選句に移ります。
いつものように特選◎１句、佳作〇５句、計６句をお選びください。
コメントもお願いいたします。

二酔

《蒼天選》

春暑しぱたぱた畳むパイプ椅子◎
　いろんな出来事が多い春、パイプ椅子に座る機会が数多。

靴の裏見せて三人春暑し〇
　色んな所へ出掛ける三人組。一番バランスの取れる最小単位。

菜種梅雨弓道場に一人立つ〇
　これは女流の一人の射手映像とお願いしたい。

上履に入れる手紙や飛花落花〇
　今は昔の風景。今はケイタイがあるからなー。

蝌蚪の紐二重らせんのＤＮＡ〇
　むかし、中学位で習った記憶です。

ゆらゆらと木橋の影や蝌蚪の国〇
　懐かしい田園風景、もう木の橋が少なくなりました。

二酔さん、てんていさま、
　　旧友の葬儀で郷里に帰っていました。選句から参加させていただきます。
　次回幹事は、小生でしたでしょうか？教えて下さい。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　蒼天
　

ぴのこ選

◎杉の花墓仕舞ひする役回り
次々に去り、残されたのは。

◯異国へは行くすべもなき蝌蚪の国
この国で暮らすしかない現実。

◯菜種梅雨弓道場に一人立つ
雨音と弓のコラボ。

◯苗木植う母に深さを尋ねつつ
母だけが知っていること。

◯ゆらゆらと木橋の影や蝌蚪の国
水面に橋の影が。下界(蝌蚪の国)

◯春暑しぱたぱた畳むパイプ椅子
春には行事が多い、出番の多いパイプ椅子。

雪蛍選
◎ 飛花落花ちちははの名をわすれさう
親も年をとり、そして今度は自分たちも、そんな齢に。

◯ 杉の花あしたの空をけぶらせて
想像するだけで目が痒くなりそう。w

◯ 菜種梅雨弓道場に一人立つ
静寂さと凛とした空気感。

◯ 蝌蚪の紐二重らせんのＤＮＡ
確かにDNAの螺旋に見えてきます。

◯ 日も泥も透き通りたる蝌蚪の紐
生命という神聖なもの。

◯ 揺れやすきものとなりたる杉の花
花粉が飛び出すあの映像が。。

葵選句

◎菜種梅雨弓道場に一人立つ
　私の同級生が弓をやっています、山の畑に弓道場を拵えたとか。

〇靴の裏見せて三人春暑し
　仲良し三人組公園でアイスクリームでも食べて。

〇苗木植う母に深さを尋ねつつ
　今だから花水木とか、来年は花をつけると良いですね。

〇春暑しぱたぱた畳むパイプ椅子
　早く片付けてゆっくりしましょう、世話人の方ありがとう。

〇夢の国近きところに蝌蚪の国
　井の中の蛙ではないけれど、

〇苗木植うはやも大空差してをり
　きっと大きくなりますように、水もたっぷりと

ふみもと選

◎現像を忘れしフイルム蝶の昼
セピア色がかっていたり、変に光が入ってしまったり、昭和的なムードと気だるい蝶の昼が、何とも言えず調和をしています。

◯空の果て宇宙は青し苗木植う
壮大ですが、不思議に苗木と合っている気がします。

◯杉の花あしたの空をけぶらせて
アレが明日まで及ぶとは！

◯この谷の底に村あり落花飛花
底まで落ちる。あるいは飛翔する。

◯苗木植うはやも大空差してをり
頼もしい苗木。素性の良さ。

◯花は葉に晩節けがす勇気なし
哀愁漂うというよりも、もっと潔い心持ち。葉桜が眩しい。

二酔選

◎現像を忘れしフイルム蝶の昼
　不思議な取り合わせだがなぜか惹かれた。撮ったものの写真になっていないフィルム。現像すれば、そこには美しい景色が映っているかもしれない。昼のひと気のない空間を蝶が美しく舞っていて誰も見ていない静けさ。

〇雲を見て風を感じて苗木植う
　春の雲がのどかで良い気候のもとの植栽作業。

〇思ひ出のひとつひとつや苗木植う
　記念樹を植えているのではと思いました。

〇春暑しぱたぱた畳むパイプ椅子
　行事が終わった後の作業とやれやれ感。

〇杉の花墓仕舞ひする役回り
　みんな都会に出てしまって、お墓は田舎の不便なところにあるのかもしれませんね。

〇靴の裏見せて三人春暑し
　脚を伸ばして三人座っているので靴の裏が見える。面白いところに目をつけました。

純子選

◎春暑し水車の音を見つめる子
　水音に涼しさを感じている子。｢音を見つめる｣が詩情豊かで秀逸。

〇蛙の子大地にぺたん座りして
　ぺたん座りがなんとも可愛らしい。

〇スムージーに太きストロー春暑し
　少し暑くなってくるとスムージーは美味しい。

〇生れし子に杏子と名づけ苗木植う
　杏子の花が咲く頃生まれたのでしょう。記念樹を植えてお祝い。

〇この谷の底に村あり落花飛花
　山深い集落の一本桜を想像しました。

〇雲を見て風を感じて苗木植う
　植えた後一雨ほしいところ。

ひとみ選
◎揺れやすきものとなりたる杉の花
　　　ゆれないでほしい物の筆頭ですが、
　　　重いほど花粉がついてゆれるんですよね。

○春暑し水車の音を見つめる子
　　　もう水遊びがしたいほど。「音」で勢いが。

○百人の写真の端や杉の花
　　　微苦笑俳句。

○杉の花あしたの空をけぶらせて
　　　夜明けと同時に。

○飛花落花ちちははの名をわすれさう
　　　あの世とこの世の境目のような落花。
　　　
○日も泥も透き通りたる蝌蚪の紐
　　　ごちゃまぜだけれど、透き通っている。

蒼天さん、お忙しいところ選句ありがとうございました。
前回の順番を踏襲すると小生の次は蒼天さんですので、お題の予告をお願いいたします。
二酔