大喜利第709回選句欄

それでは、選句をお願いいたします。

特選１句に◎、並選５句に○。コメントもお願いします。

選句期限：2月２８日(日曜)２４時まで
　　　　　　
　　　　　幹事　葵

《蒼天選》
春の雷小さき笛吹く迦楼羅像◎
　　興福寺の迦楼羅像を思い出した。竜を常食とする怪鳥が
　仏の守護神に。小さき笛が仏への帰依を象徴か？
雁風呂や星の高さへ立つ煙〇
　星の高さに同意。
春の雷節目の荒き太柱〇
　ガイドで、いつも千三百年の荒き太柱を撫でる。
朧夜の御所人形の細き眉〇
　細き眉が朧を助長する。
魚氷に上る赤子の指ひらく〇
　こうやって人は育ち始める。
木の芽晴色えんぴつを尖らせて〇
　木の芽の色には色鉛筆の色がぴったり。

葵選句

◎木の芽晴色えんぴつを尖らせて
　春や春すべての色鉛筆で春を。

〇魚氷に上る赤子の指ひらく
　明るい未来を。あなたを見るだけで幸せです。

〇寸胴鍋見付く被災地木の芽風
　能登の朝市の焼け跡から見つかったから、頑張るぞ！頑張れ！

〇春雷を逃げ来し人と人と和す
　同じ境遇、恨めしいばかりです。

〇月朧やさしき声の警備員
　イライラしていてもその声にホット。

〇魚は氷に田舎に半導体工場
　ここに日本の未来が

ふみもと選

◎物置を空つぽにして春の雷
感覚的な句ですが、わかる気がします。雷鳴のビリビリとした余韻も。

◯魚は氷に上り星座は木に宿る
最後を「宿る」としたことで安定した、かも。

◯手作りのパン甘さや木の芽時
パンで小麦や酵母や柔らかさをイメージさせて、下五で木の芽と響かせるという素適な構成。

◯とりどりのサラダボウルや木の芽風
早春の風。サラダのみずみずしさ。

◯月朧やさしき声の警備員
ちょとだけ不気味さも孕んだ句。あぶない警備員かも。

◯魚は氷に上り解体進むビル
春になっていく感じがいいですね。時間の経過が明るいです。

純子選

◎まろび行く時の流れや魚は氷に
　季節の移りゆく早さは年とともに感じます。

○雁風呂や星の高さへ立つ
　｢星の高さ｣が雁供養に響き合います。

○木の芽立つ欅は空へ無制限
　木の芽の数も無限、空の広さも無限

○朧夜の御所人形の細き眉
　ふっくらとしたかわいい顔に細い眉が印象的。

○パン切りの波刃沈める朧の夜
　季語が効いています。

○木の芽吹き掴まり立ちの子を見やる
　これからの成長が楽しみ。

二酔選

◎花嫁の肩のすはだや魚は氷に
　結婚して新しい生活が始まる花嫁のむき出しの肩に美しくさと不安も感じる。

〇海ばかり見えて岬の木の芽かな
　まだ葉も茂っていない木の枝の先に海が良く見える。

〇雁風呂やリュックサックの脇に靴
　旅行者が風呂に入っている様子をもので語らしている。

〇寸胴鍋見付く被災地木の芽風
　食堂のがれきから見つけたのか。炊き出しに使えそう。

〇湯の街の橋渡りゆく朧かな
　湯気と朧が一体となっているような春の夜。

〇白々と明けゆく空へ木の芽立つ
　夜明けごとに春もだんだん深まっていく。

雪蛍選
◎ 魚は氷にピエロはコイン耳に出す
取合わせが効いていて面白い。

◯ 魚は氷に上り星座は木に宿る
中七下五に詩情が

◯ もち網に酒粕こがす朧かな
朧の季語との相乗効果。

◯ 春の雷節目の荒き太柱
一瞬の光の中に浮かぶ太柱。

◯ 朧夜の御所人形の細き眉
雅さが際立ちます。

◯ 木の芽晴色えんぴつを尖らせて
より繊細な線が描けそう。

ひとみ選

◎春雷の残してゆきしガラス窓
　　春雷のもつ独特のかろさを、余韻のみで詠った冒険句とも。

○魚は氷に上り星座は木に宿る
　　童話の世界。「上り」を取った方がすっきりするかも。

○魚は氷にピエロはコイン耳に出す
　　うららかな日の大道芸。

○湯の街の橋渡りゆく朧かな
　　　情緒たっぷり。

○虹梁の続く薬師寺月おぼろ
　　　おぼろ月が見えてきます。「虹梁の続く」がやや硬いかも。

○春雷をブラームスとも紅茶飲む
　　　お洒落な方ですね。

ぴのこ選

◯木の芽晴色えんぴつを尖らせて
季語がいいですね。

◯魚は氷に上り星座は木に宿る
ロマンチック。

◯雁風呂や星の高さへ立つ煙
景が浮かんできます。

◯海ばかり見えて岬の木の芽かな
海の音が聞こえてきそう。

◯魚は氷に上り解体進むビル
スクラップアンドビルド。

◎魚は氷に田舎に半導体工場
突然できる最新鋭工場。唐突感が季語と響き合ってます。