ムービー大戦(ドライブ編)
White NOVA / 2015-12-15 01:13:00 No.311
さて、ドライブ視点では、再会、もとい最下位と表現した今回のムービー大戦。

例年では、「ドライブ編」と「ゴースト編」に分かれていたはずが、今年は構成パターンを変えた挙句、「ゴーストメインの物語に、ドライブを適当に絡めただけ」の気の抜けたストーリーになってしまったこと。よって、ドライブ視点では最悪となるわけで。

まず、今回、タイムスリップして10年前に飛ばされた泊さんとタケルが、タケルの父親の天空寺龍に弟子入りして、共にゴーストハンター修行する中で、幼少期のタケルを叱咤激励しつつ、龍の命を守るべく奮闘する流れ。
そして、歴史に干渉した影響で、現代ではロイミュードが復活して、きれいに散って行ったハート、ブレン、メディックが再び悪堕ちして大暴れ、それを阻止すべく復活したチェイスが再び剛やスペクターと協力して戦う、という展開なのですが、そこだけ聞くと面白そうだけど、実際は興醒めに終わったわけで。

もう、ハート様とブレンとメディックの登場シーンが非常に少なく、一言二言、悪堕ちしたっぽいセリフを言って、終わり。
チェイスとの対面も、ハート様曰く「わざわざ二回も死ぬために蘇って来たか」対するチェイス曰く「それは、こちらのセリフだ」
ええと、テレビ本編のハートとチェイスの関係を思い出すに、いくらハート様が悪落ちして人格が変わったとはいえ、これはないな、と。そんなつまらないギャグめいたセリフではなく、もっとお互いに気の利いたことを言えよ、と。
何というか,ドライブ最終決戦時のドラマの盛り上がり方を台無しにするようなハート達の復活劇でした。

その後、ハート達と剛たちが戦うのですが、実はそのバトルが盛り上がらないままに終わります。
というのも、片岡鶴太郎の課長が乱入して、仮面ライダー純に変身したのはいいものの、ロイミュードに味方する眼魔レオナルドさんがあっさり撃退。
で、何だか純さんが死亡したらしく、剛たちはやむなく撤退。唐突に場面が課長のお葬式シーン(読経の導師はオナリさん)に変わります。せっかく盛り上がる予定だったはずのバトルに水を差した上、葬式という厳粛な行事をギャグシーンとして描くわけで。

3号のラストで、「剛が死んだ場面」も唖然としましたが、今回の課長死亡も何だかなあ、と白けたり。まあ、課長は3号のときも殺されていたっけ。
で、死んだはずの課長は、葬式の途中で突然蘇ります。その理由が、「あの世で仙人と遭遇して、一通りコントを演じた挙句、『お前みたいな面白い奴はまだ死ぬべきではない。現世に帰れ』と突き返された」とのこと。
ええと、「あの世には、松田優作とか丹波哲郎とか、いろいろな人たちが集まって楽しく盛り上がっているそうなので、鶴太郎さんも『それだったら、自分もあの世を見てみたい』とか言い出すんだけど、仙人に断られる」わけで。
子供置いてきぼりのコントの内容はともかく、主人公に「命の大切さ」を熱く語らせるヒーロードラマで、人の死をこういう冗談ネタで語るのはどうもなあ、と思ったり。

その後、過去の泊さんと、現代の剛たちがゴーストの電話で時空を超えた会話を行うのですが、そこで剛が進兄さんに曰く、「現代ではロイミュードたちが復活して大変なことになっている。ハートやブレン、メディックも凶悪になって、しかも相当にパワーアップしている。進兄さんたちも早く帰って来てくれ」

ええと、復活したハート達の暴れっぷり、強敵っぷりが実は剛のセリフだけで処理され、肝心の戦闘シーンがなし、と。
その後、改めて剛たちとロイミュード勢の戦闘シーンは用意されているのですが、過去で何とか歴史の修復が為された結果、ハート達はあっさりと消滅。余韻も何もなし、呆気なさすぎる。
まあ、剛とチェイスの再度の別れのシーンだけは、普通にお涙ちょうだいの泣かせどころなんですが、これはもう剛の演技の賜物ですね。「お前はダチに2回も別れを言わせるのかよ」と消えゆくチェイスから目を背ける剛。そして、付け加えたセリフが「またな」
DVDの外伝を意識してのセリフかもしれないけど、ハート様たちの扱いに比べて、チェイスに関しては、きちんと描写されていたな、と。

White NOVA / 2015-12-15 02:21:00 No.312
現代編は剛メインでしたが、主役の泊さんの方は、「霧子へのプロポーズ」「ベルトさんとの絡み」「タケルの先輩、兄貴分としての立ち位置」の三点がポイント。

・霧子
実は、今回のドライブ最大の物語は、「霧子にプロポーズするために結婚指輪を用意していた泊さんが、なかなか渡せずにうじうじしていたのを、一連の事件を経て、天空寺父子との関係や、命をつなぐ大切さに触れたりしつつ、時空を越えた指輪授与を経て、ラストでハッピーウェディングに至る流れ」なんですね。
現代編のドラマが「剛とチェイスの涙の再会と再度の別れ」に集約されるのに対し、「泊さんと霧子の結婚」をドライブ最後の物語として描いた、と。まあ、これで夏の劇場版とテレビ本編から描かれてきた進兄さんの恋物語が完結と。
逆に言えば、ヒーロードラマとしての後日譚ではなく、印象としてはやはり、キバにおける名護さんの結婚エンドと似たような印象。

・ベルトさんとドライブ
今回、ドライブの変身は3パターン。そもそも、テレビの最終話前で、ベルトさんは自身を封印したため,泊さんは最終話でもドライブに変身できず、一人の刑事として(ゴーストのフォローを受けながら)事件を解決したのでした。
そんな泊さんがどうやってドライブに変身するのか。
まず、序盤でゴーストとの再会ならぬ初対面で、目に見えない眼魔と戦いながら、周囲の器物を破損させまくっているゴーストに対し、マッハが駆けつけて、ゴースト対マッハが戦うことに。
その際、マッハが進兄さんに「ハーレー博士から預かった進兄さん用のマッハドライバー」を渡して初変身。まあ、夏の劇場版でもベルトさんが使えない状況になって、マッハのベルトを代用して変身していたので、そのスーツの流用と。
でも、その変身ベルトは、過去への時間移動の衝撃で壊れてしまい、ほとんど出落ち状態に終わった、と。
続いて、10年前の天空寺にて、「何故か、その境内に転がっていたベルトさんを拾って、ドライブのプロトタイプ」に変身。今回、一番出番が多かったのが、この黒いドライブで過去編はずっとこの状態。
ええと、前情報では、「過去に飛んだ泊さんが、生前のクリムに出会う話だと何かで読んだ気がした」のですが、実際はそうでなく、本当にベルトさんが境内に転がっていて、その理由とか一切の説明はなし。おざなりな扱いもいいところ。
そもそも、クリムが命を落として、ベルトさんになったのって、十年以上前の話だっけ? この辺の時間軸設定って調べてみると矛盾がいろいろ生じそうなのですが、無理に理屈をこじつけるなら、「モノリスの研究をしていた天空寺龍が実はベルトさんと知り合いだった」とか、つなげられるかもしれませんが。

で、過去でいろいろあって、現代に帰って来た泊さん。
できれば、テレビ本編で最後に戦ったハート様との再会シーンがあれば良かったのですが、泊さんが帰る直前に消失しちゃったからなあ、彼ら。
この辺、チェイスにしても、ハート様たちにしても、「諸悪の根源のレオナルド眼魔」に対して、ドライブたちと最終的に共闘してくれれば、自分としては嬉しかったんだけどなあ。
正気をなくしたハート様たちもレオナルドの呪縛から解放されて、消失するまでのわずかな時間に、「迷惑をかけた償いと、ロイミュードの尊厳」のために最終決戦で暴れてくれれば、昨年の戒斗さん同様に称賛するところだったのに。

それはともかく、現代でタケルや剛、マコトと4人で崖の上に立って、一斉に変身しようとした場面で、腰にベルトさんがないことに気づく泊さん。過去から帰った時に、一緒には連れて来られなかったらしい。
何だか盛り上げるべき場面で、白けさせる演出の多い今回の映画。戦犯は脚本家なのか、監督なのか、プロデューサーなのか。
で、一人ベルトがなくて、どうしようかと慌てる泊さんですが、そこで突如、地面を突き破って出現するトライドロン。「この日、この時間に進之介、君が私を必要とすることは十年前から分かっていたよ」と言い放つベルトさん。

改めて4人変身するわけですが、ところで、トライドロンって、地中潜行能力あったっけな? と今頃ツッコミ入れたくなったり。まあ、その辺は演出重視なんだろうけど。
これがライドロンだったら、できたと記憶するけど。
他にはタイプワイルドになって、ドリルでも装着すれば可能だろうけど、タイプスピードだったしな。

・父子のドラマ
例年は、主人公同士の交流は、最終決戦の短時間だけだったのに対し、今年はがっちり相棒として絡みます。よって、新旧主人公の交流ドラマとしては、戦隊VS物同様の深みがあるわけで。
父を亡くしたくないと願うタケルに対して、進兄さんは「俺も悪に父親を殺された。そして、仇を討った。お前の気持ちはよく分かるよ」と伝えます。

個人的には、それぞれのドラマパートが最後に交わる例年の展開、その盛り上げ方が好きなのですが、今年のようにじっくり二作品の交流を描く形も、部分的には評価できるところもあります。
ただ、そのためにドラマ部分の比重が現役ヒーローに偏りすぎると、「旧ヒーロー最後のドラマ」を期待してきたムービー大戦としては肩透かしというか、残念だったなあ、と。

最後に、ドライブ編として一つだけ。
映画では、時空を超えたドラマチックな指輪プロポーズですが、自分の感想としては、やっぱ「直接渡せよ」と思うわけで。

ゴースト編は後日書く予定。

White NOVA / 2015-12-16 00:21:00 No.313
昨夜の書き込みで、「クリムが死んだのはいつか?」を問題視していましたが、その後、設定を確認して「十五年前」ということが分かりました。
よって、ムービー大戦の過去編(十年前)で、すでにベルトさんの状態であったことに矛盾はありません。もちろん、それで天空寺の境内に転がっていた理由にはならないのですが。

さて、割と酷評していたドライブ編ですが、「あくまで本作はゴーストメインの物語。ドライブはおまけの客演でしかない」と割り切るなら、まあ、一本の映画として(いろいろ粗はあっても)悪くはない、となります。
ドライブの映画としては「3号」以下という評価も、ゴーストを中心に据えるなら、後味は悪くないし、きちんとまとまっていたと思います。自分の評価も「ムービー大戦としては構成的に物足りない」「年末の佳境に入っているテレビのストーリーとはリンクしていないし、サプライズ要素も薄め」ということですが、「独立した一つの映画」として考えるなら、駄作とまでは言えない普通の作品になるのかな。もちろん、ムービー大戦は毎年、高評価で楽しんでいるので、相対的に今年のは評価できないわけですが。
でも、まあ、ゴーストの話だけなら、悪くはない、と。

まず、主人公タケルの父、天空寺龍との父子のドラマ、という点で、一本の筋が通っています。龍父のゴーストハンターとしての活躍も、予想以上の尺をとって描写されていますし(薪割り用の斧を持って眼魔に果敢に立ち向かう武闘派親父)、生身アクションが充実していて、この点は、金田監督の真骨頂だな、と。
どうも、金田監督の作品は、ストーリーの粗が目立つというか、あまりそういうのを気にせずに、とにかくアクションに次ぐアクションで魅せてくれるので、平成ライダーのドラマ重視な作風を愛する視点からは酷評されがちですが、細かいことはいいんだよ、とにかく暴れるシーンがあれば、という昭和気質な視点、アクションエンタメとしては十分及第点。
これは、クライマックスの戦闘で、ライダーだけでなく、御成やアカリ、りんなさんといった非戦闘員までバトルに参加し、それに霧子や現さんまできちんとアクションの見せ場を与えられている点で、楽しめたわけで。
代わりに、スペクターがあまり活躍していない感じが、残念なんですが。

そう、ゴースト編では、スペクターの存在がいろいろと問題になるなあ、と思います。「スペクターがすでに仲間になっている」という時間軸から、いろいろとおかしな状況になってるわけで。
テレビ本編では、11月の後半辺りから物語が急展開し、「天空寺龍や西園寺たちが、マコトやカノンを巻き込んで何の研究をしていたのか」「異世界の眼魔の帝国に関わる情報が提示され始めたこと」など、面白くなって来たわけで、そういう謎が劇場版でも描かれるのかなあ、と思いきや(生前の天空寺龍との交流が描かれるなら期待したんだけど)、実際には11月頭のスペクター登場時期ぐらいの空気感のまま(脚本が12月の話とのリンクを意図していない)、なぜかスペクターだけが仲間になってる状況。
天空寺龍については、テレビで示された研究者としての顔はほとんど示すことなく、「眼魔退治に奔走する、息子との交流面では割と不器用な武闘派親父」でしかなく、まあ、強いて言えば、「ゴーストとドライブを過去に召喚したのは、実は龍本人だった」と突然の打ち明けネタを口にして、瀕死の状態で二人を現代に送り返す形。
まあ、そういうわけでモノリスを使って、時空の門を開いたりすることはできたわけですが、テレビの謎に関してはよく分からないまま、と。

そんな親父の魂が宿ったゴースト強化形態は、親父さんの武器である斧を振り回すパワフルファイターですな。最近は斧使いの仮面ライダーも時折見られるようになり(チェイサーとか、ウィザードとか。斧ライダーの元祖はカブトのマスクドフォームかな)、多様な武器アクションを好む者には好評なわけですが、テレビでの新フォーム登場エピソードが劇場同様の親父さん絡みか、それともまた違った流れなのかを気にはしつつ。

ともあれ、タケルメインのストーリーは親父さんとの交流や、彼の成長も含めて、きちんと描かれているため、大きな物語としてはいい話だ、となります。
ゴースト編での扱いが悪いのは、ひとえにマコト兄さんの立ち位置だけで、中でも最悪なのは、「過去からタイムカプセルで送られてきたラファエロ眼魂とミケランジェロ眼魂」が強敵レオナルドを倒すための切り札的に考えられていたのに、剛と二人で眼魂を使おうとしたら、何故か発動せず、みすみす敵に眼魂を奪われ、パワーアップを促す形になったこと。
まあ、そもそも剛のマッハが眼魂を使おうとするのがおかしいですし(システムが違う)、マコト兄さんが使えなかった理由も、チェイスが指摘するに、「お前たち、ラファエロやミケランジェロに思い入れはあるのか?」
ええと、要はマコト兄さん、西洋の偉人に対する想いが欠如していたために、使うことができなかったようで。素人の剛ならともかく、マコト兄さんは眼魂の専門家だよね。それが、この扱い。何だか、愛されてないなあ。

他にも、この手のキャラの描き方の違和感については幾つかあって、偉人マニアのはずのタケルがラファエロのことを知らず、それを解説するのが泊さんだったり、
レオナルドさんの口に出したイタリア語について、何故か剛が解説したり(その場にいる、イタリア語を知ってそうな薀蓄キャラだったら、りんなさんとか、他に敵役はいたろうに。まあ、剛はアメリカ帰りだから、英語だったら普通に分かりそうだけど、外国語なら何でもいいのか?)

他にもタイムパラドックスについては、いろいろ突っつけそうだけど、それについては、今年の映画は歴史改変ネタが春からずっと続いており、今さら感があるので、不問に処す。

個人的に良かったと思うのは、テレビであまりヒロインらしくないアカリ嬢が(たぶんカノンが復活したら、正ヒロインの座を取られそう)、過去編の幼少期には可愛くて、敵に拉致されて「万能発明家のレオナルド・ダ・ビンチに憧れる想いの力」を利用されて、眼魔復活の依代にされて、エクソシスト状態になったり、彼女を助けるために幼少期のタケルがゴーストハンターになるべく奮闘するとか、正しくメインヒロインの役割を務めていた,と。
逆に現代編のアカリは、コメディの方に流れていたけど、それはまあ、テレビと同じということで。

最後に、緑色の3号ライダー(ネクロム)については、一応、崖の上に立って顔見せしていたけど、大してインパクトもなく、正体が誰かも示されず。
アランと西園寺については、一シーンだけ、レオナルドが大規模な破壊活動を行っているのを遠目に見て、西園寺が「これがあなたの望む世界の姿ですか?」と意味深な問いかけをアランにしたぐらい。
少なくとも、テレビの今後の展開につながりそうなワクワクネタ伏線は、あまり感じさせてくれない作品でした。以上。

最大1000文字まで(残り1000文字)。省略不可。日本語必須。HTMLタグ不可。誹謗中傷や個人情報、宣伝URLは即削除されます。
Imgurと連携して画像をアップロードします。
最大10文字まで。省略可能。
半角英数字(8文字まで)を入れることで、書き込みの削除ができるほか、名前の後ろに任意のコードが付きなりすましを防止できます。省略可能。