私の詩(歌詞)
スピカ◆762aea / 2024-06-26 20:37:33 No.2
【長袖のシャツと自転車で】

見つけようと思えば
幸せはどこでもある
こころ開き思えば
恋人はそこにいる

こすもすに会いに
長袖のシャツと自転車で
行こう

君の瞳 乾くように

ポケットは今日は
空っぽでいいよ

コンナコト
ずっと続くはずない


昨日のこと思えば
今日のことがくもるから
冷たい風が告げる
季節を受け容れよう

あの人はきっと
お見通しだから心配は
ないよ

今日言わなきゃ 損しちゃうよ

小細工はナシで
不器用でいいよ

コンナコト
ずっと続くはずない

小細工はナシで
不器用がいいよ

カタオモイ
ずっと続くわけない

――――――――――――

スピカ◆762aea / 2024-06-27 19:08:15 No.3
【はるか空に夢の世紀】

心地よい風だね
話すこともないね
柔らかい風だね
ラジオが聞きたいね

僕が歌うのには地球は重すぎる
君の合い言葉は百も知ってるけど

はるか空に夢の世紀
君だけを信じてる 夢の世紀


古典を読みたいね
楽譜を書きたいね
ワープロ打ちたいね
お寺に行きたいね

大きな蜘蛛の巣が地球をだめにする
僕は誇り高い文盲でありたい

はるか空に夢の世紀
君だけを見ているよ 夢の世紀

はるか空に夢の世紀
君だけに会いたいよ 夢の世紀
─────
─────

名乗るな名前は存在していない◆762aea / 2024-06-27 20:22:23 No.4
【月が癒す】

窓際に肘をつき 月影に身をまかせ

癒されぬ傷もあると 私は知った

年上の貴女には 片手間の恋なれど

癒されぬ傷もあると 私は知った

現世(うつせみ)に生きるゆえに
悲しみは波の宿命(さだめ)

満ちる月 欠ける月に 心なごませれば

慰めの言葉になる


この思い 幾百に砕ければいいのにね

せめて ひとかけらぐらい 貴女に分けたい

陽ざかりの夏の日に 散る花があることに

貴女がたじろがぬよう ひそかに分けたい

季節(おりふし)に感じるまま
悲しみを友と迎え

昇る月 沈む月に 心響きあえば

ひとり寝の夜を過ごす

一瞬(たまゆら)の時を生きて
刹那の恋を夢みる

照る月に 曇る月に 心許しあえば

ひとり寝の夜を明かす

――――――――――

スピカ◆762aea / 2024-06-30 06:32:02 No.5
【ナメクジ・スケルツォ】

伝令を走らせろ
すべての仲間を呼べ
人類が滅ぶのを
見届けてやる
ためにだ

 祖先の祀(まつ)りを
 忘れたせいだ

長生きをしたいなら
行儀よくすることだ
異教徒の入れ知恵に
耳を貸さない
覚悟で


墓碑銘を彫り直せ
死者に名誉を返せ
不可逆の存在を
忘れてしまう
ためにだ

 梵語のspellを
 忘れたせいだ

因縁が怖いなら
信念を持つことだ
泥仕合するまえに
死に化粧する
覚悟で
─────
─────
spell・・・呪文という意味もある。
─────

スピカ◆762aea / 2024-06-30 17:55:30 No.6
【木漏れ陽を集めて】

時々あなたのことが気になります。
一行だけの手紙書きたくなります

私は幸せついばむ小鳥です
小さな羽では届くはずなどないのに

回れ 回れ 運命
奪い取れ 勇気

重い 重い 呪文を
気楽に唱えよう

もう泣きません
木漏れ陽を集めて
誰よりも輝く


夢見ることだけ上手になりました
少しは器用に笑ってみたりできます

私は季節に遅れた小菊です
優しい少女よ 髪に飾ってください

回れ 回れ 法則
語り継げ 神話

重い 重い 摂理を
身軽に受け流す

もう泣きません
植物の言葉で
饒舌にささやく
────────────

スピカ◆762aea / 2024-07-04 20:57:47 No.7
【ここにないもの】

雨だれが庭を打つ
意味のない日曜日

自転車が濡れるから
買い物に出られない

 歌は資源にならない
 心は痩せてゆく

ここに神はいない
敵もいないけれど

ここに君はいない
時間を戻しても

ここに君はいない


読み飽きたはずの本
それなのに手に取った

猫たちは会いにくる
感情のない味方

 樹々は試薬にならない
 焦りがつのるだけ

ここに祝福はない
焦土は遠いけど

ここに惻隠(そくいん)はない
救いは未定義だ

ここに惻隠はない

────
────

名乗るな名前は存在していない◆762aea / 2024-07-09 21:31:03 No.8
【闇の果てへ】


泣き濡れた町を
出れば逃れられる

行き先も知らず
飛ばせ 闇の果てへ

アクセルを踏み
悲しみこらえ
逃げる逃げるセリカ

養鶏場の前のカーブで
猫をはねたけれど

咎める人もいないのね


未練だけ残し
砂を噛んだタイヤ

反射して襲う
デリニェータの光

追いかけないで
あなたとわたし
今日で終わりだから

暴力さえも沈黙さえも
追いつけない彼方

取り戻せないあの影絵

泣き濡れた町を出ても
泣くと思う

行く先も違う自由な人でさえ

平成〇〇年の誕生日まで有効──

わたしの免許では
追いつけない彼方
追いつけない明日
追いつけない

あなた

────
デリニェータ・・・ガードレールやトンネルの側壁にある小型の反射板
────

スピカ◆762aea / 2024-07-15 06:49:45 No.9
【コン・ソルディーノ】


弦(いと)に滑らす指を見ていた
風になろうと弦は泣いてた

光の庭で都会を忘れ
無邪気な心取り戻そうか

コン・ソルディーノ
君の声は小さすぎるよ
少し硬いし

コン・ソルディーノ
君は音楽


青いドレスを褒めてみようか
それとも細い脚にしようか

画家も詩人も出番がないよ
君は君だし 今は今だし

コン・ソルディーノ
君の声はかき消されるよ
少し痛いし

コン・ソルディーノ
君は音楽
──────
──────
コン・ソルディーノ・・・弱音器をつけて

スピカ◆762aea / 2024-07-16 21:45:15 No.10
【和楽団地】

夢の入口だね
あなたの住む町は
過ぎた日の優しさを思い出す午後

そして笑い声が
光とたわむれる
悲しみが遠ざかる そして温もり

──人が学べることは
あまりに少ないけど
──人が愛せるものは
数えきれないほどに

この町のあちこちにあるよ
和楽団地


愛を試すものは
いつでも多いけど
永遠の約束も信じられるね

弱気になるときも
未熟を恥じる日も
あなたを思い出せば
うまくいくはず

──僕が歌えることは
あまりに少ないけど
──歌いたくなるものは
数えきれないほどに

この町のあちこちにあるよ
和楽団地

──────────
長崎県西彼杵郡長与町
──────────

スピカ◆762aea / 2024-07-27 20:44:34 No.11
【若菜川】


峠を下れば左手の谷間に
流れも清らな小川が見えるはず

半農半漁の小さな世界まで
ゆらゆら流れる小さな川のうた

若菜川よ 若菜川よ
誰のために行く

僕もいつか川を伝い
あの人の里へ

若菜川は 若菜川は
浅い春のいろ

そして今日も
あの人とは会えないよと

告げた


許されるものなら僕も川になって
夢見たあの人を焦がれて流れたい

若葉の光を反射してただよい
小さな憂いを集めた川のうた

若菜川よ 若菜川よ
好きな人を得よ

僕もいつか川になって
あの人の許へ

若菜川は 若菜川は
僕を待たず往く

そして今日は
このあたりで引き返せと

告げた

─────
─────

スピカ◆762aea / 2024-08-01 21:36:22 No.12
【片淵】


経済学部のあたりは
風が真夏を連れてくる

学生通りを渡って
私の窓に吹き寄せる

不安な心のまま
この町に来ないでね

ためらう言葉なんて
定義不能だから

わかってくれるなら
帰去来(帰りなん、いざ)片淵へ

わかってくれるなら


済生会の門からは
悩みのない空が見える

杖がわりの乳母車で
年寄りたちが闊歩する

彼女を想いながら
この町に来ないでね

未知数の愛なんて
二律背反だから

わかってくれたなら
歸去來(かえりなん、いざ)片渕へ

わかってくれたなら
────
────
経済学部・・・長崎大学経済学部
済生会(さいせいかい)・・・総合病院の名前
────
────

名乗るな名前は存在していない◆762aea / 2024-08-19 22:11:20 No.13
【恒星の記録】


帰らない時なら
私はいらない
死んだ記憶なら

帰れ恋人なら
淋しい私に
声を分けてくれ
昔のように

選ばないで
私はかなり希薄

飾らないで
あなたはきっと微弱

東雲(しののめ)の時まで
起きて 観てるから

星たちの空を記録してほしい


慈悲深い心で
門を叩くなら
閂(かんぬき)をはずし

裸身を温める
恋人を迎え
差別(しゃべつ)に親しむ
悲しみの部屋

咎(とが)めないで
私はかなり希薄

阿(おも)ねないで
あなたはきっと微弱

暁のときまで
正気でいるから

星たちの空を記録してほしい
──────
──────
差別(仏教用語)・・・あらゆるものがあるがままに存在し、その価値を認めあっている状態。
──────

スピカ◆762aea / 2024-08-22 21:52:13 No.14
【笑顔のままで】


夜明けから日暮れまで
鳥が空にいるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる

10時から6時まで
夢を見続けるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる

実りのときが近づいたのは
君の笑顔でわかるよ
空と話すこともできるよ
信じていなくても

ここで
みどりを育ててくれますか
笑顔のままで
みどりを護ってくれますか
みどりのままで


珍しい蝶よりも
季節の草でありたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい

背伸びするぐらいなら
誰も愛さずにいたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい

もっと深いよ もっと強いよ
君の笑顔の約束
人が人に立ち返れるよ
意識してなくても

ずっと
みどりを助けてくれますか
笑顔のままで
緑を愛してくれますか
みどりのままで

──────
──────

スピカ◆762aea / 2024-08-23 20:46:37 No.15
【帽振れ】


不可解な色彩の渦で
あなたが見えない
甘やかな迷宮

人知れず 胸を焦がす恋
「蜜」と呼べる「罪」は
あなたの髪に触れたこと

花吹雪を肩に浴びて
笑い声をあげよう

祝う声にかき消される
僕の言葉
僕の指令──帽振れ!


不合理な満足の日々の
それなりの魅力
ときめく帰り道

君知るや 色褪せない愛
翼のある心
一途に走るこの思い

月の雫 両手に受け
君の町を目指そう

響きわたれ 響き交わせ
僕の言葉
君の合図──帽振れ!

────────
────────
第一連では、あなた。第二連では、君。
つまり、距離感ですね。
────────

スピカ◆592b82 / 2024-08-24 22:08:29 No.16
【死に至る病】


夜が明ける 夜が明ける

さあ目覚めなさい
さあ目覚めなさい

話しなさい 話しなさい

今見てた夢をささやくように

涙の形の小さな雲が
夜明けの空に消え入るまえに


悔やみなさい 悔やみなさい

死んだ人たちを
思い煩って

信じなさい 信じなさい

疑うことより やさしいはずよ

泣いた日もあるし
泣く日もくるし

それでもあなたは
止まれないから

死に至る病
何度もかかる

それでもあなたは
止まれないから
────
────

スピカ◆762aea / 2024-08-24 23:07:48 No.17
【醍醐】


ああ わたしの好みの光
そして 響き

ああ 小さな窓にも届く
朝の希望

そこまで来た夏は
愛のように甘い

そこまで来た夏は
愛のように甘い

さあ 踊ろう 夢のなか
さあ 笑おう 今すぐに

ああ 君はスジャータですか
もうここは天上ですか


指を弾くだけで
世界中に響く

呼吸を聴くだけで
こころ全てわかる

菩提樹の枝には
迦陵頻伽(かりょうびんが)遊ぶ

菩提樹の枝には
迦陵頻伽遊ぶ

さあ 脱けよう サンサーラ(輪廻)
さあ 目指そう ニルヴァーナ(涅槃)

ああ これはサルピスですか
もうここは天上ですか

──────
──────
サルピス・・・仏教でいう熟酥味(じゅくそみ、ヨーグルト味でいいかな?)。カルシウムを強化したら、カルピス。
──────

名乗るな名前は存在していない◆762aea / 2024-08-27 00:11:23 No.18
【銀の鈴】


銀の鈴を拾いました
名も知らぬ花の陰で

それは二度と帰ってこぬ
夏の恋の夢でした

好きと言えないままに
散り急ぐ野の花よ
恋が終わったならば
次の恋待ちわびよ

銀の鈴を拾いました
捨てられた口紅(べに)のそばで

それが美しいなら
私でも涙する
蛍 身を焦がすほど
文殻をもてあます夜

銀の鈴を拾いました
捨てられた櫛のそばで
──────
──────

スピカ◆592b82 / 2024-08-29 20:36:44 No.19
【小夜曲2】


夏の夜は水も冴え
叶わぬ恋を慰める
浅い眠り誘う楽(がく)の声

偽りの言葉 すでに無く
この胸の痛み 懐かしく
我もまた ひとつ あかり点す


心騒ぐことは熄(や)み
億万の目が閉ざされる
寄せて返し 時は滞る

渇仰(かつごう)のくびき すでに無く
素足の天使が舞い降りて
浄められた窓 そっと叩く

────────
────────

スピカ◆762aea / 2024-09-02 21:38:59 No.20
【だれかが口笛ふいた】


──だれかが口笛ふいた
──夏草の小道で
──だれかが口笛ふいた
──さわやかな朝に

待ちかねた青空に
君の笑顔映えれば
僕はもう躊躇わず
君の味方になれる

輝くほど 燦めくほど
悲しみだけ 薄れるように


懐かしい風が吹く
こんな淡い午後には
君に宛てた手紙に
ほんとのことが書ける

誠実さが ただ一つの
君を選ぶ 理由(わけ)であると
──────
──────
小学生高学年の教科書に載っていたフランス民謡「誰かが口笛吹いた」。

自分の作詞作曲の原点となった曲である。

爽やかな歌詞と新鮮な転調。新しい扉が開いた。

冒頭16小節は原曲のままで、それ以降は私の作曲である。

「君」は中学校の制服を着て、柔らかい光に溶けそうになりながら、そこに立っている。
─────────

スピカ◆762aea / 2024-09-06 22:15:12 No.21
【君の空】


雲の動きを目で追うように
あなたの背に届くように
祈りをこめる

痛みにくらみ 目を細め
君の空を見上げている
自由を賭けた跳躍を
やめないように

今日の思いを忘れないから
僕はずっと幸せです
とんな冬でも


氷のような余韻を残し
すれ違った刹那の恋を
悔やまないけど

はじけた胸と 閉じた目で
君の空を見上げている
まぶたを刺して慰める
光の中で

今日の契りを刻みつけたら
善も悪もまじめに暮らす
ここに帰ろう

────────
────────
ひとつだけ間違いないこと。
あの人が、この空の下にいるということ。
あの頃もそうだったのに。
もっと近かったのに。

─────

スピカ◆762aea / 2024-09-10 20:46:39 No.22
【昼の月】


気をつけて 逃げ水の恋です
夏がまぶしいから
見えるはずのものが見えないのに
気づかない

目を開けて 私だけを見てて
昼の月のように
光なくしてから 見えてくるものも
あるわ

もう傷つくこと 悲しむこと
何もない 悔やまないで

昼と夜が呼び交わすとき
今の恋が本物になる


よく聞いて 少し不安だから
夏が褪せるまえに
つかみかけた夢を
五線に残しておいて

そばだてて その耳を鋭く
若い恋はpiano
虫の羽音に似て 頼りない和音
だから

もう気遣うこと ためらうこと
何もない 悔やまないで

空へ人が呼びかけるとき
今の恋が真実になる

─────
─────

スピカ◆762aea / 2024-09-16 19:50:29 No.23
【恵美の舗道】


君の素肌の温もりを
感じていた頃は

幸せという言葉さえ
素直に言えたのに

恵美の舗道に
また春がめぐるとき

僕は図書館の
白い座席に帰ろう

そこから街を見下ろして
小説を読み返そう


八月は悲しみの月
繰り返される過失

君とよく似た女性を
愛してしまう気候

去年と同じみたいでも
花も人も違う   ※

丘へと風が集まって
僕を牽制する

恵美の舗道が
秋の気配運ぶころ

僕は文学の翼を
試してみよう

羽の裏の白さを見せ ※※  
小説を書き直そう

─────
─────
※年年歳歳、花相似たり
歳歳年年、人同じからず 

※※【習】という漢字は、鳥が羽の裏の白を見せて、飛び立つ練習をすることを表す。余談だが、鳥も飛行機も向かい風に飛び立つ。 
─────
第2連、つまり2番のほうが長いという珍しい歌詞になりました。
─────

スピカ#7772◆762aea / 2024-09-21 20:54:45 No.24
【桔梗のうた】


夜を忍んで逢いたい
恨みを越え逢いたい

死者と生者の定めは
交われない悲しみ

我の名は忘れてしまえ
ひとり咲け そして枯れゆけ
桔梗よ

魂は癒されることなし

逢いたくても逢えないなら
独り寝のこの夜
明けるな


弓を絞れど虚しい
命はもう戻らず

嘆く鴉(からす)は吾が友
もうよい とく帰れよ

ひとの心移るときを
見抜くなら 吾に教えよ
桔梗よ

魂は満たされることなし

時と時が重なるなら
吾が身に罪あるも
責めるな

─────
─────
桔梗・・・高橋留美子原作「犬夜叉」に登場する悲劇のヒロイン。退魔の弓使いの巫女。

つまり、これはキャラソンである。
──────

スピカ◆762aea / 2024-10-04 21:50:42 No.25
【Namaste】


手探りだけの闇のなかで
あなたのてのひら
出会えました

行き先のない船でもいい
あなたのぬくもり
すがりつきます

Namaste Namaste
あなたを信じる

明けない夜はないと
あなたは言った


自分のために祈るならば
なにも得られぬと
あなたは笑う

許し許され 心を交わし
すべてのしあわせ
求めなさいと

Namaste Namaste
あなたに従う

やまない雨はないと
みんな知ってる

───────────
───────────

スピカ◆762aea / 2024-10-06 21:04:21 No.26
【若い樹】


思い出はいつも
優しい陽だまり
色褪せた夢さえも輝くわ

綺麗じゃないよね
仕方がないよね
ぎこちないけど諦められない

あなたが望むならば
この樹は茂り

きららきらら 光りだす
梢まで


いつかは見つける
私のしあわせ
意外なほどに近くにあるはず

あなたが笑えば
世界がうなずく
あっけないほどピースが埋まる

あなたが祈るならば
この樹は稔(みの)り

さららさらら 歌いだす
不思議だね
───────────
───────────

スピカ#7772◆762aea / 2024-10-07 20:45:00 No.27
【星の降る里】



星の降る里で君に伝えたい

遠く遠い声をついばむ鳥になり

君が好きですとそっと囁こう

細く細く誰も聞き取れないように

帰りたい 帰りたい 星の降る里へ
帰りたい 帰りたい 星のふるさとへ


寒い星空は思い出させます

むかし死んだ人を優しきあの人を

君の優しさと愛のせつなさと

辛く辛いときも星を忘れるなと

帰りたい 帰りたい 星の降る里へ
帰りたい 帰りたい 星のふるさとへ

─────
─────

スピカ◆762aea / 2024-10-29 06:25:41 No.28
【とも子さんが歌ってくれた子守唄】


疲れはてた溜め息でもいいから
伝えられるものはすべて
わたしの背中に預けて

そしりも 涙も わたしに返して
あなたの大事な彼女(ひと)が泣くまえに
あなたはきっと優しすぎるから

──おやすみ おやすみ 
わたしは
──おやすみ おやすみ 
さびしさも
愛してゆける

──────
──────

スピカ◆762aea / 2024-11-06 21:22:50 No.29

【古い映画のように】


古い映画のように色が戻る
時間がたつとともに胸が痛む
もっと遠くにいたい
──おねがい

遠くの光が怖い
舞いたつ破片(きらら)のように
何度も瞬くせいで
見返す勇気を減らす


今も心に残る辛い昨日
私みたいな人を抱いたあなた
夏の終わりに決めた
──さよなら

学生通りをゆるく
行き交う人々たちは
みんなが笑顔をつくり
孤独を追い越していく

──────
────── 

名乗るな名前は存在していない◆762aea / 2024-11-07 19:57:51 No.30
【若葉の頃には】


雨もよいの日に
待っていてほしい
大きな画集を持ち
黄色い服で会いにいく

若葉の頃には
思い出せるでしょう
幸せに囲まれて
どうして人が泣くのかを

嘘を操るの
すでにやめました

わたしのことが気になるなら
手紙をください

──────
──────

スピカ◆762aea / 2024-11-08 22:41:21 No.31
【無明】むみょう


時には
安楽椅子で
過ぎた昔を思い起こす

別れた
あの人たちの顔はみんな
微笑み浮かべてる

私はどこまで行くの?
終着駅にはいつ着くの?
つまづき 忘れられても
黙って歩けば近づくの?

輝きを失って
心年ふりて
素直な言葉さえも
疑ってしまう

無明のときがもう
私を閉じ込める

────────
────────

スピカ◆762aea / 2024-11-11 22:16:48 No.32
【晴れた日のために】


踊るように光る川は
学生通りを過ぎて
笑い声に照れるように
ときどき波をたてるよ

もうすぐ日差しあふれるだろう
少女が夢見たように

この手のなかで生まれた歌を
晴れた日のために歌う


星と星の間にある
闇はもう怖くないね
風と土と涙からは
逃げ切ることは無理でも

もうすぐ浄化は終わるだろう
少女が許されるとき

君だけのため作った歌を
晴れた日のために歌う

──────
──────

スピカ◆762aea / 2024-11-20 22:19:10 No.33
【海に生きる少女】


記憶なんて頼りなさすぎ
どうして僕は懐かしむのだろう

だって僕は初めて来たんだ
そして君を初めて知ったんだ

日差し浴び 君は目を細める
僕はもう 君しか見たくない

海に生まれ 海に恋して
すべてを学び すべてを超える

まぶしすぎて ためらうせいで
真実なんて 言葉にできるはずがないんだ
 
きっと

──────
──────

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