ホームページ会員の広場に、浜風句会に参加しての印象を書きました。他の句会と比べて、浜風句会に出される句は「嘘」「裏」が多いのです。詳しくはホームページの「会員の広場」をご覧下さい。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田　友作

「浜風句会に参加して」のエッセイ拝見。
俳句に使われている言葉の統計をとるって、さすが友作さん！とまず思いました。時間もかかるし、私にはとても真似できない。というより、私にはそもそも考えつかない(^_^;)

俳句を作るうえで、「嘘」「闇」「影」「裏」は、どれも、何度も使ったことがある言葉ですが、私は特にマイナスのイメージは持っていませんでした。

たしかに、言葉としてはマイナスなイメージがありますが、「嘘」「闇」「影」「裏」が、俳句の中のどんな状況で使われるかによって、マイナスだけではないものが表現できると思うので、惹かれるものがあります。

ということで、私は、「これ、俳句に使うの？」と思われる言葉も使って、俳句を楽しんでいきたいと思っています。

ちなみに白にはかつて、「白紙委任状」とか「根抵当権」などの言葉を使って佳句が出された方もいらっしゃいました。

陰翳大好き
　パーセントに加担している一人かもしれません。ただ「マイナスイメージの言葉」には、ちょっとひっかりました。「嘘・闇・影・裏」をネガティブ、後ろ向き、後ろめたい、暗いといった感情表現であるかのようにですが、果たしてそうでしょうか。
　谷崎純一郎『陰翳礼賛』には、日本文化の影、闇の美しさ絶賛しています。能狂言の陰翳、茶室の薄暗さなどなど思い浮かびます。「嘘・闇・影・裏」には日本文化の美の一部を表す言葉のように思います。
　世の中、プラスイメージだけでは成り立ちません。プラスとマイナスが一体となって成り立っている思います。得てしてプラスだけで世界を見ようとしますが、世の中そうは問屋が卸しません。犯罪あり、戦争ありの社会です。昼夜あっての一日です。新月あっての満月です。春夏秋冬然り。「陰陽道」は陰と陽が絡み合う世界です。虚実こもごもの毎日です。
　俳句は、そんな複雑な世界から生まれていると思います。虚実・明暗・影日向・表裏の姿を読み取っていると思います。浜風句会の俳句は「複雑系の俳句」と言っていいのではと思うのですが。自画自賛、お許しください。陰翳大好き派の独り言。　（青三）

友作さんが、「嘘、闇、影、裏」の四語に絞って、浜風句会で見られる頻度を他の句会と比較されたのは、とても面白い試みだと思います。

実は、私の手元には投句しようかどうか思案している句があります。　それは「天の川人間だけが嘘をつく」という句で、当に嘘の句です。　なぜ投句を躊躇っているのか考えて見ると、矢張り浜風句会では嘘を詠んだ句にはかなり既視感があると感じているからかも知れません。

私が、この大げさな句を思い付いたのは、野生動物は生まれた瞬間からよろよろと立上がりその後死ぬまで餌を求めて過酷な生活をせざるを得ないので、そこに嘘の入り込む余地は無いのではと思ったからです。

ある研究者は「人間の子供は歩く迄に一年近く掛り、更に餌を取って来る迄に二十年近く掛る。　人間はこんなにも稀有な動物なのです」と延べています。　そうなると嘘を付くのは良くも悪くも知恵に恵まれた人間のお家芸ではないかと思います。

友作さんの問いかけにお答えするとしたら、浜風句会の方々は、嘘を軽妙に遊んでおられるのではないかと想像します。　洋子