ご無沙汰しております
飼い主 / 2015-05-13 23:02:00 No.2562
こちらには初めて書き込みをさせて頂きます、飼い主と申します。
波風さんのお宅のゴリさん、大変なご長寿とご健勝ですね。素晴らしいです。
以前送っていただいた論文を含め、最近ちょこちょこと読んでおります。
そのうち、波風さんに少しおたずねしたいことがでて参りました。
オカヤドカリの食性について、昆虫や他の節足動物を食べるということは、学術的にどれほど認識されているのでしょうか。
以前読んだものにも、最近読んだものにも言及がなかったようなので、疑問に思いました。
あまんなどに記載がありましたら、教えていただけると嬉しいです。
ご多忙の折、何卒お時間のあるときにお願いいたします。

波風 / 2015-05-16 21:54:00 No.2563
飼い主さん、こんにちは。
お久しぶりです。

おかげさまで、ムラサキの大御所もまもなく丸14年を迎えます。
季節(保温環境)の変わり目ですが、特に変りなく過ごしていますし、脱皮周期もまだ先ですから、15回目の夏も無事に乗り切ってくれると楽観しております。

さて、昆虫食についてですが、私が不勉強なだけかもしれませんが、今の所その事について言及された資料、論文等は目にしたことがないですね。
「あまんシリーズ」は生態調査ではなく、あくまで生息調査の結果をまとめた文献ですから、食性については「種々雑多な有機物を摂食する広食動物である」とか、「腐食動物でもある」とか・・、その程度の記載しかありません。
生態について記載された資料を見ても、「獣糞に集る」、「打ち上げられて海獣の死骸を食べていた」など刹那的な観察によるものが殆どのようです。

僭越ながら「オカヤドカリが虫を食べる」と、Web上で発信したのは拙サイトの2003年頃の記事が最初ではないかと思います。
私は若い頃から、ダイビングでしばしば南西諸島を訪れていましたので、当然泡盛を醒ますために夜中に浜辺をうろつことが多かったわけで(笑)、流れ着いたセミや打ち上げられた甲殻類の死骸を貪るオカヤドカリ類はよく目にしていました。
そんな僅かな知見に予断と先入観を加味した、在野の素人の戯言ですね(^^;
まあ、試しにその辺に落ちていた鱗翅目や直翅目の昆虫を飼育下のオカヤドカリ類に与えてみたら思いのほか良く食べたので、甚だ乏しい根拠ながら、それが裏付けになって妄言が現実味おびただけの話です(笑)
現在は大手業者が推進したオカヤドカリの玩具化、インテリア化事業の影響下にある飼育者が殆どで、本来の生態を知ろうともせずに真っ白いサンゴ砂で見栄えよく「飾る」のが主流のようですから、一般の愛好家には昆虫食など何を言わんかですね。

ところで、「あまん」にも寄稿されている当山昌直さんが、沖縄の風葬地とオカヤドカリの生息区域の関連性を調査されているのをご存じでしょうか?
私もWeb上で公開されている予報を読んだだけですが、なかなか興味深い内容でした。
もしかしたら、昆虫よりオカヤドカリが人間の死体を食べることが学術的に認識される方が早いかもしれませんね〈笑)

飼い主 / 2015-05-18 20:37:00 No.2564
お忙しい中ご返信ありがとうございます。

ゴリさんは推定年齢二十数歳になられましたでしょうか?まことにおめでとうございます。
性別が違いますけれども、うちのムラサキオカヤドカリにもゴリさんを最終目標に頑張ってもらえたらうれしいです。

文献での記載の件、お教えくださりありがとうございます。
ネット上にはない古い文献をもう少し確認しなければならないと思いますが、私も波風さんの仰います通り、オカヤドカリの虫喰いは、学術的に認識されてこなかったのではないかと感じております。そうだとすればこれは重要なことで、調査と実験を少し加えれば、学会発表できるような内容かも知れません。
最近読んでいたヤシガニの論文では、オカヤドカリはヤシガニより植物食の傾向が強いという風に書かれており、食性の違いが強調されていました。しかし実際はオカヤドカリも節足動物を好んで食べる(我が家のムラサキオカヤドカリの場合、生きている虫を押さえつけて食べることもあります)わけですから、両者の食性の違いはそれほど大きくないと言えます。そうであれば、オカヤドカリもヤシガニと同じようにキチンを分解できても不思議ではありません。
仮定が多くて恐縮なのですが、もしもオカヤドカリもキチンを分解できるとしたら、そこから得たN-アセチルグルコサミンなどを自分のキチン合成に流用していることも考えられます。その場合、虫餌が脱皮トラブルの予防食になるかも知れないと思うのです。
拙宅の飼育環境は非常に適当ですが、虫餌に助けられていてここまでなんとかなっているのではないかと…。

風葬の記事、初めて知りまして、拝読いたしました。
ホラー的ではありますが、沖縄らしく、どことなくおおらかなお話ですね。
アーマンの由来も含めて、大変浪漫があると思います。
研究が進んでいくことを期待しております。

波風 / 2015-05-23 13:58:00 No.2565
ゴリさんは、2001年6月時点でC.L20?はありましたから、ご推察通り20年以上は生きていると思います。
ムラサキオカヤドカリとしての元々の寿命に加えて、飼育環境への順応力の高い個体だったのでしょう。

ヤシガニやオカヤドカリのような広食性の雑食動物は、生息環境などによって摂餌選好性が変化しますので、それこそ広範囲にわたって情報を収集しないと、なかなか本質は見えてこないでしょうね。
在野では与那国島のヤシガニ捕り名人が、胃の内容物から個体によって専食性があることに言及していますし、オカヤドカリ生息実態調査報告書には、これまでの知見として「代謝不調を引き起こすまで栄養不足の食物を食べ続ける」負の選好性誘発がおこりうる食物選択のコントロールにおける不調仮説が、実験によって支持されたとする論文が紹介されています。(Thacker,1998)
ちなみに、ここではオカヤドカリ食物の匂いを特定の栄養素と関連付ける能力を欠いていると結論付けられています。
実際、以前某サイトで、発泡スチロールの食品トレーなどを食べていたという観察事例が紹介されていましたし、プラスチック類の誤食による有害汚染物質検出のニュースなども報道されていますから、オカヤドカリの食性の解明はなかなか一筋縄で行きそうもありませんね。
http://www.y-mainichi.co.jp/news/27107/
そこがまた面白いところではありますが(笑)

風葬の話、続報が待たれます。
私は元々文系ですから、民俗学的な話の方が、馴染みやすかったりするんですよね(^^;

飼い主 / 2015-05-31 21:04:00 No.2566
お返事遅くなりまして申し訳ありません。
個体ごとに食性に偏りがあるとやっかいですね。
中腸腺から酵素をとるのが一番確実だと思いますが、オカヤドカリでそのような研究が進むのはいつになることか、わかりません。天然記念物であることも、研究を難しくさせていそうです。
負の選好性誘発というのは初めて知りました。なんだか難しい…また理解が深まりましてからお話したいと思います。
とりあえず摘まんでみるという傾向は確かにありそうな気がします。
飼っているヤドカリを見ていても、そんな美味しいもののないところでいったい何をつまんでいるのか???と不思議に思うことがよくあります。

私ももともとは文系のはずなのですが、何故か理系の隅っこに居続けたためか、文系の研究は大変新鮮に思います。沖縄では最も身近な生き物のひとつであると思いますので、今後民俗学的な知見も深まれば面白いですね。

波風 / 2015-06-06 22:11:00 No.2567
昭和61年に国庫補助事業として、オカヤドカリの生息状況の調査が全国的にとりおこなわれたそうで・・といっても東京・鹿児島・沖縄の3県ですが、それぞれ生息調査報告書が発行されています。「あまん」もその時の沖縄県の報告書です。
どういう経緯でそういうことになったのかは知りませんが、今の時代に国庫から補助が出ることはないでしょうね(笑)
オカヤドカりから、画期的な医薬品の材料でも発見されば一気に研究が進むかもしれませんが・・。
いっちょ、そんなデマゴギーでも流しますか(笑)

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