね」
「アレで初級をクリア? お情けもあったんじゃないの?」
「そうだろうね。あのサキミを見て、そう思ったよ」
 2人の会話の内容の程度がどのぐらいかわからないが、前にサキミから、初級援護天使というのは、大体が人間でいう小学校中学年から高学年の間に相当する能力が必須であり、その上の中級援護天使は、高校生ぐらいまでの能力が必須だそうだ。
 つまりは、今サキミが受けている訓練は、中学校に入りたての娘たちが受けるというものだということになる。
 ……それだけ、サキミの身体能力が低いということね。
「なあ、あのモンスター達って、この前俺が遭遇した連中より弱いんだろう?」
「中級援護天使の訓練用だからねー」
「はい。それに、立体映像ですから、怪我をすることはありませんから」
「ふーん」
 しょうがない、ここはご主人様の情けをかけてやるか。
 それに怪我をしないということだから、久しぶりに動くのもいい。
「アズミ、カズミ、立つから離れてくれ」
「うん」
「はい」
 すっかり重くなった腰を上げると、アズミとカズミは尻についた埃を払ってくれた。
「ありがとうな、2人とも」
「「えへへ」」
「さて、行くか」
「ご主人様?」
 不思議がっている2人を置いて、俺は止めが入らないように、すばやくサキミの元へと走った。
「ご主人様!?」
「あ、危ないですよー」
「浩人さん!」
「何考えているんだか、あの主人は!」
 後ろから聞こえてくる声を無視して、俺はサキミに襲い掛かろうとしたモンスターの一体に懇親の蹴りを食らわした。
 丁度当たり所がよかったのか、モンスターはくるくると回転して消えていった。
「ご、ご主人様ぁ!」
「ったく、こんな奴ら相手に苦戦するんじゃないよ。あと、自分の力量に合わせた装備をすること」
「え、えぅ〜」
「ともかく、こいつらを蹴散らすぞ」
「で、でもぉ」
「俺も手伝ってやるからさ。というか、お前はそこに立ってライフルを構えていろ。ヘタに動くな」
「は、はいですぅ」
「行くぞ」
 とりあえずさっきので物理攻撃が効くということがわかった俺は、久しぶりに戦闘ポーズを取った。
 両足に力を込め、腰を低く保ち、集中する。
 俺が小さい頃から叩き込まれてきた、相手を倒すときの構えの基本だ。
「行くぞ」
「えぅ!」
 気の抜けるサキミらしい返事を聞いて、俺はモンスターの群れへと突っ込んだ。
 ところが、いざ戦ってみると、てんで弱い。
 動きもトロくて、まるでからかっているような感じ。
 サキミは、こんな奴らにてこずっていたのか。
 はあ、やる気無くすな。
 とりあえず、モンスターたちに2、3発食らわせて、全部サキミのすぐ前に揃えた。
「ほれ、さっさと撃って終わらせ」
「はいですぅ」
 拍子抜けしたサキミだったが、盾の上にライフルを乗せて固定し、引き金を引いて、モンスター達に被弾、殲滅していった。
 終りはあっけなく訪れた。
「はぁ…。お前、実践訓練する前に、基礎体力をつけた方がいい。それと、装備も代えたほうがいいぞ。ライフルなんて、サキミには似合わない」
「えぅ〜」
「「ご主人様!」」
「ぐは!」
 事が終わってから、アズミとカズミがものすごい勢いで駆け寄ってきて、俺は2人から吹っ飛ばされた。
 サキミ並に小柄だと思っていたんだが、パワーが桁外れに強かった。
 特にカズミにいたっては、大人しいイメージが強いから、余計に衝撃だった。
「大丈夫だった?」
「お怪我はありませんでしたか?」
「ああ。大丈夫だよ。それに、立体映像だから怪我しないって言ったのは、カズミだぞ」
「それは、そうですけど。でもでも…」
 なでなで。
「「あっ…」」
 口で言ってもわからないと思ったので、頭を撫でてわかってもらおうとした。
 案の定、心配していた2人の顔が、はにゃーと崩れて、2人は俺に頬擦りした。
 一方で。
「このお馬鹿! また浩人さんに助けてもらっちゃって」
「えう〜! ご、ごめんなさ〜いぃ」
 そらがものすごい形相で、サキミに説教をしていた。
 アレは、完璧に男モードになっているな。
「ったく、サキミは非力過ぎ。いくら戦闘に参加しないとはいえ、自分のご主人様ぐらい守れなくてどうするのよ。逆に、2回も助けてもらうはめになるしさ」
「えう〜」
「向き不向きがあるにせよ、戦闘に関しては、論外だな」
「まあ、元々サキミはセラビー部門だし、担当した娘たちからは、結構高い評価をもらっているから、特に評価に関わることじゃないんだけどね」
「じゃあなんで、訓練させようとしたんだ?」
「この娘、最近運動不足で、ちょっとふっくらしてきたからさ」
「そ、そらちゃん!」
 サキミは顔を真っ赤にして、そらに向かって両腕をぶんぶんさせた。
 言われてみれば、ちょっと丸くなったような感じがあるようなないような。
 野郎から見ればほんの些細なことなんだろうが、女の子たちにとっては重要だということは、過去の出来事から経験済みだ。
 そしてそのことに突っ込むと、大きな火傷を負うことになることも承知済み。
「えぅ〜。内緒って言ったのにぃ〜」
「いいじゃないの。実際、缶詰状態で運動不足になっていたのは事実なんだから」
「だから、サツキお姉ちゃんと息抜きで出てきたのにぃ〜。えぅ〜」
 そういえば、あいつら俺がここに来ているっていうの知らないよな。
 というかフィーネの奴、いつまで俺を放置しておく気だろうか。
 特に用事がなくて、ただ気まぐれに連れてきたというのであれば、なんらかの償いをしてもらうところだが、あいつの性格からしてそれだけはないとは思うが、早くしてほしいものである。
 俺だってそれなりに暇じゃないし、予定だってある。
「にしても、ご主人様って、強いよねー」
「そうだね。ご主人様、お強いです」
「そうか? 俺からしてみれば、あいつらが弱いだけであって、サキミはそれよりも弱いってだけだろう」
「えぅ〜」
 あのぐらいの動きなら、なにかしらのスポーツを少しすれば、十分ついていけるレベルだと思うんだが。
 少なくとも、俺の知っているあの娘なら、パンチ一発でKOするな。
「でもないんだよ。中級援護天使レベルの最低ランクだったとはいえ、普通の人間さんだと相手にならないこともあるんだよ。それを圧倒しちゃうんだもん。浩人さんは、十分強いよ」
「一度本格的にやらないとなんとも言えないけどな」
「お前ら、過大評価過ぎ。あれは、たまたまだっつうの」
「じゃあ、やってみる?」
「!?」

てんゆび2章06・2
K'SARS / 2006-09-15 16:04:00 No.978
 後ろから声がしたので、アズミとカズミを抱えて、俺はとっさにその場を離れた。
 そこに立っていたのは、20代前半ぐらいの女だった。
 いくら話しに気を取られていたとはいえ、全く気配を感じさせなかった。
「むふぅ。そんなに驚かなくてもいいのにさ。私の乙女心、大きく傷ついたよ」
「つうかよ、驚かすつもりがないのであれば、気配を消したまま近づくな」
「そうですよ、沙子様。あまりヒロっちを驚かせないでください」
「フィーネ」
 不気味な気配を持った女の後ろから、呆れ顔のフィーネが来ていた。
 やれやれ、ようやくお出ましか。
「むふぅ。フィーネちゃん、ちょっと母親モード入っているよ」
「そりゃ、私はずっと、ヒロっちのことを見守ってきましたし、この姿は、ヒロっちのお母様である観鈴様のお姿なんですから、母親同然だからいいんです」
「俺はお前のような母親を持った覚えはない」
「うわ、ひどいことを言ったよ、この薄情者」
「薄情で結構。それより、この女は誰だよ?」
「言ったでしょう? 会わせたい人がいるって。それがこの人」
「上司に向かってこの人扱いは問題があるけど、まあ、いいや。初めましてかな。私、援護天使を束ねている、沙子って言うの。よろしくね、ヒロヒロ」
 ……まあ、もう何もいうまいって。
 にしても、見た目はこんなに若いのに、援護天使を束ねているとは。
 よく見ると、サキミたちは沙子を見たとたんに固まって、今は敬礼をしている。
 フィーネはしていないみたいだが、言葉使いからして、やはりそれなりに偉い人なんだろうな。
「それでさ、さっきの話に戻るんだけど、ヒロヒロ、実践訓練してみる?」
「あ、あの」
「うん? どしたの。えっと…」
「サキミですぅ。あの、ご主人様には、あまり、危険なことをさせるのは…」
「大丈夫よ。訓練だから、あなたと一緒だよ。それに少なくとも、あなたよりは大分マシなんだからさ」
「え、えぅ〜」
 意見するまではよかったが、手痛い反撃を食らって撃沈するサキミは、いつの間にか俺の後ろに来て、抱きついていた。
 両手にはアズミとカズミ、後ろにはサキミ、そして何故かそらも抱きついてきて、野良野郎が見たら、眼力で人が殺せるほどの視線を送ってくることだろうな。
「暑そうだよ」
「まあな。…ところで、本当に俺なんかが守護天使たちがする訓練をしていいのか?」
「了承」
「音速の速さで承認するなよ。まあ、いいけど」
 ご丁寧に親指を立てて、沙子は満面の笑みで答えた。
 ボスがそう言っているのだから、誰も否定する意味はないってところか。
 フィーネも視線で「付き合ってあげて」と送ってきてくれることだし。
「つうことだから、お前ら、離れてくれ」
「「「「はーい」」」」
 しぶしぶ4人が離れたところにフィーネが寄ってきて、キューブ状の物体を渡した。
 灰色で、何か懐かしい感じがした。
「それはエンジェルツールって言ってね、自分が頭に思った武器とかをを具現化して、装備することが出来るの。最初はそういうキューブ状なんだけど、使用者によっては腕輪とか首輪とかにすることも可能なの。チカぼーのあのゴスロリは、実はエンジェルツールが変化したものなの」
「だから、あんな物騒なものがぽんぽん中から出てきたのか」
「位が上がるごとに装備数が変化するんだけど、まずは手始めに1つね」
「ああ。それで、頭に思い浮かばせればいいんだよな」
「そうそう」
 俺はたった一つの装備を選択するために、使いやすい武器を頭の中で検索した。
 数分後。
 頭の中で使う武器を思い浮かべたら、エンジェルツールが光り輝き、形状が変化して俺の手に収まった。
「ご主人様、それなーに?」
「なんか、糸みたいです」
「ああ。これは鋼糸っていうんだ」
 鋼糸とは、糸に鋼のぎざぎざがついてあり、番号が小さいほど細かく並んであって、0番になると人の首なんてあっという間に飛ぶような代物で、俺が選んだのは、その0番ワイヤー。
 人間相手では絶対に使いたくないものだが、相手は立体映像のモンスターなんで、遠慮は無用だ。
「それでいいの?」
「ああ。これさえあれば充分だ」
「なら、これも使ってよ」
 沙子はまるで俺がこれを選ぶのを見越したかのように、手袋を差し出してきた。
 白と黒。陰と陽みたいな感じのもので、中心には丸い球体が埋め込まれてあった。
「沙子様、それは?」
「聞いたことない? 古の昔、人間と動物との間に起こった戦争の中で、聖者様が四聖獣様方を封印したのと同時に、人間たちの兵たちを命をかけて散らし、愛しき者たちとその生涯を閉じたお方のことを」
「あれは本当だったのですか? 私はてっきり、後付されたもの、もしくは、数ある物語の1つだと思っていたんですが」
「俺、いや、自分も、そうだと思っていました」
「本当のことよ。私も、歴代のメガミ様や歴代の援護天使長様が引き継がれてきた記憶を受け継いだときに知ったんだけどね。とにかく、それは特別な手袋のレプリカよ。性能はほぼ本物に近いけどね」
「そんな大切なもの、俺が使っていいのか?」
「いいのよ。レプリカだから」
 そういう問題じゃないような気がするが、使っていいと言っているから、遠慮なく使わせてもらおうとするか。
 白を左に、黒を右にそれぞれつけると、中央の球が一瞬光って、すぐに消えた。
「なんだろうな、これ。すごく、力がみなぎってくる様だ」
「その手袋が、あなたを認めたのよ。さてと、ちゃっちゃとやりましょうかね」
 意味ありげな言葉を残して、沙子はそらがモンスターの設定をしていた台に向かった。
 しばらくして、俺の訓練の相手になるやつらが出てきた。
 ……が、それはモンスターだけではなく、人型もいた。
「援護天使中級レベル最高から行っちゃおう!」
「えぅ〜。ご主人様、無理なさらないでくださいですぅ」
「大丈夫だ。まあ、見てろ」
 鋼糸を手袋の上を通るように装備して、出てきた連中叩きのめすべく、集中力を高めていく。
 髪が風でなびく感覚。
 ほどよい緊張感。
「この風。この肌触りこそ戦闘の雰囲気だな。さて、やるか」
 俺はターゲットを定めて駆け出し、最初の一発を食らわすために拳に力を込めた。

てんゆび2章06・2
K'SARS / 2006-09-15 16:06:00 No.979
 今より一時間ぐらい前に遡る。
 浩人たちと別れたチカとサツキは、デパートでの買い物を終えて、荷物を置きに寮へと向かっていた。
「はやや〜。ちょっと買いすぎましたわ」
「チカちゃんは衝動買いが多いですの。手当たり次第に買うのはよくないですの」
 途中で借りたリアカーを引きながら、2人は愚痴る。
 本来ならば、浩人が両手一杯になるぐらいの量だったのだが、サツキが指摘した通り、チカは久しぶりの買い物だったために次々と購入していき、気が付けば、リアカーでも引っ張るのがキツイ位の量を買ってしまったのだった。
 それに付き合わされるサツキは、まさにとばっちりだった。
「これだけの量、チカちゃんのお部屋に入るんですの?」
「大丈夫ですわ。私、もう一室を持っていますので、そちらに収納しますわ」
「そこは何処ですの?」
「すぐそこですわ」
「ふぇ〜。早く着いて欲しいですの。暑くて耐えられないですの」
「もう少しですわ」
 明らかにへばっているサツキを励ましながら、チカは必死に引っ張っていく。
 しばらくして、チカが指定した寮へと到着した。
 下から見上げるだけでもうんざりするほど高い。
「あの、チカちゃん。一応、聞きますが、もしかして、お部屋は一番上ですの?」
「はやや。その通りですわ」
「……ふぇ〜」
 肩をがっくり落としながら、サツキはチカと一緒に荷物を運んでいく。
 途中、チカとサツキの面識のある守護天使が通りかかったので、有無を言わさず手伝わせ、すぐに搬入は済んだのだった。
 ちなみに、その子たちへの報酬はなし。というか、自主的に断られた。
 めいどの世界は上下関係はさほど強くはないが、神クラスに属する2人の守護天使に頼まれたら、絶対に嫌とは言えないし、口答えなんぞしたら、明日の朝日は見られない身体になってしまうと噂もあるから、引き受けるしかないし、見返りなんて求めない。
 チカたちは悪いと思いつつ、近くのパーラーへと移動して、休憩を取った。
「ふぅ。くたくたですの」
「今度は、なんとか自粛することにしますわ」
「なんとか、ではなく、絶対に、ですの」
「はやや。サツキちゃん、厳しいですわ」
「ああ、なんか見えますの。ヒロさんの両手にたくさんの荷物があって、息も絶え絶えに持っている姿が」
「は、はやや」
 浩人のことを棚に出されて、どんどん小さくなっていくチカ。
 ちなみにチカが、本来浩人と一緒に買い物をする量も、浩人とチカの持てる量を凌駕しているので、どのみち、互いに息も絶え絶えになってしまうのがオチだった。
 それだけの量を買うのには相当な金も掛かるのだが、金銭感覚が半ば麻痺しているチカに自粛しろというのは、はっきり言って、サキミに浩人を好きになるのをやめろと言っているのと同義である。
「それにしても、いくらフィーネさんが連れてきたからって言って、人間さんをめいどの世界に入れてもいいんですの?」
「私もどうかなって言ったんですわ。でも、沙子様の頼みということを聞いて、しぶしぶ、なんですわ」
「さ、沙子様が……」
「命は大事にしないといけませんわ」
「ふぇ…」
 2人の頭に沙子の無邪気な笑顔が浮かび、同時にため息をついた。
 それほどまでに、恐ろしい人物なのである。
「そういえば、チカちゃん。サキミちゃんたち、何処に行くか知っていますの?」
「えっと、浩人様が寮を出るときに、発信機付きのバッチを持たせてあるので、ばっちり位置は把握出来ますわ」
「ならいいんですの。それで、今何処に?」
「ちょっと待ってくださいですわ」
 チカがポケットから携帯を出して、慣れない手つきで操作をしていく。
 と、サツキが何かに気づいた。
「チカちゃん」
「はや?」
「あれ、何か変ですの。嫌な気を出していますの」
「はやや?」
 サツキが指差した先には、数人の守護天使が集まっており、何かを確認していた。
 別に変なところはないのだが、サツキの特殊能力が発動したということは、これから先、何かが起きるという予知できたということだ。
 その大抵が、悪いことへと進展していく。
「まずいの。ゲートが近すぎますの」
 ゲートとは、めいどの世界と外界を繋げる門のことであり、呪詛悪魔などが侵入するのを防ぐ役割がある。
「あの娘たちが、何を?」
「それ以前に、あの娘たちは守護天使じゃないですの。あれは…」
 サツキがチカにその正体を曝す前に、集まっていた守護天使たちがいつの間にか持っていたライフルを天に掲げて叫んだ。
「「黒き混沌なる世界の為にー!!」」
 守護天使たちのめいど服が一斉に黒くなり、ゲートに向かって突撃していった。
 気づいた守備隊が応戦するが、不意打ちを食らったためにほぼ抵抗出来ないまま撃たれていった。
 もちろんライフルは本物、実弾入りなので、次々と息絶えていく。
 銃声に気づいた天使たちはパニック状態になり、我先にと逃げていく。
 そして、ゲートの前には誰もいなくなった。
「ど、どうしますの?」
「ゲートはメガミ様の結界力とリンクしていますから、そう簡単には破られませんわ。ですがその分、めいどの世界は無力化しますわ。サツキちゃんは、センターに行って非常事態宣言を出してもらってくださいですわ。私は、ここで食い止めますわ」
「で、でも、装備はどうしますの?」
「あれぐらいでしたら、1つのエンジェルツールで十分ですわ。さあ、早くしないと。ゲートが突破される前に避難を完了させませんと、めいどの世界は、大混乱になって、多大な被害になりますわ」
「は、はいですの!」
「気をつけてくださいですわ。武装して成りすました娘たちがいると思いますわ」
「わかりましたわ」
 サツキはチカの言うことを聞いて、全速力でその場を離れた。
 残ったチカは、フィーネと沙子に敵が襲来したことをメールで知らせ、戦闘態勢に入っていった。


 こうして、めいどの世界にとって、最悪の一日が幕を開けたのだった。


<続>


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 後書き♪

K'SARS「さて、アクションパートの始まりだ!」
ミナト「まあ、こんなことがあったんですね」
カナト「というか、めいどの世界を戦場にすること自体、どうかと思うけど」
K'SARS「いいのだ。これも試練だ」
ミナト「浩人さん、大丈夫なんですか?」
カナト「僕はラナがすごい心配だよ」
K'SARS「ふふふ。ただの主人公とは違うのだよ、ただの主人公とは!」
ミナト「そういえば、旦那様も強かったですよね」
カナト「作者さんに普通を求めてはいないけどね」
K'SARS「ふっ、最高の褒め言葉をありがとう」
カナト「褒めていないって」
K'SARS「さて、次からは白熱したシーンとセリフが満載だぞ」
ミナト「ネタばれは必死ですね」
K'SARS「いいのだ。楽しんでもらえば。というわけで、でははん!」

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