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「五月雨式」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2023-05-10 23:22:25 No.160
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空虹桜◆9b13c1 / 2023-05-20 00:30:04 No.160
6作かぁ・・・
これを多いと見るか、すくないと見るか、妥当と見るかで、見解は分かれるとこですけど、
みねぎしのせいにしても仕方がないというか、簡単だけど面白くないなぁと。
属人的になってしまったのは、それだけ集合を維持させたい人がいないってこと。
言い換えると、集合に魅力が無いわけで。
と、批評しても仕方がないので賑々しく、全評させていただきます。

○<五月雨式1>
> 結婚と無縁の暮らしであるが、友
なんか、今年の天気って、梅雨が早くはじまった感があるじゃないですか。
なので、「少し早い」が5月を指しているなら今っぽいというか、2023年っぽいなぁと。
思わぬところでリアルになっちゃうのって、わりと好み。

○<五月雨式4>
>『ねえ、メイグルームって知
「メイグルーム」って馬いそうだなぁと(なにを)
それはともかく、書き回しが幾分古風だけれど、
5月の雨がちっとも珍しくない年にこれを読むのは一興ですね。
あと、この物語への思索というかがホンノリ描けて好ましいです。

×<五月雨式2>
> 小学生、6年生だったと思う。修学旅
ああっ!ブラックになる要素もあったので、勿体ないなぁ。
中学校までの不穏さに倒れてくれた方がアタシは嬉しかったなと。
しょうもない会話が恐怖につながるって、ギャップ萌えじゃないかと。

<五月雨式3>
> 友人が、また死ん
最後が取って付けた感だけど、
じゃあ、全員が実は死んでるのでは?
という読みをしたい衝動。なんだか都合が良すぎるけど。
もうちょっと不謹慎な方が良かった印象。
あと、おいしい烏賊が食べたいです。

<五月雨式5>
>「どうよ? この糞モテっぷ
「糞」って、英語にすれば「shit」だから、
「糞旨い」同様に英語でも「delicious shit」とか言うのかしら?
それはともかく、極めて卑属で良いのだけど、
「アセク」「アロマ」は使いたかっただけに見えて残念。

<五月雨式6>
>ふよふよふよとマイナポイントな
久々に川柳調?
おそらく「付与」を「ふよ」と開いたことにで、ひらがな味が生きるナイスチョイス。
ただ、マイナポイント施策は、だらしないだけの印象なため、五月雨かと言うと悩ましい。

磯村咲◆8fbabe / 2023-05-21 13:43:47 No.160
気温が上がったり下がったりの節、管理人さんはじめ皆様、体調はいかがでしょうか。
走り梅雨、迎え梅雨という言葉もあるのですね。

◎<五月雨式5>
>「どうよ? この糞モテっぷりは」
分からないところは全スルー(親しい間柄での会話は分からなくて当然でもあり)、情緒や品を廃した五月雨っぷりが、タイトルの消化を超えていて面白かったです。

×<五月雨式4>
>『ねえ、メイグルームって知ってる?』
作品数が多かったら、一読して「よく出来ている作品だけど選外」としていたかもしれませんが、読み込んでしまいました。
女性が出まかせをべらべら喋れる人でなければ、考え抜いた末のプロポーズの前振りであるはず。男性が歴史好きだったり、語源にうるさかったりすれば、プロポーズまで辿り着けるはずもなく、女性はこの持っていき方ならプロポーズでき、かつ受け入れられると踏んでいたってことでそれは凄い。一方男性は、結婚について全く考えていなければ受け入れることができるはずもなく、具体的に考えていたとしたら反応が薄いし、どのようにお考えだったのか聞いてみたい。
語り手を第3者にして楽をしてタイトルを消化しています。逆選で。

<五月雨式6>
マイナンバーカード関連のエラーやミスがこれからも五月雨式だと困りものですね。

つとむュー / 2023-05-22 23:51:28 No.160
遅刻して申し訳ありません。
六作品でいつもの選評を行うとなかなか危険ですね(笑)

〇<五月雨式2>
>小学生、6年生だったと思う。
式を始める情景を思い浮かべるだけでニヤニヤしてしまいます。
この作品の、ほのぼのとした雰囲気が大好きです。

〇<五月雨式3>
>友人が、また死んだ。
こんな五月雨式って嫌だなぁと、しみじみ感じさせてくれた作品でした。
ホラーっぽいラストも効果的だったと思います。

△<五月雨式1>
>結婚と無縁の暮らしであるが、
雨男と雨女の結婚式。効果を打ち消し合うのではなくてどしゃ降りとは!
どんだけ降るのか見てみたい気もします。

△<五月雨式6>
>ふよふよふよとマイナポイントなむ降る
五月雨式にマイナンバーカードが保険証になりそうです。
最近のデータ入力ミスのニュースを見るたびに、青ざめています。

✕<五月雨式5>
>「どうよ? この糞モテっぷりは」
元ネタがいろいろとありそうですが、あまりわかりませんでした(泣)
面白そうな内容なのですが、申し訳ありませんが✕にさせていただきました。

よろしくお願いします。

海音寺ジョー◆2819bb / 2023-05-26 09:29:21 No.160
<五月雨式1>
> 結婚と無縁の暮らしであるが、
結婚式と五月雨という、一番直接的な発想の作品で、もう少しひねりがあった方が
良かったかと思いました。

△<五月雨式2>
> 小学生、6年生だったと思う。
歳月に寄って、五月雨式のバージョンが変わっていくさまが、風情があって良いな
あと思いました。子供の頃の、今となっては何でかわかりませんが、独特のルール
や自分独自の世界観に固執していた感じを想い出し、懐かしかったです。

△<五月雨式3>
> 友人が、また死
晩年のやるせないムードが、悲壮な気持ちを誘いますが、それでもユーモラスで楽
しく読まされてしまいました。ラストのギョッとする展開も良かったです。烏賊の
握り、こんな硬いものが咀嚼できるのならまだまだ大丈夫!とも思いました!!

○<五月雨式4>
>『ねえ、メイグルームって
江戸時代に語源があるという発想が、突拍子もなくて良かったです。これは自分では百年寿命が追加されても思い付けないなー、と感服しました。

×<五月雨式5>
>「どうよ? この糞モテ
鈴木涼美とか、Slackという当世最新の要素をふんだんに仕込んだ作風、とても魅
力的でした。しかし、タイトルに含まれる「式」のニュアンスが自分の読解力で判
じ切れるかぎり、六作のうち一番遠い気がしたので逆選にさせていただきました。

<五月雨式6>
○>ふよふよふよとマイナポイント
この降ってくるマイナポイントのせいで、この国の未来の天気はメチャ荒れそうで
心配です。


毎度遅くなってすみません、以上です。よろしくお願いします。

たなか◆535f38 / 2023-09-21 20:53:19 No.160
たなかです。
今年は春からこちら、天候のおかしさにあわせるかのように完全に体調が崩れました。
こちらに目を通す余裕もなくなってしまい、たいへん申し訳ないです。
今になって、やっといくぶん余裕が出てきました。
季節外れにも程があるのですが、まだ締めておられないようなので。
評だけでもこちらに残していこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


△五月雨式1
> 結婚と無縁の暮らしであるが、友だちの式には出席した。雨男の幼なじみが、雨女と

するっとストレートに進む話で、読みやすい。
単なるつぶやきのように読めてしまうので、個人的にはあとひとひねりかワンエピソード、
含みが欲しかったかもと思えてしまうところですが。こね回すことのない潔さに次点で。


○五月雨式2
>  小学生、6年生だったと思う。修学旅行の後だったので。ヤチとは同じクラスだった

小学生の頃の虫に対する残酷性や、中学生の頃の同級生たちへの残酷性を、
懐かしさで彩る感じが良いなと思ったのですが、どれぐらいの世代で共有できる感覚かな。
結局会社員に至る現在まで、住むところが違っても仲の良い様子が微笑ましい。正選で。


△五月雨式3
>  友人が、また死んだ。

語り手は 70 代ぐらいなのかなと思ったけど、読み手によって想定年齢が変わりそうだし、
そうすると話のもつ印象もかなり変わってくるように思う。雰囲気はとても共感できます。
最後の 1 行が個人的には余計だったかなと思いました。次点で。


○五月雨式4
> 『ねえ、メイグルームって知ってる?』

嘘んこ歴史語りもなかなか微笑ましいけど、話の流れもたいへん微笑ましい。
五月、雨、とくると、結婚式、となるのかな。全 6 作のうち 2 作が結婚エピソードで、
とても不思議だったのだけど、そういうものですか? 正選で。


×五月雨式6
> ふよふよふよとマイナポイントなむ降る

時事ネタは、特に一行作品であれば、かなり取り扱いが難しいかなと思います。
マイナポイントだと生活上での思いが強すぎて、物語として楽しめるかというと、
自分には難しい部分がありました。お題との兼ね合いはいいと思ったのですが。逆選で。

返信
「小鬼の秘密」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2022-10-10 22:43:36 No.147
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空虹桜◆7a91dc / 2022-10-11 23:08:57 No.147
アレ?みねぎし、なんかあったんかしら?
と、思ってましたが、無事公開されて一安心。
管理人様の秘密はなにやらあるかもですが、
小鬼じゃないから勘ぐっても致し方無しなので、粛々と選評です。
小鬼も秘密も具体的な名詞なので、見せ方が腕の見せ所だなぁ。
というのがファーストインプレッション。

○<小鬼の秘密7>
> 鬼が走っていた。森を抜
凄い読みにくくて、リーダビリティとは?
って気になるのだけど、超大まけにまけての正選。
話のポテンシャルはありそうなので、
もうちょっと、用語の出す順番や視座、
あるいはカメラ位置は気にして欲しいところ。
たとえば冒頭。
走っていた「鬼」と、叫んだ「彼」が同一だと理解するまでに、
しばらく読み進める必要がある。
後段出てくるとおり、鬼の性別に男女がある世界なのだから、
先入観ありきな代名詞使用は考えて欲しいところ。
それはともかく、鬼の人間らしさというか、
優しさや朗らかさと、獰猛さのミックス具合が、
長い映画の印象深いワンシーンのようで心地良いです。

○<小鬼の秘密13>
> えんぴつ書きの「封」シ
わら半紙のひらがな、つい立て読みしてしまったけど、
なにか意味を見つからず。仕掛けあるのかしら?
それはそうと、久々にしっかり恐い超短編読んだなぁという、嬉しい感慨。
ばあちゃんが小鬼となると、横溝正史的な妄想もしたくなるのだけど、
横溝正史は読んでないです(映画はいくつか見た)
にしたって、なにを思い出すのか・・・
ああ。恐い恐い。

空虹桜◆7a91dc / 2022-10-11 23:09:16 No.147
△<小鬼の秘密1>
> 埃をかぶった、納戸の奥の長
いろいろツッコみどころが散らばったキュートな作品。
一番は「蒐集」で「鬼」を使ってるとこだけど、
ぎゅう詰めなのを一行作品で表現されてるのが良いです。素敵です。
しいて言えば、「小鬼」や「わたし」の年齢が読者と作者で一致してないかな?っていう。
アタシは子どもの鬼とJCぐらいの感じで読んだのだけど、
すると、ちょっと一人称の語り口がオッサン臭いというか。

×<小鬼の秘密4>
> 最近奴は融の部屋に籠
高校の同級生にまさしくこの字で「融」って子がいたので、
どうしても、その子の顔で物語が再生されるの、アタシ的には残念でした!
逆選送りたい作品がなかったので、「融」のせいで逆選です。棚からぼた餅的な。
それはともかく、今の子って、
ゲーム作成もMinecraftの中で全部やっちゃうって聞いたんですが、本当ですか?
って、そうじゃなく、
> 昔話の頃から変わらずセキュリティが甘い奴だ。
のワンラインが素敵です。
鬼ヶ島に上陸された時点で、負けは決してたと。

たなか◆535f38 / 2022-10-21 20:21:11 No.147
たなかです。
このお題、書くのは楽しかったんですけど、もしや非常に難しかったのでは。
「小鬼」のイメージや、そこから思いつく物語が、
全体的にかなりかたまってしまっている印象がありました。
そのなかでひとつ頭抜けるには、少々ワザが要りますね……
選評です。よろしくお願いいたします。


×小鬼の秘密1
>  埃をかぶった、納戸の奥の長持からくしゃくしゃの反故紙を掻き出して、小鬼は大事に

面白かったです。小鬼が可愛い。ただ、言葉の選択に違和感があり、物語世界の見せ方が
摑みづらく少々混乱しました。例えば国語の先生だったお爺ちゃん「ロングロングアゴー、
フル」、地の文「紙背文書、懐疑、てんで」等、い抜き「使ってた、してる」等。逆選で。


△小鬼の秘密3
>  人知れず、里帰りをしている。

素敵な小品。三行の分かち書きが効いていると思いました。一行目で物語世界が見え、
二行目で焦点が「彼ら」に絞られ、三行目でその内面にまで触れ、一行目「人知れず」・
二行目「臆病な」の意味が回収される。ただ全体的なパンチ力は大きくないかも。次点で。


△小鬼の秘密6
>  僕は、代々続いている家の蔵にいる。僕の姿が見えるのは、母屋に住んでいる坊だけだ。

全体的には本当によくある話ではと思いました。けれども最後の二文、『丁度落ちて来た
稲妻を駆け昇った。「知られたかー」と、声だけが残った』があまりによすぎたというか、
もうそこだけでぐんと印象が強くなりました。絵的な動きがすごくよかったです。次点で。


○小鬼の秘密9
> えっ? 鬼隠村の様子を教えてくれって?

こちらに聞かせる語りで、テンポも良く、引き込まれ、この話の雰囲気にぴったりだと
思いました。嫌な開陳が来るものと待ち構えていると、おぅ…… 実際に自分が目撃した、
ミミズやらダンゴムシやらと小鬼が重なって、なんとも言えない思いに…… 正選で。


○小鬼の秘密13
>  えんぴつ書きの「封」シールを見た途端、直感する。あ、これは痛いヤツだ。

『えんぴつ書きの「封」シール』の時点で引き込まれました。「変色したわら半紙」だし。
ひらがな三行の言葉も意味ありげでよい。「おもいだしてしまう」のは語り手ではなく、
弟のほうだったのですね。麦茶の氷が鳴ったところで締めなのもよかったです。正選で。

磯村咲◆8fbabe / 2022-10-22 12:38:55 No.147
秋の陽射しに小鬼の秘密が似合いますね。

〇<小鬼の秘密1>
> 埃をかぶった、納戸の奥の長持からくしゃくしゃの反故紙を掻き出して、小
小鬼の秘密が人の理屈で計れないのも魅力的だし、小鬼が高揚を隠せない様子も微笑ましかったです。
紙背文書という言葉を知らなかったので勉強になりました。

〇<小鬼の秘密2>
> 綺麗な町の外れに雑言ひとつ吐かない小鬼が住んでいて、口からぽろぽろと
小鬼の不思議な生態が、宿主を操り複数の宿主を渡り歩く寄生虫に似ていると思いながら読みました。小鬼を生み出すのは深い冬の底で形を得た氷の言葉。地の氷を捕らえ、綺麗な氷の言葉を吐き、綺麗な町を築くのは次の冬の繁殖のため。小鬼の秘密というタイトルからすると壮大な発想が、光景も浮かぶ文章で見事に描かれており、面白かったです。

×<小鬼の秘密8>
> 「あ、また、角が出た」
母の額に角が生え、小鬼が現れるようになった導入部、主人公だけが転校生が小鬼だと気付き、小鬼もそのことに気付いて主人公に近づく展開部、商店街は既に小鬼だらけで、それが見える主人公が食べられる結び、とエピソードの羅列になっていて、文章は簡潔で読み易いけれどどこか切り貼り感が残り、転校生の部分は無くてもよいように感じられました。(えらそうですみません)

磯村咲◆8fbabe / 2022-10-22 12:44:28 No.147
以下選外評です。
<小鬼の秘密6>
たなかさんの選評とは逆(?)に最後の一文が引っ掛かりました。親切で魔力を溜めるには、その行いを知られてはいけなくて、それが「秘密」だったことを読み手に知らせてオチとする最後の一文ですが、ずっと「僕」の語りできていたのに、そこだけ誰目線か分からない語りにならざるを得ず、違和感がありました。
「知られたかー」
声だけが残った。
の方が違和感がマイルドになったかもです。

<小鬼の秘密9>
川に行くと石をひっくり返して虫を探す方なので、そんなに密だったら小躍りしてしまうかもです。作品とは関係ありませんが、昔、鬼の付く名の土地を訪ねている女性と同宿になって、翌日彼女は鬼無里へ、私は戸隠へ向かったのを思い出しました。

<小鬼の秘密13>
「ひらいたら おもいだしてしまう」が書かれておらず、「こおにのひみつ」だけだったらどうなのか、
もう開いているわけだけれど、思い出してしまうには「おもいだしてしまう」も必要だったろうかなどと考えています。
メモを書いたのは主人公なのかばあちゃんなのかも気になります。

以上です。

miyuu2◆c997ec / 2022-10-24 00:01:37 No.147
管理人様、皆様、こんばんは。
私、妖怪が大好きなので、とても楽しめました。

管理人様へ
どうしたのかな?と心配していました。

〇 小鬼の秘密9

>えっ? 鬼隠村の様子を教えてくれって?

最初に読み終わった時、「おもしろい! うまい」と口から声が出ました。
謎かけのような。
役場の担当者「この村には、秘めたる場所に小鬼が隠れてます」の秘めたる「秘」と最後の文の「本当に密だったんだ」の「密」。
小鬼が隠れていて、それは秘めたる場所で小鬼が密だった。両方で、「小鬼の秘密」とお題になるなんて。私には、面白過ぎです。ツボです。

〇 小鬼の秘密2

>綺麗な町の外れに雑言ひとつ吐かない小鬼が住んでいて

怖いのに、文章の中の言葉が綺麗で素敵です。
読みながら、頭の中に映像が流れるぐらいの超短編です。
怖いのだけど、この物語の場所には行ってみたいと思いました。
これからの季節にピッタリ!

× 小鬼の秘密4

>最近奴は融の部屋に籠っている。

融くんと遊びたい思いで、小鬼さんはアカウントを持ち自身をキャラ化したゲームを作るなんて、凄い小鬼さんですね。
私には無理なので、小鬼さんの方が先をいっています。
セキュリティの甘さ、笑いました。
×にした理由は、今どき過ぎたからです。
×をつけて、すみません。私的にはゲームをする事は好きなので、小鬼キャラのゲームが出来たら、やりたいなと思いました。

以下、選外評です。

・ 小鬼の秘密7

会話が本当に鬼の家族が話しているようで、良かったです。

・ 小鬼の秘密12

3回読みましたが、どうしても意味が分かりませんでした。
読解力のなさに、少々、落ち込みました。

以上です。

つとむュー / 2022-10-24 00:50:19 No.147
〇<小鬼の秘密6>
>僕は、代々続いている家の蔵にいる。
妖怪が見える少年を描いた某アニメを思い出しました。
成長していく少年との対比で、小鬼感がよく演出されていたと思います。
少年だけが知る小鬼の秘密も素敵でした。

〇<小鬼の秘密14>
>角が一本、目が一つの小鬼は力持ち。
最初に羅列される能力と、小鬼ならではのほのぼの感が良かったです。
そしてラストにおいて、不穏な想像を搔き立てられる。
思わず「小鬼のままでいて欲しい」と願ってしまいました。

△<小鬼の秘密11>
>父の角は立派だった。だから人間に狙われた。
成長しない小鬼の想いを星の巡りと重ねるところが切なかったです。
母の呪いなのか、それとも願いなのか。両親がどうなったのか気になりました。

△<小鬼の秘密12>
>すれ違いざまに「グイズ」言われた北京の14:23。
貴子は中国では「グィズ」と呼ばれ、それは「鬼子」の発音と同じとのこと。
初めて知って、勉強になりました。

✕<小鬼の秘密13>
>えんぴつ書きの「封」シールを見た途端、直感する。
すごく気になった作品なのですが、残念ながら自分には真相を解き明かせませんでした。
おばあちゃんが言ってたことの謎を、教えてもらえると嬉しいです。

以上、よろしくお願いします。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2022-10-24 15:44:08 No.147
またまた遅くなりました。いつも申し訳ありません。
◯小鬼の秘密3
>人知れず、里帰りをしている。
「鬼」の正体とは実は何なのか?
1.宇宙人
2.外国人
3.地球のネィティブ
答えは3で実は侵略者は我々でした。という感じがいいですね(勝手な)。短いのもいいです。地球外に行ける様な科学力を持っていたのに何故敗れてしまったのか?つまりはその頃我々にもあったのです。とうに失われてしまいましたが。

◯小鬼の秘密4
> 最近奴は融の部屋に籠っている。
もしかして他の「家族」とは血が繋がっていないのでしょうか?そして結婚しても出ていかなかったのでしょうか?色々想像してしまうお話です。現代の小鬼は進化しているのですね。そのうちまた事情が変わりそうで楽しみです。ちょっと抜けているところはそのままで。

×小鬼の秘密
>すれ違いざまに「グイズ」言われた
確かコロナ前に中国に留学か仕事に行っているこの名前のお嬢さんがちょっと困っているみたいな話を聞いた事があります。
お話自体は納得することだらけなのですがちょっとお題からは一番遠い気がしました(その分斬新なのですが)申し訳ありません、逆選で。

遠音◆56c847 / 2022-10-24 23:18:40 No.147
遅くなりました、すみません。
管理人様:遅刻した立場でおこがましいのですが、サイトの運営が難しい状況ならばサイト休止・共同管理人を募るという方法もありかと思います。

「小鬼」は節分や昔話の鬼の手垢にまみれている点がやりづらかったです。その手垢からの脱却は選の基準のひとつにもなりました。

<選評>

◯ 小鬼の秘密4
> 最近奴は融の部屋に籠っている。
小鬼が暴走し始めるのかと思いきや、「私」が密かに全てを掌握しているという着地が意外で面白かった。
私にしか見えない「小鬼」の話はホラーやミステリーの方面に向かいそうに感じるが、日常生活の範疇で平和に(?)話が終わる辺りが個人的にポイント高し。正選です。

◯ 小鬼の秘密14
> 角が一本、目が一つの小鬼は力持ち。
小鬼四人の特徴は類型的ではあるけれど、「小鬼」そのものの既存のイメージから離れて四人の『個』の物語になっている点が好感度高し。
彼らの人間臭さ、臆病さがなぜ「大鬼たちの行く末」のように変わり果ててしまうのだろうか。ラストの無邪気さがせつない。正選です。

△ 小鬼の秘密3
> 人知れず、里帰りをしている。
この小鬼たちのやわらかな気配が伝わってくる。
小鬼が宇宙人だという定義は面白い。「小鬼」の一般的な連想からうまく外している。
この短さが一発ネタ的なものにはなってしまっていないところも好感度高し。次点です。

△ 小鬼の秘密12
> すれ違いざまに「グイズ」言われた
独りよがりな独白形式が面白い。意味がわからなくても読み流せてしまう雰囲気作りが効果的なのだと思う。
「グイズ」の意味はおそらく罵倒なのだろうが、「話したことすらない誰かの怒りをキープする体力の無いわたし」の辺りは通りすがりの侮蔑、罵倒として済ませられない何か根深いものを感じた。「わたし」個人への罵倒ではなく日本人への罵倒だろうか。
「記憶の声を自分の声帯と舌で再生する。」の辺りの表現の丹念さも好み。次点です。

✕ 小鬼の秘密10
> よく見たら、見知った鉱夫の少年じゃった。
まさかラピュタネタでくるとは!少年少女が「小鬼」なのはユーモラスな比喩なのか、あるいはポムじいさんが彼らとは別の種族だからなのか。
面白かったが、ラピュタの場面に少々寄りかかり過ぎな感じもする。オリジナルというよりは二次創作では。というわけで逆選です。

(続く)

遠音◆56c847 / 2022-10-24 23:20:38 No.147
<選外評>
小鬼の秘密1
> 埃をかぶった、納戸の奥の長持から
小鬼が異質な存在ではなく人間の家族の中に馴染んでいるらしいことに面食らったが、謎のままに終わっている小鬼の蒐集癖に惹かれる。「反故紙」を拾う行為の裏側にはかつて異物であった鬼が人間社会に馴染んでいく中で起こった様々の摩擦や悲劇を決して忘れまいとする遺伝子レベルの相伝がうんたらかんたらしたくなってしまう。

小鬼の秘密2
> 綺麗な町の外れに雑言ひとつ
冒頭の段落でわくわくしたのだが、その後の変転の凄さに戸惑った。
「小鬼」という架空の存在に加えて「氷の言葉」の暗喩の如き変化、ダイジェスト版のような増殖した小鬼たちの増殖や生活等々、実感やリアリティなどがなかなか感じられなかったせいだと思う。
「綺麗な氷の言葉」が「数え切れぬほどの悪口雑言」になってしまったのはなぜだろう??

小鬼の秘密5
> 畑の作物を盗む者がある。
空白行の後の段落で視点がカラスに切り替わっているのは工夫の跡だとは思うのだが、個人的には戸惑い、少々消化不良に感じてしまった。最初の段落はコンパクトにまとまっていると思う。
カラスの代わりに、小鬼かもしくは作物のその後をホラー風味で読んでみたい。

小鬼の秘密6
> 僕は、代々続いている家の蔵にいる。
「僕」と「坊」の関係が存外あっさりしていて、あまりしがらみもないのが妙にリアルでよい。
最後の別れも、悲哀の気配もなくさっぱりしていて、それでいて余韻が感じられる。「坊」は後悔したのだろうか。

小鬼の秘密7
> 鬼が走っていた。森を抜けて
会話がぬくくて心地よい。
ただ、「角をつけて小鬼になった」にちょっと戸惑った。
本当は人間だが鬼に擬態している子供なのか、鬼は角が取り外しできる設定でこの子供が付けるのを忘れただけのか?
「大丈夫かねぇあン人」、「伏し目がちに微笑んだ」等の伏線も引っかかりつつ読み解けず。

小鬼の秘密8
> 「あ、また、角が出た」
逢魔が時の場面の、じわりと冷や汗が滲み出しそうな気配がよい。
ただ、その後のオチが個人的にはちょっと置いてけぼりだった。冒頭の母の角は「私」も鬼の眷属である伏線かと思ったが、憑依されただけ??

(続く)

遠音◆56c847 / 2022-10-24 23:21:15 No.147
(続き)
小鬼の秘密9
> えっ? 鬼隠村の様子を教えてくれって?
ラストの「密だったんだ」は、ぎゅうぎゅう詰めという意味の「密」?
「『秘』めたる場所」+「『密』だった」で『秘密』ということか。
岩の下に、で連想するのはダンゴムシやムカデの類(浅瀬の石の下ならばザザムシ)がうじゃうじゃいる光景。ゾワゾワするのだが、この話の場合はかわいらしい小鬼ではなくファンタジーの悪鬼・ゴブリンのようなものが蠢いているのだろう。想像したくない!
話し手が「ひどい目にあった」けれども無事なので、単にたまげただけの話らしいのが個人的には救い。

以上です。

海音寺ジョー◆2819bb / 2022-10-27 09:16:17 No.147
〇<小鬼の秘密2>
> 綺麗な町の外れに雑言ひとつ吐かない小鬼が住んでいて

ことばが、小鬼世界の循環の元になってるという想像力に打たれました。目に見えない、言葉の潜在力を物語として可視化する膂力が良かったです。ひっそりと巡りくる冬の景色はおっかなくて、美しい気がします。

〇<小鬼の秘密6>
>僕は、代々続いている家の蔵にいる。

ユーモアがあって良かったです。「知られたかー」と一声残すラストは、昔ばなし的なおもむきがあって、とてもほっこりしました。個人的見解ですが、超短編でユーモアや楽しさを描くのは、悲劇を描くよりずっと難しいように思います。

✕小鬼の秘密14
> 角が一本、目が一つの小鬼は力持ち。

数え歌的な魅力が素敵な作品でした。それぞれの個性、長所が、大鬼になったらどうなってしまうのだろう?最後の人ごっこという切り返しに、不穏な気持ちにさせられました。第三の正選というニュアンスで、逆選に推します。

遅くなってすみません、以上です。よろしくお願いします。

返信
「いやや」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2022-07-02 13:56:33 No.133
選評はページ下部にあるコメント用フォームから「返信」する形でご投稿ください。

海音寺ジョー◆2819bb / 2022-07-17 09:45:51 No.133
選にあたり、「いやや8」は「いやや7」の被りと見做しました。「いやや14」「いやや15」は空欄になってるので、何らかのバグと見做しました。

○いやや4
いややいやいや

リズムが心地よかったです。一行超短編は潔さが大事!

○いやや 7
強かな酔いに任せて遊郭まで歩いた。

ストーリーにも惹かれましたが、タイトルからの「いろは」の順の名付けという発想に意表を突かれました。『い』と、名が明かされた途端に来る不穏さが秀逸でした。

✕いやや10
「IYAYA, HOTANI?SAN!」

ノーをいややに置き換えるという発想、力技に心を持っていかれました。〇が尽きたので、逆選でお願いいたします。

以上です。よろしくお願いします。

磯村咲◆8fbabe / 2022-07-17 18:58:01 No.133
色々思いつけそうな気がしたのに、方言がネックになり話を広げられず苦しみました。皆さんもそうだったのでは。

◎<いやや2>
> 明けない夜に入り込み、夢から覚めることができない。黄金の光を発する鳥
夜に捕らえられて出られない悪夢のようであり、しかし、タイトルがいややなので、ただただ起きたくなくてまどろみ続けているようでもあり、面白いです。
幻想的な光景の描写が上手く、こんなに綻びの無い夜からは出られる気がしなかったです。

△<いやや1>
> あーちゃんちの子どもは、あーちゃんに似ている。ほとんど、あーちゃんと
ダブル・ミーニングではなくてパラドキシカルなタイトルの味わい!

×<いやや4>
>いややいやいや3いやや。あわせていやいや6いやや。
みいやや、むいやや、だと拍子外れで、つい、さんいやや、ろくいややと読んでしまうけれど、どちらも早口言葉としては言いにくくもないなあ、と何度も読んでいたら、伊東に行くならサンハトヤーの節でしか読めなくなってしまいました。逆選で。

以上です。

脳内亭◆97ae83 / 2022-07-19 00:22:33 No.133
 コンバンハ、脳内亭です。

 どうにかこうにか問題も一応は片づいたとして、改めて行きましょう。なかなか扱いの難しいタイトルだったようです。それでは選評です。よろしく願います。



○いやや3
> かずら橋夢舞台?

 いろいろ検索しながら読みました。このタイトルでこういう話を持ってくるところが面白いです。細部の描写が良いです。


○いやや12
> じばさん、と地元の人が呼んでる観光物産プラザ。

 何かモデルとなる場所があるのかしら。作者の地元とか。
 シンプルながらも軽妙な読み心地でした。今回はリアルに寄った話の方が自分にはハマったようです。


×いやや4
>いややいやいや3いやや。

 これに逆選を贈るのは思う壺のような気もしつつ、微妙なリズムの悪さが気になってしまったので。



 以上でっす。
 管理人がこのまままた何日も音沙汰なかったら、もう参加するのやめようかなと考えてたところでしたよ。では、脳内亭でした。

遠音◆56c847 / 2022-07-22 22:56:40 No.133
こんなバラエティ豊かな「いやや」が並ぶとは。そしてネタかぶりしていないのもすごい。選に入れられなかったけれど印象深い作品も多かったです。
私はまだ500文字の枠が微妙に窮屈でして、500文字よりぐっと少ないのに書き切っている作品は個人的に勉強になります、うーむ。

<選評>

◎ いやや3
> かずら橋夢舞台?
「秘境とは。」に個人的に強く共感してしまった。いや行ったことはないのだが。
「広大な駐車場」「商業施設」「かずら橋の料金所」「大型バスが余裕ですれ違える2車線の山道」、そこはレジャーランドですか?
話は逸れるが、登山はレジャー化する前の“旅”の手段であった頃が断然面白く、生の実感を味わえるのだろうなと思っているので(でも山間を旅する程の能力や体力は無いのだが)、この話はしみじみと読んでしまった。
「彼」が「察しがいい」のは「私」のテンションが上がらない事止まりで、その理由までは察せていないのもすごくリアル。
「祖谷」の読み方を調べて駄洒落なのだと気づいたが、この話の場合はスベってしまわずに効いていると思う。
正選です。このカップルには良い夫婦になってほしい。


△ いやや12
> じばさん、と地元の人が呼んでる
最後は尻切れトンボのようにも見えるが、この幕引きと漂う気配が好もしく感じた。私が作者なら続きを書き込んでしまうと思う。
本嫌いの妹に読み聞かせをしたのちの展開を予感させるから、この先話がふくらんでゆく手ざわりがあって、物足りなさを感じずに済むのだろう。起承転結の、承なかばでたゆたっていて、転へと動き出す気配に浸れる。
「じばさん」「まちやりょうへい」がひらがな表記なのは、この主人公が小学生ということか。
劇的な展開もSF的世界設定もなく、日常を淡々と描いていて、この短さでこの充足感。次点です。


✕ いやや4
> いややいやいや3いやや。
いやいやこういうのはズルいでしょ?と思いつつ、面白く読めてしまった。純粋に楽しい!
愛を込めて逆選で!

(選外評に続く)

遠音◆56c847 / 2022-07-22 22:58:55 No.133
(続き)

<選外評>

いやや1
> あーちゃんちの子どもは、
「まだなの?」は同調圧力だが、それよりも「いーちゃん」が怖れているのは、自分の複製を製造してしまうことではなかろうか。
「やや子たち」が三人とも母親にそっくりなことに当人たちは疑問を抱いていない、この怖さ。
塩気の物が食べたいのに甘い物を食べていることなど、蚊帳の外に置かれてしまっている感触がリアルだ。
ラストの時間が引き伸ばされてゆくような止め方がよい。


いやや2
> 明けない夜に入り込み、
植物人間になってしまって長い長い夢の中をさまよっている状態が浮かんだ。
「いややー」などの囁きは「小さな存在」の声だったのに最後の一声は「私」の意志のようにも見えて、この混濁具合が怖く、面白い。「通りゃんせ」的な、原始的な怖さ。死と生のあわいは意外に広大だった。
小さな生き物は妖精なのだろうが、安易に「妖精」とせずに遠回しに描写しているのが好印象。


いやや6
> 「は?」思わず声が出た。
私なら「んん?なんですか?(はてな顔スタンプ)」とか、めんどいのでさくっと返しちゃうなーと思い、この主人公はきっと若いんだろうなぁと思った。流行を外さない返しをしようとするのが若者だと思うのは偏見だろうか。
ラストの超展開は、返信しなかったことと無関係とも、遠因になっているとも、両方の読みができるのが良いが、ただ個人的には超展開過ぎて入り込みづらかった。
このラストからすると、謎のメッセージは「嫌や」ではなく何かを入力途中で送信してしまい、途絶えてしまったとも取れるか?


いやや7
> 強かな酔いに任せて
怪談風味だが、それ以上に切ない。
親の愛を得られなかったのは貧困のせいなのか、親の頭が弱いからなのか。
「長女のわたしは、長女なので、他の弟妹より先に生まれました。」の文脈のおかしさや、名前が一文字の『い』でしかない異常さも薄ら寒さを生んでいる。
主人公は生還できているように見えるが、果たして。


いやや9
> 「妻帯者に再会、
ラップ? リズムの良さはあるが断片的で、一話として物足りなさを感じた。
このあっけなさが狙いかもしれないが、この二人の関係性や背景がもう少しだけ見えてきたら奥行きが出ると思う。

(続く)

遠音◆56c847 / 2022-07-22 23:00:50 No.133
(続き)

いやや10
> 「IYAYA,
まさか、こういう形で時事ネタに持っていくとは!
実際のWARはシリアスだが、この話は飄々としていてあまり風刺などの刺々しさがないのが良かったと思う。
声高に「戦争反対!」ではなく、さらっと「IYAYA WAR!」と表現しているのが逆に反戦の実感があってよい。
「HOTANI?SAN!」はよくわからないが元ネタがあるのだろうか。気になるが、流して読めてしまうのもまたよい。


いやや11
> 道中、猿を拾った。
伏線バリバリにみえた猿、あっさりいなくなるんかい!とツッコんでしまうのは作者の狙いどおり?
猿の仲間というくだりで桃太郎のお供三匹を思い出したが、そういう話でもなく、本当に何気なく話は展開し、皆散ってゆき、また独りの旅は続いてゆく。現在形で終わり、話がこのまま川の流れのようにとうとう続いていく気配がある。
これはひょっとして、また冒頭に戻ってループするパターン? そして即席の豪勢な鍋の再来!


以上です。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2022-07-24 21:48:44 No.133
遅くなりまして申し訳ありません。
関西人なので「いやや」はどうしても「嫌や」なのでそれに引っ張られない様にしようと思ったのですがやはり…。

◯いやや1
>あーちゃんちの子どもは
最初「いやや」さんのお話かと思ったら必ずしもそう言うことでは無くて真っ当な「いやや」のお話でした。凄くわかります。情景がはっきり浮かびました。まあ呼ぶ方からしたら呼ばないわけにもいかないしその辺り難しいですよね。

◯いやや5
> スライドショーが終わった。
こちらも真っ当な「いやや」ですね。いややの種は既に始まる前からあったのでしょう。それが発芽してじわじわと土を持ち上げて行く。ステーキ食べるくらいいいじゃないですか?何がいけないのでしょう?そのくらいしないとどんどん伸びていきますよ。

×いやや10
> 「IYAYA, HOTANI?SAN!」
実際にありそうだしオチが好みなのですが、◯を既に使ってしまったので申し訳ありません限りなく◯に近い逆選でお願いします。

つとむュー / 2022-07-24 23:16:35 No.133
お題案を提出した者です。
何も考えずに提出したお題案だったので、よい物語が思い浮かばず自爆しました。
みなさん、すごいです。さすがは「500文字の心臓」参加者のみなさんです。
ちなみに第188回だから「いやや」というのは内緒です(えっ、みなさん知ってたって?)

〇<いやや3>
>かずら橋夢舞台?
まさかの祖谷で「いや」とは!?
この地名、初見では読めませんよね。面白かったです。
二人のその後もとても気になりました。

〇<いやや5>
>スライドショーが終わった。拍手の波が穏やかに抜けてゆく。
この微妙な雰囲気が何とも言えず素敵です。
「いやよ」では弱く「いやだ」ではちょっと強く、
その中間の言葉で叫びたい気持ちがひしひしと伝わってきました。

△<いやや2>
>明けない夜に入り込み、夢から覚めることができない。
「いややー」の囁き声が、謎の生き物の魅力を引き立てています。
正選と迷いましたが、次点でよろしくお願いします。

△<いやや11>
>道中、猿を拾った。
「IYAYA」の鳴き声が、妙に記憶に残りました。
小刀が出てきた時は、ちょっとドキドキしてしまいました。

×<いやや1>
>あーちゃんちの子どもは、あーちゃんに似ている。
いーちゃんのやや子と、いーちゃんの気持ちを兼ねたアイディアが素晴らしかったです。
いーちゃんは「自分は他の三人とは違う」という感じでラストを迎えますが、
「他の三人と違うなら、自分の子供は三人の子よりも可愛い」となるような気もしました。
ということで、逆選にさせていただきました。

以上、よろしくお願いします。

空虹桜◆7a91dc / 2022-07-24 23:21:35 No.133
人徳というか、人たらしというかは、
なんだかんだで許されてしまうのが問題で、
ヒールな人生を過ごしてきた身空としては、ちゃんと罰されよと思うわけですが、
そういう発想では徳が積めないので、己の矮小な心持ちにうんざりするこの頃。
いややいややも好きの内。ああ、これこれ。
なにを書いてるのか良くわかりませんが、
初めてさんの作品が掲載されないような事態は由々しいので、
管理人様におかれましては、
指さし確認でもして注意義務を果たしていただきたいですね。まったく。
たまには酒ぐらい奢るからさ。

○<いやや5>
>スライドショーが終
アタシのエンパワーメント趣味としては、
ウェディングドレスでも平然と殴りつける方が好みなので、
ちょっと薄味の感があるけれど、
馬刺しすら生で食べられないご時世になりつつあるから、
軽く火を通しているのは妥協する必要があるんですよね(なんの話だ)
食中毒恐い。食中毒。

○<いやや11>
> 道中、猿を拾
なんだこれ?
なんともよくわからない話なのだけど、
いやいや、だからこそ超短編っぽいとも言える。
タイトルを消化するのに、ここまでの物語を用いるのは、
なんだか片道5分の距離に飛行機乗ってくみたいな強引さで、
極めてエコじゃないから良いなぁと(わかりにくい褒め言葉)
猿ならニンニク食べてもOKか。
この話だと、「ニンニク」だけカタカナなのが引っかかるかな。やはり。

空虹桜◆7a91dc / 2022-07-24 23:21:47 No.133
△<いやや3>
> かずら橋夢
気持ち長いかな?って気がするけど、
このそこはかとない文化系感は好ましい。
なにより、「ただの移動好きな私」が最高。
この二つ名(?)は、積極的に使っていきたい所存。

△<いやや12>
これはタイトル「じばさん」だなぁ〜
文字数的に、半分以上が説明文になってしまったことが悔やまれるので、
じばさんの話か、妹の話か、どちらかに集中すべきだったのではないかと。
ただ、どちらも日常系としての空気感が好ましい。
あと何気に一行作品。

 じばさん、と地元の人が呼んでる観光物産プラザ。市民会館に土産物屋と食堂を足した総合施設で、二階にちっちゃな図書室もある。本が目当てで、父母の用事に付いて行く。妹は本が嫌いで、だいたい「いやや」って家に引きこもる。まちやりょうへいの新作があったので、借りて帰る。妹にも読み聞かせてやる。

×<いやや9>
>「妻帯者に再会、大
まさかのトランジスタ・ラジオ!?
と、反応するのは負けな気がするけど、
もしかすると、
アタシしか反応する人いなさそうだから仕方ないか・・・
とはいえ、パッと曲名出てこなかったからググったんですけどね!

<いやや1>
>あーちゃんちの子
そうなんですよ。アタシも「あやや」書きたくて仕方がなかったんですよ。
恐るべし、松浦亜弥の刷り込み。あの全盛期。
書いたら書いたでそう話が盛り上がらなかったから、
その件は捨てちゃったんですけど、最後まで書き上げて出してるので優勝です。
印なんてオマケです。おめでとうございます!

<いやや4>
>いややいや
計算あわないし。

まつじ / 2022-07-26 13:58:42 No.133
こんにちは、まつじです。遅ればせながらの選評です。とりいそぎですみません。

○<いやや10>「IYAYA,
ああ、これはまだ分かります。10年前に読んでも分からなかったでしょうけど、それでもオチは理解できますね。悔しいかな、ちょっと笑ってしまいました。

○<いやや12>じばさん、と地元の人が
 読み聞かせてあげるなんてやさしい、姉だか、兄だか。そこを明記しないところが好みであったりします。今日も、じばさん行きましょう。行きたいです。

△<いやや2>明けない夜に入り込み、夢から覚め
 幻想的な情景を描写する言葉選びと「いややー。いややー。」の軽妙さとの取り合わせがクセになります。夜の中にはいたい。眠るわけでもないのが意味深。

△<いやや3>かずら橋夢舞
 意外なタイトル消化にちょっとびっくり、知るって面白いですね。前半の叫びにだまされました。「ただの移動好きな私」というのが好みです。

×<いやや9>「妻帯者に再会、大枚はたいたに
 あ。これは私にはわからないやつだ。と諦めてしまうのは悪いクセでしょうか。知識の多い方というのは楽しめることが多くて羨ましいです。

以下、選外評。

まつじ / 2022-07-26 13:59:09 No.133
<いやや1>あーちゃんちの子どもは、あー
 ありがちといえばありがちな状況のようでもあるけど、こういう形でタイトルを消化するとは。「やや」の合いそうな名前を探すのに一苦労ですね。

<いやや4>いややいやいや3いやや。あわせて
 「い」と「や」に目が翻弄されて読み間違えそうになってしまいました。なるほ…ど……?理屈は後だと思わせるキレのよさがよいですね。

<いやや5>スライドショーが終わった。拍手の波が穏やか
 最後はもっと盛り上げるかなというところで意外とあっさり食べた印象ですが、語り手の心情の変化が描かれいるのがいいなと思いました。

<いやや6>「は?」
 そんなに返事に悩んでしまう語り手の生真面目さに賛辞を。と思ったら案外ラストが淡々としていて、そのギャップが面白かったです。

<いやや7>強かな酔いに任せて遊郭まで歩いた。
 おとうとおかあの消息をどう知ったのだろうと思いつつ、「長女のわたしは、長女なので、他の弟妹より先に生まれました」がとても好きです。

<いやや8>(都合により削除しました)
 いややー。

<いやや11>道中、猿を拾った。
 ローマ字表記の作品が続く不思議。タイトルを考えると平仮名表記でもよかったのではとも思えますが、思わせぶりな猿に淡々としたラストは嫌いじゃありません。

ではでは。

たなか◆535f38 / 2022-08-01 00:31:53 No.133
たなかです。
仕事と体調不良でなかなか余裕ができず、たいへん遅れました。
選評が揃うのを待っておられた方がたには、伏してお詫び申しあげます。
取り急ぎ、選評です。
手癖で書くのは閉じすぎてしまい、かえって見晴らしが悪くなるなぁと、自身反省しつつ。



○いやや1
>  あーちゃんちの子どもは、あーちゃんに似ている。ほとんど、あーちゃんといって

巧みさと物語性の高さが秀逸。初読時は単なる言葉遊びかと読み飛ばしそうになったが、
語り手の心根がそのまま表れる最後の段落に辿り着いた瞬間、全体的な景色が一挙に見え、
タイトルまで大きな道が通った。隅々まで力を有する言葉の威力を感じさせられた。


△いやや5
> スライドショーが終わった。拍手の波が穏やかに抜けてゆく。

丁寧な話。幸せそうな景色と反比例して冷めていく語りがよい。各エピソードは頷けるし、
最後の展開も動きが大きくてよかった。ただ、最後の一文まですべてが教科書どおりで、
予定調和過ぎるように感じた。段落構成の練り込みもあわせて、もう一歩先が欲しかった。


△いやや7
>  強かな酔いに任せて遊郭まで歩いた。

雰囲気づくりが見事な話。各語り手とその語り、語られる背景世界との合わせ方がよい。
娼妓の「いや」な感じが、「父も母も……」、「ウチ」のカタカナ表記、「ハハハ。」
の文字通り浮いた描写等で鮮明でよい。ただこの作品もやはりもう一歩先が欲しいと感じた。


×いやや9
> 「妻帯者に再会、大枚はたいたに間に愛足りない笑いない涙に堪えないそんな気持

言葉遊びだけでは「物語」として楽しみづらくてとりづらいというのは自分の持論だが、
そのうえに、韻や固有名詞との絡みだけで興を与えるのが主眼なら、本作では足りない、
と感じた。むしろ、足しすぎた剰余分、足りないと感じさせられたように思う。


○いやや11
>  道中、猿を拾った。

猿の鳴き声が実際にはどういう意味なのか不明なまま、人語に寄せて解釈してしまう辺り、
人と獣との、触れ合いと齟齬を感じさせてよい。ローマ字でその感覚が記せるというのは、
新しい発見。三者の短い触れ合いと別れが人生と旅との相似を感じさせる素敵な話だった。

返信
「誰かがタマネギを炒めている」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2022-04-24 00:35:55 No.119
選評はページ下部にあるコメント用フォームから「返信」する形でご投稿ください。

よもぎ◆e6e72f / 2022-04-24 19:43:23 No.119
よもぎと申します。
初めましての方、初めまして。
お久しぶりの方、お久しぶりです。
Twitterでお世話になってる方、いつもお世話になっております。
何年ぶりかで選評に参加させていただきます。
基本的には、やり方変わってないですよね?

×<誰かがタマネギの2>鍋の底に菜種油をのばし、ごく弱火にかけている。
タマネギを炒めることの直接の描写のようですが、「彼ら」をタマネギではない、「彼ら」と呼ぶべき何かだと思って読むと、まるでダブルミーニングのようで面白いのであります。合間合間に入ってくる本の描写の使い方が惜しいと思いましたので、正選候補でしたけどリスペクトを込めて逆選で。

○<誰かがタマネギの7>大変、よい休日の予感がする。
ハンバーグを作る時、タマネギは炒めて冷ましておかなければなりません。熱いまま肉と混ぜると肉の味が落ちるからです。「タマネギを炒めておく」という下ごしらえができる方との二人暮らしというのは、とても心地よいモノなのではないでしょうか。ほっこりとして初々しくて素敵です。

△<誰かがタマネギの8>地球は亀が支えている。
お題の『タマネギ』をメインに持ってくる作品が多いなか、『誰か』に焦点を当てたところがかっこいいなと思いました。宇宙の創世者はかくも壮大で気まぐれで残酷なのであります。

△<誰かがタマネギの10>個々の居住スペースから匂い物質が漏れ出すことはまずない。
『シチュエーションを想起させるデータ』が漏れるというのが、近未来でいいですね。お題が上手く使われていると思います。

○<誰かがタマネギの12>西の空が
とても良き。夕暮れ、どこかの家から漂うタマネギを炒める香り。その香りはやがてカレーの匂いになるであろうことまで、この1行だけで、想像させますね。二重丸でもよかったです。


最近、某芸術大学文芸コースのワークショップに参加させて頂いて、超短編的な文章に触れる機会があったので、『500文字の心臓』にも久しぶりに参加してみたくなったのです。やっぱり超短編は楽しいなぁ。

空虹桜◆7a91dc / 2022-04-27 23:31:38 No.119
タマネギなのは確定なのですよ。このタイトル。
もちろん、炒めてることも確定。
だけど、それ以外は未確定なのです。
シュレディンガーなのです。
そうすると、実はタマネギも炒めているのも確定だと思い込んでいるだけなのではないか?
などと考えてしまうのです。
枕書くにあたって、初めて気付きましたけど。
なんだ。そういう話書けば良かった!(今さら)

○<誰かがタマネギを炒めている7>
> 大変、よい休
シンプルな怪談の素養。
ちょっとサッパリしすぎる嫌いもあるけど、このサッパリさは好ましいです。
「老齢の女子たち」とか「少女の群れ」とか、休日の公園に女性しかいない感じが、
怪談みを増しているのだけど、日本社会が単なる怪談だからかしらん?

○<誰かがタマネギを炒めている12>
> 西の空が飴
「あ『かね』」を「あ『め』」にしただけで、見事な比喩。
どちらも同じよな色合いを表現してるわけですね。
なにより、久々にタイトルより本文が短い!
おそらく狙い澄ました短さなので、その点はより好評価です。

△<誰かがタマネギを炒めている10>
>個々の居住ス
「懐かしがるなんて昭和だね」
あるいは「令和だね」みたいな軽口が飛び交うわけですね。
よもぎさんも選評で触れてますが、
「シチュエーションを想起させるデータ」と書き表したのがお見事。
こういう、当たり前に見えそうなことを
適切によく知られた言葉に言い換えられる能力って、羨ましい。

×<誰かがタマネギを炒めている3>
> ついに携帯タマネギ炒
ツッコミどころが多くてどうしようかと思ったのだけど、
やっぱり「ケイタマネ」のポリネシア感でしょうか(えっ?)
この語に幸福感溢れているのだけれど、
如何せん、炒めてる時間が一番幸福なので、
ガジェットの存在自体は不幸。

脳内亭◆97ae83 / 2022-05-01 20:27:50 No.119
 コンバンハ、脳内亭です。

 第80回タイトル競作以来14年ぶりとなるタマネギ回となりましたね(タマネギ回とは)
 タマネギといえば、R&B史上最強のバック・バンドであるBooker T & The M.G.’sの代表曲に『Green Onions』というのが(前回を引きずるな)

 戯れ言はこれくらいにして、選評と参ります。「誰が」「何の理由で」にあまり執着すると失敗しそうな気がします。ではよろしく願います。



○誰かがタマネギを炒めている2
> 鍋の底に菜種油をのばし、ごく弱火にかけている。

 タマネギを炒めているのは語り手自身であり、「誰か」とはいえない。しかし語り手は、本を読んでいる何かの気配を感じ取っている。つまりタイトルが示すのは、この本を読む何かから見た語り手ということになる。この反転の構図が良い。不穏な存在は、はたしてどちらであるのか。


○誰かがタマネギを炒めている7
> 大変、よい休日の予感がする。

 ほがらかな春の休日と見せかけてのホラーなオチ。そこへと導くまでにわずかな違和をにおわせる文章も巧みです。


×誰かがタマネギを炒めている5
> このアパートに引っ越してきた日は覚えていない。

 剥いても剥いても皮ばかりのタマネギになぞらえてのループ感と閉塞感がよく表されています。正選にしようかとおもっていたのですけど、最後の一文で逆選になりました。なんで書いちゃったかなそれ。


 以上でっす。

 何でか、ホラーな話が多かったような。本当は怖いタマネギ童話。では、脳内亭でした。

磯村咲◆8fbabe / 2022-05-08 14:38:06 No.119
丁寧に書かれた作品ばかりで、読むのが楽しかったです。

〇<誰かがタマネギを炒めている4>
>結実、と呼んだ時つい台所に目を向けてしまった。遅かった。
よくわからなかったので、何度も読み返したのですが、リズムが心地よく、わからなさが苦痛ではない不思議な話でした。
作者が意図していたかは分からないのですが、最初に「結実」を「けつじつ」と読んでしまい、タンスの上の土人形らしきものの描写から腐った玉ねぎを連想したため、全作品の中で一番タマネギ臭が漂っていました。

〇<誰かがタマネギを炒めている12>
>西の空が飴色に染まる。
西の空が飴色に染まりました。見事です。

△<誰かがタマネギを炒めている2>
> 鍋の底に菜種油をのばし、ごく弱火にかけている。微塵に切られた彼らは、
丁寧な描写が心地よかったです。本が閉じられて、鍋の中は次の工程に進むのだろうけれど、“彼ら”の変化を見守って悼んでいた語り手の、さてと、の後が気になります。いい余韻です。

△<誰かがタマネギを炒めている11>
> 深夜のバルセロナ空港。エコノミー便はたいてい到着が遅くなる。日本人客
この場面設定はなんだろう、何故バルセロナで中華料理をと思いつつ、とても美味しそうな五目焼きそばに次点票です。

×<誰かがタマネギを炒めている3>
> ついに携帯タマネギ炒め機が発売された。コンパクトでバッグの中に入れて
それ、家に置いておいてはいかんのか、の素朴すぎる疑問を解消するアイデアさえあれば、商品化も夢ではない。

以上です。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2022-05-08 23:10:35 No.119
どもです。
胡乱舎猫支店です。
タマネギ高いですね。因みにカレー作る時は飴色にまで炒める気はさらさら無くて食感残した状態にします。

◯誰かがタマネギを炒めている2

>鍋の底に菜種油をのばし、

タマネギを炒めている誰か
本を読んでいる誰か
上記の二人(?)の動作(状況)をなんらかの形で認識している誰か
3者が織りなす螺旋の様です。
ラストでまた一行目に戻りそうでもあり、または違う誰かが加わって新たな螺旋が生まれそうでもあって終わりそうに無いですね。

×誰かがタマネギを炒めている6

>おそらく、騒々しい日々が終わった。

やっぱりちょっと一番遠いですかね。炒めるというか、火にかかっているものがタマネギ以外の気がしました。後、犬(ですよね?)はタマネギ食べちゃダメです。

△誰かがタマネギを炒めている10

>個々の居住スペースから匂い物質が漏れ出すことはまずない。
もう肉体なんて持って無いんでしょう?それをコンパートメントだと思っているだけなんでしょう?と勝手に妄想が膨らんでいきました。

◯誰かがタマネギを炒めている12

>西の空が飴色に染まる。
まさに超短編ですね。日曜日の夕暮れ、メニューは勿論…。

△誰かがタマネギを炒めている7

>大変、よい休日の予感がする。

陽射しは穏やかだけれど薄ら寒い不穏が漂っていていい感じです。二人の生活に入り込んでタマネギを炒めた誰なのか?いない筈のモノなのか?それともいてはいけない筈のどちらかの別のお相手なのか?日常が崩壊していく予兆を感じます。

遠音◆56c847 / 2022-05-09 00:27:55 No.119
こちらのお題は基本的にあまり具体的にし過ぎず、的を絞らないものが多い感じで、想像を広げやすかったのですが、前回の「ブルース」に続き今回もけっこう具体的で、考えるのに難儀しました(※お題へのクレームではなく、単なる所感です、念の為)
なので、他の方々の作品を読んで「こう来たかー!」と唸らされることも多かったです。むむむ。

<選評>
◯誰かがタマネギを炒めている1
> 「大丈夫?…爺ちゃん?」
短い中にも行間に情報が上手く詰まっている良作だと思う。
AIなどの非生命体ではなく異星人なのだろう。「停止」から「死亡」という訂正に、彼らなりの敬意を感じる。
個人的にぐっと来たのは、「爺ちゃん」が自分の涙の説明を「タマネギ」で済ませてきていたらしいこと。
どうせ理解してもらえないという諦観ゆえではなく、異星人なりに(あるいは孫に擬態?)自分の涙を理解しようとしてくれたことへの温かな返しに感じた。もしかしたら、「またタマネギ?」の問いかけに、今際の走馬灯の中に調理シーンが本当に浮かんできたのかもしれない。
作品とは関係ないのだが、最近読み始めたコミック『いぬやしき』の爺ちゃんとこの「爺ちゃん」がオーバーラップしてしまい、少しそちらに引っ張られてしまったかもしれない。
正選です。

◯誰かがタマネギを炒めている6
> おそらく、騒々しい日々が終わった。
最初「ママさん」の呼称に違和感があったが、「しつこくモシャモシャしてきたお嬢さん」、タマネギを拒絶する本能、おねだりしてももらえなかった「あの頃の匂い」に、「わたし」は犬なのだと思い至った。「泣いて」ではなく「啼いて」なのも伏線になっていると読み返して気づいた。
「わたし」にとって危険なタマネギの匂いが恋しい人たちの記憶を呼び覚まし、危険なタマネギを食べて「もう、生きるしかない」と決意しているのが切ない。ストレートな生存本能が沁みた。
正選です。

△誰かがタマネギを炒めている11
> 深夜のバルセロナ空港。
タイトル回収はいつかいつかと、いい意味で焦らされた。
バルセロナに中華料理屋?と思ったが、それほど引っかからずに読めてしまった。
ラストのカシューナッツ情報が蛇足のようでいて、テーマありきの感じをなくす働きをしていて、うまく作品を収めていると感じた。
次点です。

(続く)

遠音◆56c847 / 2022-05-09 00:29:47 No.119
(続き1)

✕誰かがタマネギを炒めている10
> 個々の居住スペースから匂い物質が
面白い言い回しなのだけど、データが漏れ出しているというのがイメージしづらかった。
10進法的な記号の羅列が見えない電波のような形態で漂っている感じ?
少し、言葉の雰囲気に寄りかかり過ぎている感があるので、逆選です。

<選外評>
誰かがタマネギを炒めている2
> 鍋の底に菜種油をのばし、
このお題に真正面から取り組んだ姿勢に好感を持った。
本を捲る音は、タマネギが壊れてゆく音、今際のあがきだろうか。
個人的にはもう少し起伏がほしいと感じてしまった。

誰かがタマネギを炒めている3
> ついに携帯タマネギ炒め機が発売された。
シュールさと間抜けさのミックス具合が絶妙。
一品の完成料理ではなく「タマネギ炒め」だけかよ?というツッコミどころはたちまち、大ヒットに呑み込まれていってしまう。
『ケイタマ』ではなく『ケイタマネ』の微妙な語呂の悪さも狙っているか。
法律整備から平和への強引さも面白い。
しかし、冗談抜きで一種の目くらまし的な犯罪・テロ道具に使えてしまうのでは…と不安もよぎった。

誰かがタマネギを炒めている5
> このアパートに引っ越してきた日は
最初、コロナで皆が引きこもり状態なのかと思ったが、「このアパートからどうやったら出られるのかは知らない。」という箇所でホラー風味へ一転してしまった。無限ループ系か。はた目には怖い状態なのに淡々と過ごしているのが余計に怖い。
重箱の隅つつきになり申しわけないが、以下の2点の矛盾に引っかかってしまった。
(1) 廊下には誰も出てこない。物干し台に通じる窓の外にも誰ひとり出てくることはない。
(2) このアパートからどうやったら出られるのかは知らない。
アパートから出られないというのは、敷地の外に出られないという意味ではなく入り口のドアから出られないという意味だとすると、(1)の他人の挙動はどうやって知り得たのか? もしドアも窓も開かない仕組みなら(1)は「出てこない」ではなく「出られない」になると思うのだが、ネタバレを防ぐために「出てこない」としたのか。

(続く)

遠音◆56c847 / 2022-05-09 00:31:23 No.119
(続き2)
誰かがタマネギを炒めている7
> 大変、よい休日の予感がする。
「老齢の女子たち」がツボだった。彼女らの明るい笑い声が聴こえてくる。
早春の期待感、明るさが全体に満ちていて心地よい。
ラスト一行が軽くホラー風味だが、もっと怖いのは、「身に覚えのない」ことがこのまま取り紛れ、忘れられてしまうかもしれないということ。
日常の中で立ち消えになってしまう怪異は意外にあるのかもしれない。

誰かがタマネギを炒めている8
> 地球は亀が支えている。
平家物語序文が交じってきた辺りでくすっとしてしまった。あの有名な序文を取り込むことで虚無的な雰囲気に陥らず、「そういうもんだよね〜」的な妙な安定感が生じている。
しかし「亀のスープ」なのに地球も巻き添えで調理されてしまうとは。いや、そもそも地球を支えている亀が消える時点で存在が危うくなっていたのか。
全然関係ないが、昔ネットで見たなぞなぞ「ウミガメのスープ」を思い出してしまい、そっちに引っ張られてしまいそうになった。

誰かがタマネギを炒めている9
> 「かっ火事だ!」
軽快な落語口調が楽しい。マニアックなネタも解説がさりげなく入っているのも個人的に好印象。
「不謹慎とは謹慎しないことナリ。」に違和感があったが、コロ助か何かだろうか。

誰かがタマネギを炒めている12
> 西の空が飴色に染まる。
タイトルよりも短い本文なのだが、タイトルと本文がシームレスに繋がっていく感じが絶妙。狙いすぎてない力加減がよい。

以上です。

つとむュー◆3d582f / 2022-05-09 00:34:33 No.119
すいません、逆選王の空虹桜さんから出していただいたお題案の中からこのお題を選んだ者です。
一見、簡単そうに見えるんですが、書いてみたらめちゃくちゃ難しかったです。
特に「炒める」という部分に難儀したので、皆さんのアイディアに脱帽しています。

〇<誰かがタマネギを炒めている5>
>このアパートに引っ越してきた日は覚えていない。
こういう作品、大好きなんです。
なんだかわからないけど、生活感だけあるところが。
タマネギを炒める匂いが漂ってくるような感じがしました。

〇<誰かがタマネギを炒めている9 >
>「かっ火事だ!」
まさかこのお題で東京ドームと武道館が登場するとは!
しかも火事で焼かれてしまうとは。
オチも面白かったです。

△<誰かがタマネギを炒めている2>
>鍋の底に菜種油をのばし、ごく弱火にかけている。
炒めることをじっくり描写した作品でした。
悩むことはなかった、こういう作品でよかったんだ。

△<誰かがタマネギを炒めている8>
>地球は亀が支えている。それは真実である。
地球がタマネギに転生するとは!? 発想がすごいです。
#9の武道館と迷って、すいませんが△にさせていただきました。

×<誰かがタマネギを炒めている1 >
>「大丈夫?…爺ちゃん?」
タマネギがお題だと、どうしても涙について書きたくなりますよね。
今回、それが罠だったことに気が付きました。
炒める感がもう少しあったら〇にしたいほど面白かったです。

以上、よろしくお願いします。

海音寺ジョー◆2819bb / 2022-05-10 06:35:13 No.119
〇<誰かがタマネギを炒めている3>
> ついに携帯タマネギ炒め機が発売された。
別に玉葱に限らず、人参でももやしでも豚小間肉でもいいようなものですが、タイトルに正面から向き合って、なおかつ強引に幸福なハッピーエンドでまとめ上げる力技に降参!ってなりました。もしケイタマネが発売されたら、即買いします。

〇<誰かがタマネギを炒めている4>
>結実、と呼んだ時つい台所に目を向けてしまった。
タマネギという言葉も炒めるという言葉も出てきませんが、タイトルに潜在的に含まれている不穏な空気が玄妙に描写なされていて、すごいと思いました。

△<誰かがタマネギを炒めている1>
>「大丈夫?…爺ちゃん?」
玉葱を炒める際、泣く前提があるの不思議といえば不思議です。担当者(語り手)が、この現象に関心を抱く理由、由来がさらに書かれていたら物語の奥行きがさらに広がったのではないかと思いました。

△<誰かがタマネギを炒めている9>
> 「かっ火事だ!」
電流爆破マッチという懐かしの話題から、玉葱の高騰という最新の時事ネタまで盛り込んだ、楽しい作品でした。

✕<誰かがタマネギの12>
>西の空が
意表を突かれました。この具体的かつ長いタイトルを、一行で炒め上げた膂力に惹かれました。三番目の正選というニュアンスで、逆選に選ばせていただきます。

遅くなってすみません、以上です。

まつじ◆fd9eca / 2022-05-12 14:29:10 No.119
こんにちは、オクレバセ・マツジです。しゅるっと選評を、失礼いたします。

○<誰かがタマネギを炒めている12>西の空が飴色に染まる。
とてもとても短い詩。タイトルがあることで感情が乗っかってくる感じが素晴らしいですね。

△<誰かがタマネギを炒めている9>「かっ火事だ!」
素材の高価さがメインであるかどうかを決めるのだったかしらなどと思いはしても会話が楽しい、はないちもんめ。関係ないですが。不謹慎とは謹慎しないことというのは好きな類のやつです。慌てているのは序盤だけなのもよいですね。

×<誰かがタマネギを炒めている11>深夜のバルセロナ空港。エコノミー便
中華料理も気になりつつ、前半のエピソードが読みやすく微笑ましくて好きなのです。後半の舞台がどこなのかなぜか混乱してしまったので、好意の逆選を。

以下選外評を。

<誰かがタマネギを炒めている1>「大丈夫?…爺ちゃん?」
「泣く」は分かるが「キル」「イタメル」がよく分からない、語り手たちの生態に興味がございます。彼らはは彼らの興味で観測している構図が面白いですね。

<誰かがタマネギを炒めている2>鍋の底に菜種油をのばし
誰という人が登場しないので「誰かが」が成り立つんですね。いっそ炒めている様子をじっくり書いてやろうという試みは、競作の場においては盲点でした。

<誰かがタマネギを炒めている3>ついに携帯タマネ
「誰か」が不特定多数の誰かというのも面白いが、ツッコまずにはいられない設定や状況に心が軽くなります。さすが軽犯罪。うちはそんなにタマネギ炒めないけどということなどどうでもよいのです。

<誰かがタマネギを炒めている4>結実、と呼んだ
「光の剣が飛んできた」でなぜか笑ってしまいました。いい匂いのする悪夢という、安堵と不穏の繰り返しは本当に悪夢だなと思います。

つづく

まつじ◆fd9eca / 2022-05-12 14:29:38 No.119
つづき

<誰かがタマネギを炒めている5>このアパートに引っ越してきた日は
どんな人が住んでいるか知らないのに、年齢も性別も民族も出身地もまちまちであることをなんとなく知っていて、なんとなく暮らしているのはきっと私たちなんだろうと思わされました。

<誰かがタマネギを炒めている6>おそらく、騒々しい日々が
ママさんパパさんは分かるけれど「お嬢さん」にちょっと引っかかりつつ、「遠吠えが必要だ!」の感情の高まる雰囲気が一番よかったです。

<誰かがタマネギを炒めている7>大変、よい休日の予感
公園の様子がややステレオタイプかななどと思いつつ、終始和やかな気配でよかったです。誰が炒めたか分からないものを食べるのは、状況によってはやや怖ですね。

<誰かがタマネギを炒めている8>地球は亀が支えている。それは真実
大きな大きな鍋のある地球もまたタマネギであるのかもしれないパターンですね。なんて儚いのでしょうか、玉ねぎの上の我々は。

<誰かがタマネギを炒めている10>個々の居住スペースから匂い
シチュエーションを想起させるデータ。データが居住スペースから漏れ出ているというのは一体どういうことか、想像するとちょっと楽しいですね。

たなか◆535f38 / 2022-05-16 06:38:12 No.119
たなかです。
遅くなりすぎてもうあかんと思ったのですが、まだ集票されていないようなので、滑り込みで! 間に合わなくてもそれはそれで! よろしくお願いします!
今回、正選と次点に差はないです。無理やり分けました。きつかった……


○誰かがタマネギを炒めている7
>  大変、よい休日の予感がする。天気も上々。

幸せ色が弾けるような空間。姿と言葉がひとつひとつ丁寧に選ばれ、色がくっきりと、
華やいだ世界が眼前に見える。それが最後の行ですとんと綺麗に落とされる。浮気落ちか、
ストーカー落ちか、ホラー落ちか、わからない「少し」が実に効いている。正選で。


△誰かがタマネギを炒めている8
>  地球は亀が支えている。それは真実である。ただし正確ではない。亀が支えている

描写がとても丁寧で、世界とタマネギが重なったオレンジ色の世界が美しく眼前に見える。
真ん中で綺麗に分かれ、前半で物語世界の説明、後半でそれが大きく動き、最後に、
綺麗にタイトル回収される。素晴らしい。ただストレートに進みすぎたかとも。次点で。


×誰かがタマネギを炒めている9
> 「かっ火事だ!」

伝統芸能的な会話劇で、軽い掛け合いが味だけど、自分は固有名詞ごとに躓いてしまった。
自分にとって日常的な言葉ではないので、これは何だっけ、誰だっけ、と考えるたびに、
進行とリズムが止まってしまった。会話劇と固有名詞は読者対象が難しいかも。逆選で。


△誰かがタマネギを炒めている10
> 個々の居住スペースから匂い物質が漏れ出すことはまずない。漏れ出しているのはシ

流れがよい。最終行が引き立っている、だからこそ、「シチュエーションを想起させる」
が、より抽象度の高い画一的な言葉であれば、「何故だか懐かしい。」という、
具体的描写の違和感がより大きく迫るのではと思った。でも、とてもよかった。次点で。


○誰かがタマネギを炒めている12
>  西の空が飴色に染まる。

いや、かっこいいですね! これを丁寧に書くと「誰かがタマネギを炒めている 8」
になり、極限まで削ぎ落とすと、本作になるのかなと思いました。しかも、この作品が、
今回のエンディングとか! ちょっとじーんときてしまいました。ずるいな! 正選で。

返信
「ブルース」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2022-02-18 19:07:48 No.97
選評はページ下部にあるコメント用フォームから「返信」する形でご投稿ください。

穂坂コウジ◆97ae83 / 2022-02-20 18:49:32 No.97
 コンバンハ、世界はブルースでできている、穂坂コウジ a.k.a. 脳内亭です。

 王様の権利をフルに行使し独断で決めた念願の今タイトル「ブルース」です。
 The Blues Is Alright(byリトル・ミルトン)ってことで、基本的には全部オッケー、何でもあり、己がブルースだと感じたならそれがブルース、参加してくれた方は全員優勝! と、その前提で、はりきって選評とまいります。よろしく願います。



×ブルース1
>レオパレスの薄い壁越しから、

 キングブラザーズ、あるいはジョンスペをおもわせるパンクなブルース。絞りだすようなしゃがれ声が聴こえます。
 ブルースはどちらかといえば隠喩・暗喩を伴った感情表現であるし、隙間を活かしての演奏表現であるので、ちょっと直接的にすぎるかもしれないし詰め込みすぎてるきらいはあるけれど、そのぶん気迫を感じます。クソッタレな音と感情を吐き出すジャンク・ブルースも好きですよ。みな殺しのブルース。


○ブルース2
>空き地の真ん中を、オオバコナズナ、バタバタと踏んで抜けていく。

 なんともいえないグルーヴ感。ギター一本でズンズン進み、早口で物語られるフォークに近いブルース。レッドベリーあるいはミシシッピ・ジョン・ハートのように。
 「三匹」や「シェパード」など動物を用いた比喩の情感が良い。また割れればもう元には戻らない皿という道具によって、子どもにとってのブルースを巧みに表している。子どものブルースという意味では「Little Boy Blue」をあるいは意識されたのかもしれませんね。
 最後の誤字はご愛嬌。それもまたブルース。


 △ブルース3
> 僕は遠くまで歩こうとした。

 ブルースの詞はAAB形式と呼ばれるものが主流としてあります。一行目・二行目はおなじ歌詞をうたい、これを前フリとして三行目で決着させるというもので、この作品はそれを踏まえた書き方をされていますね。だれかやる人いたらいいなとおもっていたので嬉しいです。
 巡り巡ることのブルース、そして繋げ、続いていくことのブルース。そのかたちがしっかりと表されています。


つづく。

穂坂コウジ◆97ae83 / 2022-02-20 18:51:53 No.97
 ブルース4
> 広域火葬施設の放火事件が派手に書き立てられた年は、

 ブルースには叙事詩的な側面もあり、時事的な問題が盛り込まれることも少なくありません。旱魃をうたったサン・ハウス「Dry Spell Blues」や、農作業での害虫をうたったチャーリー・パットンやマ・レイニー「Bo Weevil Blues」など。この作品にもそうした雰囲気を感じます。
 故郷へ帰ろうとうたうブルースもありますが、帰る祖国を失うこともまたブルースでありましょう。




 ブルース5
> そんな事があったんだってさ。

 具体的な事柄は何もなく、ただ感情だけが置き去りにされている。その虚ろさにブルースを視たのでしょうか。作品としてはぼやかしすぎにおもいますが、ぬるいグラスはたしかにブルースかもしれない。
 関係ないですが、ブルーグラスはカントリーのルーツですね。最初期のブルースには、ブルースもブルーグラスも分け隔てなく演奏するジャグ・バンドなるものが存在しました。


 ブルース6
> 過去から来たという人と、

 過去と現在と未来による三すくみ。過去ならピーティー・ウィートストロー「Long Time Ago Blues」あるいはジョージア・トム&タンパ・レッド「Long Ago Blues」、未来ならブルース・ロック・バンドのキャンド・ヒートによる「Future Blues」がありますね。それはさておき、飯時の急な来訪はたしかに困る。なすすべなく状況にただただ振り回されるブルース。読んでいるこっちも何がなんだかな気分にさせられます。食べるリズムにシャッフルを感じます。


 ブルース7
> 元もと運動も団体行動も苦手。

 ブルースは哀歌というよりは憂歌の方が近いかな。sad songではなくbluesなので。それはともかく、ダンスにおけるブルースを持ってくるのは予想してなかったです。ブルースもダンス・ミュージックであることには違いない。
 通常のブルースならば一夜の恋をうたって終わりといったところ、そこから更なる進展があるのは面白いですね。ところでブルースについて滔々と語り倒せば、たいていは引かれてしまいます(この選評のようにねってやかましいわ)。それもまたブルース。


つづく。

穂坂コウジ◆97ae83 / 2022-02-20 18:53:17 No.97
○ブルース8
>「室長、大変です。ブルーノート株が日本に上陸しました」

 まさか「Johnny B. Goode」が出てくるとはおもいませんでした。私が初めて歌詞をまるまる覚えた洋楽の曲で、今でもそらでうたえます Deep down in Louisiana close to New Orleans.
 ブルースではなくロックンロールではないか、とは云いません。なにしろ1950年代当時の最先端のリズム&ブルースが、ロックンロールと名づけられたに過ぎないのですから。
 ともあれこの馬鹿馬鹿しさはとても良い。うんざりするような現実をせめて笑い飛ばそうという意気もまたブルースであります。
 ところで感染ソングには、ヒューイ・ピアノ・スミス「Rockin’ Pneumonia & The Boogie Woogie Flu」(ロッキン肺炎とブギウギ・インフル)があるので、そっちの選曲でも良かったかも。


 ブルース9
> 「地球は青かった」と、先人の遺した同じ台詞をつぶやく。

 「One Scotch, One Bourbon, One Beer」はエイモス・ミルバーンのジャンプ・ブルース。ジョン・リー・フッカーはそれを「One Bourbon, One Scotch, One Beer」と順番を入れ替えてのブギとしましたね。
 なにしろ青い星に住む我々です、ブルースであることは宿命といえるのかもしれません。世界が滅びる日にも、ブルースは鳴り響くのだろう。
 また色歌の要素もブルースには強くありますね。しかしマディ・ウォーターズ「I Just Want To Make Love To You」に「恋をしようよ」なんて秀逸な邦題を付けたのはいったい誰なのだろう。


つづく。

穂坂コウジ◆97ae83 / 2022-02-20 18:54:29 No.97
 ブルース10
>「あーそうそう、あれ見てきたぜ、菜名。ほんっと真っ黒けなのな!」

 ブルースでも特に名高いロバジョンのクロスロード伝説ですが、しかしロバジョンが元祖というわけでもないようです。元はトミー・ジョンソンという、ブルース第一世代の一人が持っていた逸話なのだとか。それはともかく。
 本名はモーガンレー・マッキンフィールド、マディ・ウォーターズ(泥水)の芸名は、子どもの頃にいつも泥んこになって遊んでいたからと云われていますが、ブルースがミシシッピ・デルタの湿地帯(bayou)で生まれたこととも無縁ではなさそうです。それもともかく。
 どういう話なのかをいまいち掴みきれていないのですが、ブルースに取り憑かれる前夜といったところなのでしょうか。主人公の持つブルースが露わになるのはまだこれからなのかな。


 ブルース11
>ギターオタクの友人がくれたレコードを時々かける。

 ブルースも最初期の演奏家などは、木の板に棒をくっつけて作った自作のギターで最初は練習していたなんて話もあるほどで、上達には名器よりもとにかく練習あるのみが真理であるようです。
 別れや喪失はブルースの定番ですが、それをさらっと軽いタッチで描いてるのが良いです。
 亡くなった友人のことをうたったブルースとしては、ブラウニー・マギー「Death Of Blind Boy Fuller」などがありますね。


 ブルース12
> ランプの薄明かり、タバコの煙、それからオンザロック。

 アルコールを扱った作品が意外と少なかったなとおもいました。ブルースはストリートでの弾き語りもあれば、ジューク・ジョイントやバレルハウスといった、安酒場あるいは売春宿でも演奏されましたから、お酒にまつわる話がもっとあっても良かったかも。
 そんな不健全でうす暗い雰囲気にひたりたい相手と、お構いなしの主人公、でしょうか。互いに解り合えないブルース。話の内容にもう少し具体的な手掛かりがほしいなとおもいました。


つづく。

穂坂コウジ◆97ae83 / 2022-02-20 18:55:16 No.97
 ブルース13
> 今朝のわたしは機嫌がいい。

 なるほどヒップホップ。今回はブルースやー云うてるのに(笑)
 とはいえですよ、映画「Godfathers & Sons」の中で、パブリック・エネミーのチャックDはマディ・ウォーターズの異色作「Electric Mud」をフェイバリット・レコードに挙げていて、その録音に携わったバンド・メンバーを招き、かの「Mannish Boy」の演奏をバックにラップを乗せるというコラボを行なっていました。ヒップホップにもブルースの影響はやはり及んでいるのでしょう。すべてのフルーツを実らせるルーツ(根)たるブルース。
 ところで私はCentral Ceeというイギリスのラッパーがここ最近わりとイチオシ。Little Simzも悪くない気する。



 以上でっす。

 ワガママを通した今回、堪能させていただきました。ありがとうございました。もしまたダブルクラウンを獲ることがあったら、今度は「ロックンロール」ってタイトルにします。では、穂坂コウジ a.k.a. 脳内亭でした。

空虹桜◆7a91dc / 2022-02-21 23:55:50 No.97
ありり?アタシの投稿が一作反映されてないや。
ミネギシズムミネギシズム。
サッカー日本代表への愚痴を熟々と超短編に書き連ねたのですけど、
13作あるなら賑やかしを今さら追加しなくても良いか。
真っ青になることもなく、藍より青し。
ちなみに、その作品に付けてたサブタイトルは「ブルーの構図のブルース」でした。
そんなのが他にもあったら特選送るのだけど。

○ブルース6
> 過去から来たという人と、未
なんでこのタイトルてこの話を思いついたのか、
思考回路が全然追えなくて最高だから、それだけで正選です。
餃子&ライスならば、ご飯は水なので多めに炊いてもすぐに消えます。
失せ物です。
タレで熟成させたご飯こそが餃子の本質だと、
しまおまほも言っていたような、いなかったような。
とくに、
> 事情は飲み込めないが。もぐ、もぐもぐもぐ。やり過ごす。
が最高。
「もぐ」一つ目の「、」が最高。

○<ブルース11>
>ギターオタクの友
これぐらいのトーンがアタシの思う音楽のブルースに近しい。
音楽ネタが多くなるだろうことはわかっていたので、
そこはオーセンティックなブルースか、
「お前の唄」であるブルースの、どちらかを取るよ。
結果、正選がオーセンティックで、逆選が「お前の唄」
いや、逆選のはアレでオーセンティックでもあるのだけど。
個人で見れば、マクロで見れば、たいていいい人なのだから、
アタシの感覚を誰かに強制しない。したくない。
BLMとはいえ、黒人だって充分アジアンを差別してるでしょ?
全てにおいて敵は思い込みだ。
ただ、個人で、マクロで見れば、たいてい「いい人」にはなる。
なので、広い人間になりたいものです。

空虹桜◆7a91dc / 2022-02-21 23:56:02 No.97
△<ブルース4>
> 広域火葬施設の放
沖縄は台湾が併合ってことは、
台湾は中国に支配されてないってことですね。それは不幸中の幸い。
あと、北海道はアタシが独立させる(笑)
不勉強だからググったけど、
「奥州のやさぐれた小説家」は井上ひさし?

×<ブルース1>
>レオパレスの薄い壁越しから、ネ
なんだか、竹原ピストルっぽいなぁ。
まったくもってよろしいのだけど、
これは日本人の見てる日本の唄で、
でも、日本の唄って、もっと多様なんじゃないかなぁと。
アンダーグラウンドはそんなもんじゃないだろ?って気もある。
歌舞伎町なら、「自粛」を訴えるビブスつけた沈黙守るオッサンとかね。
もちろん、給料は税金。周りの人はガン無視(含むアタシ)
同じ「自粛」でも、トー横はまだ動けるだけマシみたいな。
去年と比べると、ゴミは無くなり鳩しかいないトー横。

<ブルース2>
>空き地の真ん中を、オ
2作続いて改行無し。
1より優しくて拙いのは、主人公が小学生と覚しきから?

<ブルース13>
> 今朝のわたしは機
だいたい元ネタはわかるけど、統一感というかルールがよくわからない。

◆8a3db7 / 2022-03-03 17:18:51 No.97
◯〈ブルース6〉
>過去から来たという人と、未来から来たという人と、事情の飲み込めない私で食卓を囲む。

未来人と過去人と「私」で囲む食卓という一種不穏なカラーのSF作品。未来を見に来た過去人と過去を見に来た未来人が現在を生きる私の食卓で交差する。1930年代半ば、ミシシッピー州クラークスデイル郊外の交差点でブルースシンガーロバート・ジョンソンが悪魔と取引をしてギターの超絶テクニックを授かったとされる「クロスロード伝説」をモチーフにしているのだろう。文末で解決させず、餃子を咀嚼する私のモノローグがおもしろい。


◯〈ブルース9〉
> 「地球は青かった」と、先人の遺した同じ台詞をつぶやく。

「泥に咲くは蓮の花」の一文にどうしても藤圭子の「夢は夜ひらく」の暗く粘りつく歌声を重ねてしまう。多分この作品は更に凝縮すると昭和のヤニ臭さを放ち暗い光を放つのだろう。「元・水平線」や「黒い翼を広げたピアノ」「ずたずたに叩く鍵盤」など、言葉のセンスに個性があり好感。


×〈ブルース13〉
>今朝のわたしは機嫌がいい。他者とは関係無い。駅へ最短の繁華な元闇市。

文中にちりばめられたHIPHOP固有の単語が泡のように明滅する作品。果たしてラッパーに、HIPHOPにブルースが存在するのかぼくにはわからないが、おそらく筆者の言いたい事は文頭「今朝のわたしは機嫌がいい、他者は関係ない」という一点なのだろう。

以上よろしくお願い申し上げます。

たなか◆535f38 / 2022-03-05 19:56:26 No.97
たなかです。
音楽は好きですがブルースは門外漢です。ほとんどわかりません。
そんなわけで、立ち位置的には「ブルース」というタイトルが醸し出すイメージが、
どんなふうに物語に落とし込まれているかというところで読みました。
よろしくお願いします。


△ブルース3
>  僕は遠くまで歩こうとした。遠く遠くまで歩こうとしたんだ。でも気がつけば同じ

丁寧に歌詞だなぁ、という印象でした。とびきり新しい視野を広げるような物語では
ないのだけど、ものすごく真っ直ぐにタイトルに取り組んで、それこそ歌として出てきた
歌詞なのだなぁと。メロディをのせて歌ってみたくなりました。次点で。


△ブルース5
>  そんな事があったんだってさ。と隣りのテーブルで誰かが誰かに話していたのだと、

こちらもよくありそうな日常のワンシーン。それが逆に、これを読んでいる自身が、
この景色のなかにいるような感覚をともない、それがよかったです。「ぬるい」の
繰り返しが、この場面や登場する人たちをうまく表現していると感じました。次点で。


○ブルース6
>  過去から来たという人と、未来から来たという人と、事情の飲み込めない私で食卓

現在は永久に過去から来た道、未来に続く道なのだけど、それらとは切り離された個別の
ものという感覚はなかなか解けないもの。そんなことを考えました。米と餃子だけの
ひとり飯へ乱入という様子が悲哀とコメディのあわいを感じさせ面白かったです。正選で。


○ブルース8
> 「室長、大変です。ブルーノート株が日本に上陸しました」

読んでいる自分もつい気持ちよく楽しくなりました。感染力強い! テンポいい!
「少し悲しげな感じになります」で笑い、「リズムはブルースで、Bから始めるよ!」で
さらに笑い、「めっちゃ明るい曲なんだけど?」以降は笑いっぱなしでした。正選で。


×ブルース11
> ギターオタクの友人がくれたレコードを時々かける。

自身にも掠る経験があり、亡くなった方がたを思い出しながらしみじみと読んだのですが、「ミソジニストでレイシスト下ネタ好きのおっさんが言いそうなことが浮かぶので、2年経った今もまったく死んだ気がしない。」をどう読めばいいのか全然わからない。逆選で。

磯村咲◆8fbabe / 2022-03-05 20:26:15 No.97
ブルース、難しかったです。

〇<ブルース6>
> 過去から来たという人と、未来から来たという人と、事情の飲み込めない私
これもバック・トゥ・ザ・フューチャーからの連想なのでしょうか。それともたまたま?
「私の飯はやはり私が食う。」という最後の一文が妙にブルースっぽく感じられました。

〇<ブルース8>
>「室長、大変です。ブルーノート株が日本に上陸しました」
「三番目と五番目と七番目のスパイクたんぱく質の長さが半分なんです」にやられました。

×<ブルース4>
> 広域火葬施設の放火事件が派手に書き立てられた年は、偏向報道とはいえ報
令和の大塩平八郎ということは、国が、反対する勢力を押し切って広域火葬施設を作ったのでしょうか。その辺りの事情を少し盛り込んで欲しかったです。軍国主義が加速し、その結果としてのその後の展開についていけませんでした。

<ブルース1>
これだけ列挙するのすごいと読み進めていましたが、「口を半開きにして今これを読んでいるマヌケなてめえら」のところで、口をしっかり閉じていたのですっと覚めてしまいました。列挙された例が都会的なものばかりなのも気になりました。地方の暮らしも盛り込んで欲しかったです。

<ブルース2>
ちょっと昔の小学生だと感じられました。意図したものでしょうか。この作風で現代の小学生事情を織り込んだブルースが読みたいなと思いました。

以上です。

海音寺ジョー◆2819bb / 2022-03-06 20:41:39 No.97
○ブルース2
>空き地の真ん中を、オオバコナズナ、バタバタと踏んで抜けていく。

イメージ、情景の出所が全然わからなくて、そのことがかえって想像をかきたてられて良かったです。音楽のことには疎いのですが、ブルースの曲のタイトルが換骨奪胎して、物語の断片断片になってるのかな。

○ブルース8
>「室長、大変です。ブルーノート株が日本に上陸しました」

このタイトルで、こんな面白い話が読めるとは!という驚きがありました。特選にしようかどうしようかと、ギリギリまで迷った傑作でした。オミクロン株が全てブルーノート株に置き換わってほしい。

△ブルース7
> 元もと運動も団体行動も苦手。

かれの後ろ向きな性格に強い共感を覚えました。俯瞰して見たら、十分ハッピーエンドに思える人生なのに。悲しみや寂しさを、しかしかれもわたしも逆説的に謳歌出来得てるんじゃないかな、ということを、ぐるぐる思いました。

△ブルース13
> 今朝のわたしは機嫌がいい。

この物語に出てくる曲をひとつも知らないのですが、文体のリズムがとても良かったです。いかがわしくも愛しい街を闊歩する、機嫌がいいわたしの足音が聞こえてきそうでした。


✕ブルース6
> 過去から来たという人と、未

すごく良かったのですが、自分がブルースだと認識してるブルース観から一番遠いと感じたので、逆選にさせてください。餃子は大好きです。

以上です。よろしくお願いします。

遠音◆56c847 / 2022-03-06 21:37:35 No.97
「ブルース」、難関でしたが、疎い私なりに評してみようと思います。

◎ブルース8
> 「室長、大変です。
冒頭の「ブルーノート株が日本に上陸」はわかりやすい時事ネタなのに、外国のオシャレネーミングの会社の株価が乱高下した、という妄想が脳内を瞬間駆け抜けた。とほほ。
現実の新型株上陸のニュースが暗く緊迫していただけに、この底抜けの明るさ、馬鹿らしさにとても救われる。
ウイルスの感染力の強さを下敷きにしているが、多くの人へ伝播する歌の影響力も同時に織り込まれていて、そこにも惹かれた。歌の力を信じているからこそ書けた話だと思う。
正選です。

△ブルース3
>  僕は遠くまで歩こうとした。
全体的に言葉の使い方は少しまどろこしく感じたが、内容には惹かれた。
「見えてるものを伝えるにはどうすればいい?」
並んで同じものを眺めていても、脳裏に映る姿や焦点はそれぞれ異なる。ましてや自分の内側での違いをどう伝えたらいいのかというとまどい。ここは表現者として、とてもシンパシーを感じる。
歌うとは、叫びであり、ブルースであり、詩であり、短歌であり、俳句であり、きっと同根だ。
次点です。

△ブルース4
>  広域火葬施設の放火事件が
タイトルがなければ、ブルースのブの字も脳裏をかすめなかったと思う。が、読み物として普通に面白かった。
自国が切り刻まれ、吸い上げられてゆくありさまをドライに描写しているのが印象的。価値観や母国の在り方が大きく揺らぐ怖さ。これと、故郷を遠く離れて奴隷として扱われる黒人の悲哀、ブルースと重ねたということだろうか。
「親父」の放火理由が今いち掴みきれなかったのが個人的に残念だった。「令和の大塩平八郎」と讃えられた具体的背景が知りたいですよ。
次点です。

×ブルース13
>  今朝のわたしは機嫌がいい。
半分以上は意味がわからなかったが、主人公がご機嫌でノリノリなのは伝わってきた。
クレイジーな街模様にみえて、その実「合法的なトび方をビラ配り。人混みを馬鹿が自転車でやってくる。」とわりと平和なのが妙にリアルで可笑しい。
ただ、「ブルース」とはジャンルが違うのでは…?という疑問がぬぐえず。
我が道を貫き切っている良さとも合わせて、愛を込めて逆選で。

(選外評は次へ)

遠音◆56c847 / 2022-03-06 21:39:31 No.97
<選外評>
ブルース1
> レオパレスの薄い壁越しから、
濁流のような、羅列。息苦しさは意図したところであろうが、個人的には息をつくところ、もしくは緩急がほしいと思った。
醜いもの、澱んだものだけでなく、哀しいものも混じっているところが、やるせない。
個人的には「ホストの投げ捨てた銀行の袋」がヒットだった。場の気配が、彼の感情が、立ち上がってくる。

ブルース5
>  そんな事があったんだってさ。
けだるい空気の中によどむ、避けようのない破局の気配。激しい喜怒哀楽もなく、相手の心が離れていくのをぼんやりと感じているさまは、水中のようだ。
たった今向き合っている二人の大切な時間が「そんな事」や周囲のざわめきにとりまぎれてしまうような軽いものになってしまう、哀しさ。
そのことを辛いと思えなくなってしまっているのか、あるいは、ぼんやりとして辛さを紛らわせてしまいたいのか。
ブルースの「憂鬱」をクローズアップしたのだと解釈した。

ブルース6
>  過去から来たという人と、
「腹が減っているようだ。」のリフレインが地味に腹筋にくる。
年齢も性別も不明のタイムトラベラー二人は「私」の過去と未来かと思ったが、昔トリップしているのであれば覚えているはずだし、違うのだろう。
パニックや不安ではなく「早く帰ってくれまいか。」と憂鬱になっているのがブルースだとしたら、少し強引な気がする。ただ、話そのものは面白く、テンポもよい。

ブルース7
>  元もと運動も団体行動も苦手。
「ブルース」のお題でこんなほのぼのとした話が読めるとは意外だった。
前半はあらすじのごとき駆け足だが、後半のこたつのシーンが、席の位置や会話がリアルでよかった。
ブルーな未来と言いつつもこの結婚を後悔したりしていなさそうで、読後感も気持ちがよい。

ブルース9
>  「地球は青かった」と、
絶望の世界の蓮の花、小屋に灯る灯り、女の瞳の澄んだ青。未来へつながる直接の希望になりえないけれど美しいかけら達が印象的。
もう長くないからこそ、美しくきらめくのか。酩酊のさなかのわずかな正気のようだと感じた。

(続く)

遠音◆56c847 / 2022-03-06 21:40:41 No.97
(続き)

ブルース11
> ギターオタクの友人が
ラスト1行に首をひねったが、自分がもうステージの仲間の中にはいないという意味か。あるいは、独りでステージに立って演奏のマネごとをしていて、仲間や観客はいないという意味か。後者の方がせつなくて好みだ。
「ミソジニストでレイシスト下ネタ好きのおっさんが言いそうなこと」がさっぱり浮かばないが、もしかして主人公は女性?

ブルース12
>  ランプの薄明かり、
ブルースの曲そのものが嫌いなのではなく、そういう曲に似合いそうな空気や明度が好きではないという話か。
ラストの俗っぽい落とし方は好き嫌いが分かれそうだが面白い。我が道を行く気持ちよさゆえか。

以上です。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2022-03-06 22:22:37 No.97
ブルースとは何ぞやと調べたらブルースとは「生き様」とか出て来たのですがちょっとそこまではどうなんだろうと思いつつ書いて、そして読みました。

◯ブルース1
> レオパレスの薄い壁越しから
自分の持つ「ブルース」のイメージと似ているからかもしれませんが確かに行間から聴こえてこえますね。ある種のどうしようもなさが。

◯ ブルース11
>ギターオタクの友人がくれたレコードを時々かける
そんなに親しいと言うわけでは無かったけれどちょっとした趣味と呑み友達と言う感じでしょうか?クールと言うか乾いたと言うか割り切った感じの悲哀が低く流れて居るのが好みです。

× ブルース2
>空き地の真ん中を
あくまでも個人的なイメージ(固定観念?)からちょっと遠いというかブルースには早過ぎると言う様に感じたので申し訳ありません、逆選で。

つとむュー / 2022-03-07 00:39:49 No.97
【選評】ブルース

〇<ブルース3>
>僕は遠くまで歩こうとした。
個人的に抱いている「ブルース」の雰囲気に一番近い作品でした。
景色が違って見えることを伝える方法が素敵でした。

〇<ブルース1>
>レオパレスの薄い壁越しから、
ブルーに感じるシチュエーションのオンパレードでした。
これだけ羅列されたら、思わず歌いたくなってしまいます。

△<ブルース11>
>ギターオタクの友人がくれたレコードを時々かける。
可笑しくもあり悲しくもあり、不思議な作品でした。
自分がその友人だったら、時々じゃなくて毎回思い出して欲しいです。

△<ブルース12>
>ランプの薄明かり、タバコの煙、それからオンザロック。
薄明りのタバコの煙が目に浮かぶような作品でした。
昭和のブルースという感じがしました。

×<ブルース6>
>過去から来たという人と、未来から来たという人と、
過去から来た人、未来から来た人、不思議なシチュエーションですね。
でも何で餃子なんでしょう?
「ブルース」から餃子が出てきたことがとっても気になったので、逆選にさせていただきました。

以上、よろしくお願いします。

はやかつ◆8f91df / 2022-03-08 23:35:46 No.97
バンド仲間から「ブルージーなピアノを弾く」と評されていい気になったこともあるはやかつです。大幅遅刻ですみません。でも来ないよりマシと思っていただけると助かります(いけ図々し…)。

×ブルース1
> レオパレスの薄い壁越しから、ネカフェの隣のブースから、
ワルぶってるのではなく、目を背けたくなるような物事を真剣に見つめている感じは悪くないです。でも私の持つブルースの印象はもっとモヤモヤした、宙ぶらりんなものなので、作品としては好感を持ちながらも逆選で。

ブルース2
> 空き地の真ん中を、オオバコナズナ、バタバタと踏んで抜けていく。
子供がつらい境遇にあるらしいものを読むと胸が締め付けられます。それもこれほどこなれた描写なら尚更。ブルースよりもアイルランド民謡が似合う気がします。

△ブルース5
> そんな事があったんだってさ。と隣りのテーブルで誰かが誰かに
この、ぬるく堂々巡りしてる感覚がブルースの感覚に重なる気がするんです。ただ、ブルースって基本は自分ごとだと思うので、そこが少し遠いかも。

ブルース6
> 過去から来たという人と、未来から来たという人と、
本人が事情を飲み込めていないので読者は尚更という怪作。どうしよう、逆選こっちかと迷ったけど、無印で。

△ブルース7
> 元もと運動も団体行動も苦手。なのに気づくと社交ダンス部にいた。
この、うだうだ流れていって流された人生を肯定するでも否定するでもなく眺める感じ、わりとブルースっぽい気がします。ダンスのブルースって曲が全然ブルースじゃない、ってのも上手い題材を拾ってきたなあと思います。

○ブルース8
> 「室長、大変です。ブルーノート株が日本に上陸しました」
「三番目と五番目と七番目のスパイクたんぱく質の長さが半分なんです」に大爆笑。細かいことを言うと、ブルースはリズム形式を指さないと思ってるのでそこだけちょっと違和感なんですが勢い勝ちで正選。「少し悲しげな感じになります」で、なおかつ「めっちゃ明るい曲なんだけど?」ってとこが言い得て妙です。Go, Johnny, go, go!

○ブルース9
> 「地球は青かった」と、先人の遺した同じ台詞をつぶやく。
マディな世界に沈むブルースと酒場。これはいい感じに溺れさせてくれます。

(つづく)

はやかつ◆8f91df / 2022-03-08 23:36:56 No.97
ブルース10
>「あーそうそう、あれ見てきたぜ、菜名。ほんっと真っ黒けなのな!」
ブルースにまつわる人名やエピソードをうまく織り込んで、どうやらブルースのとば口にいるらしい若い兄妹(?)の感情を鮮烈に切り取ってるなあと思います。その分ブルース度は低い気がしますが。

ブルース13
> 今朝のわたしは機嫌がいい。他者とは関係無い。
「そんな気分なのです」(かせきさいだぁ)「心のベストテン第一位はこんな曲だった」(スチャダラパー)からの引用と、鎮座DoopnessはKIRINJIとコラボしてたから知ってましたが、あとはわからず。あ、BTS「Dynamite」は知ってた。これほどヒップホップを並べてきたのは、これが自分のブルースだという主張かとは思いますが、かといって易々と逆選票を献上したくはありません、あしからず(笑)。

以上です!

まつじ◆fd9eca / 2022-03-09 13:26:44 No.97
こんにちは、皆さま。まつじです。
ブルース、ブルース、ブルース。楽しく読ませていただきました。

⚪︎<ブルース11>ギターオタクの友人がくれたレコードを時々
「そういえばいないんだったなと時々思う」に共感するというか、いないということも意識せずに生活していて、ふと思い出す感覚。なんということのない日に立ち現れる、ほんの僅かの寂しさというか憂いというか。

⚪︎<ブルース8>「室長、大変です。ブルーノート株が日本に
楽しそうじゃねえか。という感想です。今となっては分かるけど、10年前に「ブルーノート株」といわれてもピンと来なかっただろうと思うと面白いですね。少し悲しげな感じがどこにいってしまったのかは、気にしますまい。

△<ブルース3>僕は遠くまで歩こうとした。遠く遠くまで
前後の文の塊の、一部の文字列が重なるつくりが面白かったです。それが繰り返されるのも好みではあったのですが、内容を変えずに冒頭とつながる構成だったらより好み。でも、河っぽさはなくなってしまうかなと思うと難しいですね。

△<ブルース12>ランプの薄明かり、タバコの煙、それからオンザ
それっぽい言葉が羅列されているなと思っていたら、あれよあれよと消臭スプレーに着地してなるほど。後半だけでも表現できそうではありますが、まんまと罠にかかってしまった私、するする読める調子の良い文章のなせるワザですね。

×<ブルース13>今朝のわたしは機嫌がいい。他者とは関係無い。
正直、元ネタはほとんど分からないのですが、語り手のようになりたいとは思えないのに羨ましい気もするのです。ラップは精神。ブルースだって。冒頭の当たり前のような二文が、不思議と心を掴んできました。

続きは選外評です↓

まつじ◆fd9eca / 2022-03-09 13:29:15 No.97
<ブルース1>レオパレスの薄い壁越しから、ネカフェの隣
畳み掛けるように連ねられる猥雑なイメージは、たしかにブルースらしいのかもしれません。ぐわぐわと迫るエネルギー、苛立ち紛れの心情を感じつつ、繁華ではない田舎のブルースも読みたいと思いました。

<ブルース2>空き地の真ん中を、オオバコナズナ、バタバタ
「めめしい奴の女座り」という表現にやや引っかかりを覚えてしまう私なのですが、短い文章を重ねて作り上げられるリズムが心地よいです。詩的でもあり、大皿が印象的。時の経過と語り手の変化に、不思議とブルースを感じます。

<ブルース4>広域火葬施設の放火事件が派手に書き
描かれる世界が興味深いですね。はてさて異国とは何であるかを考えてしまいます。「かつての日本に近い国」と表現するあたりに、語り手の意地悪を感じてたいへん好ましく思いつつ、ヤフーニュースはとくに変化なかったのか気になります。

<ブルース5>そんな事があったんだってさ。と隣りの
喫茶店かレストランか、曖昧な場所での一場面を描いているようで、具体的なイメージの少なさで普遍性を追求しているようで面白いです。回想で、現在以外の時間軸を描いたところをみると、最後の「いつか」は過去とも未来ともとれました。

<ブルース6>過去から来たという人と、未来から来たという人と、
どういう経緯で食卓を囲むに至ったのかがまったく不明な強引さが楽しいです。その前にやれることがありそうなどと思うのは野暮というものでしょう。なぜ餃子なのかもまったく不明ですが、美味しそうなのでよい。でも居心地はわるそうですね。

まつじ◆fd9eca / 2022-03-09 13:29:56 No.97
<ブルース7>元もと運動も団体行動も苦手。なのに気づくと社交ダンス
ダンスの種類のブルースとは、あずかり知らぬことなのでホホウと感じ入りました。世のなか私の知らないことだらけです。ブルーな気分って、どの世代までが使うんだろうという余計な心配をしてしまう私です。なかよさそうな家族でなによりです。

<ブルース9>「地球は青かった」と、先人の遺した
なんだか「世界中の海という海は泥土化した」の一文が好きです。泥のなかでは蓮根が育っているでしょうか。最後の一文が私には感傷的すぎるきらいがあるけれど、泥土と蓮の花と半分沈んだ小屋の絵面は、ぐっと来ますね。

<ブルース10>「あーそうそう、あれ見てき
「クロスロード伝説なんだってぇ?」が誰のセリフなのか見失い立ち往生してしまいましたが、このタイトルで道祖神の登場は不意を突かれて面白かったです。久太は何をやっておるのか墨汁で。

遅まきながらの選評ですが、これにて失礼いたします。

返信
「ほくほく街道」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2022-01-03 00:20:08 No.83
選評はページ下部にあるコメント用フォームから「返信」する形でご投稿ください。

空虹桜◆7a91dc / 2022-01-06 22:47:43 No.83
今年もよろしくお願いします。
このタイトルの妙な柔らかさと堅さのバランスに
書き手としては四苦八苦でしたけど、
読み手としてはこれぐらいのギャップが
振り幅広めに見えるのでワクワクするところです。

◎<ほくほく街道8>
> だれも通ったこ
悔しい!
このアイディア思いつかなかったのが悔しい!
最後の一行も絶妙で、
「ほくほく」の食べ物に直結するイメージをウマく利用しているなぁと。
作品数見た時に(微妙かなぁ)と思ってたのだけど、この作品で救われました。
特選にはすこし甘いけど、お年玉ってことで(上から)

△<ほくほく街道2>
> 飛脚から届けら
なんとなく、無印でスルーしちゃいけない雰囲気の作品。
「街道」で時代物感の作品は安直と言えば安直だけど、
飛脚は良いガジェットかと。
ただ、だったら手紙じゃないよなぁ・・・とも。
時代考証よくわからんからアレだけど。雰囲気的に。
しかし、みたらし団子!最近食べてないな・・・

×<ほくほく街道9>
> 助手席からカネト
正選評使い切っちゃったので消去法で×なのだけども、
このリアルな(とくに「アルトエコ」)感じは推したいところ。
チェーン店の隙間に連れ込み宿(ラブホやブティックホテルに非ず)があるあたり、
素晴らしくナイスチョイス。
なんだか<ほくほく街道10>と呼応して、意味を発しそうなのも良いところ。

脳内亭◆97ae83 / 2022-01-09 00:48:34 No.83
 コンバンハ、脳内亭です。
 喪中につき、寿ぎは控えさせていただきますが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、タイトル競作の長い歴史のうえでも、年またぎ回は初なのでは。なんでこんな締切設定にしたのか……。

 では選評です。よろしく願います。



◎ほくほく街道6
> さて、ここに、芋があった。

 タイトルに対して正面から向かい合った丁寧な作品。ミクロにマクロを映す構図も良いです。


×ほくほく街道2
> 飛脚から届けられたのは、明日からの手紙であった。

 語り口は魅力的なのですが、時間軸など解らないことが多くて、読んでいて混乱をおぼえました。もうすこし取っかかりがほしい。


 以上でっす。
 では脳内亭でした。

遠音◆56c847 / 2022-01-10 01:32:04 No.83
今年もよろしくお願いします。
実は、初参加はこの冬ではなく2016年でした。(言ったほうがいいだろうかと思いつつ、機会を逃していたので、新年の挨拶を機に。)
数回参加して後フェードアウトしてしまいましたが、テキストを定期的に書く場がほしいので、今後ともどうぞよしなに。

まず、選の分を。(今回、無茶苦茶悩みました。褒めているのに選外だったりもしますが、ご容赦を)

◯ほくほく街道2
> 飛脚から届けられたのは
時間の逆流、いや、分岐点が果てしなくずれ続けていくような怖さ。
太平の世の江戸時代を思わせるのどけさが終始心地よいが、このまま明日の自分に助けられながら生きていってしまうとどこかでツケを払わなければならないのでは…?という恐怖が勝手に芽生えてゆく。
シュールさとのどけさの同居具合が絶妙。
正選です。


◯ほくほく街道8
> だれも通ったことのない街道が
「だれも通ったことのない街道」というのっけからの矛盾、その疑問を呑み込んでしまう街道たちのおいしそうな呼称、そのおかげで共食い場面のエグさが全くなかったのに、オチで一気にホラーに落とされてしまう。
正選です。


△ほくほく街道4
> 「パパ、見て!」
店名の頭文字が「ほ」「く」の繰り返しなのだと、ラスト辺りで気づいた。なるほど!
それでいながら、題名を外しても単独で読み物として成り立つ。
そして、子どもたちの名前がそもそも「ほ」「く」なのだと、一周して戻ってからまた気づいた。
「買ったものをそのまま売るのは転売」のくだりが個人的によかった。ぐっとリアリティが増している。


△ほくほく街道7
> 小春日和やインディアンサマーのように
もしかして手話のやりとりだろうか。「久々に聞いた声」ということは、主人公は健聴者でバスに乗った相手が難聴もしくは聾?
独特の比喩が、なめらかでないゆえに良い意味で引っかかって印象に残った。「過剰にエモくて、自分がたまらなく気持ち悪い。」「昼下がりの幹線道路は、なによりも逞しい。」
ラストの「永いが、しばしの別れだ。」は、生きている内はもう会えないという意味に取った。来世を信じられることは救いなのだな、と、信じていない私はしみじみした。
次点です。

(逆選は残り文字数不足のため、次の投稿に)

遠音◆56c847 / 2022-01-10 01:34:06 No.83
(続き)

×ほくほく街道3
> 気持ちの良い秋の日である。
一読、オチは無し?と拍子抜けしたが、全編に横たわるのどけさ、ゆるりとした足取りがここちよい。
「九里四里美味い」は「十三里」のことだろうとは思ったが、それ以上はわからず、ネット検索で「九里四里(くりより)美味い」サツマイモのことだと知った。でも、知らずともさらりと流して読める軽やかさがよい。
一行目と二行目の「気持ちの良い秋の日である。」「爽やかな秋の日である。」の重複具合が引っかかった。畳みかける意図なのかもしれないが、文字数の少ない俳句作りでは言葉の無駄使いを減らそうとキリキリしているため、目についてしまった。
逆選必須ということで、消去法で選ばせてもらいました。


<選外評>

ほくほく街道1
> 「そんな名前ついてたっけ?」
じわりと染み出す違和感、そして恐怖。
「こんな山奥」なのに波音が聞こえてくるという違和感(狭い日本なら山と海が近い場合もあろうが、違和感はやはりある)、「独り言」をつぶやいているのに同乗者がいた違和感、丁寧に積み重ねられた伏線が好印象。
話の内容とは関係ないが、以下の二箇所の一文字空けは、改行しそびれ? テキストファイルで作っている場合のあるある、私も気をつけようと思った。
> 「街道って
>  遠くに建物が


ほくほく街道6
> さて、ここに、芋があった。
一読、アリの巣の観察を連想した。ただ、芋を割って、すなわちかれらの世界を砕いて電子顕微鏡で観察したのだろうか?と疑問が湧いてしまった。
「大きな溝」「ヒトの肉眼では見ることがかなわない、細い細い溝」の感覚の反転が面白い。
ただ、「長い時間(ヒトにとってはほんのわずかな時間)」はちょっと引っかかってしまった。寿命に対して働いた時間の長さという測り方?
ラストのシュールさは、入れ子構造的に、地球とそこに住むヒトたちもまた、同様の目に遭うかもしれないという恐怖も生む。


ほくほく街道9
> 助手席からカネトモ君が
「連れ込み宿」! 知ってはいてもなかなかお目にかからない言葉で、逆に新鮮だった。
日本家屋風の食事処が建物はそのままにパチンコ屋に入れ替わってしまっているのを見知っているので、仏具店のくだりもとても説得力があった。
ファンタジー要素抜きで丹念に描写しているのが好印象。
ラストのスリップの後は如何に。

(続く)

遠音◆56c847 / 2022-01-10 01:42:25 No.83
(続き)
ほくほく街道10
> 「北前船ってのがあってだよ」
ラストの心の叫びにハモってしまう。この唐突なCM感は「オッサン」の関係会社であろうか。
こういう「オッサン」にはニコニコと穏やかに相づち打ちながら聞き流すのがよいだろうなぁと思いつつも、他人事となればニヤニヤと読めてしまう。
本文中にはないが、前置きで「ほくほく街道って知ってる?」という皮切りがあったのだろう。
なんてことのないやりとりだが、酒場のガヤガヤした雰囲気が出ていると思う。


以上です。
冒頭にも書きましたが、読み返したり評を書いている内にまた評価が変わったりして、選はとても悩みました。なんでこれが選に入ってないんだろう?と思いつつ評を書いたものもあります。最後は個人的好みでグワッと選びました!ドントシンク、フィーーーーールッ

海音寺ジョー◆2819bb / 2022-01-10 10:55:45 No.83
○ほくほく街道4
> 「パパ、見て!」
この難しいタイトル(すみません、すみません!めっちゃすみません)に、こういうアプローチが!と唸らされました。この携帯ゲーム機、自分も買いたいです。

○ほくほく街道8
> だれも通ったことのない街道
街道の扱いの難しさというか、一般的なイメージを軽く覆す力技に圧倒されました。ヒトに踏まれる前提のはずの街道が、人間の味に興味を抱くラストも不気味で怖くて良かったです。

△ほくほく街道1
> 「そんな名前ついてたっけ?」
夕暮れ。黄昏時の、魔に出逢ったゾクゾクする感じが良かったです。運転中、ときどき襲って来る異世界感というのか、合流点で実は追突されてて、とっくの昔に自分は死んでしまってるんじゃないの?というような違和感を追想しました。

△ほくほく街道6
> さて、ここに、芋があった。
芋の中にも世界があるという発想に驚きました。最後の段落の「誤って」というところから、語り手は家族の一員でありつつ、この芋の内部世界のことを神的な視点で知っていたのかな?と、気になりました。個人的な感覚ですが、この「誤って」は無い方が、逆にすんなり不条理な物語としてまとまったのでは?と思いました。

✕ほくほく街道7
> 小春日和やインディアンサマーのように
明記されてませんが、死者となる人との別れの光景なのかなと想像しました。せつないけど、語り手の綺麗ごととしたくないという姿勢の堅持に、一種の至誠を感じました。タイトルから一番イメージが遠いような気がしましたので、逆選でお願いします。


一日遅れてしまい、すみません。今年もよろしくお願いします。

磯村咲◆8fbabe / 2022-01-10 20:17:41 No.83
作品も出せなかったし、選評も間に合いませんでしたが、全評に挑戦しました。

<ほくほく街道1>
> 「そんな名前ついてたっけ?」
>「街道って
の前の改行が飛んでますよね。ちょっと行ってみようかなと思わせるキャッチーな名前につられて、思いがけず山道を走り、海にまで出ちゃった、というのは無い事もない話のようですが、昨今はナビを見るからなかなか無いかも。
表示板に見慣れない名前を見つけた時点で、すでに迷い込んでいたのでしょうか。カフェで日没を見ようと誘われるのがキャッチーな名前に相応しくてよいのですが、この系統の話としてはインパクトに欠けるので、もうひとひねり欲しかったです。

〇<ほくほく街道2>
> 飛脚から届けられたのは、明日からの手紙であった。いかにも私の書いた字
街道の平穏無事を保つ謎のシステム。未来と長閑さがいい塩梅なほくほくでした。

<ほくほく街道3>
>気持ちの良い秋の日である。秋晴れの天は高く、近ごろ肥えぎみ。
工夫は見られるのですがやや分かりづらく、タイトルと設定を超えられていないように感じました。

<ほくほく街道4>
>「パパ、見て!」
この作品もタイトルと設定を超えられていないと言えばそうなのですが、ホタテ、ホッケ、ホヤと畳み掛ける並びに、釘屋、櫛屋、鎖屋と挟まるアンバランスさが面白かったです。

△<ほくほく街道5>
>「え、ほっ、ほっかいどう?」
スイッチが入ったばあちゃんの語りと翻弄される合いの手が面白かったです。ばあちゃんが霊力を発揮した、最後の「うぎゃあああ も、ただの男人禁制の山岳信仰にはとどまらないのを示唆しつつ、話の幕を引く上手い終わり方だと思いました。

×<ほくほく街道6>
> さて、ここに、芋があった。片手で簡単に握れるぐらいの小さな芋である。
持って回った描写による導入部から突然の我が家の食卓までの無理やりさが妙に面白かったです。

△<ほくほく街道7>
> 小春日和やインディアンサマーのように、異なる季節で形容するのが人類に
想起される雑多なことも大切なことも、陽光の元、幹線道路に満ちるまた別の雑多さに紛れていく。手を離さないと手話できないこと、今まで気づいたことがありませんでした。

磯村咲◆8fbabe / 2022-01-10 20:18:12 No.83
〇<ほくほく街道8>
> だれも通ったことのない街道が、かつて幾つも存在した。
街道とは、と問いたくなるところですが、この作品好きです。

<ほくほく街道9>
> 助手席からカネトモ君が「あれは、おかしい」と、前方の仏具店を指さしな
そこでなんとかほくほく感を出して欲しかったです。

<ほくほく街道10>
>「北前船ってのがあってだよ」
上っ面の知識を得得と話す人も迷惑ですが、有難いのだけれど知りたいのはそれではないことを滔滔と語るボランティアガイドさんも現れそうなほくほく街道。

以上です。

たなか◆535f38 / 2022-01-10 23:16:28 No.83
たなかです。
ほんと、年越し競作は初めてではないでしょうか。日程がきつうございました……
そして、お題が難しかったらしい件については、申し訳なく……
1 日遅れもスミマセン! 連休だったし許して!(我が儘か!)
今年初めの選評です。よろしくお願いします。


×ほくほく街道1
>  「そんな名前ついてたっけ?」

構成が綺麗に決まっている作品。その分、エンディングが予期しやすく、本来なら、
驚くべきはずのラストが、型にはまった安心感を与える印象になってしまったので、
もうひとひねり欲しかったかも。タイトルから遠く思えたのが残念でした。逆選で。


○ほくほく街道2
>  飛脚から届けられたのは、明日からの手紙であった。いかにも私の書いた字である

このタイトルをこんな風に料理できるのかと驚いた作品。手紙と飛脚だけが、
この世界における不穏感を担い、それ以外は実に平穏な日々。繰り返し届く手紙の描写で、
緊張感が高まったあとに穏やかなエンディングで締められる構成が鮮やかでした。正選で。


△ほくほく街道4
> 「パパ、見て!」

楽しそうなゲームに、楽しそうな親子。平易な言葉に子どもらしい単語の羅列が、
この三人のいる空気感をうまく表していると思いました。自分もこのゲームが見てみたい。
ただ、話としてはそれらの紹介だけになってしまっていたかも。次点で。


△ほくほく街道7
>  小春日和やインディアンサマーのように、異なる季節で形容するのが人類に共通し

物語世界の背景が丁寧に説明されてはいないので、提示された言葉を少しずつ積み上げて、
推し量る読み方が必要でした。そういうあり方自体も雰囲気も含めて面白かったのだけど、
会話をするために手を離す必要性等、細かいところが最後まで読み解けなかった。次点で。


○ほくほく街道8
>  だれも通ったことのない街道が、かつて幾つも存在した。

生き物としての街道を、タイトルの「ほくほく」から寄せて提示し、「共食い」という、ありえないはずのエピソードを強く打ち出し、その様を丁寧に描写したあと、最後の行で、異なる視点から締める。街道のそれぞれのあり方が絶品。とても面白かったです。正選で。

つとむュー / 2022-01-10 23:31:45 No.83
【選評】ほくほく街道

〇<ほくほく街道2>
>飛脚から届けられたのは、明日からの手紙であった。
災禍を避けることができるから、ほくほく。
そのからくりは飛脚が届ける明日からの手紙、というのが面白かったです。

〇<ほくほく街道7>
>小春日和やインディアンサマーのように、
全然ほくほくという感じじゃないのに、読了感がなんだかほくほくしている。
手を繋ぐということの重さを、ひしひしと感じさせてくれた作品でした。

△<ほくほく街道5>
>「え、ほっ、ほっかいどう?」
聞き間違いが楽しい作品でした。
結局、ほくほく街道はなんだったのでしょう?(笑)

△<ほくほく街道6>
>さて、ここに、芋があった。
芋に世界があって中央に大きな溝って、なんだか楽しい世界観でした。
それがラストで、ほくほくになってしまうなんて・・・

×<ほくほく街道8>
>だれも通ったことのない街道が、かつて幾つも存在した。
街道が共食いするというのは、すごいアイディアでした。
ほくほく街道も、もちもち街道に食べられちゃうような気がしたので×にさせていただきました。
まあ、ほくほく街道とは一言も書いてないんですけどね。

遅刻してすいません。
以上、よろしくお願いします。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2022-01-11 00:43:34 No.83
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
遅くなりまして申し訳ありません。3連休だったのでてっきり今日が締め切りかと
そして寝落ちしていました。

○ほくほく街道8

>だれも通ったことのない街道が、かつて幾つも存在した。

街道と言えば人が作った(もしくは人が名付けた)もののはずなのに
誰も通ったことが無い上に人為的に無くなったのでは無く街道が共食いでとは…。
しかも全部おいしそうな名前ばかり。
「ほくほく」だけはおいしそうというよりなんか得してウハウハしている感じですが
芋とかカボチャとかはそういいますものね。
勝者の「ほくほく街道」はまだ未経験の様ですが「神隠し」の原因の1つっぽいあたりも
好み…と思いましたが「誰も通ったことが無い」のなら皆さん未経験ですね。
それはさておきやはり好みの話です。

△ほくほく街道2
>飛脚から届けられたのは、明日からの手紙であった。
過去からの手紙の忠告に従って災禍をさけたことで別の未来に分岐して
どんどん平行世界が広がって行くのですね。スケールの大きい話にみたらしの
タレがからんでいい感じです。

△ほくほく街道4
>「パパ、見て!」
最初単なるゲームの名前かと思ったのですがまごうことなき「ほくほく街道」ですね。
ど○ぶつの森のキャラでゲーム画面が脳内で再生されました。

×ほくほく街道10
>「北前船ってのがあってだよ」
つっこみの語り手に妙な親近感を覚えるし好きな展開ではあるのですがちょっと「街道」
からは一番遠いかな?と
申し訳ありません。逆選で。

まつじ◆fd9eca / 2022-01-11 15:40:35 No.83
 こんにちは、いつの間にか年が明けました。いかがお過ごしでしょうか。早くも遅ればせながら選評をいたしましたので、本年もよろしくお願いいたします。

○<ほくほく街道7>小春日和やインディアンサマーのように、
 ラストがいいですね。「過剰にエモくて、」あたりも効いて、ひねくれ感が好ましい。それはそれとして手を離さなければ会話ができないなど、丁寧な描写がよかったです。

○<ほくほく街道9>助手席からカネトモ君が「あれは、
 ほんのひとときの光景なのに、結構密度があるように感じるのは、ひとつひとつの描写がしっかりしているからかしら。つるっと滑った、しれっと描かれた不穏が気になります。

△<ほくほく街道10>「北前船ってのがあってだよ」
 「となれば」、いいですね不正「となれば」。北北線とかは確かにありそうですね、調べてないけど。きっと何度も聞くことになるでしょう同じ話を。がんばれ青年。

△<ほくほく街道5>「え、ほっ、ほっかいどう?」
 まさか、ばあちゃんのスイッチが入って流暢に語り始めるとは意外な北北回堂。でも孫がちゃんと見えてない。結局何だったの…という感じが軽妙で心地よいですね。

×<ほくほく街道8>だれも通ったことのない街道が、
 一見ふざけた導入に、ぐっと興味が湧きます。最後の一文がなかなか意地悪だなと思えるのは、彼が人の弱肉強食生存競争を目にしてきたからか。発想が楽しかったです。

つづく

まつじ◆fd9eca / 2022-01-11 15:41:31 No.83
<ほくほく街道1>「そんな名前ついてたっけ?」
 驚くくらいで済む肝の座り方に感服。独り言をしない私には、独り言はフィクションの人物がするものだと昔は思っていました。描かれる風景が、不思議と怪しく思えます。

<ほくほく街道2>飛脚から届けられたのは、明日
 書き出しからして謎、飛脚は一体どこから来たのか。ほくほく感を後半でなんとか回収した感じもしますが、みたらし団子が食べたいです。幸運な分岐をゆく主人公に乾杯。

<ほくほく街道3>気持ちの良い秋の日
たいへんほくほくしています。最後の一文に余韻があって、なんだか清々しい。栗など最近口にしないが、パリの味食べたい。茶店をサテンと読んだのは正しかったでしょうか。

<ほくほく街道4>「パパ、見て!」
 鎖屋って何でしょうか。渋い選択をする子らに、そのまますくすく育ってほしいものです。ほくほく商店街という感じが強いですが、気持ちがほっこりいたします。

<ほくほく街道6>さて、ここに、芋があった。
 芋という世界の溝である街道がほくほくされてしまうという儚さ。設定が可愛いからもっと愛着を持ちたかったが、その前に消滅してしまいました。南無南無。

 いろいろありますが、せめて皆様が健やかでありますように。

返信
「眠りすぎないように」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2021-10-30 00:01:07 No.68
選評はページ下部にあるコメント用フォームから「返信」する形でご投稿ください。

磯村咲◆8fbabe / 2021-11-07 23:02:16 No.68
ひねった作品が多く、眠りすぎるどころか、選評を考えて眠れなくなりました。

〇<眠りすぎないように10>
> うさぎは三日眠り続けると、もう目覚めない。死ぬわけではない。ただ生き
 作者がどのようにこの話を思いつき、このような作品に仕上げたのか、さっぱりわからないのだが、不思議な魅力がある。
 眠り続けるペットのうさぎに何も物語を付与せず、その子がまた眠り続けるかもしれない状況も結果的にそのまま受け入れるだろう主人公の心の振れ幅から、微妙すぎる波が寄せてくる。

〇<眠りすぎないように13>
> 睡魔が睫毛に腰掛けて、曖昧になってくる。目蓋を擦ってもふわり舞っては
 全作品中、1番眠りすぎそうなので正選にしましたが、数を増やしても戯れに目を閉じられてしまうようなやや非力な睡魔に物足りなさを感じました。タイトルからすると、もう少し強力または巧妙な睡魔であって欲しかった。 

△<眠りすぎないように5>
>「目覚ましはやめた方がいい」
 本体は既に仮死状態に入る準備を整え、仮想空間にいる意識もそれぞれ戻って眠りにつく場面でしょうか。登場人物達のリラックスぶりから技術が確立されていることが窺え、心配はなさそう。

×<眠りすぎないように8>
>静かな、夜だった。
 読点のリズムや、空白、改行で、感覚上の時間の流れが視覚的にも表現され、昨今では雪崩に巻き込まれて助かった人視点の動画を目にする機会もあることもあり、場面が臨場感を持って浮かんでくる、描写の優れた作品ですが、このタイトルではないと思います。

以上です。

空虹桜◆7a91dc / 2021-11-08 05:27:42 No.68
この時期のこの時間は挨拶に困りますね!
それはそうと、今回のタイトルからすると、
本文はなんらかの反転をしなきゃいけないわけですが、
素直に反転すると予想の範囲内なので、
ひねくれて反転すると一周回って反転しないから、
なんの驚きも無くなるという、ちょっとした嫌がらせですよね。
じゃあ、どうするよ?ってところを楽しみに読みました。

○<眠りすぎないように5>
>「目覚ましはや
×にしたかったのだけど、×は2つ送れないので○で。
一読目には気づかなかったのだけど、
再読してたら、森博嗣っぽいことやろうとしてるのかもなぁ?と。
ギミックとして意図的に並べられた言葉や三点リーダは、
ランダムにしては変位量がすくないし、
流行にしては加齢を感じなくはないのだけど、
その手の端々はまぁ、本質ではない。たぶん。
この会話は誰と誰の間で交わされているのか?
というと、実は自分の中でなんじゃないかと思うのです。
TOKYO No.1 SOUL SET「ヤード」でいうところの
「ちょっとした夢の話」なんじゃないかなぁと。
だとすると、タイトルになにひとつ従ってないように見えるので、
やっぱり×にすべきなんだけど、×は2つ送れないので○で。

○<眠りすぎないように10?>
> うさぎは三日眠り続
読み切れている自信はまったく無くて、
しかし、物語を読んだ手応えというか実感はたしかにある。
しいて言えば、物語の感触に対して、
このタイトルは柔らかすぎる、あるいは親切すぎる。
もうちょっと硬質な優しさの方が相応しい気がする。
違う。
そっちのがアタシの趣味だ。
祈りは、尚のこと深く、強くなる。
いずれにせよ、これは愛だな。

×<眠りすぎないように8>
>静かな、夜
×にしたのは長く感じたからだったのだけど、
エディタに貼り付けたら501文字だったので、
アタシの誤読というか誤差の範囲かな?
北の山の民ではあるのだけど、完璧な雪崩には遭遇したことがないので、
タイポグラフィチックな演出と選ばれた比喩の「適切さ」を
ウマいこと評価できず申し訳ない。
描こうとしたことを書き切った感はあるので、無印にはできずでした。
ちなみに、冬場の銃声はどちらかというとエゾシカ狩り派。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2021-11-14 20:51:59 No.68
こんばんは。胡乱舎猫支店です。結構読み応えありましたね。
選評行きます。

◯眠りすぎないように1

>それは五歳の誕生日にもらった

毎日そんな事をしていたら疲れるでしょうにと思って読み進めていたらどうも両親と呼ばれる生身の人間が夜な夜な楽しむ(?)為の人形同士の戯れの様ですね。

×眠りすぎないように3

>「ほら、コーヒー来たよ。」

面白いのですが「お題からは1番遠いかな?」という自分基準で逆選とさせていただきます。眠らないと夢は見ないですが「眠りすぎない」よりも「夢を見すぎない」ことの話かなという感じがしました。最後に夫が暴言ぽい事を言ってますが主人公は「やっちゃった」んでしょうか?


◯眠りすぎないように7

>昔、おばあちゃんがよく言っていた事がある。

眠るというのはどうも死の影がチラつきますね。
順調に物事が進み始めたあたりからの現実感の無さが祖母に言われていた通りになったのだろうなと思いました。母親が祖母亡き後の主人公の睡眠時間を気にしてそして父親が出てこないのはそういう定めの一族なのでしょうか?

以上よろしくお願いします。

脳内亭◆97ae83 / 2021-11-14 23:11:37 No.68
 コンバンハ、脳内亭です。

 今回のタイトルはどうにも相性が悪かったようで、頭をどうひねっても納得のいくものが書けなかったです。厳しかった。
 では選評です。よろしく願います。



◎眠りすぎないように14
>「えっ、一日十時間?」

 このタイトルでこういう言葉あそびに着地するところが良かったです。


×眠りすぎないように12
> 明日が試験なので、今夜は徹夜を覚悟せねば。

 思いついてもとても書けないようなダジャレをぶっ込んだ勇気を買いたい。



 以上でっす。
 では脳内亭でした。

miyuu2◆ab251e / 2021-11-14 23:32:29 No.68
管理人様、皆様、こんばんは。
今回も、家族の前で読みました。会話が生まれ、笑顔も出ました。
毎回、勉強になります。

〇<眠りすぎないように1>
>それは五歳の誕生日にもらった、オーダーメイドの高級品。

単純に自分も「ほしいな」と思いました。これなら不眠症が解消されるかも。

〇<眠りすぎないように2>
>夢の中でしか会わない友人がいる。

現実に戻れなくなりそうで、「怖いな」と最初に思いました。この後、どうなっちゃうんだろうと思いました。

×<眠りすぎないように11>
>物理的な拠り所がないので、

魂の状態かな?と思いました。ずっと眠っているままの状態に感じました。

*以下、一言です。

<眠りすぎないように12>

いや~、笑いました。私も安眠豆腐を食べ、ぐっすり眠りたいです。

<眠りすぎないように13>

睡魔が、可愛い妖精さんに思えました。綺麗な作品と感じました。

以上です。

たなか◆535f38 / 2021-11-14 23:49:25 No.68
たなかです。
磯村さんのかけてくださったアラームには気づいていたんですが、身体が動かず…… 
結局滑り込みですよっ。よろしくお願いします!


△眠りすぎないように3
> 「ほら、コーヒー来たよ。」

「眠りの底が抜けると夢は裏返る」という設定で、こっちとあっちで、ふたりが役割を
違えて行き来しているらしいのが面白い。「夫」が元の夢のほうを気に入っている理由や、他にも「夢」があるのかが知りたい。最後の行は好みで評価が分かれそうかな。次点で。


×眠りすぎないように6
>  今から寝だみぇ・・・

思い切った一行作品ですが、どう読めばいいのかわからなかったです。
二重の意味に読めるのではということでしょうか。
うーん、それ以上の物語は読み取れなかったので、ちょっと評価し難い。逆選で。


△眠りすぎないように7
>  昔、おばあちゃんがよく言っていた事がある。

どちらが夢なのか、というパターン。語り手がどんどん痩せ細っていく様が、読んでいて
やっぱり切ないし、ちょっとした恐怖を運んできます。ただ、こういった話は今さら感が
あるので、もう少し何かほしかった。飛ばされたあともおさまりがよすぎかな。次点で。


○眠りすぎないように9
>  カチカチと鳴っている。カスタネットみたいな音。わたしは目をあける。

「赤いおばけ」と「青いおばけ」が何を意味しているのか、良いものか悪いものか、
語り手が別の理由でどちらも赤くなっているのはなぜか、答えはあるのだろうけど、
わからないまま読んでも「消えた」瞬間に高まった緊張感が緩み、面白いです。正選で。


○眠りすぎないように13
>  睡魔が睫毛に腰掛けて、曖昧になってくる。目蓋を擦ってもふわり舞っては腰掛け

絵的にコミカルなのが楽しいです。睫毛に腰掛けている様も、ああ、なるほど、と思うし、
ふわり舞ってはまた腰掛けたり、数が増えていくのも、わかるわぁ、という印象でした。
最後、睡魔に負けてしまうわけではないんですね。語り手の人、強い! 正選で。

つとむュー / 2021-11-15 00:05:21 No.68
【選評】眠りすぎないように

〇<眠りすぎないように1>
>それは五歳の誕生日にもらった、オーダーメイドの高級品。
「ネジを巻く」という時間を制限する行動を上手く使った作品でした。
普通、ネジを巻いている間は活動するものですが、その間は眠っているという。
その逆転の発想が素晴らしかったです。

〇<眠りすぎないように12>
>明日が試験なので、今夜は徹夜を覚悟せねば。
なんで杏仁豆腐? と思っていたらそんなオチとは!(笑いました)
この後、主人公がどうなったのか心配です。

△<眠りすぎないように2>
>夢の中でしか会わない友人がいる。
夢の中の友人と同じ人生を歩んでいくところが興味深かったです。
眠りすぎ=彼に連れて行かれる、のその後も読んでみたかったです。

△<眠りすぎないように10>
>うさぎは三日眠り続けると、もう目覚めない。
二歳から眠っているとはすごいですね。
思わず自分も、ミアが生んだ子供が眠りすぎないよう祈ってしまいました。

×<眠りすぎないように7>
>昔、おばあちゃんがよく言っていた事がある。
不思議な作品でした。
最初の幸せな人生が夢だったのか、悪夢の部分が眠りすぎだったのか、
はたまた天井付近から眺めているのが夢だったのか?
とても印象に残ったので、×にさせていただきました。

以上、よろしくお願いします。

遠音◆56c847 / 2021-11-15 01:54:31 No.68
すみません、時間が過ぎてしまいました。
今回の評を書いていて、私は筋や理屈が通ってないと引っかかってしまう性質なのだなぁとつくづく思いました。が、引っかかりがあってもさらっと流せてしまうものもあり、その辺りの区別を他の方々にも納得がいくように書き表さないと、とも思いました。
まず、得点がらみの評4作、次に選外評になります。

◯眠りすぎないように11
> 物理的な拠り所がないので
「おらは死んじまっただ」だけ方言なのは、昭和の某ソングの歌詞なのだろうが、知らなくても面白く読めると思う。
死の恐怖とは、肉体が息絶えることではなく、今蠢き続けている自分の思考が永遠に途絶えてしまう恐怖なのだろうな、としみじみしてしまった。
正選です。


◯眠りすぎないように13
> 睡魔が睫毛に腰掛けて
たわいない一幕、小説というには断片的だけれど、これ以上付け足すことはない過不足のなさがよい。
好みは分かれそうだけど、擬人化も自然で、無理のない描写も好印象。
正選です。


△眠りすぎないように10
> うさぎは三日眠り続けると
作品を貫く空気、ゼリーのような静けさ、密度がよい。最後の一行が効果的。
七年以上も眠り続けたうさぎが妊娠?と脳裏に疑問がわくが、それはそれ、と流して読めてしまった。
ミアの子供への祈りが、目覚めますように、ではなく「共に歩ませてください」というのが沁みた。
次点です。


×眠りすぎないように12
> 明日が試験なので
えええと思ったが、いかようにも展開できそうな話を駄洒落ですこーんと落としてしまう潔さは気持ちいい。
愛を込めて逆選です。


<以下、選外評>
眠りすぎないように1
> それは五歳の誕生日に
伏線や謎が少しずつ解き明かされていくようで逆にわからなくなっていく展開が細やかで、単にホラーだと言い切るのをためらわせる、良い意味で。
少女型とおぼしき目覚まし時計への嗜虐趣味的仕打ち、少年かと思いきや「わたし」、そして実は「わたし」の胸にもあったネジ型突起。そもそもなぜこの目覚まし時計は寝床へ引きずり込まれるのを嫌がるのか、目覚めた時も逃げようとするのか?
パーマンのコピーロボットを思い出したが、この「わたし」こそがロボットであり、この目覚まし時計が尽きてしまわないよう奉仕しているのかも、とふと思った。

遠音◆56c847 / 2021-11-15 01:57:16 No.68
<選外評 続き>
眠りすぎないように2
> 夢の中でしか会わない友人
夢の中でしか会わないのに、友人?と思ったが、夢の中で知り合い、友人になっていったのだろう。
「でもどこへ戻そうって?」と思った時点から自分の生きる唯一の基盤、世界が揺らぎ始め、だんだん散り始めていくのがわかる。
ラストの「ここは、どこだ。」は印象的な止め方だけど、個人的には、こういう断言ではなくいまだに迷いや曖昧さの中にいる形が欲しかったと感じた。


眠りすぎないように3
> 「ほら、コーヒー
夢が裏返るという、恩田陸的な展開にちょっとわくわくした。ただ、男性の「この夢が気に入っているんだ」でてっきり彼の夢の世界のことかと思いきや、「僕の身の上には実際に起きること」というくだりで混乱した。「この夢」は男性の夢ではなく、男性を取り込んだ「私」の夢のことか。
ラストは怖かったが、これはホラーではなくロマンス、だろうか。でもときめかないのは、個人的にはストーカー気質を感じたからかもしれない。読者によって捉え方が変わりそうなのがいいなと思った。


眠りすぎないように4
> 「中高と朝起きれなくて
会話は普通に面白く読んだが、「打算は、ボンヤリ気づかれる程度が効果的」や「僅かにテンプレから外れた不用意を(以下略)」辺りが感覚的に理解できなかった。読者は知らなくても構わないテンプレがある、ということで流していいのだろうか。(すみません、設定等が引っかかると読み進みづらくなる性質です。)
「周囲は強さを求められていると信じて疑わない」が、省略されている主語が何なのかピンと来ず、「周囲は『強さを求められている』と信じて疑わない」のか、「『周囲は強さを求められている』と信じて疑わない」のか、どっちなのかもわからずとまどった。

遠音◆56c847 / 2021-11-15 01:58:59 No.68
<選外評 続き2>
眠りすぎないように5
> 「目覚ましはやめた方が
次第に状況や設定が明かされていく過程が楽しい。「共有エリアを出ると言葉は分かたれ奥に進むとドアは消滅した」という辺りはドラえもん的近未来世界を連想した。自動翻訳機能が備わった空間って、よく考えたらすごい。
ただ、目覚ましを「んんーでも必要ないよね?」と言われたり、起きられないのは「ありえない…と思う」という理由が明かされず、少しもやもやしてしまった。「「ready 」を示す色の点滅が急かしてい」たりするということは、時間どおりに起きないとエマージェンシー的な作用が発動する?


眠りすぎないように6
> 今から寝だみぇ・・・
引用で全文使ってしまう短さ自体は、問題はないけれど、うーん、もうひとひねりを!


眠りすぎないように7
> 昔、おばあちゃんが
ラストが怖いが、ラストだけでなく、自分が衰弱していく様を何日も“夢”に見続けるという経験も同じくらい怖い。こんな体験はしたくないです。
合格した辺りから駆け足になる描写は邯鄲の夢を思わせたが、実は逆パターン、というのもひねりがあっていい。


眠りすぎないように9
> カチカチと鳴っている
理屈で言えば引っかかるところはなくもない(青ざめるのではなく「わたしの顔は赤くなっているに違いない」)が、実際はあまり引っかからずにするすると読めた。少女と思しき「わたし」の、大人の常識とは異なる独自の世界観に生きているお話と認識したからか。
睡眠時間が長くなると現れるおばけ? 怖いものに思えるが、後半では少女を死の淵から引き戻した“良きもの”にも見える。ラストの消え方が印象的。なぜか『1Q84』内で引用された内田百閒の小説を思い出した(タイトル思い出せず)。


眠りすぎないように14
> 「えっ、一日十時間?」
「夢月」がなんと読むのか、気になって仕方なかった。「ゆづき」? ここだけの話、世にあふれているキラキラネームって読み手に対する挑戦状だと思う。
閑話休題。「留美子を論破するには「寝すぎ」の危険性をアピールするしかない。」の辺り、盛大に論点ずれてませんか夢月さん?と思ってしまった。
このやりとりなら寝る時間の長さが論点となるはずなのに、ずれていって「寝すぎ」と「眠りすぎ」の表現の論点になっている辺り、若い子らしい展開だと思った。

以上です。

海音寺ジョー◆2819bb / 2021-11-15 18:15:00 No.68
○眠りすぎないように9
>カチカチと鳴っている。
赤と青のお化けは、単なる幻像なのでしょうか。奇談めいてるのに、なぜか納得感がありました。子供のころに観た、カラーのセロファンを使った影絵芝居を想起しました。

○眠りすぎないように13
>睡魔が睫毛に腰掛けて、曖昧になってくる。
ユーモラスですごく良かったです。睡魔って、ちっちゃいんですね。

△眠りすぎないように1
>それは五歳の誕生日にもらった
さいごの、二つの大きな悲鳴という言及で、主人公(語り手)が人形と同化しているのだと読みました。眠り、起きることが恐ろしくなる話でした。

△眠りすぎないように5
>「目覚ましはやめた方がいい」
二人が会話している場所は何処なのだろう?宇宙の果ての密閉された空間で、眠ることができる人間は一人もいない世界なのかも、と空想しました。

✕眠りすぎないように4
>「中高と朝起きれなくて、自分が怠惰な人間だと思ってたんです」
タイトルに合ってるというのは分かるのですが、どこがテンプレで何が不用意な(発言だった)のか、何度繰り返し読んでも読み解けませんでした。何がしかの手掛かり、補助線が欲しかったです。

眠りすぎないように10
>うさぎは三日眠り続けると、もう目覚めない。
うさぎの夢の中の世界が、本来のうつつの世界なのかもと想像しました。目覚めの来ない眠りは、死とどう違うのだろうか?と、考えさせられました。

毎度遅くなりすみません、以上です。よろしくお願いします。

名もなき人 / 2021-11-22 14:30:03 No.68
こんにちは、まつじです。
完全なる遅刻なのですが、感想だけ、感想だけは。と考え、投稿させていただきます。
いろんな眠りがございましたね。
それでは皆様、ごきげんよう。いつもありがとうございます。

<眠りすぎないように1>それは五歳の誕生日にもらった、オーダーメイド
ヒト型の目覚まし時計をめぐるエピソードが不思議な妖しさで描かれているなか、不意に現れる「おかげでわたしは寝過ごしたことがありません。」で、ふっと一瞬気が抜けるところが好きでした。

<眠りすぎないように2>夢の中でしか会わない友人がいる。先月ぐらいから、
「そもそもそれは夢なのか」という問題も発生しそうな気もしますが、「これが夢だと思ってるけど、他の人の見てる夢とは全く違うしろものなのではないか。」には、色々なことが当てはめられそうでハッとさせられました。

<眠りすぎないように3>「ほら、コーヒー来たよ。」
夢の中の住人なりの悩みがあるという設定が面白く、夢が裏返るとか、映像化するとどうなるんだろうなと想像してみたりしました。平易で淡々とした語り口なんですが、急に乱暴になる感じのラストのセリフが怖かったです。

<眠りすぎないように4>「中高と朝起きれなくて、自分が怠惰
強かな女子、という感想を書こうとして、なぜ語り手が女子だと判断して読んだのか考えてしまいました。三行目あたりから女子だと思っていた節があり、判断が早すぎて自分が少し怖い。雰囲気が不意に変わるラストが印象的です。

<眠りすぎないように5>「目覚ましはやめた方がいい」
言葉にまつわる凝ったことをしている気配がするのに読みきれない私。けれど、ラストの眠りにダイブするシーンに底はかとないかっこよさを感じました。おやすみの先に、新しい世界が待っているような。

<眠りすぎないように6>今から寝だみぇ・・・
寝だめしすぎは眠りすぎとは異なるのか、なんて考えてしまいました。もとネタがあるのかもしれないけど、それをキャッチするアンテナは私にはなかったようで大変恐縮です。

まつじ◆d0c635 / 2021-11-22 14:31:02 No.68
 <眠りすぎないように7> 昔、おばあちゃんがよく言っていた事がある。
感覚的には本来生きた年数よりも、長い人生を体感(?)したのは、はたして幸運だったのか不運だったのか。試験の前日が眠りすぎというほどの眠りに感じられなかっただけに、奇妙な哀しさを感じさせられました。

<眠りすぎないように8>静かな、夜だった。
硬質でしっかりした内容の書きくちが、中盤からがらりと変わって怒涛のようなイメージ描写。そのまま閉じられるドア。落差というかギャップというか、見せ方が映像的で素晴らしいと思いました。

<眠りすぎないように9>カチカチと鳴っている。カスタネットみたいな音。
「赤いおばけと青いおばけ」というのが、いいですね。カチカチ鳴らすだけというのが大変好みです。一行目のカスタネットという単語が、イメージを想起させるのにもよく効いてるし、視覚的にもやわらかさが出て、すごいなと思いました。
 
<眠りすぎないように10>うさぎは三日眠り続けると、もう
目覚めないうさぎの謎な生態が気になりますね。子供まで産むとは、一体どういうこと?という疑問を置き去りに、語り手の不安とか切望がぎゅっと詰まったラストは、理屈でなく感情に訴えかけてきました。

<眠りすぎないように12>明日が試験なので、今夜は徹夜を
あとで冷静になってみると、なんでそんなものがあるんだろうかというツッコミどころはあるのですが、そんな野暮はさておいて脱力させられてしまう素晴らしき未来道具。いや、未来の道具ではないんでしょうけど。

<眠りすぎないように14>「えっ、一日十時間?」留美子が
「寝る姫」というフレーズが気に入ったのかなと感じましたが、私も好きです。彼らがおっしゃっていることはよく分かりませんが、一年間もこの話を続けられるというのは素敵なことで、大変微笑ましく読ませていただきました。

返信
「少女、銀河を作る」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2021-09-09 21:26:06 No.50
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空虹作◆7a91dc / 2021-09-12 21:37:04 No.50
自分で出しといてなんですけど、
このタイトル超短編向きじゃないという自覚があります。
せめて100枚ぐらいないと雰囲気というか、
本文がタイトルに敵わない。
なので、このタイトルに一行作品持ってきた人は、
それだけでかなり尊敬の念を抱きます。
前書きは読む前に書いてます。
読んでから補記してますけども(それを言っちゃ)
つまり、短いからこそ長い作品に勝る大きさを描ける。
という意味においては、極めて超短編向きでもあるのかなぁと。

○<少女、銀河を作る4>
>教室はまだ熱気がた
この文脈で、「長靴」が適切なのか?
デスよりなロック少女であれば、
サイケは悪い意味で使わないんじゃなかろうか?
とか、気になるところはあるけれど、ラストセンテンスが抜群なので、正選です。
短編映画にしたい。金なら出すよ。

○<少女、銀河を作る8>
> 宇宙を抱えて生
アタシはとっくに言葉への信仰心を失って久しいので、
決定的には頷けないのだけど、ここで描かれていること自体は、
居心地が良いというか、信頼できるというか。
ある意味で、<少女、銀河を作る7>と呼応していて、並び順も良いなぁと。
<7>が過剰にエンパワーメント煽ろうとしているのに対して、
リアリティに留まろうとしているところが好感。
ただ、書きたいことが書き切れていない感が見受けられるので、
こういう話をどんどん書いて、武器にして欲しいところ。

△<少女、銀河を作る2>
> 教室の前方というわけでも、か
ああ、惜しい!
これだと、油断するとNetflixの宣伝みたいに見えてしまう。
アタシにはあのCM、脅迫CMに見えるのです。
Netflixに課金してないまでも好感を抱いてたので、
あのCM見て一気に絶望しました。
「ヒマの過ごし方」って、スチャダラパーの名曲があって、
アタシが生き延びる指針のひとつなんだけど、
思春期にスチャダラパーからユルさを教わったから、
毎日のように
「なんかいいこと無いかな」
呟きながらでも、アタシはまだ生きています。

空虹作◆7a91dc / 2021-09-12 21:37:19 No.50
△<少女、銀河を作る2>
> 教室の前方というわけでも、か
ああ、惜しい!
これだと、油断するとNetflixの宣伝みたいに見えてしまう。
アタシにはあのCM、脅迫CMに見えるのです。
Netflixに課金してないまでも好感を抱いてたので、
あのCM見て一気に絶望しました。
「ヒマの過ごし方」って、スチャダラパーの名曲があって、
アタシが生き延びる指針のひとつなんだけど、
思春期にスチャダラパーからユルさを教わったから、
毎日のように
「なんかいいこと無いかな」
呟きながらでも、アタシはまだ生きています。

△<少女、銀河を作る12>
> シュークリーム二つに割って、中
「ソーメニーキナコ!」だよ。「ソーメニーキナコ!」
もう、この日本語感吹っ飛ぶカタカナが最高です。
さり気に出てくるサダコにカヤコや、
何故かひらがなな「こんぺいとう」より「くるみ」のが
固いんでね?と一瞬思って、いや、殻だけか。
思ったのが全部ぶっ飛びました。
そのあともぶっ飛ぶぐらいの破壊力なのが罪。

×少女、銀河を作る14
>壊すために作ったから。そ
一行作品!
やったー!
いや、大真面目な話、「500文字の心臓」のシステム上、
正選票より逆選票のが貴重ですからね。

<少女、銀河を作る6>
> 自室の窓から、ポ
足穂?

<少女、銀河を作る13>
> 「何フテてんの?良
「うっせえわ」言いたいのはわかった。
でも、流行りとして言いたかったなら遅くね?

瀬川潮♭◆dbef0c / 2021-09-14 10:44:45 No.50
 様変わりしましたね、ここも。

〇5
>にぎやかな人形楽団が夜の空を
 成長期の物語としてとても良かったです♪

〇12
>シュークリーム二つに割って
 二つに割るのは必須ですよねー。少女らしくきらびやかで好感を持てました。ラスト分からず△かな、と思ったのですがレンジ当たりだと考えたらしっくりきました♭

△15
>「あー、お腹すいた。
 成長へのこだわりが詰まってて良かったです。空間を作ってそこを埋めていく演出の連続と最後の加速も良かったです♪

×14
>壊すために作ったから
 良かったのです。ただ最後はどうかな。万能な単語のチョイスで、これがベストでもあるし、少女らしくもある。でも、大から小へのスケール感は消えたようにも感じました。

 以上、よろしくお願いします。
 スマホで打ってると文頭スペースが面倒ですよね。ただ、あとから範囲選択で泣くことになりますが。

脳内亭◆97ae83 / 2021-09-16 22:27:38 No.50
 コンバンハ、脳内亭です。

 おそらく難しいタイトルで、作品数少ないかもなとおもってましたが、意外と集まってホッとしております。タイトルを比喩的に捉えたものが多く、直球は少なかったのかな。
 私事ですが、歯痛に耐えながらただ今治療中につき、頭があまり回っていないのですが、数日後にワクチン接種も控えているためこのタイミングでしか書けそうにないという割と最悪なコンディションでの選評となりますゆえ、ちゃんと読み込めてるかどうかはわからないことを先にお断りしておきます。ではよろしく願います。



○少女、銀河を作る6
> 自室の窓から、ポワンとともる眼下の街灯を何の気なしに眺めていたら、

 直球で銀河を作りながらもSFよりは現代詩的な響き方をしていて良い感触でした。


○少女、銀河を作る7
> もうとっくにオバサンだから、わたしは若さに嫉妬することすら諦めた。

 こっちは比喩的な捉え方をしていて、なるほどこのアプローチもあったかと。熱さを感じる話は基本的に嫌いじゃないです。


△少女、銀河を作る5
> にぎやかな人形楽団が夜の空をやってくる。

 とても丁寧に書かれているなと好感が持てました。もう一歩、銀河のイメージに独創的なものがあればなお良かったです。


×少女、銀河を作る2
> 教室の前方というわけでも、かといって後ろというわけでもなく、

 「生き写し」という語の使い方は果たしてそれで良いのだろうかというのが気になってしまいました。

 以上でっす。

 どうにか書きましたけどちゃんと日本語になってるかな、と改めて確認する気力もなくなってきましたのでこれにて失礼。では脳内亭でした。

遠音◆56c847 / 2021-09-18 22:53:22 No.50
普段は短歌、俳句を作っています、遠音(とおね)と申します。
500文字小説は俳句に似た短さ、苦しさがありますね。
小説なので散文が基本なのでしょうが、この短さではファンタジーやメタ的要素、言葉の詩的屈折等でまとめ上げるもやむなし、なのかなぁと。
全作品選評書きましたが自作品が特定されてしまうので、選外評は結果発表後に追加でまとめて投稿します。


◯5
> にぎやかな人形楽団が
光景が映画のように脳裏に再現されてゆく。「飴」が「雨」になるくだりも、読み終えて見直してから「あめ」繋がりだと気づいたぐらいに自然だった。
前半の華やかさ、軽やかさとラストの少女の闇夜、孤独との対比がとても印象的。ほんの一晩だけの病床なのか、それとも永の漂流なのか。個人的には後者を採りたい。
正選です。


◯12
> シュークリーム二つに割って
少女の身体的描写はないが、思考の展開から乙女だとわかるのはポイント高し。
「ソーメニーキナコ」がわからなくてググってこのサイトしかヒットしなかった後で、「so many」だと気づいた。
終始一貫した軽妙なノリ、私の内にも破壊神がいますよ。
正選です。


△9
> ラメ入りの財布。
少女の容姿の描写は欠片もないのに、アイテムの羅列で少女像を浮き彫りにする辺りはお見事。
「海牛のぬたくったような銀漢をぶさぶさとマチ針で突きながら」がかなりツボ。ロケットの発射の比喩なのかもしれないが、きらめく房でふくれているパーティーバッグが浮かんだ。
次点です。


△3
> 「神のお告げじゃ、
このお題をこう調理してくるとは! 「少女、銀河」が主語・目的語ではなく、並列の目的語なのが衝撃だった。自分の中の思い込みの枠を外された気分。
昔遊んだドラクエを思い出す、ほのぼのとした空気感も好み。
次点です。


×2
> 教室の前方というわけでも
反復の面白みと書き取り文字のモノ的比喩がキモだと思うが、「つまらないスピード」が個人的にちょっとアウトだった。「つまらない」のワードを盛り込みたかったのだと思うが、個人的には抽象的な比喩でまとめてしまうより、例えば「楚々と掃く箒の素早さで」などと手触りのある具体的な比喩がほしかった。
もう一つ、「少女」の要素が見当たらなかったのが残念。私が見落としているのかもしれないが、お題のキモだと思うので。
というわけで、逆選です。

磯村咲◆8fbabe / 2021-09-19 12:23:36 No.50
◎<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土に覆われていた。風が吹くと窓を閉
 描写が素晴らしいです。着想もすごいけれど、500字でこの光景が書けるのはすごい。すごいです。

△<少女、銀河を作る3>
>「神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎし『熟女、金海』に至らぬものを祀
 無理矢理の功名というか、“潟”によって、思いもよらぬ方向にイメージが展開させられました。

△<少女、銀河を作る13>
>「何フテてんの?良さげな賞取ったんだろ?イヤアタシノジツリョクハコン
 展開が上手くて、最後まで読んでド直球すぎて腰が抜けました。

×<少女、銀河を作る1>
>9月で朝だった。
 ミナコがなんらかの意図をもって川を水銀で充たしたと読んだのですが、合っているでしょうか?ものどもはかつてからいたもの?ミナコが生み出したもの?他の作品に比べて、行間を埋めるのに努力が必要でした。

 行間が埋まらないのがかえって好ましいと感じることもあったりするので、その差は何なんだろう。難しいですね。
以上です。

miyuu2◆13ca5b / 2021-09-19 23:50:17 No.50
【選評】<少女、銀河を作る>

管理人様、皆様、こんばんは。

食事の時に家族の前で声に出して読んでいましたので、会話が生まれ笑顔も見られました。
久しぶりに楽しい時間になりました。

○<少女、銀河を作る8>
>宇宙を抱えて生まれてきたから、

まさに、お題そのままの作品だと思います。
巧みな文章で、私は良かったなと思いました。

○<少女、銀河を作る12>
>シュークリーム二つに割って、

「銀河と和菓子」、意外な組み合わせで面白く、食べるまでのリズムを感じました。

△<少女、銀河を作る13>
>「何フテてんの?

きっと電車好きの方々には、たまらない作品だろうと思います。
私も以前は電車が大好きだったので、この作品に惹かれました。

×<少女、銀河を作る11>
>懐には金貨をしのばせ、

不死の体に銃弾で銀河を描くとは、私には怖すぎました。

*以下、一言です。

<少女、銀河を作る9>
>ラメ入りの財布。

発想が面白いです。家族が笑っていました。

<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、

ただ雨が降って来ただけなのに、文章を読むとその風景と二人の心までが見えるようでした。

以上です。

つとむュー / 2021-09-20 00:12:48 No.50
【選評】少女、銀河を作る

〇<少女、銀河を作る4>
>教室はまだ熱気がたゆたっていた。
少女の闇を描いた作品でした。
その闇はすごく深そうで、しかもエネルギーに溢れていて、
本当に銀河ができそうな感じが良かったです。

〇<少女、銀河を作る15>
>「あー、お腹すいた。いただきます。あ、そうだ」
そうか、フルダイブVRという手があったか! と非常に悔しい思いです。
VRとはいえ、正にお題にストレートな作品でした。
身長制限があるというのが、リアリティと少女感の両方を演出していて良かったです。

△<少女、銀河を作る5>
>にぎやかな人形楽団が夜の空をやってくる。
すごくメルヘンな作品でした。
こういう谷山浩子作品のような雰囲気、大好きなんです。

△<少女、銀河を作る11>
>懐には金貨をしのばせ、老婆は街へ出る。
意外と老婆が登場する作品が多くて驚きました。
犠牲となる少年の叫び声が聞こえてくるようでした。

×<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土に覆われていた。
さわやかな青春ですね。
気象現象と重なる一瞬のときめきは、正に銀河のようでした。
とても印象に残ったので、良い意味の逆選にさせていただきます。

以上、よろしくお願いします。

たなか◆535f38 / 2021-09-20 06:45:10 No.50
たなかです。
昨夜、掲示板に選評をコピペする直前に PC がフリーズしてしまい、脱力中です……
選評です。よろしくお願いします。


△少女、銀河を作る8
>  宇宙を抱えて生まれてきたから、そこで銀河が育つのは必然だった。ベビーベッド

1 文目の力がすごい。一瞬にして引き込まれました。銀河と言葉との対峙と、どちらかに
重点がおかれるとどちらかが拙くなるという世界観はわかりやすいうえに魅力的だったの
ですが、1 文目の力が強すぎて、他の表現が月並に見えてしまったのが残念。次点で。


○少女、銀河を作る9
> ラメ入りの財布。リサ・フランクのビニールかばん。山のように積み上げたチュロス。

並べられていく事物が、タイトルの銀河と相まって、きらきらと光る様を物語り、最終的
におばあさんの元までの道筋が見えてくるのが、タイトルの料理の仕方として、よいなと
思いました。綺麗でもお洒落でもないはずなのに眩しく見える海牛の件が素敵。正選で。


○少女、銀河を作る10
> 中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土に覆われていた。風が吹くと窓を閉めてい

眼前に見えてくるかのような丁寧な描写も、銀河をお題にもつ作品としてこの情景を描く
というアイデアも、どちらもすごい。銀河が見えてきてからラストまでの、動きに強弱の
ある時間の美しいこと。「少女が作る」感が弱いかとも思いましたが、もうこれは正選で。


△少女、銀河を作る11
>  懐には金貨をしのばせ、老婆は街へ出る。表通りは華やいでいるが、一歩裏へ入れ

老婆には行為に至るなんらかの屈折があるのではないかと予想していたこちらを叩き
のめしにくるかのように、少女だった魔女に宿った思いの、生々しい欲の視野の狭さよ。
対象が少年のみである点については、もう少し語りがないと安易に見えるかも。次点で。


×少女、銀河を作る15
> 「あー、お腹すいた。いただきます。あ、そうだ」

誠実にタイトルに向き合った物語だと感じます。描かれるエピソードはわくわくしました。
ただ、文章が順を追いすぎたのか、あれこれ触れられすぎていて、重点がどこにあるか、
迷いました。家族? 銀河の作り方? もっと文章を刈り込んでもよかったかも。逆選で。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2021-09-20 11:38:07 No.50
昨晩は考えている間に寝落ちしてしまいました。遅刻です。申し訳ありません。
今回のお題ですが「作る」筈なのに破壊のイメージしかわかなくて払拭するのが大変でした。「少女」だからですかね?いや少年でも同じか…。
◯少女、銀河を作る2
> 教室の前方というわけでも、
繰り返されるフレーズに鬱屈が込められて渦巻いている。放っておいても何いずれ何か生成されそうですね。でもあえて壊して新たに作る。破壊と想像。彼女は本当はノートは取らなくても聴くだけで理解できるタイプだけれど手慰みにあえて「生き写し」の様に書いている感じがしました。

◯ 少女、銀河を作る8

>宇宙を抱えて生まれてきたから、

「幼年期の終わり」が丁寧に描写されている感じがしました。きっと彼女は躊躇なく子供部屋を後にすることでしょう。

×少女、銀河を作る14

>壊すために作ったから。そう言って彼女は笑った。

自分にとってはもうどストレートです。しかも超短い。あえて逆選にさせていただきます。限りなく◎に近くの。

海音寺ジョー◆2819bb / 2021-09-20 20:00:51 No.50
○<少女、銀河を作る6>
> 自室の窓から、ポワンとともる眼下の街灯を何の気なしに眺めていたら、
稲垣足穂の掌編を彷彿とさせる、不思議で美しい夜の物語に惹かれました。最後、三日月がハレルヤ!と叫ぶ祝祭感も、とても良かったです。

○<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土に覆われていた。
放課後の、気象の描写がすごく臨場感があって良かったです。Mというイニシャルの選択も読者それぞれの想像の余地を入れられて巧みだと思いました。読後、自分はこのMはMOONなのかも、と想像しました。

△<少女、銀河を作る3>
>「神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎし『熟女、金海』に至らぬものを
この一部の隙もなさそうなタイトルをこう攻めたか、という驚きの作品でした。この発想力と構成力が羨ましいです!

△<少女、銀河を作る8>
> 宇宙を抱えて生まれてきたから
言葉の上に成立することと、しないこととの差について考えさせられました。そのことを上手く説明できないのですが、それでも「言葉に根を下ろした世界が鮮やかになるにつれ、星団は疎らになった。」という一文に、納得感がありました。ぼくらが存在する宇宙も、彼女の試作品のひとつなのだろうか。

×<少女、銀河を作る14>
>壊すために作ったから
タイトルに、すでに超短編作品のニュアンスが色濃くあって、そのことを重視すれば、もう何にも付け足すことが出来ない、という苦悩が今回自分にはありました。タイトルを存分に生かしたこの作品へ、一行で勝負をかけたこの度量に、敬意の逆選を捧げます。

遅くなってすみません。良い作品ぞろいで、選ぶのが難しかったのです。難しかったのです。
以上です。よろしくお願いします。

まつじ◆40f298 / 2021-09-23 11:13:59 No.50
すみません。まつじです。「少女」の持つイメージって、案外限定的なんだなあと、あらためて感じました。自分もそうだけど。すみません。遅刻でございます。


◯<少女、銀河を作る9>ラメ入りの財布。リサ・フランクのビニール
超短編ぽい、と言いたくはないところだけれど、そんな印象。イメージとイメージがつながって、おやっというという場所に連れていかれる。なんとなく目線を上に誘導して「シャトル派生型ロケット」飛ばされて、巧みだなと感じました。

◯<少女、銀河を作る10>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土
高低差や空間の広がりや色彩だったりが、とても映像的。選ばれたイメージが案外現実に即していたりする<9>とは対照的に、シーンを丁寧に描くことで生まれる余韻が感じられる。 虹でもかかりそうなきらめき。

△<少女、銀河を作る5>にぎやかな人形楽団が夜の空を
「救助を待つ船」で、ぐるりと宇宙へ放り出された私。幻想か、あるいは空想で終わるのかなと思わせる描写から不意に様子が変わる、情報量と情景のバランスがいいなと感じました。私も、流れていきましょう。

△<少女、銀河を作る6>自室の窓から、ポワンとともる眼下の街灯を何の気
テンポがよく読める軽やかさに憧れる。正直なにがなにやら理解が追いつかないし、かといって調べようという気概もないのだけど、天体の知識に疎くても、勢いで楽しめてしまう。
だって、「勢いさえつけば、あとは勝手に回りますもの」

×<少女、銀河を作る8>宇宙を抱えて生まれてきたから、そこで銀河が育つ
前半と後半でくっきり分かれていて、好みなのは前半なのだけれど、後半の語り口が変化してる感覚があって、どうにも意図して内容と重ね合わせているようにも読める。疎らになっていくような、単純化していくような。

ーーーーーーー以下、選外評です。

まつじ◆40f298 / 2021-09-23 11:15:20 No.50

<少女、銀河を作る1>9月で朝だった。川は水銀に充たされ川部
新しい世界でミナコは望みを叶えられるのか。不穏な様子が描かれておりますが、突然、『ターミネーター2』を思い出してしまいミナコがアメリカンな佇まいになってしまったのは私の不徳と致すところです。

<少女、銀河を作る2>教室の前方というわけでも、かといって
<1>と同じく「殺」が登場し、「現在」とは異なる銀河を作りたいという願いまで重複してくるのは、少女像のなせるワザでしょうか。

<少女、銀河を作る3>神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎ
タイトルと取っ組みあった感じがして、それだけで楽しい。いや、『ガールズ&ギャラクシー』じゃないんですか、ねえねえ。正解にたどり着いたときの二人の脱力感を想像すると、こちらもプスッと気が抜けてしまいます。

<少女、銀河を作る4>教室はまだ熱気がたゆたっていた。
ラスト2行の気配が、大変好みです。背が高いだけでも髪が短いだけでもそうはならないだろうけど、そこが見えないのが持てる者。彼には彼の悩みがあるとしても。そんな青春で、一瞬、何かを見つけたような。

<少女、銀河を作る7>もうとっくにオバサンだから、わたしは若さに
なんと真っ直ぐな言葉であろうか。語り手自身の道のりは真っ直ぐではなかったのかもしれないけれど、だからこそ言えることもあるのでしょう。ブラックホールが悪役っぽいのが少し不憫と、ひねくれる私にないエネルギーよ。

<少女、銀河を作る11>懐には金貨をしのばせ、老婆は街へ
千年前から少女のままの老婆の、千年に畏敬の念を。弾が貫通しないあたりを興味深く読ませていただきました。痛苦を与え続ける理由が理解できない部分はあったのですが、千年かけて渦巻きねじれたと解釈してみました。

まつじ◆40f298 / 2021-09-23 11:16:08 No.50
<少女、銀河を作る12>シュークリーム二つに割って、中のクリームかき出して
あっという間に破壊神召喚。楽しいテンポ。ノーモアコンペート、プリーズソーメニーキナコ。語り手の遊びゴコロと作者の遊びゴコロをうまいこと重ねていて、冒頭の暗黒とラストの破壊神のイメージが地味に繋がっているのも侮りがたい。

<少女、銀河を作る13>「何フテ
「うっせぇわ」の御方と重ねて描きたいものがある気配。風刺というか皮肉というか。取り上げるにはやや古いチョイスではありますが、持ち上げられて叩かれてという状況まで見せるなら、やはり必要なことなのだろうと感じました。

<少女、銀河を作る14>壊すために作っ
ならば逆もまた真かなとも思える。なぜ壊すのかは想像次第という、一行作品の潔さ。ただ、ここまで短いと「作」「彼女」はタイトルがすでに説明してくれていそうで、よりシンプルに見せられるのではとも思えました。

<少女、銀河を作る15>「あー、お腹すいた。いただきます。
ありがちにも見えるコンテスト名の、内容設定が面白かったです。ラストの「母が大好きな花」がやや唐突に感じられましたが、少女の名を「咲星」にして花と繋げるしかけもよかったです。

水池亘◆ffd4cf / 2021-09-23 13:22:47 No.50
遅くなり、申し訳ないです。

△<少女、銀河を作る2>
>教室の前方というわけでも、かといって
「教室の前方というわけでも、かといって後ろというわけでもなく、窓際でもない」この一文が絶妙。それが最初にあるので、読もうという意欲が湧く。全体的に挑戦心がありながらもあくまで学校の一幕に留めている点も共感を覚えた。

<少女、銀河を作る3>
>神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎ
一般向けゲームがこういうシーンで「熟女」とは言わないだろう。超短編は特に、言葉に敏感に書いた方が引き締まる。

<少女、銀河を作る5>
>にぎやかな人形楽団が夜の空を
「眩い色をした飴の欠片」が比喩なのか実際の飴なのか、初読時はわからないという(小さな)問題があり、少し戸惑った。

◎<少女、銀河を作る10>
>中学の周辺は火山灰地で、校庭は白い埃土
まず文章がわかりやすく、柔らかい。平易に綴られているので情景が浮かびやすい。なんてことないような放課後の情景が、最後に「渦状星雲」「銀河」という単語でちょっとだけ非日常になる、その様子がそのまま思春期を表しているように見えて、とても良かった。一人ではなく二人で見ている、というところにも青春感がある。

×<少女、銀河を作る11>
>懐には金貨をしのばせ、老婆は街へ
理由がなく、残酷すぎる。しかしそもそも理由が必要なのか? という話もある。適当にやっているわけではないことは構成の上手さでわかる。何とも言えず考え込んでしまった。

遠音◆56c847 / 2021-10-01 07:34:34 No.50
残りの選外票分です。


> 9月で朝だった。
「川部」は「川辺」? 「銀河」とは水銀にまみれた川と「ものども」、「銀河」の字面を分解再構築した点はひねりがあってよいと思った。
象徴的な「ミナコ」との対比で川の中の「ものども」に今少し具体が欲しかったと思う。「ものども」が具体的で俗っぽいほど、ミナコのメタ的要素が際立つと思うので。

6
> 自室の窓から、
オリジナル設定でガンガン話が進んでいくのだが、引っかかったりせずにするすると読めて、楽しかった。
三日月が、ブラックホールに吸い込まれる悲壮感があまりなくて「ハレルヤ!」と叫んでいる辺りも好み。

7
> もうとっくにオバサンだから
正攻法の語りがよい。照れたり斜に構えたりせずに、どかんとぶちまける心地よさ。
少し理屈っぽさはあるが、選択した未来もしなかった未来も同等に語っているところに惹かれた。

8
> 宇宙を抱えて生まれてきたから
後半の銀河を探る辺りは舌足らず感があるが、太いテーマを据えているところが好感度高し。
私自身、物心ついた頃から難聴で言葉が遅かったため、「宇宙」と「言葉」の対比はとても共感を覚えた。誰でも、この「宇宙」は身の内にある。きっと。

10
> 中学の周辺は火山灰地で
純文学的な描写が続いて、おおと思っていたら、少女の首回転からトンデモになってぎょっとしたが、すんなり入っていけて楽しかった。
このトンデモな展開を受け入れられたのは、着地が前半と同様な落ち着いた世界観、描写に引き戻されているためだと思う。トンデモなまま突っ走っていたら、うーんと首をひねったと思う。筆力を感じます。

11
> 懐には金貨をしのばせ
どうなるのかとなかなか面白く読んだが、後半の少年の扱いと理由の兼ね合いが微妙に入っていけず、ちょっと置いてけぼりだった。
「その星すべてこの手にしたい」のは同情や共感ゆえかと思ったが、嗜虐趣味? この腑に落ちなさが少し残念だった。

13
> 「何フテてんの?
小説の賞だと思い込んで読み進めていたので、「銀河」という雑誌ではなく「人形」という辺りであれれ?と軽く混乱。狙ってこうしていたのならすごいと思う。
銀河鉄道。ベタかもしれないが妹さんの実体験であり、真実なら、それは力を持った作品になる。頑張れ、妹さん。
残された三人の家族の温かな繋がりがうかがえる空気感もよい。

遠音◆56c847 / 2021-10-01 07:38:49 No.50
選外票分、続きです。文字制限がががー

14
> 壊すために作ったから。
うわぁ、こちとら必死で500文字に切り詰めたのに一行!
まずはその勇気に敬意を表します。
きれいにまとまってはいるが、悪く言えば無難であり、もう一歩、パンチが欲しい。たとえば「彼女」の容姿や、壊し方などに少し触れる等。
一行だけにするなら、鋭く切り込む一太刀のようなきらめきが欲しい。無茶ぶりは承知の上です。


15
> 「あー、お腹すいた。
ラストのヒマワリは、着地ではあるのだろうけれど、ここで終わり?という尻切れトンボ感が残ってしまった。コンテストに重心を置いて読んでいたせいだとは思うが。
仮想空間等のファンタジック要素はありつつも淡々と進む日常の描写はよかった。少女の名前も、ラストへの伏線になっているのも、さり気なくてよい。


遅くなり、すみませんでした。
ルールは読んだのですが、もし選外票分の後出しがまずいとかありましたら遠慮なくお願いします。
楽しかったです!

返信
「INU総会」選評用スレッド
峯岸@管理者 / 2021-07-03 02:17:37 No.42
選評はページ下部にあるコメント用フォームから「返信」する形でご投稿ください。

脳内亭◆97ae83 / 2021-07-10 19:17:43 No.42
 コンバンハ、脳内亭です。

 何か、どう書いてもスベりそうな気がするタイトルで、どうしたもんかなと悩みました。難しかった。
 今回はこれという作品が見つからなかったので、消去法での選出であることを先にお断りしておきます。
 では選評です。よろしく願います。


○INU総会8
> 実家に電話する。

 ふしぎな文体。タイトルとの関連はよくわからないですが、シリアスとユーモラスのバランス感が良いのではないかなと。


○INU総会11
>議案を列挙した案内を受け取ったが、場所も日時も記載が無い。

 International Nowhere Union ですかね。これポイントは、この語り手自身もまた所在の知れないどこにもいない者であることが示唆されている点ではないかと。


×INU総会13
>インターナショナル・ネコ・ユニオンから総会の案内が届いた。

 このくだらなさはそのまま逆選かなと。



 以上でっす。
 誰か「メシ喰うな!」って書いてるかなとおもってたけど、なかったようです。では、脳内亭でした。

磯村咲◆8fbabe / 2021-07-10 21:13:33 No.42
以前「宇宙犬作戦」というドラマを割と熱心に見ていまして、ちょっと語感が似ているという理由でタイトルに選んでしまいましたが、すぐに反省しました。でも、良作が揃ったので胸をなでおろしています。よかった。

〇<INU総会7>
>「下をご覧ください。海底の岩陰にウニが密集しています。まるでウニの総会
ウニとキョウメンウニに挟まれて開催される、増殖してしまったわたしとあなたの総会という絵面が面白いです。
文章のテンポがよく、「なぜこんなことになってしまったのか。」でちょっと変調があって、「それが本日の議題です」とタイトルと結びつく最終行が不思議な面白さを醸しています。

〇<INU総会8>
> 実家に電話する。ということを、すっかりしなくなったな、そういえば。震
疎遠にしても気にもならなくなった実家と確認したくなる遠い不穏さの組み合わせが、主人公独特の角度で語られ、INU総会本編も読みたくなるような斬新さでした。

△<INU総会1>
> 元はETO総会であった。年に一度、選ばれし十二の代表が集い、世の流れ
上手い。INUトリオの個性がいまいち薄いので、もう少し無茶を盛り込んでもよかったかもしれません。

△<INU総会5>
> 今年も嫌な季節がやってきた。
ワンで始まる言葉を文脈に合わせてこれだけ揃えられたことに感動しましたが、みんな"one"なのが少し単調さを呼んだかもしれません。それも狙いかもしれませんが。タイトルも含めて作品全体を風刺に仕上げたのはすごいです。

×<INU総会10>
>今年もリモートか。
INU要素を見つけることができませんでした。

以上です

つとむュー / 2021-07-11 19:30:26 No.42
【選評】INU総会

このお題案を提出した者です。
まさかこのお題が採用されるとは!?
作品数が一桁だったらどうしよう、と震えておりましたが、皆さんすごいです。

〇<INU総会3>
>国際新都市計画を実行に移すために、
お題を提案した時に想定していた、お手本のような作品でした。
総会のINUという名前は広く社会に知られているけど謎組織、というところが面白かったです。

〇<INU総会7 >
>「下をご覧ください。海底の岩陰にウニが密集しています。
まさかUNIが登場するとは!?
想像を超えた作品で、ラストの超展開も含めて面白かったです。

△<INU総会1>
>元はETO総会であった。
ETOがINUに、という干支を絡めた展開が面白かったです。
読解力が無いためか、サバイバルに勝った干支が分かりにくかったので△にさせていただきました。

△<INU総会11 >
>議案を列挙した案内を受け取ったが、
まさに謎組織ですね。
「N」が「どこでもない」なのでしょう。

×<INU総会4 >
>散乱する欲求が、統合されようとしていた。
とても印象に残った作品でした。
「INU」も「総会」も使っていないのに、妙にINU総会っぽくなっていてすごいと思いました。
逆選にさせていただいたのは、腑に落ちるという感じが他の作品に比べて微妙に足りないような気がしたからでした。

以上、よろしくお願いします。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2021-07-11 20:37:16 No.42
こんばんは。はやく夏が終わって欲しい胡乱舎猫支店です。

◯INU総会1
> 元はETO総会であった。
ETOから始まったのでINUで終わるだろうという予測はしていたのですがその間が予想外で子が黒幕だと言うのも好みです(いかにもやりそうですが)。

◯INU総会7
> 「下をご覧ください。
なんとも不思議な味わいですね。下→上→この場と移る場面展開のリズムもいいです。どんどん抽象度が増して行く中にいつのまにか引っ張りこまれて語り手に直に話しかけられている気がしました…そして周りに自分の分身が…。キョウメンウニ…どんな味が…いや食べられるのか…? 

×INU総会10
> 今年もリモートか。
このご時世ならではだし、超短編としてスパッと決まっている気もするのですが「INU総会」と言う「どうすりゃいいんじゃ?コレ」と言うお題に対しては弱いかなぁと。


たなか◆535f38 / 2021-07-11 22:44:28 No.42
たなかです。
難しかったー! 書くのも、読むのも。めっちゃ頭使いました。
頭を使っただけの結果が出ているかどうかは謎ですが……
選評です。よろしくお願いします。


○INU総会7
> 「下をご覧ください。海底の岩陰にウニが密集しています。まるでウニの総会でもひ

説明にしたがって、まるでカメラがパンしていくように、少しずつ展開して見えてくる、
絵的場面がすごい。文字どおり「密集して」「ひしめいて」「あふれかえって」くるのが。
そして「キョウメンウニ」という語の立て方。すごく惹かれました。正選で。


○INU総会8
>  実家に電話する。ということを、すっかりしなくなったな、そういえば。震えるよ

少し癖のある文体がすごく魅力的。「シランヨ」や「枕詞」などの使い方とか。
田舎の母親との電話、墓の話、子ども時分の様子など、現実にありがちなエピソードが
積み重なりながら音をきっかけに異界が見え隠れするのが、とてもよかったです。正選で。


×INU総会10
> 今年もリモートか。

一行作品で時事問題を扱うのは、かなり難しいと思うので、心意気は買いたいです。
ただ、自分には、内容と「INU 総会」という語とのつながりが見えづらく、
文章自体もよくあるつぶやきなどのように思え、膨らみを感じませんでした。逆選で。


△INU総会11
> 議案を列挙した案内を受け取ったが、場所も日時も記載が無い。どうやって議決権を行使し

謎に謎が重なる不思議さと曖昧な不安とが、それほど大きな混乱を引き起こす様子もなく、
淡々とした叙述で物語られていく感じにとてもわくわくさせられました。最後の 2 文が、
自分には、小さくまとまってしまったように思え、惜しく感じました。次点で。


△INU総会12
>  選んだ覚えのない代表たちが何か話しあってるらしいよのようなことを、鼻を鳴ら

この話も、文章の巧さというか、軽やかさに魅せられました。
一行目から、もってまわった言い方がコミカル。短い語句を重ねることで進められる話は、
読んでいてとても楽しいのですが、結果的に焦点が定まらない印象もありました。次点で。

空虹桜◆7a91dc / 2021-07-11 23:09:51 No.42
久々に非一番乗り!いえ〜い。
さて、このタイトルをどうこなしたものか?
が、今回一番のハードルだったわけですが、
パラッと見た感じだと期待違わずな印象なんだけども・・・

○<INU総会7>
>「下をご覧ください。海底の岩陰にウ
あっ!ウニですか。なるほど。思いつかなかった。
> 海中のウニが反転して空に生息するようになったものだといわれていますが、
が説明描写ではあるのだけど、
なんでこのタイトルでウニなのかの説明を兼ねてるので、
合理性に筆力を見るのです。

○<INU総会13>
>インターナショナル・ネ
断トツでアイディア賞。
「N」が日本語なのは極めて日本的で好感です。
この辺のハイブリッドさこそが日本らしさだ。
というのがアタシの評価なのだけど、
右曲がりのダンディは認めてくれないんだよなぁ。

△<INU総会4>
>散乱する欲求が、統
躊躇いなく、変に捻らず、
主体がドストレートに犬と覚しきところが買いです。

×<INU総会5>
> 今年も嫌な季
わりと好意の逆選票。
「one」の意ばかりなので、違う「ワン」も欲しかったところ。
「WAN」も「Won」も「腕」でもいいし、
なんだったら王貞治だって(古い)

海音寺ジョー◆2819bb / 2021-07-12 19:33:32 No.42
〇<INU総会7>
>「下をご覧ください。海底の岩陰にウニが密集しています。

この発想はすごいです。キョウメンウニというアイディアに心を持っていかれました。

〇<INU総会10>
>今年もリモートか。

このタイトルで、一行で作品を拵える巧緻さに惹かれました。INU世界の総会にも、リモート式会議が存在するとは。

△<INU総会1>
> 元はETO総会であった。

登場人物(動物)の多さを思うと、バシッと決まるラストまでの構成は見事だと思いました。総会のシーンの描写に、正面から挑んでいる点も敬意を覚えました。

△INU総会13
>インターナショナル・ネコ・ユニオンから総会の案内が届いた。

ネコだけ日本語なのか!この強引さにやられました。捻りが利いていて、滅茶苦茶おもしろかったです。

✕<INU総会11>
>議案を列挙した案内を受け取ったが、場所も日時も記載が無い。

得体のしれない、このタイトルのあやふやさから物語をつむいだら、一番的確なのがこの作品かもしれないと思いました。三番目の正選というニュアンスの逆選でお願いします。


遅くなってすみません。以上です。よろしくお願いします。

返信
「三階建て」選評用スレッド
峯岸◆b9f21c / 2021-03-30 23:21:18 No.25
選評はページ下部にあるコメント用フォームから「返信」する形でご投稿ください。

空虹桜◆7a91dc / 2021-04-04 16:22:10 No.25
イメージが限定的で、やりにくいなぁ。
がお題のファーストインプレッション。
なればこそ、想定の範囲外のハードルは低いので、
アタシ程度の人想定を超えてくれない超短編に、なんの価値が?

○三階建て7
> 三階建て世界、というとまた何かの亜
非ユークリッド空間かと思ったら、
「階段を上るとそこは異世界でした」が、
淡々と綴られるのはギャップ萌え感もあってわりと好み。
けど、冷静に考えるとタイトルとあってないよね。
> 夜はまだ遠い。
で終わるのは良いのだけど、その前の
> 数字と数式で記述
の「馬に騎乗する」感。

○<三階建て12>
> 老いた住宅は薄れゆく記
作品としては微妙だけど、最大のポイントは「住宅崖」
この一語のために現代社会風刺はあります!
と、迷わず断言できる表現。
このテーマであれば、エモーションを煽ることも可能だけど、
あくまで夢であると自覚的であるところも含めて、嫌いではないです。

△<三階建て5>
>「ちょっと狭いんスけどね。一
カタカナ諺の意味わからなかったので、調べました。無学なもので。
最後「ヘ」じゃなくて「え」なのでは?
と思うも、「宮塚」みたいな地名と解釈すれば、
ここも掛けてるってことで納得。
勉強になったので次点を。

△三階建て6
>       空
タイポグラフィと短歌・俳句を持ってきたとこは好評価。
歌を評価する価値観は持ち合わせてないので、その点は辞します。

×<三階建て2>
> 私は『アスリートのお
500文字しか書けないのに、冒頭から説明文で仰け反りました。
トレーニングルームの器材で競技わかるか?
あと、リアルにスポーツクライミングの代表が野口さんなので、
作中人物の名前がノイズ。
最後に三人称代名詞が出てきたのも唐突だけど、趣味の問題かな?
性別を明記する必要性は感じなかった。

<三階建て14>
>今が、われわ
アタシは、これの選評日和ります。

<三階建て15>
>「まずは挨
エ音で踏み続けるのは評価するけど、
このご時世、書き物で踏むなら、フリースタイルラッパーより、
固さや新規性がないと評価できない。
いい加減、この10年で小中学生でも安い韻踏む時代なんだから、
物書きだからこその韻を!

永子◆46f5c4 / 2021-04-08 17:41:49 No.25
投稿は今回も遅刻でしたが、選評は早めに。
(週末はお出かけの予定がある)

◎<三階建て12>
<老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たりしている。

古びた「ニュータウン」のお話。そういうのはよくあるけれど、主体が住宅であるのが切なさを醸し出している。
住んでいた人間を家族のようにして思い出を語り、いまわの際に、心の底でずっとなりたいと思っていたもの、核家族ではなく代々の人が住み続けていく家になる夢を見る。
単なる擬人化や暗喩ではない手触りがあります。

次の2つはどちらかを選べなかったので、12を◎3と7を次点にしました。

△<三階建て3>
>坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、

大阪の日本橋(ニホンバシではなくニッポンバシ)に「五階百貨店」という商店街があって、これ。展望台だった五階は、太平洋戦争時の金属供出でなくなったというから木造ではなかったでしょうが。
無いものを想う、そのうちにどこかへ迷い込んでしまうような気分になる。そんなお話が好みですが、それには最後の文節が余計。

△<三階建て7>
>三階建て世界、というとまた何かの亜流ですかと

こちらは反対に、(わたしの好みとしては)最初がもどかしい。
「あなた」が出てくる前と後で文章のリズムが違う。わたしは後のリズムの方が好きなので、「この世界がきわめて特徴的なのは」以降のみならば○をつけました。

×<三階建て14>
>今が、われわれの存在に気付いたとき、

えーっと。形而下、形而上、の上にそれがあって三階建てなんですよね(そうですか?)。パタフィジック? よくわかりません。手も足も出ないくらい全くわからないように、思い切りペダンティックに書かれていた方がよかったかなあ。

永子◆46f5c4 / 2021-04-08 17:42:31 No.25
<三階建て6>
>空想す

点を入れるかどうか、迷ったんですが。
形は間違いなく美しい。ただ、一階二階三階がそれぞれ、土、人、空(気)なのかなあ?そのへん、もう少し詰めていただけると。

<三階建て10>
>人に言われるまで、気にしたことがなかった。

さりげなく緻密な描写がとても巧い。お題との距離がよくわからない。

<三階建て4>
>何度も上っている階段が何段あるかを

10mの彼と、同じ高さの三階建ての建物の屋上に立って向かい合う風景。大橋泰彦の『ゴジラ』の冒頭を思い出しました(あれは名作)。
書き方が雑だと感じます。
「玄関をつなぐ外廊下」って、各戸の玄関扉が並んだ廊下、のことですよね? 「階段は廊下の端々に」というのは、各階交互で両端にはない、ということですよね? (その場合、廊下の入り口の位置によっては、「1F廊下→階段→2F廊下」で廊下を二回通ります。二階建ての可能性も)
何より、屋上への梯子に飛びつかなくてはならないなら屋上へは上がれません。一番下の段にぶら下がりながら次の段に手を掛けることは、よほど腕力のある人以外はできません。
そういうことに足を取られて、物語まで行き着かない感じです。

<三階建て15>
>「まずは挨拶がわりに乾杯かね」

すみません、なぜ三階建てなんでしょう(脚韻はわかります)。後で解説していただけると…

磯村咲◆8fbabe / 2021-04-11 15:17:37 No.25
どのようにタイトルを生かすかがとても難しかったです。

〇<三階建て6>
>       空想す
階層や歌の並びにも意味があるのだろうけれど、構造としてそのまま受け取った時、屋根がとても良かったです。

〇<三階建て14>
>今が、われわれの存在に気付いたとき、それは遠くから遣わされてきた。見渡
三階建てというタイトルが相応しいような相応しくないような、迷ったので選びました。
「完成した差異の体系であり、構造化された緊密な記号の群れ」は三階と呼んでしっくりでも、「既知の世界より遙かに広大な未踏の領域」は三階建ての構造に収まらないイメージで、別のタイトルが相応しい気がします。

△<三階建て8>
> 「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。よろしければ印鑑かサイン
よくある話の中にきっちり設定が生かされていて、小気味よさがありました。

×<三階建て15>
>「まずは挨拶がわりに乾杯かね」
三階建てで落とすのだろう、さてどうやってという期待が途方に暮れました。逆選で

脳内亭◆97ae83 / 2021-04-11 23:45:43 No.25
 コンバンハ、脳内亭です。

 今回みたいなタイトルとしての据わりが悪い語句はなかなか難しいというか、タイトル然としたタイトルがやっぱり好きなんですが、いうても仕方ないのでがんばります。
 では選評です。よろしく願います。



○三階建て6
>       空想す

 これは下から上に読むのが正しいのかなとおもいました。形がすばらしいとおもいます。


○三階建て8
> 「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。

 シンプルながらも超短編として秀逸だとおもいました。超短編の基本に立ち返ったような作品。



×三階建て2
> 私は『アスリートのお宅拝見』という番組のキャスター。

 一行目で激しくつまずいてしまいました。話のアイデアは良かったとおもうものの、それだけにもっと書き出しを工夫というか意識してほしかったです。


 選外評


三階建て11
>「えっ?ここ二階席なの?」

 矢沢なら「永吉」ではないのかなァとおもったのですが、何か意図があってあえてこうしているのかどうなのか、いまいち掴めなかったです。



 以上でっす。
 三階建ての家屋って実際に住んでみるとけっこう足腰にきますよね。では、脳内亭でした。

つとむュー◆3d582f / 2021-04-12 00:03:32 No.25
【選評】三階建て

〇<三階建て7>
>三階建て世界、というとまた何かの亜流ですかと
とても素敵で、自分好みの作品でした。
こういう発想ができるようになりたいです。
指であけた穴からの光が星になるというところが大好きです。

〇<三階建て13>
>二階建てだと、ずっと思ってた。
いろいろと笑わせていただきました。
三階があることを知らなかったり、謎仕掛けがあるのがロマンチックでした。
そこに家出したはずの兄が、とか、最後のすき焼きとか、とても楽しかったです。

△<三階建て3>
>坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、
三階建てを地名と結びつけるアイディアが良かったです。
地元の方々にとっては、よほど衝撃的だったんでしょうね。

△<三階建て9 >
>新種の貝が発見されたという報はまたたく間にヤドカリ界を駆け巡った。
三階建てはヤドカリの貝というのが面白かったです。
しかもそれがヤドカリ政府を動かす事態になるなんて、驚きでした。

×<三階建て6 >
>空想す
作品全体の形で三階建てを表現するアイディアが面白かったです。
一番下の階に「土」が多用されていたので、個人的には地下室に見えてしまいました。
そうなると二行目の「三階建ての物語」の部分が妙に説明臭く感じてしまったので、
申し訳ありませんが×にさせていただきました。

以上、よろしくお願いします。

胡乱舎猫支店◆4926c5 / 2021-04-12 07:26:11 No.25
遅刻です。申し訳ありません。全てDMMブックスのせいです。いえなんでもありません。

◯三階建て12
> 老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たりしている。
「老いた住宅は三階建ての夢を見るか」
とかどこかで聞いたようなキャッチコピーが浮かんできました。「ニュータウン」がやがて取り残された建物だけの「ゴーストタウン」になって行く寂寥感と諦めきれない主人公(住宅)の心情が伝わってきます。


◯三階建て3
> 坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、この町の年老いた人たちはサンガイと呼ぶ。

これもある意味「ゴーストタウン」の物語ですね。帰ってきた人々があの日を思う。余韻がいいですね。ちょっと12の後日談の様な気もします。

△三階建て13
> 二階建てだと、ずっと思ってた。まさかうちに三階があったなんて
いや、外から見て高さで分からんのか〜い…あ、ステップフロアか?とかお兄ちゃん、真の引きこもりか?どうやって妹に気づかれずに…とか色々楽しませていただきました。最後のすき焼きもいいですね、大団円ぽくって。

△ 三階建て6
>空想す
タイプグラフィックス好きとしては見逃せないですね。物語が三階建て。

×三階建て9
> 新種の貝が発見されたという報はまたたく間にヤドカリ界を駆け巡った。
確かに三階建てなら最上階(奥)まで逃げ込めば安全だし単に豪華(?)云々では無くてヤドカリの皆さまが躍起になるのもわかる気がします。そしてロマンスの香りまで漂わせている。ちょっとラストが弱い気もしますが面白かったので嫉妬…いえ愛をこめて逆選を(申し訳ありません)。







はやかつ / 2021-04-12 21:54:21 No.25
遅刻すみません。お題提案者です。
思いのほか書きづらいというお声をいただきましたが、どうしてどうして、見事に書かれた作品を多数拝読できて、提案者冥利です。
このタイトルを提出したのは、最近読んだ小田雅久仁さんの「十一階」の強烈な印象も一因かもしれません。ではなぜ三階建てかといえば、平屋とも二階建てとも違うその特殊性、一般的な戸建住宅としては珍しく、低層集合住宅としてはやや中途半端なところに、イメージを押し広げる余地を感じたからです。そうしたニュアンスを拾ってくださった作品も多くあり、読み応えがありました。

○三階建て13
> 二階建てだと、ずっと思ってた。まさかうちに三階があったなんて。
三階に何があったか、まではある意味予定調和的な安定感なのですが、そこへ最後の一行がいい味を出しています。技ありです。

○三階建て14
> 今が、われわれの存在に気付いたとき、それは遠くから遣わされてきた。
まさかこのタイトルでこれが読めるとは。いえ、正直タイトル競作としてはタイトルの処理に失敗しているかもしれません。でもここは内容を採ります。
私ごとですが、以前書いた「墨流し」という作品(加楽幽明さん編「水彩ノスタルジア」の巻頭に掲載)で奇しくも、混沌のなかから意識が分節化する最初に「色彩」があったことを表現していたのにどこか通じるものを感じて、そわそわしてしまいました。

△三階建て3
> 坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、
忽然と姿を消し、人々の記憶のなかにだけ存在する、当時珍しかった三階建てのお屋敷。そそられます。ただ結びの文に物足りなさを感じます。

△三階建て12
> 老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たりしている。
住宅の視点で語られる物語。最後で住宅が見る夢が泣かせます。ただ、三階建てをせがまれて父親が返す科白に、もう一捻りほしい気がしました。今の家のローンがあることが、三階建てに引っ越せない理由になるかというと、そうでもないように思えるので。

はやかつ / 2021-04-12 21:58:56 No.25
×三階建て4
> 何度も上っている階段が何段あるかをわたしは知らない。数えない。
抗いがたい、エモーションの引力みたいなものを感じるのですが、表現につまづいてしまってそこから先へ行けない感じです。「彼の身長で全長で形容」…全長? ここが解決するだけで、実は景色ががらっと変わるのかもしれません。その景色に思いを巡らしつつ逆選に。

三階建て2
> 私は『アスリートのお宅拝見』という番組のキャスター。
いきなりのト書きには若干面食らいます。あえてト書きの文体で通すなら別ですが、ここはむしろキャスターのレポート文体で通すなどの手があると思います。アイディアは面白いだけに惜しい気がします。

三階建て6
>       空想す
なるほどこういうアプローチもあったか、と面白く読ませていただきました。ただ、3階相当部分(おそらく、天・人・地の「天」に相当するのでしょう)の表現に緩みがあり、読んでいてつまづいてしまいました。

三階建て8
> 「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。
一読、面白いのですが、よく考えると説明がついてしまいそうなのが惜しいです。

三階建て10
> 人に言われるまで、気にしたことがなかった。
頭の中でこの家の間取りが描けないので迷子になりましたが、狙ったとおりなのでしょうか。あまりそういうふうには思えませんでした。

たなか◆535f38 / 2021-04-13 02:21:24 No.25
たなかです。
まず、投稿時の文字化けで管理人の峯岸さんにはたいへんお世話になり、ありがとうございました。
作品公開が遅れたのは、それが理由です。
待っておられた皆さまにはご迷惑をおかけしました。
そのうえ、諸事で選評も遅れてしまいました…… すみません!
どうもうちの環境とこことの相性が最近悪い……

気を取り直して、選評です。よろしくお願いします。


△三階建て5
> 「ちょっと狭いんスけどね。一応ベランダもあって」

「サンガイニイエナシ」と「三階建て」とのかけ方がとても上手い。それだけで評価です。
ただ、結びにあたる「スマジキモノハミヤヅカヘ」と、背景設定の「テンセイシャ」が、
話の流れのなかで、うまく効いていないように思いました。次点でお願いします。


△三階建て6
>        空想す

文字どおり形として巧みにできあがっていると思いました。3 つの節の位置取りが、
なるほど「三階建て」だ、と。ただ、屋根にあたる部分が説明だけになっていて、
物語としての他の 3 節との絡みが薄いように感じました。次点でお願いします。


○三階建て7
>  三階建て世界、というとまた何かの亜流ですかと問われ兼ねないし確かに一面その

冒頭のあたりは確かに、どこかで読んだことのあるような話かもという印象でしたが、
空虚の説明から、手が届いてしまった時点で笑ってしまい、そこから星の光が射し込み、
階下は数字と数式の世界、そして、最後の文への流れがとても気持ちよかった。正選で。


○三階建て12
>  老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たりしている。あの子が三階建てに住みた

語り手が「住宅」なのですね。「三階建て」に憧れを抱いている古い住宅。そして、
出て行ってしまい帰ってこない家族を惜しく思っている。その物語の流れが、
手の届かないものを希求する最後の「夢」の切なさに力を与えていたと思います。正選で。


×三階建て15
> 「まずは挨拶がわりに乾杯かね」

言葉遊びとしては力作だと思います。ただ、「三階建て」というタイトルを、
この話がもつ必然性がわからない。言葉遊び以上の物語も見えてこない。
会話の流れ自体の面白みも、自分にはわかりませんでした。逆選でお願いします。

海音寺ジョー◆2819bb / 2021-04-13 13:24:28 No.25
○<三階建て6>
>       空
作りが精巧で、とても惹かれました。三階建ては、一階が地、二階が人、三階が天という構造ですが韻律が「家」のブロックの役割を果たしてて、タイトルの人工物感が確保されている高い技巧を感じました。屋根がプロローグ的な短歌一首で拵えられてるのも素敵です。

○<三階建て15>
>「まずは挨拶がわりに乾杯かね」
力強いリズムに酔いました。後半の、「まだやるんかいハゲ」に魂を持って行かれました。

△<三階建て2>
> 私は『アスリートのお宅拝見』という番組のキャスター。
じわじわと、ありえないシチュエーションの中、まさかここを登るんかいというラストまでぐいぐい引っ張られました。面白かったです。このような力技には心奪われがちです。

△<三階建て8>
> 「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。
404と、タイトル「三階建て」との軋み。切れの鋭さが良かったです。彼は荷物を何処に届けたのだろう。

×<三階建て3>
>坂を登り切った、樹々がまだらに生い茂る丘のあたりを、
三階がサンガイと化す飛躍に、ハッとさせられました。後半に行くにつれて説明的叙述が増えていき、サンガイの異化効果が削がれていく減速感を覚えたのですが、それも作者の罠であり、作者の計算通り落とし穴に落とされてるのだろうか。気になる作品だったので逆選に推します。

<三階建て14>
> 今が、われわれの存在に気付いたとき、
SFの手法で物語の生成を物語化してるというか、そのようなメタ的な物語と受け取りました。先鋭的で掘りの深い企み。キルケゴールが「死に至る病」で自分たち人間の認識域を家の一階に喩え、だから二階、神の領域は伺うことが出来ないと書いてましたが、そのような飛躍を連想しました。というものの、タイトルとの連関がそれでも離れ過ぎてるという気がし、選外にいたしました。連関について読み解けてなかったら申し訳ないです。

毎回遅くなってすみません。以上です。よろしくお願いします。

まつじ◆fd9eca / 2021-04-14 22:41:11 No.25
遅刻だ遅刻だ失礼いたしました。まつじです。

⚪︎<三階建て14>今が、われわれの存在に気付いたとき、それは遠くから
正しくはそうではないのだろうけど、なんだろう、SFを感じました。宇宙っぽさがあるからかしら。「それには省略がある」が好きです。

⚪︎<三階建て3>坂を登り切った、樹々がまだら
三階建ての、中途半端感というか曖昧感を掌編にしたらこうなった、という雰囲気。「大論争が勃発する」あたりがコミカルで好きです。

△<三階建て8>「念の為ご住所とお名前の確認をお願いします。よろしければ
「三階」という言葉ではなく、「404号室」を使ってうまくタイトルを処理した印象です。驚きという点では弱いものの、この短さ潔さは好きです。

△<三階建て12>老いた住宅は薄れゆく記憶を行ったり来たり
夢に見るほどでもないと思える「三階建て」の呪いにかかっている「老いた住宅」が悲哀。「しっかりした地盤」がキーフレーズでしょうか。夢現感が好きです。

×<三階建て9>新種の貝が発見されたという報
ドラマチックヤドカリ。物語の主人公がヤドカリになるだけで、なんだか滑稽味を感じてしまう身勝手な人間という自分に気付かせてもらったので好きです。

続きまして、選外評です。

<三階建て1>三階建ての私の城
三段落の詩のよう。三階建てを効果的に感じられる読み力が私にはなかったのですが、「痕もなく美しく残骸だけ」が寂しくも乾いた感じがして好きです。

<三階建て2>私は『アスリートのお宅拝見』という番組
災害を想定した非常口とかありそうなものですが、行きも怖いが帰りがめちゃくちゃ怖そう。玄関が上だから家の作りはまるで地下室という狂った設計は好きです。

<三階建て4>何度も上っている階段が何段あるか
湿度のある語り口と、そこはかとなく感じる攻撃性、「彼」の形状がいまいち不明であったり、不穏さが魅力。言葉はじめのフレーズがとても好みです。

<三階建て5>「ちょっと狭いんスけどね。一応ベランダも
「どうやら不動産屋さんではなく役所の人だったらしい」がどういう状況か思い付かないのは、私に理解する下地がない気配。節をつけてくちずさんでる所が好きです。

まつじ◆fd9eca / 2021-04-14 22:41:58 No.25

<三階建て6>空想す
はじめの二行が一文字分右にずれてたら、より美しかったかもと思います。上からでも下からでも読める感じなつくりは好きです。

<三階建て7>三階建て世界、というと
語り手は神か人か。人に空想された「世界」がまたひとつ生まれたということかもしれない。「実は三階がない」という発想が好きです。

<三階建て10>人に言われるまで、気にしたことがなかった。
結局二階建てだったというお話。と私は読んだのですが、どうなのでしょうか。不穏そうで不穏でないところは逆に好きです。

<三階建て11>「えっ?ここ二階席
セリフの掛け合い系は楽しいですね、ツッコミの短さ、テンポが気持ちよいです。三回つっこまれたから最後は自分でつっこんじゃうあたり好きです。

<三階建て13>二階建てだと、ずっと
いや、風呂トイレは。と野暮を承知で。分別のつく歳って、いくつかしら…。家族そろってすき焼きのベタ感もいいけど、「是非見たいよ」のとこが好きです。

<三階建て15>「まずは挨拶がわりに乾杯かね」
結構仲良くないとやらない遊びだろうと思うと微笑ましい。第一ラウンドの終わりがやや不明瞭?口直しにはんなりラテで乾杯してるっぽいところが好きです。